
Alexander Olchのボウタイ モノとルキ#54
映画「Ray」を観て、感動したのはもちろんだけど、
目が離せなかったのはレイ・チャールズのボウタイだった。
ポインテッドシェイプ、つまり先端が鋭く尖った蝶ネクタイ。
あの締め方の粋なこと。
音楽と同じくらい、もしかしたらそれ以上に尖ってた。
007シリーズにも、毎回しびれるシーンがある。
カジノを出たボンドが、
タキシードのボウタイをほどいたまま歩くやつ。
ダンディズムの極致である。
いつかああいう風に、気取りつつも飾らずに
ボウタイを締めてみたい。そんな風に考えていた。
条件はもちろん、ポインテッドシェイプ。
ところがこれが、なかなか見つからない。
マンハッタンのデザイナー、
アレキサンダー・オルチのコレクションに、
一本「これだ」と思うものを見つけた。
丁度、来日のスケジュールがあることを知り、
思い切って会いに行くことにした。
グリーン系のツイード生地で仕上げられた、
彼のコレクションの写真を持参して見せると、
すぐにマンハッタンへ電話を入れ、
バックヤードに在庫があるかを確認してくれた。
残念ながら在庫はなし。
でも、次のコレクション用の生地を勧めてもらい、
その場でオーダーした。
届いたボウタイは、カンペキだった。
以来、そのボウタイをつけて出かける日には、
彼が愛飲するライのウイスキーを
グラスに静かに注ぐことにしている。
グラス越しのビッグアップルに、感謝を込めて。
