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『存圚しない地䞻』第14章「ないず、蚀えたすか」

    決枈予定日は、倉わっおいない。

    けれど、売䞻本人に新しい確認事項が届いた。

    知らないこずず、関係がないこずは違う。

    そしお、

    知らないこずを「ない」ず蚀えるかも、別だった。


    前回たで

    六幎前の写真には、把盎人ず、顔の芋えないもう䞀人の人物が写っおいた。

    その人物が誰なのかは、ただ分かっおいない。

    䞀方、真壁が再び接觊した老女は、柄江より前に北偎通甚口で「売らない」ず話した人物がいたず蚌蚀した。

    しかし、その人物の名前も、本人性も確認されおいない。

    東倮郜垂開発では、廃止された旧斜蚭の管理業務が継続しおいたこずを受け、珟圚の土地に぀いお売䞻本人ぞの远加確認を準備しおいた。

    そしお柄江は、次の本人確認に向けお真壁に告げた。

    「今床は、あなたを芋たせん」

    䜕を聞かれるかは、ただ分からない。

    それでも、自分で答えるず決めおいた。

    今回の䞻な登堎人物

    真壁遌
    停の地䞻本人を䜜り䞊げる「本人蚭蚈者」。決枈を進める立堎にありながら、答えを甚意できない確認事項に盎面する。

    倉橋柄江
    「芊原矎代子」を挔じる元舞台女優。真壁の指瀺だけに頌らず、本人ずしお自分で答えようずしおいる。

    把盎人
    真壁ず行動する実働担圓。六幎前の写真の出所を远っおいる。

    久我慎䞀郎
    東倮郜垂開発の甚地取埗担圓。売䞻の回答ず、土地の珟況に぀いおの事実確認を分けお刀断する。

    氎城菜月
    久我の郚䞋。旧斜蚭の管理履歎ず、珟圚の売買察象地ずの関係を調べおいる。

    埡堂埁叞
    土地取匕を進める調敎圹。買䞻偎からの確認事項を真壁ぞ䌝える。

    【前話】

    第13章「前の人」



    第14章 ないず、蚀えたすか

    氎城菜月は、確認事項の最埌の䞀行で手を止めた。

    珟圚の売買察象地に぀いお、旧斜蚭に由来する第䞉者の利甚たたは管理行為が継続しおいないこずを確認できるか。

    久我慎䞀郎が、隣から画面を芋た。

    「確認できる資料は」

    「ありたせん」

    「では、売䞻偎に聞きたしょう」

    「答えられなかった堎合は」

    「確認できなかったず蚘録したす」

    氎城は頷いた。

    久我はもう䞀぀の蚘録を開いた。

    北偎通甚口。

    売华の意思はないず話した人物。

    本人性、未確認。

    「こちらも残っおいたすね」

    「はい」

    「今回の確認ず関係があるかは」

    「分かっおいたせん」

    「では、別の事項ずしお残しおください」

    氎城は蚘録を閉じなかった。

    「䞡方ずも確認できないたたなら」

    久我は資料を揃えた。

    「決枈たでに、䜕を確認できるかです」

    「売䞻本人の回答だけでは足りたせんね」

    「回答によりたす」

    久我は立ち䞊がった。

    「質問を送っおください」

    

    埡堂埁叞から届いた通知には、二぀の質問があった。

    真壁遌は、二぀目を読み盎した。

    旧斜蚭に由来する第䞉者の利甚たたは管理行為が、珟圚の売買察象地で継続しおいないこずを確認できるか。

    把盎人が暪から芗いた。

    「ないっお蚀えばいいんじゃないですか」

    「䜕が」

    「䜿っおいる人間です」

    「確認しおいない」

    「でも、䌚瀟の方だっお確認しおないでしょう」

    「だから聞いおきた」

    真壁は玙を眮いた。

    把が別の封筒を出した。

    「六幎前の写真、芋盎したした」

    「どうだった」

    「管理番号はありたす。耇写された管理祚も、前に持っおきたものず同じです」

    「人物の名前は」

    「そこにはありたせん」

    真壁は封筒を受け取らなかった。

    「管理祚の蚘茉は」

    「過去の玛争案件の資料ずしお敎理されおいたす。ただ、写真を誰が撮ったか、どこから取埗したかたでは茉っおいたせん」

    「元の蚘録は」

    「照䌚をかけおいたす。管理番号を䌝えお、原資料が残っおいるか確認しおもらっおいたす」

    「返事は」

    「ただです」

    真壁は頷いた。

    「続けろ」

    把は封筒を鞄ぞ戻した。

    「写真の人物が分かれば、䜕か倉わりたすかね」

    「分かっおから考える」

    真壁は質問祚ぞ芖線を戻した。

    「それより、埡堂に連絡する」

    

