
【旅日記#14-1】新千歳空港・札幌を往く、人生初のひとり空の旅(1日目)
現在の職場に移って4か月あまり。以前とはまるで異なる環境に最初は戸惑いもあったものの、ようやく半人前くらいにはなってきただろうか。
そんな新入社員の私だが、早くも上司から出張の命を言い渡された。任務は札幌で行われる会合に出席することであり、前泊と後泊を含めた3日間の旅というのは昨年前職にて行かせていただいたものと似ている。
(昨年の出張はこちら↓)
しかしそれと大きく異なるのは、今回は移動手段が飛行機ということだ。
以前の記事でも何度か書いた通り私が飛行機に乗ったのは高校の修学旅行のみで、当時はただ周りの流れに任せるばかりだったから、自力で乗るのは初めてである。
さらにこの少し前には別件で札幌を訪れており、立て続けの遠征にワクワクドキドキが止まらない。
今回は、その時の模様をお伝えしていこう。
1日目
12:00 旅の始まりは突然に
初フライトを控えた正午、私はいつも通り会社にいた。
初日は単なる移動日ということで、この日は普通に出社して、退勤後に女満別20時発の便で千歳へと向かう算段であった。
先日はバスで6時間かけて行ったものだが、飛行機なら1時間もかからないから、当日にこれほどのんびりしていても平気なのだ。すごい!
ところが、ここで航空会社から1通のメールが届く。どうやら新千歳空港周辺に雷雲が発生する恐れがあり、私が乗る予定の飛行機が遅延・欠航になる可能性があるのだという。
これはまさしく青天の霹靂、いや、天気が悪いのだから「曇天の霹靂」とでも言うべきだろうか。初めての飛行機がトラブルに見舞われるとは、この旅もなかなか前途多難のようである。
そして非常にまずいことに、予約していたのは最終便なので、もしこれが欠航になれば私は札幌に行けなくなってしまう。仕事だからハイそうですかと取り止める訳にもいかないし、さてどうしたものか。
すると先輩から「前の便に振り替えれば良い」との助言をいただいた。確かに、メールにも「悪天候による遅延・欠航が見込まれる際は手数料なく便の変更および払い戻しができる」と書いてある。
調べてみると1つ前の便は14時35分発。
荷造りはあらかじめ済ませてあるから、振り替えや搭乗手続きの時間を鑑みても、今から空港に向かえば間に合いそうだ。「午後の業務はいいから行ってきな」というお言葉に甘え、急遽仕事を抜け出して文字通り飛んでいくことになった私だった。
13:45 女満別空港
急いで家に帰り荷物をまとめる。今回はスーツケースは使わず、この身とリュック1つのみで旅立つので支度という支度もないのが不幸中の幸い。
毎度お世話になっている網走バスターミナルから女満別空港までは連絡バスで30分ほど。この空港へは5年ぶりの再訪、ここに降り立つと高校時代を思い出す。
⋯が、ここで腕時計を忘れたことに気付く。先日の結婚式の際もスーツ用のベルトを忘れており、どうも近頃うっかりが多い。どちらもそこまで致命的な忘れ物ではなかったものの、今後はもっと大きな旅行があるのだから、より気をつけなければ。

この程度なら運航に支障はなさそうだが、
千歳はどんな状況なのだろうか
女満別はコンパクトな空港ゆえ、入るとすぐに各航空会社のカウンターが。
振り替えはネットでもできるとのことだが、初回だし色々心配なので窓口で行うことに。やはり人に面と向かって対応してもらうと安心する。

写真のブレ具合から相当気が動転していたのが分かる
振り替え先の便にも無事空席があったので、手続きを済ませて14時35分発の航空券を受け取る。これにて正式に千歳へと飛べることが決まり、ようやくひと息ついた。預けるような大荷物もないし、思いのほかゆとりを持って待てそうだ。

