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最高の滞在体験を実現する空調自動化 Vol.3 アルゴリズム編

    この記事は、NOT A HOTELのソフトウェア開発連載「Inside the SOFTWARE TEAM」の記事のひとつです。
    https://note.com/notahotel_inc/n/n5a29a2c064b5

    1. はじめに

      初めまして、NOT A HOTELでスマートホームエンジニアをしております Soni と申します。
今回は、入社時から取り組んでいるエアコン自動制御のアルゴリズムについてお話しさせていただきたいと思います。

    2. 現状

      ホテルや旅館などの滞在先の空調の調整がうまくいかず、困った経験がある方は多いのではないでしょうか。
      そこで、我々は、エアコン操作をコンピューターによる計算に基づいて行い、快適な空間がユーザーの操作なしで実現できるようにする自動制御アルゴリズムを開発し、エアコン操作が要らない環境の実現を試みました。
      結果、夏の福岡限定のリリースでは、自動制御により、利用者様の半数がエアコン操作なしで快適に過ごせるお部屋を作ることができました。今回は、そのアルゴリズムの紹介をしたいと思います。

    3. 快適な温度の算出

      今回、快適な温度を算出するにあたって、「不快指数」に着目しました。不快指数は温度と湿度から算出される数値であり、※60〜65あたりが快適であるとされています。

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     式1. 不快指数の計算式
     

    温度に対しての考察を行うため、この式を温度について解くと以下のようになります。

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    式2.  式1.を温度について解いたもの
    不快指数と湿度から温度が分かることが示されている

      この式を観察すると、不快指数と湿度が分かれば温度が算出されることがわかります。そして、快適であるとされる不快指数は、経験則的に※60〜65であることが分かっているため、その値と、現在の湿度をこの式に代入することで、最適な温度が分かる式になっています。
      この計算式への詳細な議論は後に回し、実際に福岡で行った検証では、かなり快適な空間が再現できていたとエアコン自動制御チームで結論づけできたため、この式を信頼し、アルゴリズムを組むことにしました。

    ※実際には若干ズレがあるため、部屋単位で適切な不快指数を設定しています。温度と湿度の関係をコントロールする定数のように筆者は捉えており、不快指数が〇〇ならば絶対に快適であるとは言い切らないようにしています。

    4. 自動制御アルゴリズム

        制御の流れは以下の通りです。特徴的なのは、現在の室温を測るセンサーとエアコン内部にある温度センサーを組み合わせて制御を行っている点です。実際の生活空間とエアコン本体との距離が離れている場合、現在の室温とエアコン内部の温度センサーの測定値がズレてしまいます。そこで、現在の室温の測定は温度センサーで、制御では、エアコン内部センサーを基準に制御を行うことで、温度制御を正確に行なっています。

    1. 目標となる不快指数(目標不快指数)を定数として決め、センサーから湿度を取る。

    2. 式2. に目標不快指数と現在湿度を代入し、目標温度を得る。

    3. 目標温度と現在温度の差分を取り、現在温度に対してどれくらい寒いのか・暑いのかを定量評価する。

    4. エアコン内部センサー温度に対して、3. で取得した差分を引いた値をこれをエアコンの設定温度に入力します。これで、室温が目標温度より低い場合、室温を暖めるように、室温が目標温度より高い場合冷やすように動作し、エアコンが寒くなるようになります。
      (∴PID制御の比例制御のみを行なっているということになります)

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    図1.エアコン自動制御のフロー図

    5. 結果

      前述の通り、利用者様の半数程度が、エアコン操作なしで快適な空間を過ごされたとされる成果を出しております。詳しい成果は、弊社荒川の記事に記載しておりますので、ご確認ください。


    6. 議論

      このアルゴリズムでの残っている課題点を取り上げ、今後の展望を記載していきます。

    調理などで急激な湿度上昇した場合に、一時的に目標の不快指数より高い数値が出てしまう。

      式2. で示される式は、湿度の変化量を考慮することができておらず、急激に湿度上昇が起きた場合の追従が遅くなっています。これは、式2に湿度変化量を加える改良を行う、あるいは湿度にかかっている係数を調整するなどが必要であるなど、まだ課題が残っております。

    代謝量による不快指数のコントロールができていない

      就寝時、活動時など代謝量が異なるタイミングで、最適な不快指数は変わるはずですが、現状はそのコントロールを行えていません。最近では、ミリ波センサーによる就寝検知の研究などが行われており、検証の余地はあると考えています。

    7. まとめ

      コテコテのアルゴリズム解説記事でしたが、いかがだったでしょうか?
    まだまだやることいっぱいあります。(分析・A/Bテスト環境構築、シミュレーション…)。
      そして、解きたいスマートホーム最適化が筆者にはたくさんあります。アイデアがある方・興味を持って頂けた方は、是非カジュアル面談お待ちしております。

    8. 関連資料

    荒川の記事

    不快指数

    ミリ波センサー


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