    「本人の認識だけでは、珟況の確認にならない」

    埡堂は、真壁の話を最埌たで聞いた。

    「そうでしょうね」

    「買䞻偎で確認する必芁があるだろう」

    「その点は䌝えたす」

    「本人ぞの質問は」

    「予定どおりです」

    「曞面だけで枈たせられないか」

    少し間があった。

    「本人同垭で確認する方針です」

    真壁は電話を持ち替えた。

    「珟地の確認が必芁なら、売䞻ぞの質問ずは別に進めればいい」

    「真壁さん」

    「䜕だ」

    「それも、䌝えたす。ただ、今回聞かれおいるのは、売䞻本人が䜕を把握しおいるかです」

    「二぀目は違う」

    「ええ」

    埡堂が答えた。

    「珟圚の土地に぀いお、確認できるかどうかです」

    真壁は窓の倖を芋た。

    「本人が確認できないず蚀ったら」

    「買䞻偎の刀断になりたす」

    「決枈は」

    「今のずころ、倉曎はありたせん」

    「分かった」

    真壁は電話を切った。

    しばらくしお、把が聞いた。

    「どうするんです」

    「質問には答える」

    「二぀目も」

    「ああ」

    「答え、あるんですか」

    真壁は質問祚を折らずに封筒ぞ戻した。

    「䜜るな」

    把は黙った。

    

    倉橋柄江は、二぀の質問を続けお読んだ。

    「䞀぀目は、前に答えたしたね」

    「確認だ」

    「二぀目は」

    真壁は䜕も蚀わなかった。

    柄江は、玙をテヌブルぞ眮いた。

    「珟圚も䜿っおいる人がいないか、ずいうこずですか」

    「それを確認できるか、だ」

    「できおいるんですか」

    「できおいない」

    「真壁さんも」

    「ああ」

    柄江は、もう䞀床二぀目を読んだ。

    「私が頌んでいないこずず、誰も䜿っおいないこずは、同じですか」

    「違う」

    「そうですよね」

    柄江は玙の端を指で抌さえた。

    「では、私が知らないず蚀ったら」

    「そのたた蚘録される」

    「困りたすか」

    真壁は答えなかった。

    柄江が顔を䞊げた。

    「決枈に、圱響したすか」

    「するかもしれない」

    「それでも、確認できるず蚀うんですか」

    「蚀わない」

    柄江は真壁を芋おいた。

    「私が答えるんですね」

    「ああ」

    「分かりたした」

    柄江は質問祚を鞄ぞ入れた。

    真壁は、その鞄を芋る。

    䞭には、芊原矎代子の名前が曞かれた曞類がある。

    柄江は立ち䞊がった。

    「圓日、質問祚は持っおいきたす」

    「そうしおくれ」

    それだけだった。

    

    確認圓日。

    東倮郜垂開発の珟地事務所では、氎城が䌚議宀を敎えおいた。

    以前ず同じ長方圢のテヌブル。

    同じ垭順。

    久我慎䞀郎は、確認事項を二枚䞊べおいた。

    柄江が入っおくる。

    真壁は䞀歩遅れお続いた。

    氎城が垭を瀺した。

    「本日は、売買察象地の管理・䜿甚関係に぀いお、远加確認を行いたす」

    柄江は頷いた。

    「はい」

    「前回ず同様、回答は蚘録させおいただきたす」

    「分かりたした」

    真壁は資料を開いた。

    久我が䞀枚目を手に取った。

    「以前、珟圚の定期䜜業に぀いお、ご自身では䟝頌しおいないずの回答をいただいおいたす」

    「はい」

    「その認識に倉曎はありたすか」

    「ありたせん」

    「ありがずうございたす」

    氎城が入力する。

    久我は二枚目ぞ移る前に、別の蚘録を開いた。

    「もう䞀点、以前の確認事項に぀いおお䌝えしたす」

    柄江が顔を䞊げた。

    「北偎通甚口で、売华の意思はないず話された方に぀いおです」

    真壁は、玙を芋る手を止めた。

    「はい」

    柄江が答えた。

    「その方の本人性に぀いおは、珟圚も確認が完了しおいたせん」

    「そうですか」

    「以前、ご本人は心圓たりがないず回答されおいたす。その回答に倉曎はありたすか」

    柄江は少し考えた。

    「ありたせん」

    久我は頷いた。

    「そのように蚘録したす」

    氎城の指が動いた。

    真壁は、目の前の玙を芋おいた。

    犬のこずを尋ねた老女。

    老女が通甚口で聞いた、「売らない」ずいう蚀葉。

    その人物の名前は、分かっおいない。

    真壁はその話を聞いおいる。

    しかし、老女はその人物の名前を知らなかった。

    本人であるずも確認しおいなかった。

    真壁は資料を閉じなかった。

    久我が蚀った。

    「では、今回の確認事項です」

    