1階の店屋はコンビニくらいだったものの、
こちらにはいかにも空港らしい売店やレストランがある
さて、飛行機に慣れていない者にとって特に緊張の種となっているのが保安検査である。といっても持ち物をトレイに入れて流すだけなのでどうということはない⋯と思いきや、私のリュックだけが通過できず再度流すことに。あれ?
2回目でもダメだったためスタッフによるチェックが入り、何をやらかしたかと顔が青くなる。
その原因はというと、ペンケースの中に入っていたカッターであった。このペンケースは大学時代からそのまま使っているがゆえに、この頃ほぼ使っておらず奥底に眠ったカッターを存在ごとすっかり失念してしまっていたのである。
これは完全に私のせいとはいえ、何だか今日はいつになく色々と振るわないなあ⋯。
ともかく、乗る準備は整った。
田舎とはいえさすが空港、ロビーにはたくさんの人が出発を待っている。ついにその時が迫っていると思うと、若干凹んだ私の気分も高まってくるというものだ。

ANA便に乗るのは人生初!
14:45 空へ
この度私が乗る段取りとなったANA4866便は、機材の到着遅れのため定刻より10分遅い14時45分発に変更された。
もっとも、私にとっては当初の予定より5時間以上早くなっているから、10分遅れたくらいでは何ら問題はない。飛んでくれるだけで感謝である。
慣れない手つきで搭乗口へ券を読み込ませ、いよいよ機内へ向かう。今回お世話になるのは小さなプロペラ機、修学旅行ではジェット機しか乗らなかったから、これだけの動力でこの鉄の塊が飛べるのかと未だ半信半疑の私がいる。

実際に目の当たりにしても、
専らマイカー派の私にはやはり魔法の乗り物に見える

席は私が選んだわけではないが、
景色を見たいので窓側に座れてラッキー
さあ、それでは運命の瞬間だ。
まずはゆっくりと移動して、滑走路に差しかかると一気に速度を上げる。やがて地面が離れていき、私は空の上の存在となった。
機体は飛び立って間もなく雲の中に突入し、辺りの景色は白一色。こんな何も見えない所を安全に飛べるなんて、航空とは改めてとんでもない技術の結晶だと思う。

地図好きとしてはリアル航空写真を見ている気分で楽しい
この日は風が強いため多少揺れつつも、あっという間に雲の上へ到達した。上下を雲に挟まれた青空の中を飛ぶさまは、まさに地上とは別次元というほかない。

あるいはスーパーマリオのボーナスステージか
以前乗った羽田行きの便には現在地を示すレーダーがあったものの、この小型機にはなかった。この空模様では下界も満足に見えないし、今どこにいるのかが非常に気になるところ。
遥か上空に飛び上がっていくらも経たないうちに着陸態勢に入るというアナウンスが聞こえると、必死に目を凝らして雲の切れ間を探した。
というか、もう着くのか!?

札幌〜室蘭間の大動脈も
空から見ればミニチュアみたいで面白い
千歳は女満別よりも天気が悪いようで、着陸ギリギリまでその景色を捉えることはできず。これは確かに、今後の状況の変化によっては夜の便は飛ばないかも知れない。早く来て良かった。
15:40 新千歳空港に到着
女満別を発っておよそ50分、満を持して降り立った新千歳空港は道内最大の空の拠点であり、着地した後の構内の移動がわりと長い。そのうえ機体を降りてからターミナルビルまではバスで向かうことになり、建物に入る前から女満別空港とのスケールの違いを実感する。
かくして、人生初の単身フライトは無事に幕を下ろした。その人出はあの札幌市内にも勝るとも劣らないほどで、ほんの1時間前までオホーツクの田舎にいたとは思えない。
人波の中にはスーツ姿も多くあり、私と同様に出張で来ている人も多いのだろう。都会に行くと全ての人が都会人に見えてしまうのは田舎者の宿命だけれども、実際のところ案外そうでもないのかも。

