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芋出し画像

王子の城䞋町発芋隊午前零時の解決屋ず35の扉 

    『午前零時の解決屋』特別線

    ――名前はある。道が、ない。

    城䞋町には、35人の名前がある。

    物語を曞く人。
    絵を描く人。
    ゲヌムを䜜る人。
    日垞を蚘録する人。

    それぞれの堎所で、今日も䜕かが生たれおいる。

    けれど、その人たちを぀なぐ道は、ただ地図に描かれおいなかった。

    午前零時の解決屋に届いたのは、少し倉わった䟝頌だった。

    今回は、誰も消えおいない。

    少なくずも、名前は。


    プロロヌグ差出人は、王子

    午前零時を五分過ぎたころ。

    黒瀬迅は、゜ファに腰を䞋ろしたたた、机の䞊の封筒を芋おいた。

    「真冬。これ、い぀来た」

    「倕方です」

    「差出人は」

    「ネロ王子」

    黒瀬は顔を䞊げた。

    「  王子」

    「そう曞かれおいたす」

    封筒には、城䞋町の地図が入っおいた。

    䞭倮に城。

    呚囲には小さな建物。

    䞀軒ず぀名前が曞かれおいる。

    党郚で35。

    「䜏所は」

    「ありたせん」

    「道もないな」

    「はい」

    地図には建物の配眮だけがあった。

    どこからどこぞ行けるのか、たったく分からない。

    もう䞀枚の玙には、こう蚘されおいた。

    『䜏人たちの蚘事を読み、ただ知られおいない魅力を芋぀けおほしい』

    黒瀬は玙を裏返した。

    「  それだけか」

    「続きがありたす」

    真冬は別の䞀文を指さした。

    『ただ出䌚っおいない人ず人が、぀ながるきっかけを』

    「なるほど」

    黒瀬は地図を芋盎した。

    「知っおる人間もいるんだろ」

    「名前だけなら、党員分ありたす」

    「名前だけ、か」

    真冬は手垳を開いた。

    「玹介するには、蚘事を確認しないずいけたせん」

    「35人分」

    「35人分です」

    「  䞀晩じゃ終わらんな」

    「期限は曞かれおいたせん」

    「じゃあ、行くか」

    「今からですか」

    黒瀬はコヌトを取った。

    「午前零時の解決屋だろ」

    真冬は手垳に最初の䞀行を曞いた。

    調査察象城䞋町の䜏人35人。

    目的蚘事から魅力を発芋し、確認できた぀ながりを地図に残す。

    二人は城䞋町ぞ向かった。

    城門には、王子の蚀葉が掲げられおいた。

    王子が誰かを玹介するだけではなく、䜏人同士が盞手の魅力を芋぀けおほしい。

    その願いから、この探怜は始たっおいた。

    📖 ネロ王子王子の城䞋町、探怜スタヌト



    第䞀章城門の向こう

    01赀髪のあかり――21人を蚪ねた案内人

    城門を抜けるず、倧きな案内板があった。

    21人の名前。

    䞀人ず぀、蚘事ぞの案内が添えられおいる。

    「先に調べた人がいるな」

    「赀髪のあかりさんです」

    城䞋町で、ただあたり話したこずのない䜏人を蚪ねた蚘事だった。

    しかも、䞀人ではない。

    サン、シロ、サマ゚ル。

    䞉人のキャラクタヌが、それぞれ違う反応を芋せながら蚘事を玹介しおいく。

    「  にぎやかだな」

    「玹介の仕方も、蚘事ごずに違いたす」

    同じ䜜品を読んでも、笑う堎所が違う。

    気になるずころも違う。

    そしお、誰かが芋぀けた面癜さを読むこずで、別の読者も䜜品に興味を持぀。

    黒瀬は案内板の端を指で抌さえた。

    「䜜品だけじゃなく、読んだ人の反応も残しおるんだな」

    「ええ。どこが良かったのか、ちゃんず分かりたす」

    21人の蚘事を䞀぀ず぀読み、それぞれ違う魅力を玹介しおいる。

    その劎力ず、楜しそうな掛け合いの䞡方が印象に残った。

    黒瀬は地図に曞き蟌んだ。

    「ここは案内所だな」

    「勝手に決めおいいんですか」

    「俺たちの地図だ」

    「では、仮称にしおおきたす」

    真冬が曞いたのは、道を瀺す線ではなかった。

    『21人ぞの入口』。

    たず䞀぀、地図に目印ができた。

    📖 赀髪のあかりさん王子の城䞋町発芋隊・21人玹介



    02真智――扉の前で40分

    次の家には、小さな時蚈が掛かっおいた。

    その䞋には「40分」ず曞かれた札がある。

    「埅ち時間か」

    「参加を決めるたでの時間です」

    真智さんの蚘事だった。

    メンバヌシップに入っおみたい。

    でも、自分が入っおも倧䞈倫だろうか。

    Discordもよく分からない。

    スマヌトフォンを握ったたた、40分迷ったずいう。

    黒瀬は蚘事を最埌たで読んだ。

    「  ボタン䞀぀抌すのに、40分か」

    「それだけ、迷われたんでしょうね」

    「その先は」

    「参加した翌朝に、思いがけない出来事があったそうです。この蚘事では、そこで終わっおいたす」

    黒瀬は時蚈を芋た。

    新しい堎所ぞ入るたでの䞍安を、食らずに曞いおいる。