    氎城が二枚目を柄江ぞ向けた。

    「旧斜蚭の管理履歎に぀いお、圓瀟でも確認を進めおいたす」

    久我が続ける。

    「蚭備は廃止扱いですが、巡回や消耗品確認の蚘録がその埌も残っおいたす」

    柄江は頷いた。

    「珟圚の売買察象地ず、過去の蚭備管理範囲ずの関係は、ただ確認しきれおいたせん」

    「はい」

    「売䞻様は、珟圚の土地に぀いお、旧斜蚭に関係する管理や䜿甚が続いおいるか、ご存じですか」

    柄江は玙を芋た。

    「詳しくは、分かりたせん」

    氎城が入力した。

    久我は、そこで玙をめくらなかった。

    「では、もう䞀぀確認したす」

    柄江が顔を䞊げた。

    「珟圚の売買察象地に぀いお、旧斜蚭に由来する第䞉者の利甚や管理行為が続いおいないこずを、売䞻様ずしお確認できおいたすか」

    柄江は答えなかった。

    久我は埅った。

    真壁も、資料ぞ目を萜ずしたたただった。

    柄江が聞いた。

    「確認できおいる、ずいうのは」

    「はい」

    「私自身が、土地を芋お確かめたか、ずいうこずですか」

    「ご自身での確認でも、信頌できる報告を受けおの確認でも構いたせん」

    「報告ですか」

    「䟋えば、珟圚の管理状況を確認できる資料などです」

    柄江は、質問祚を芋た。

    「私は、長いこず珟地ぞ行っおいたせん」

    「以前、そう䌺っおいたす」

    「以前からの管理の詳しい経緯は、分かりたせん」

    「はい」

    「それでも、䜕もないず蚀えるか、ずいうこずですか」

    久我は少し間を眮いた。

    「珟圚、確認できおいる範囲をお聞きしおいたす」

    柄江は、隣を芋なかった。

    真壁の手元には、同じ質問祚が眮かれおいる。

    二぀目の質問の䞋に、回答欄があった。

    柄江が口を開いた。

    「確認できたせん」

    氎城の指が動いた。

    「私が芋おいないずころで、誰が䜕をしおいるかは、分かりたせん」

    久我は頷いた。

    「旧斜蚭に関係する利甚や管理がないこずに぀いおは、確認できおいない。そういうこずですね」

    「はい」

    氎城が入力を終えた。

    久我は柄江を芋た。

    「この回答で蚘録しおよろしいですか」

    「お願いしたす」

    真壁は資料から顔を䞊げなかった。

    久我が氎城ぞ蚀った。

    「本人の認識ず、珟況の確認は分けおください」

    「はい」

    氎城は画面を切り替えた。

    久我が続ける。

    「珟圚の土地の状態に぀いおは、圓瀟偎でも確認を続けたす」

    柄江は頷いた。

    「分かりたした」

    「決枈の予定に぀いおは、その確認状況を螏たえお刀断したす」

    「はい」

    真壁が顔を䞊げた。

    「予定は倉曎になるんですか」

    久我は真壁を芋た。

    「ただ決めおいたせん」

    「い぀刀断する」

    「確認結果を敎理しおからです」

    「その間、売䞻偎で必芁なこずは」

    「远加の資料が必芁になれば、埡堂さんを通じお連絡したす」

    真壁は頷いた。

    「分かりたした」

    

    面談が終わるず、久我は先に䌚議宀を出た。

    氎城は残っお、確認蚘録を読み返した。

    前回の回答がある。

    売䞻本人回答。

    本人認識範囲では、珟行定期䜜業の䟝頌・継続認識なし。

    氎城は、その䞋に新しい蚘録を残した。

    売䞻本人回答。

    珟圚の売買察象地における、旧斜蚭に由来する第䞉者の利甚・管理行為が継続しおいないこずに぀いお、確認できず。

    䞀床読み返した。

    「第䞉者の利甚あり」ずは曞いおいない。

    「第䞉者の利甚なし」ずも曞いおいない。

    氎城は保存した。

    そのずき、久我が䌚議宀ぞ戻っおきた。

    「珟況確認は」

    「未了です」

    「決枈刀断の資料にも、そのたた茉せおください」

    氎城は顔を䞊げた。

    「未確認のたたで、ですか」

    「はい」

    久我は画面を芋た。

    「確認できおいないこずも、刀断に必芁です」

    氎城は報告先を远加した。

    画面の䞊には、倉曎されおいない決枈予定日が衚瀺されおいた。

    確認事項の䞀぀には、回答枈みの印が぀いた。

    その䞋には、珟況確認の項目が残っおいた。

    氎城は、そこには印を぀けなかった。


    あずがき

    第14章たでお読みいただき、ありがずうございたす。

    第15章ぞ続きたす。


    『存圚しない地䞻』は、毎週日曜21時30分に曎新したす。

    次回曎新2026幎10月25日日21時30分予定

    【前話】

    第13章「前の人」

    『存圚しない地䞻』を最初から読む

    第1章「停物を䜜る男」

    『存圚しない地䞻』をたずめお読む

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    創䜜や゚ッセむを䞭心に、日々感じたこずや物語を曞いおいたす。 人や組織、遞択、関係性をテヌマに、考えたこずを蚀葉にしおいたす。 掲茉しおいる内容は、個人の創䜜・芋解によるものです。 実圚する人物・団䜓ずは関係ありたせん。

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