レンタカーの受付や、外にはバス乗り場もあり
移動のための機能に特化したフロア

1階と2階は通路が円弧状になっているのが特徴的
2階に上がると輪をかけて賑やかになり、辺りはこれでもかというくらいの土産物屋で埋め尽くされた。
飛行機で来るのは初めての新千歳空港だが、車でなら前にも来たことがあるから、これより先は新鮮というより懐かしい感じが先行する。

2階から4階までが吹き抜けでつながった広い空間は、
何度か訪れていても「おぉ〜」となる
3階はさまざまな飲食店が集結していて、窓からは外で飛行機が動いている様子が見られる。ここは国際線も就航しているので、国内線にはない色とりどりの機体が見られて新鮮だ。

ちなみに屋外にも展望スペースがあるが、
この天気なのでもちろん遠慮した
この窓のすぐ後ろにはフードコートがあり、何気なく歩いているつもりでもつい関心を引かれる。そういえば今日はバタバタしていて昼食がまだだったし、中途半端な時間ではあるがここらで何かお腹に入れておきたいところ。
しかし色々あって心身ともに疲れたので、ここは重たくないものでサクッと済ませたい。そんな時は「はなまるうどん 新千歳空港店」が適任だろう。

スーツでひとり手早くうどんをすするというのも、
出張サラリーマンらしくて乙ではなかろうか
思えば、小学生の頃に初めて新千歳空港へ来た時に食したのも同じ店であった。麺好きが高じて意気揚々と頼んだ中盛りのうどんは当時9歳の少年には多すぎたが、時を経て大人になった私は軽々と平らげ、意外なタイミングで自らの成長を感じることとなった。
そうそう、あの時はミニ四駆の大会のために父と2人で車中泊をしながら千歳まで走ったものだ。狭い軽自動車は窮屈だったけれども、滅多にない冒険という感じで楽しかったなあと思い出す。
そんな思い出深い場所が今や仕事の通過点なんて、13年という時間は短いようでいて相当に大きいらしい。

3階から見渡すとより立体感が感じられる。
小さい頃、あのエスカレーターにはワクワクしたものだ
お腹が満たされてひとまず元気が戻ってきたところで、時刻は16時半。早めにホテルに向かうのも良いが、せっかく早く着いたのだからどこか見物でもしていこうか。
空港内のさらなる探索は帰る日にする予定として、今から向かうは北広島市の言わずと知れた北海道日本ハムファイターズの聖地「Fビレッジ」。試合がない日は自由に中に入れるというので、野球観戦だけでなくふらっと観光するにも良さそうだ。
そうと決まれば再び到着ロビーを通り、地下1階のJR新千歳空港駅へ。ここを発着する「快速エアポート」は札幌・北広島・千歳市街への最も有力なアクセス手段であり、たくさんの人が駅を目指してみな一様に歩いている。

こうした地下通路は地元では全然見かけないので
ついカメラを向けてしまう

空港だけにスーツケースを持った人が多い
切符を買って改札を抜け、さらに階を下りるとようやくホームにたどり着く。快速エアポートは6両編成で4号車は追加料金の指定席となっている。私が来た頃には自由席はすっかり埋まっていて、ドアの近くで立つことに。
そういえば、私が今まで乗ったJRは全て気動車だったから、札幌の地下鉄を除けば「電車」というのはこれまた初めてのことだろうか。旅はまだ始まったばかりだというのに、次々と人生における実績の解除が続いておりどの瞬間も楽しくてたまらない(一応名目としては、今も仕事中のはずなのだが⋯)。
というところで、長くなってきたので今回はここで一区切り。次回は北広島からの1泊、そして2日目に至るまでの模様をお伝えしたい。
今回は以上になります。
最後までお読みいただきありがとうございました。
北海道を拠点に旅や温泉の記録を書いておりますので、よろしければこちらもご覧いただけると幸いです。