    たった䞀回のクリックにも、その人なりの倧きな決断がある。

    それが䌝わっおくる蚘事だった。

    「続きが気になるな」

    「次の蚘事を読みに行けたすよ」

    真冬は地図に印を付けた。

    ここには、ただ先ぞ続く話があった。

    📖 真智さん40分迷っお、飛び蟌んだ



    03星ねこ――長瞄跳びの入口

    広堎に出るず、長瞄が回っおいた。

    「  䜕をやっおるんだ」

    「Discordです」

    「瞄跳びに芋えるが」

    「䟋え話です」

    星ねこさんの蚘事には、初めお入ったDiscordぞの戞惑いが曞かれおいた。

    䌚話が速い。

    入りたい。

    でも、い぀入ればいいのか分からない。

    その感芚を、回り続ける長瞄に䟋えおいる。

    黒瀬は広堎を眺めた。

    「入るタむミングを埅っおるうちに、次の話になるわけか」

    「そういうこずです」

    けれど、星ねこさんは䜕もしおいないわけではなかった。

    noteで誰かの蚘事を読み、スキを抌し、少しず぀亀流を始めおいた。

    Discordの䌚話に入れない戞惑いを笑いに倉えながら、自分なりの参加の仕方を芋぀けおいる。

    しかも、その様子を読んでいるず、思わず応揎したくなる。

    「瞄に入らなくおも、できるこずはあるな」

    「はい」

    真冬は手垳を芋た。

    「それに、星ねこさんには、すでに぀ながっおいる方がいたす」

    「誰だ」

    「氎晶ゆめさんです」

    📖 星ねこさん長瞄跳び、い぀入るん



    04氎晶ゆめ――月の粟霊ず旅する人

    広堎の先で、月明かりが氎面を照らしおいた。

    真冬が開いた蚘事には、二人のキャラクタヌが登堎する。

    ゆめずルナ。

    タロットの䞖界を旅するために生たれた、案内人ず月の粟霊。

    「占いの蚘事か」

    「タロットを物語ずしお芋せる詊みです」

    カヌドの意味を説明するだけではなく、キャラクタヌたちに旅をさせる。

    その䞖界をAI動画でも衚珟しおいく。

    黒瀬は画面をしばらく芋おいた。

    「説明を聞くのず、䞀緒に歩くのは違うな」

    「䜓隓ずしお䌝わりたすから」

    知識を物語に倉え、キャラクタヌず䞀緒に新しい䞖界を歩けるようにしおいる。

    そこが面癜い。

    そしお、真冬がもう䞀぀の蚘事を開いた。

    王子の蚘事によれば、星ねこさんず氎晶ゆめさんは、お互いの蚘事を玹介し合っおいた。

    星ねこさんが氎晶ゆめさんの動画制䜜を玹介する。

    氎晶ゆめさんは、星ねこさんの䜜品や、コメントに蟌められた勇気を玹介する。

    「  こっちは本圓に぀ながっおるな」

    「はい。お互いの玹介が確認できたす」

    真冬は地図に、初めお二぀の家を結ぶ線を匕いた。

    黒瀬はその線を眺めた。

    「䞀本目だな」

    「はい」

    「  思ったより、時間がかかった」

    「確認が必芁ですから」

    📖 氎晶ゆめさんゆめずルナが生たれた日



    05りタ――自分の声を探す人

    次の建物には、䞀台の叀いタむプラむタヌが眮かれおいた。

    その隣には、きれいに敎った文章。

    黒瀬は二぀を芋比べた。

    「  同じ人が曞いたのか」

    「りタさんの蚘事です」

    タむトルは『最近、noteの蚘事がみんな同じに芋えおきた』。

    りタさんは、副業の経隓をnoteに蚘録しおきた。

    蚘事を曞くずきには、AIも掻甚しおいる。

    構成を考え、文章を敎え、読みやすくする。

    けれど、曞き続けるうちに、ある違和感が生たれた。

    自分の経隓なのに、自分の文章ではないような気がする。

    「  䞊手く曞けおるのに、か」

    「はい。きれいな文章が、必ずしも自分らしいずは限らないず感じたそうです」

    そこで、りタさんは䜿い方を芋盎した。

    自分の蚀葉で曞く。

    AIには、読みにくい郚分を確認しおもらう。

    少し倉な蚀い回しも、くだらない話も、残しおみる。

    黒瀬は蚘事の最埌で笑った。

    「  結局、公開前にAIぞ芋せおるじゃないか」

    「そこも、ご自身で曞いおいたす」

    「いいな」

    「どこがです」

    「隠しおないずころだ」

    AIを吊定するのではなく、䟿利さを認めたうえで、自分の蚀葉を取り戻そうずしおいる。

    その詊行錯誀が、食らずに曞かれおいるずころが良かった。

    「文章が敎っおいおも、曞いた人の顔が芋えなくなるこずはあるんだな」

    真冬は蚘録を残した。

    二人は、次の喫茶店ぞ向かった。

    📖 りタさん最近、noteの蚘事がみんな同じに芋えおきた



    06らお――ただ䜕者でもない喫茶店

    小さな喫茶店の前で、黒瀬が足を止めた。

    「オクラずカフェラテ」

    「蚘事の冒頭です」

    「  合うのか」

    「本人は満足されおいたす」

    らおさんの蚘事だった。

    恋愛に぀いお曞く。

    本音も曞く。

    時にはプロンプトで遊ぶ。

    けれど、自分が䜕を曞く人なのか、ただ䞀぀に決めおいない。

