
柳宗理のカトラリー モノとルキ#56
スプーンを曲げる超能力というものが世の中にあったけど、
自分にあったのはスプーンを増やす能力。
不思議なことに、いつの間にかスプーンは増えている。
「わぁ、かわいい買っちゃお!」
そんなノリでスプーンを買うことは、僕にはまずない。
気付けば、なんの変哲もない微妙に違うスプーンが、
まるで同じ親から生まれた少しずつ違う子犬みたいな状態で、
引き出しの中で肩を寄せ合っている。
冷静に考えるとこうだ。一人暮らしを始めた頃に、
何のこだわりもなく手に取ったスプーンがスタート。
友達が訪れたり、嬉しいことに彼女が出来たりすると、
もう一つ必要になる。
料理にこだわるようになると、
目分量というものがまだ体にないから、
レシピブックの通りにやろうとする。
大さじ1杯はカレー用のスプーン。
小さじ1杯はティースプーン。
スプーン1杯はその中間。
計量スプーンセットを買わずに、普段使いできるものを選ぶと、
いろんなスプーンがたまっていく。
あくまでこれらは仮説である。
いつどういう過程で増えるのかはわからない。
そんな僕にもスプーンを断捨離するタイミングが来た。
レストランでアマトリチャーナを食べた時、
味はもちろん、フォークに感動した。
それが柳宗理デザインのものだった。
それからすぐに柳宗理さんに電話をして、
選び方のアドバイスをいただいた。
こうして、僕はスプーンを増やす超能力を失った。

👆🏼料理がテーマの曲作りました😉👆🏼