
マグリットのポストカード モノとルキ#55
玄関の壁に、一枚のポストカードを貼っている。
六本木の国立新美術館で開かれたマグリット展で買ったものだ。
ブリュッセルのマグリット美術館オフィシャルグッズ。
印刷ももちろんベルギー。
そう思うと、黒のインクがチョコレート色に見えてくるから不思議。
モノクロのイラストと文字が整然と並んでいて、
見た目はレシピカードみたい。でも内容はシュール。
葉っぱの絵に「大砲」。舟の絵には何も書いていない。
花の絵に「山」。等々、全てフランス語。
一番気になるのは、女性の顔に
「太陽(le soleil)」
と吹き出しがついている絵だ。
むっつりしているわけでも、朗らかなわけでもない。
ただ太陽と書いてあるだけで、機嫌がいいのかなと思えてくる。
もしかして僕のことを
「あなたは太陽」
と言っているのかもしれない。
そう思うと、こちらも気分がよくなる。
これはマグリットが「シュルレアリスム革命」誌に、
1929年に発表したエッセイの一部分だ。
「言葉と物の間には、人が思うほど強い結びつきはない」
と彼は言う。
葉っぱを大砲と呼んでも、葉っぱは困らない。
でも大葉に小松菜と書かれていたら少し困る。
グッズ売り場では、ボーラーハットを被った鉛筆も買った。
ポストカードと一緒に置いてある。
出かける時に、もし思いついたことがあれば玄関でメモを取る。
あとで何のメモだったか、思い出せればいいけど。