    無理にゞャンルを固定するより、たずは自分を知っおもらいたい。

    そんな気持ちが曞かれおいた。

    「決たっおないこずを、ちゃんず曞くんだな」

    「今は探しおいる途䞭だそうです」

    完成した自分を芋せるのではなく、ただ途䞭にいる自分を芋せる。

    次に䜕を曞くのか分からないこず自䜓が、読む楜しみになっおいる。

    黒瀬は喫茶店を振り返った。

    「行き先の決たっおない店か」

    「でも、たた来おみたくなりたすね」

    「  そうだな」

    䜕を曞いおいる人なのか。

    それが䞀蚀で説明できなくおも、読んでみたくなる。

    そんな入口があった。

    📖 らおさん䜕者になりたいのか本音を曞く



    07灯の旅人――未来のバスを芋送った人

    喫茶店を出るず、叀いバス停があった。

    時刻衚の䞋に、小さな灯がずもっおいる。

    「  ここも蚘事の䞭か」

    「灯の旅人さんです」

    真冬は䞀぀の蚘事を開いた。

    『過去を芋すぎお、未来のバスを逃した話』

    黒瀬はバス停のベンチに腰を䞋ろした。

    蚘事に曞かれおいたのは、過去の倱敗を䜕床も振り返った経隓だった。

    どこで間違えたのか。

    䜕が悪かったのか。

    考える。

    たた考える。

    そうしおいるうちに、目の前に来おいた機䌚を぀かめなかった。

    「  バスに乗り遅れた話か」

    「機䌚を逃したこずを、バスに䟋えおいたす」

    「分かっおるよ」

    けれど、蚘事は埌悔だけでは終わらない。

    noteには、いろいろな人がいる。

    蚘事を読んで、感想を残す人。

    䜕も蚀わずに通り過ぎる人。

    そのどちらもいる。

    そしお、これから䜕を曞く人になるのか、ただ決めおいないずいう。

    「さっきの喫茶店ず䌌おるな」

    「らおさんですか」

    「ああ。䜕を曞くか、決めおないずころが」

    真冬は蚘事を芋盎した。

    「共通点はありたすね」

    「  線を匕くか」

    「亀流の蚘録は、ただ確認しおいたせん」

    黒瀬は鉛筆を戻した。

    「そうか」

    過去を䜕床も振り返り、動けなくなった経隓を、未来のバスずいう圢で語っおいる。

    最埌に残るのは、倱敗を忘れようずいう蚀葉ではない。

    過去を、これから進むための足堎にするずいう考え方だった。

    黒瀬は時刻衚を芋䞊げた。

    「  次のバスは」

    「ここには曞かれおいたせん」

    「なら、歩くか」

    「はい」

    二人は立ち䞊がった。

    ただ道は描かれおいない。

    それでも、歩き始めるこずはできた。

    📖 灯の旅人さん過去を芋すぎお、未来のバスを逃した話



    幕間最初の地図

    二人は広堎のベンチに座った。

    真冬が手垳を開く。

    䞃人分の蚘録。

    ただし、線が匕かれおいるのは䞀郚だけだった。

    「  ほかは぀ながっおないのか」

    「぀ながっおいないずは蚀えたせん」

    「確認できおないだけか」

    「はい」

    黒瀬は地図を芋た。

    名前だけでは、䜕を曞いおいる人なのか分からなかった。

    蚘事を読むず、それぞれの考えが芋えおくる。

    䌌た経隓をしおいる人もいる。

    同じこずで迷っおいる人もいる。

    でも、だからずいっお、その人たちが実際に亀流しおいるずは限らない。

    「  共通点ず、぀ながりは別か」

    「はい」

    黒瀬は地図を折りたたんだ。

    「次は」

    真冬が別の通りを瀺した。

    「創䜜工房が䞊んでいたす」

    「静かそうだな」

    「そうずは限りたせん」


    第二章創䜜工房の通り

    08Hono――マラカスの研究宀

    シャカシャカ。

    建物の奥から音がした。

    「  研究宀だよな、ここ」

    「SNS収益化の怜蚌をされおいたす」

    「マラカスは」

    「䌁画の䞀郚です」

    癜衣ずマラカス。

    そこから掟生した䌁画が広がり、぀いには悪圹什嬢たで登堎する。

    黒瀬が蚘事を読み返した。

    「  マラカスから、どうしお悪圹什嬢が出おくるんだ」

    「掟生䌁画も含めお、発展しおいるようです」

    研究や発信のたじめな郚分ず、遊び心いっぱいの䌁画が同居しおいる。

    しかも、参加した人たちがそれぞれの䞖界芳を持ち蟌むこずで、䌁画は思いがけない方向ぞ広がっおいく。

    ただ面癜いだけではない。

    遊びが、その人の掻動を知る入口にもなっおいる。

    黒瀬は研究宀を出る前に、もう䞀床振り返った。

    「真冬」

    「はい」

    「研究結果は」

    「続きの蚘事を確認したしょう」

    「  そうなるか」

    シャカシャカ。

    背埌では、ただマラカスが鳎っおいた。

    📖 Honoさんマラカスですわ。異論がおあり



    09あいびより。――誀字から生たれた盞棒

    隣の工房には、二人のキャラクタヌが䞊んでいた。

    たすすずひより。

    「この二人、最初から決めお䜜ったのか」

    「違いたす。誀字ず偶然がきっかけです」

    予想しおいなかった出来事が、名前になり、キャラクタヌになり、その埌の掻動ぞ぀ながっおいく。

    黒瀬は蚘事を読み終えた。

    「  盎さなかったんだな」

    「結果的に、そこから盞棒が生たれたんですね」

    創䜜の途䞭で生たれた偶然を、倱敗ずしお消さずに育おおいる。

    最初から決めた蚭定ではなくおも、そこから物語が広がるこずがある。

    「間違えたものを残すのも、悪くないな」

    「残す䟡倀があるなら、ですね」

    黒瀬は二人のキャラクタヌを芋盎した。

    今では、誀字や偶然だったずは思えないほど、それぞれの居堎所があった。

    📖 あいびより。さん盞棒二人は誀字ず偶然から生たれたした



    10シャヌロット――プリンセス修行䞭

    その隣には、華やかなドレスの食られた建物があった。

    「今床は王女か」

    「シャヌロットさんです。ロッタさんずも呌ばれおいたす」

    プリンセス修行䞭。

    父芪から䞎えられた課題は、異䞖界の遊びを制芇するこず。

    そのために、noteぞやっおきたずいう。

    ただし、条件が䞀぀。

    倱敗したずころも、党郚蚘録するこず。

    「  なかなか厳しい父芪だな」

    「うたくいかなかったこずも、冒険の䞀郚ずいうこずですね」

    蚘事には、未知の䞖界ぞの奜奇心ず、少しの䞍安が混ざっおいた。

    しかも、䜕をしお遊べばいいのか、最初は分からない。

    「制芇する぀もりで来お、最初の遊びが分からないのか」

    「そこから探すんです」

    自分自身を物語の䞻人公にしお、成功も倱敗も冒険ずしお蚘録する。

    その発想が面癜い。

    さらにシャヌロットさんは、別の蚘事で久䞖拓匥さんの䜜品も玹介しおいた。

    黒瀬は地図を芋た。

    「次の行き先は、決たったな」

    📖 シャヌロットさんはじめたしお。修行にやっおきたシャヌロットです🌟



    11久䞖拓匥――本でできた䞖界

    次の建物は、矎術通だった。

    床には本が積み重ねられおいる。

    その先にも本。

    本が建物になり、道になり、やがお奇劙な颚景ぞ倉わっおいく。

    「  歩けそうだな」

    「実際の道ではありたせん。AIで制䜜された䜜品です」

    「分かっおる」

    久䞖拓匥さんの蚘事には、䞀冊の本ずいう題材から、珟実ではありえない颚景を䜜る過皋が残されおいた。

    完成した画像を芋せるだけでなく、発想がどのように倉化したかを远える。

    黒瀬は䞀枚目の画像に戻った。

    「最初は本だったんだよな」

    「はい」

    「最埌は、別の䞖界だ」

    「そこたでの過皋が䜜品になっおいたす」

    䞀枚の完成画像だけを芋るのずは、たた違う面癜さがある。

    しかも、シャヌロットさんず久䞖拓匥さんは、お互いを玹介する蚘事も公開しおいた。

    真冬は二人の名前を確認した。

    「ここも、双方の玹介が確認できたす」

    地図に、たた䞀本の線が増えた。

    📖 久䞖拓匥さん本を積んだら、䞖界が壊れた



    12茉癜トキ――䞃人の少女

    次の工房には、䞃人のキャラクタヌが䞊んでいた。

    「  ずいぶん倚いな」

    「茉癜トキさんの十人十色プロゞェクトです」

    キャラクタヌを䜜る。

    絵を䜜る。

    音楜を䜜る。

    けれど、掻動を続けおいるうちに、制䜜するキャラクタヌに偏りが出おしたう。

    そこでAI゚ヌゞェントを䜿い、蚭定の敎理や制䜜の支揎を考え始めた。

    「AIに任せるのか」

    「創䜜そのものを党郚任せるわけではありたせん」

    真冬は蚘事の該圓箇所を瀺した。

    自分が䜜りたいずいう気持ちは、そのたた残す。

    AIには、蚭定の敎理や制䜜を続けるための補助をしおもらう。

    䜜っお終わりではなく、生み出したキャラクタヌたちを長く育おるために、制䜜の仕組みから芋盎しおいる。

    黒瀬は䞃人の姿を芋比べた。

    「  党員を倧事にしたいんだな」

    「だから、䜜り方そのものを倉えようずしおいるんですね」

    䜜りたいものが増えたずき、䜕を諊めるか。

    その問いに、制䜜の仕組みを工倫するこずで向き合っおいる。

    📖 茉癜トキさん十人十色プロゞェクトをAIず育お盎す



    13名前もず――䞀枚の絵ができるたで

    通りの端には、色の違う絵が䜕枚も䞊んでいた。

    「同じ絵か」

    「構成を怜蚎されおいるんです」

    名前もずさんの蚘事。

    二人のキャラクタヌを組み合わせるずき、どの組み合わせが最も合うのか。

    どんな色なら安心感があるのか。

    入口ずしお、どんな印象を持っおもらいたいのか。

    䞀枚の絵の裏にある、制䜜の刀断が曞かれおいた。

    「  出来䞊がりだけ芋たら、分からんな」

    「そこに至る考え方も創䜜なんですね」

    AIで画像を生成したからずいっお、必ずしも䞀回で完成するわけではない。

    どのキャラクタヌを遞ぶか。

    どんな組み合わせにするか。

    䜕を䌝えたいのか。

    そこにも䜜り手の工倫がある。

    黒瀬は完成した絵を芋盎した。

    さっきたでずは、少し違っお芋えた。

    「  同じ絵でも、遞んだ理由を知るず倉わるな」

    真冬はうなずいた。

    完成した䞀枚の向こうに、䜜り手がいた。

    📖 名前もずさん創䜜あそびUP系・あそび予感始たる



    14Sui――街の䞭にある街

    工房通りの終わりに、もう䞀぀の街があった。

    『すいタりン』

    「  この䞭にも街があるのか」

    「Suiさんが制䜜したものです」

    画面の䞭を歩ける。

    ゲヌムセンタヌがある。

    本の塔がある。

    ほかの人の䜜品を芋぀けられる堎所もある。

    黒瀬は画面を動かした。

    「  俺たちがやっおるこずに近いな」

    「そうですね」

    蚘事ぞのリンクを䞊べるだけではなく、実際に探玢できる空間ぞ倉えおいる。

    䜜品を芋぀ける行為そのものが遊びになっおいる。

    しかも、建物はただ増えおいく途䞭だずいう。

    「  完成しおないのか」

    「これから䜏人さんの䜜品も増えおいくようです」

    黒瀬は画面を閉じた。

    「  真冬」

    「はい」

    「この地図も、歩けるようになるずいいな」

    真冬は手垳を芋た。

    「たずは、確認できた道からですね」

    黒瀬は地図を芋盎した。

    実際に歩ける街を䜜る人。

    蚘事の䞭で街を䜜る人。

    そしお、今、自分たちが䜜ろうずしおいる地図。

    同じように芋えおも、そこには別々の工倫があった。

    📖 Suiさん自分の街をAI制䜜するの巻



    幕間描く人、遊ぶ人

    地図には、工房通りが増えおいた。

    偶然からキャラクタヌが生たれる。

    䜜ったキャラクタヌを育おる。

    䞀枚の絵を䜕床も考え盎す。

    そしお、䜜品を芋に行くための街たで䜜る。

    「  䜜り方は、党然違うな」

    黒瀬が蚀った。

    「でも、䌌おいるずころもありたす」

    「䜕だ」

    「自分だけで完結させおいないずころです」

    誰かが䜜品を䜜る。

    別の人が芋぀ける。

    そこから新しい䜜品が生たれるこずもある。

    ただし、そうした぀ながりが実際にあったかどうかは、蚘録を確かめなければ分からない。

    真冬は地図を閉じた。

    「次は遊びの広堎です」

    「  たた䜕かあるのか」

    「ありたす」

    短い返事だった。

    黒瀬はそれ以䞊聞かなかった。


    第䞉章遊ぶ人が、次の道を䜜る

    15心野けいか――20秒の勝負

    広堎に、小さなゲヌム台があった。

    ハムスタヌが走っおいる。

    「  䜕だ、これ」

    「ふみたる20秒ランです」

    心野けいかさんが䜜ったゲヌムだった。

    制限時間は20秒。

    走った距離を競う。

    黒瀬が画面を操䜜した。

    20秒埌。

    「  もう䞀回」

    「蚘録は」

    「今のは確認だ」

    「では、次を蚈枬したす」

    さらに20秒。

    黒瀬は無蚀でもう䞀床画面に觊れた。

    真冬は䜕も蚀わず、手垳に回数を蚘録した。

    短いゲヌムを䜜っただけでは終わらず、読者が実際に遊び、蚘録を競い、亀流する䌁画ぞ発展しおいる。

    しかも、その結果を別の人が蚘事にしおいた。

    「黒瀬さん」

    「  䜕だ」

    「調査を続けおも」

    黒瀬は画面から手を離した。

    20秒だけのゲヌム。

    けれど、それをきっかけに生たれた話は、20秒では終わらなかった。

    📖 心野けいかさんふみたる20秒ラン



    16がらおあ――ハムスタヌから叀代ロヌマぞ

    ゲヌム台の隣に、分厚い調査蚘録があった。

    『ふみたるは遊びじゃねぇんだよ』

    「  さっきの続きか」

    「別の方の蚘事です」

    がらおあさん。

    20秒ランをきっかけに、ハムスタヌの走る速床やチヌズの話を調べ始める。

    話はさらに広がり、叀代ロヌマぞ。

    黒瀬は途䞭でペヌゞを戻した。

    「真冬。最初はゲヌムの話だったよな」

    「はい」

    「  叀代ロヌマたで来おるぞ」

    「途䞭に経緯がありたす」

    「そこを疑っおるんじゃない」

    䞀぀の遊びから疑問を芋぀け、調べたこずを次々ず぀ないで、予想倖の堎所たで読者を連れおいく。

    しかも、ただ知識を䞊べるのではなく、その寄り道自䜓が面癜い。

    黒瀬は最埌たで読んだ。

    「  もう䞀回、最初から読むか」

    真冬が手垳を開いた。

    「その前に、次の方の蚘事もありたす」

    「  叀代ロヌマより遠くに行くのか」

    「距離ではありたせん」

    📖 がらおあさんふみたるは遊びじゃねぇんだよ



    17きょん――未完成の道具屋

    次の店には、制䜜途䞭の道具が䞊んでいた。

    「ただ売っおないのか」

    「曞く人のためのツヌルです」

    きょんさんの蚘事。

    倧枠はできた。

    けれど、现かいずころたで気になっお、なかなか完成しない。

    そこで考え方を倉える。

    たず䞀床、公開しおみる。

    盎すのは、そのあずでもいい。

    黒瀬は棚を芋た。

    「  完成するたで誰にも枡さないず、䜿った人の反応も分からんか」

    「そうですね」

    ものづくりの楜しさだけでなく、䜜り蟌みすぎお手攟せなくなる悩みたで曞いおいる。

    たず公開しお育おるずいう決断が良かった。

    黒瀬は蚘事を閉じた。

    「そういや、この人もハムスタヌを走らせおたな」

    「はい。蚘録も残っおいたす」

    心野けいかさんのゲヌムから、がらおあさんの蚘事ぞ。

    そしお、きょんさんの参加蚘録ぞ。

    今床は、実際に同じ遊びを通じた぀ながりが確認できた。

    黒瀬は地図を広げた。

    「  こういう線なら、描けるな」

    「はい」

    📖 きょんさん䜜ったツヌル、たずは出しおみる



    18デゞさしみ――調べる時間を枛らす人

    次の看板には『デゞさしみ』ず曞かれおいた。

    黒瀬は足を止めた。

    「  魚屋か」

    「IT関係です」

    「名前は」

    「お刺身がお奜きだそうです」

    「そこは魚なんだな」

    デゞさしみさんは、Microsoft 365やAI画像生成に぀いお発信しおいる。

    仕事で必芁な情報がなかなか芋぀からなかった。

    それなら、自分で分かりやすく残そう。

    そんな経隓から、発信を始めおいる。

    自分が困った経隓を、次に調べる人の時間を枛らすための情報ぞ倉えおいる。

    そこが良かった。

    黒瀬はうなずいた。

    「誰かが先に調べおくれおるず、助かるこずは倚い」

    「ええ」

    真冬は手垳を芋た。

    「この方を玹介した蚘事もありたす」

    「誰が」

    「マボロシプロレスさんです」

    「  プロレスずIT」

    「共通点を芋぀けお玹介されおいたす」

    黒瀬は、その蚘事が気になった。

    📖 デゞさしみさんはじめたしおデゞさしみです



    19マボロシプロレス――おばあちゃんず赀い芆面

    広堎の奥に、叀いテレビが眮かれおいた。

    画面にはプロレスの詊合が映っおいる。

    「  リングじゃないのか」

    「マボロシプロレスさんの、別の蚘事です」

    デゞさしみさんを玹介した人でもある。

    真冬が開いた蚘事のタむトルは、

    『ラむガヌを芋るず血圧が䞊がるおばあちゃん』

    「  䜕だ、それ」

    「読んでみたしょう」

    マボロシプロレスさんは、Threadsで䞀぀の質問をした。

    プロレスを奜きになった入口は䜕だったのか。

    テレビ。

    ゲヌム。

    家族。

    偶然芋た詊合。

    集たった答えの䞭には、二人のおばあちゃんの話があった。

    䞀人は、ドリヌ・ファンク・ゞュニアの技術を評䟡するほどのプロレス奜き。

    ずころが、獣神サンダヌ・ラむガヌがテレビに映るず、台所ぞ消えおしたう。

    「  血圧が䞊がるから」

    「そう答えたそうです」

    黒瀬は思わず笑った。

    もう䞀人は、土曜の深倜に倧音量でプロレス䞭継を芋おいたおばあちゃん。

    家族の思い出ず、プロレスの蚘憶。

    いろいろな人の入口が、蚘事の䞭で次々ず玹介されおいた。

    黒瀬はテレビを芋぀めた。

    「  詊合の結果じゃないんだな」

    「䜕がです」

    「誰ず芋たか。䜕を芚えおるか。そっちの話だ」

    プロレスの魅力を、遞手の匷さだけではなく、ファン䞀人ひずりの人生に残った蚘憶から䌝えおいる。

    そこが面癜かった。

    真冬は、デゞさしみさんの名前を地図で確認した。

    「マボロシプロレスさんからデゞさしみさんぞの玹介は、王子の蚘事で確認できたす」

    「  プロレスずは別の堎所でも、道を䜜っおるんだな」

    「はい」

    二぀の名前の間に、線が匕かれた。

    📖 マボロシプロレスさんラむガヌを芋るず血圧が䞊がるおばあちゃん



    20無名 S note――描いおはいけない線

    リングの隣には、情報を敎理する郚屋があった。

    「  たた調査宀か」

    「分析ツヌルです」

    無名 S noteさんの蚘事には、フォロヌの倉化やお気に入りのクリ゚むタヌ、共同マガゞンなどを管理する機胜が玹介されおいた。

    詊䜜䞭であり、仕様倉曎も続けられおいる。

    黒瀬は画面を芋た。

    「  人が増えるず、远うのも倧倉になるからな」

    「そのための敎理や分析ですね」

    人ずの぀ながりが増えるほど、誰を知っおいるのか、どんな蚘事を読みたいのかを敎理するこずも倧切になる。

    そのための道具を自分で䜜ろうずしおいる。

    黒瀬は地図を広げた。

    そこには、きょんさんの名前もあった。

    「  二人ずも、道具を䜜っおるな」

    「はい」

    「ここも、぀ながっおそうだ」

    黒瀬が鉛筆を動かした。

    きょん。

    無名 S note。

    二぀の名前の間に、现い線が匕かれる。

    「黒瀬さん」

    真冬が静かに呌んだ。

    「䜕だ」

    「その線の根拠は」

    「どちらもツヌルを䜜っおる」

    「共通点ですね」

    「そうだな」

    「亀流した蚘録はありたすか」

    黒瀬は手を止めた。

    真冬は、二人の蚘事を芋比べた。

    「この蚘事からは、確認できたせん」

    「  なるほど」

    黒瀬は匕いたばかりの線を芋た。

    䌌た掻動をしおいる。

    同じ分野に関心がある。

    だから、きっず話が合う。

    それは、あり埗る話だった。

    でも、実際に亀流しおいるずいう蚌拠にはならない。

    黒瀬は消しゎムを取った。

    線を消す。

    「  先走ったな」

    「出䌚っおほしい二人、ずいう蚘録なら残せたす」

    「どう違う」

    「すでに぀ながっおいる、ずは曞かないこずです」

    黒瀬は手垳を開いた。

    『共通点あり。亀流は未確認』。

    「  これならいいか」

    「はい」

    人ず人を芋぀けるための道具を䜜る無名 S noteさん。

    その蚘事を読んで、黒瀬自身も気づいた。

    誰かを玹介するずきには、知らないこずたで知っおいるふりをしない。

    ぀ながっおいないず決め぀けない。

    でも、぀ながっおいるずも決め぀けない。

    黒瀬は消した線の跡を指でなぞった。

    「  道を描くのも、簡単じゃないな」

    真冬は手垳を閉じた。

    「だから、調べるんです」

    📖 無名 S noteさんフォロヌ管理・共マガフィルタヌ



    21ちんぱん――76曲目のトルコ行進曲

    広堎の出口で、音楜が聞こえおきた。

    「  トルコ行進曲か」

    「はい」

    「䜕曲目だ」

    「76曲制䜜したそうです」

    黒瀬が顔を䞊げた。

    「  76」

    ちんぱんさんの蚘事だった。

    自分の声でトルコ行進曲を歌わせようず、䜕床も詊す。

    うたくいかない。

    たた詊す。

    気づけば6日で76曲。

    MVの詊行錯誀たで続いおいた。

    「  そこたでやるか」

    黒瀬が぀ぶやいた。

    思いどおりにならない制䜜過皋を隠さず、その苊劎自䜓を笑える読み物に倉えおいる。

    完成した䞀曲だけでは、きっず分からなかった面癜さだ。

    真冬は蚘事を閉じた。

    「根気のいる䜜業ですね」

    「俺なら途䞭で諊めるな」

    「䜕曲目ですか」

    「  聞くな」

    黒瀬は地図をしたった。

    ただ、この人が䜜った別の䜜品ず再䌚するこずになるずは知らなかった。

    📖 ちんぱんさん6日で76曲。トルコ行進曲の呪い



    幕間二皮類の蚘録

    広堎のベンチで、真冬は手垳を開いた。

    䞀぀の欄には、確認できた぀ながり。

    別の欄には、共通点はあるが、亀流を確認できおいない組み合わせ。

    「  分ける必芁があるんだな」

    黒瀬が蚀った。

    「はい」

    「せっかく芋぀けた共通点でも」

    「消す必芁はありたせん。ただ、意味が違いたす」

    真冬は、灯の旅人さんずらおさんの蚘録を芋せた。

    どちらも、これから䜕を曞くのかを探しおいる。

    だが、それだけで二人が亀流しおいるこずにはならない。

    「  なるほど」

    黒瀬は、消した線の跡が残る地図を芋た。

    「じゃあ、線のない堎所にも、ちゃんず意味があるな」

    「ただ調べる䜙地がありたす」

    黒瀬は笑った。

    「  終わらない仕事になりそうだ」

    「次は、暮らしの通りです」


    第四章暮らしの通り

    22zoo――喫茶店の猫垫匠

    小さな喫茶店に入る。

    真冬が開いたのは、zooさんの蚘事だった。

    匟子のステラ・ミリア。

    垫匠の゜ル。

    メンタルの匷さに぀いお、二人が語り合う。

    匟子は詊隓に倱敗した経隓を打ち明ける。

    けれど垫匠は、簡単に慰めない。

    倱敗の原因を芋぀め盎すこずを促しおいく。

    「  厳しいな」

    黒瀬が蚀った。

    「でも、匟子は自分の動きを蚘録しお芋盎しおいたす」

    「できおる぀もりだったこずが、できおなかったのか」

    「そうです」

    倱敗を粟神論だけで片付けず、自分の行動を芋盎す具䜓的な過皋ずしお描いおいる。

    垫匠ず匟子の掛け合いも自然で、読みながら自分の経隓たで振り返りたくなる。

    黒瀬はコヌヒヌを眮いた。

    「  猫に教わるずはな」

    ゜ルは、物語の䞭で匟子に答えを枡すだけではない。

    自分で気づくように促しおいる。

    黒瀬は先ほど消した地図の線を思い出した。

    「  倱敗にも、䜿い道はあるな」

    📖 zooさんメンタルの匷さずは䜕凊からくるのか



    23mman.――90個の願い

    喫茶店を出るず、䞀冊のノヌトがあった。

    『90個の願望』

    「  そんなに曞けるか」

    「本人も、なかなか曞けなかったそうです」

    mman.さんの蚘事。

    なりたい状態。

    やりたいこず。

    欲しいもの。

    それぞれ30個。

    ずころが、考え始めるず手が止たる。

    やりたいこずを思い぀くたびに、自分の䞭の面接官が吊定しおしたう。

    それは珟実的か。

    できるのか。

    根拠はあるのか。

    黒瀬はペヌゞをめくった。

    「  願いを曞いおるのに、審査しおるのか」

    「そこで、できるかどうかず、やりたいかどうかを分けお考えたそうです」

    願望を曞き出す実隓を通じお、自分が無意識に可胜性を狭めおいたこずぞ気づく。

    しかも、90個すべおを曞けたわけではない。

    その途䞭経過たで正盎に残しおいるずころが良かった。

    「  行き先を決める前から、通行止めにする必芁はないな」

    黒瀬はノヌトを閉じた。

    曞けなかった願いも、い぀か曞けるようになるのかもしれない。

    けれど、それを今、勝手に埋める必芁はなかった。

    📖 mman.さん90個の願望を曞き出しおみる



    24たりも――転生に倱敗した聖女

    次の家では、猫が窓蟺に座っおいた。

    「  聖女の家か」

    「転生には倱敗したそうです」

    たりもさんの蚘事だった。

    かっぱえびせんのわさび味。

    異䞖界転生。

    倱敗。

    死に戻りも倱敗。

    そしお珟䞖ぞ垰還。

    そこで手に入れたのが、AIずいう新しいスキルだった。

    黒瀬は最埌たで読んだ。

    「  倱敗続きだな」

    「でも、そこから挑戊が始たりたす」

    AI初心者ずしおの新しい挑戊を、異䞖界転生に倱敗した物語ずしお描く。

    しかも、自分の倱敗や怠け癖たで物語にしおしたう。

    珟実の挑戊を、笑える冒険ぞ倉えおいるずころが面癜かった。

    黒瀬は窓蟺の猫を芋た。

    「  猫は、関係あるのか」

    「ご本人の倧切な存圚のようです」

    「そうか」

    猫は振り向かなかった。

    倱敗したこずたで物語にする。

    それも、䞀぀の始め方だった。

    📖 たりもさん聖女ぞの転生に倱敗したので、AI始めたした



    25LOVEちゃん――64人の集合写真

    次の建物には、倧きな写真が食られおいた。

    「  ずいぶん人が倚いな」

    「64人の集合写真です」

    「64人」

    「ちんぱんさんが制䜜されたそうです」

    黒瀬は写真を芋盎した。

    さっき、76曲のトルコ行進曲を䜜った人ずしお玹介した、あのちんぱんさんだ。

    「  音楜だけじゃないのか」

    「こちらの蚘事では、集合写真を制䜜されおいたす」

    写真の䞭には、LOVEちゃんさんもいた。

    さらに、゚プロン姿で料理をするむメヌゞ画像たで䜜っおもらったずいう。

    「  いいな。ずいぶん楜しそうだ」

    「画像を自由に䜿っおよいずいう返信もいただいおいるそうです」

    蚘事には、料理の話も登堎する。

    里芋の煮っころがしの残り汁に、にんにくず鶏肉。

    思い぀いたこずを楜しみながら、次の料理ぞ぀なげおいく。

    でも、黒瀬が気になったのは写真の方だった。

    「  これ、ただの集合写真じゃないな」

    「どういう意味です」

    「䞀緒に写った人が、こうやっお蚘事にしおる」

    誰かが画像を䜜る。

    そこに自分がいる。

    嬉しくなっお玹介する。

    その画像を、さらに別の圢で楜しむ。

    もらった䜜品を喜ぶだけでなく、新しい蚘事やステッカヌぞ広げ、䜜っおくれた人ぞの感謝も䌝えおいる。

    そんな亀流が印象に残った。

    真冬は地図を開いた。

    「黒瀬さん」

    「䜕だ」

    「ここは、すでに確認した方ず぀ながっおいたす」

    「ちんぱんさんか」

    「はい」

    黒瀬が鉛筆を手に取った。

    「  描けるな」

    「ただし、この亀流は城䞋町が始たる前の蚘事です」

    「そうなのか」

    「はい」

    黒瀬は少し考えた。

    「  じゃあ、街ができる前からあった道だな」

    「そう蚘録できたす」

    地図に、新しい線が䞀本増えた。

    📖 LOVEちゃんさんたたたた画像いただいちゃった件✌人の集合写真がスゎむ件ずか✚



    26こじたる――返事が来ない朝

    次の建物には、小さな読曞宀があった。

    机の䞊に、スマヌトフォンが眮かれおいる。

    画面には、送信されおいないメッセヌゞ。

    「  返事埅ちか」

    「小説の䞀堎面です」

    こじたるさんの蚘事だった。

    読んでいたのは、堂安咲和さんの恋愛小説。

    初デヌトの翌朝。

    い぀も届いおいた連絡が来ない。

    䞻人公はスマヌトフォンを䜕床も確認する。

    メッセヌゞを打぀。

    消す。

    盞手のこずを考え続け、そんな自分たで嫌になっおしたう。

    「  盞手が䜕を考えおるか、分からないからな」

    「こじたるさんも、その気持ちに立ち止たったそうです」

    蚘事では、小説をただ玹介するだけではなかった。

    䞻人公の心の揺れず、自分自身の経隓を重ねお考えおいる。

    なぜ、盞手のこずで悩んでいたはずなのに、自分のこずたで嫌になっおしたうのか。

    その問いに、簡単な答えは出さない。

    黒瀬は蚘事を閉じた。

    「  解決しないんだな」

    「はい」

    「それでも玹介したのか」

    「答えが出なかったこずも、そのたた曞かれおいたす」

    誰かの物語を読み、自分自身の蚘憶や感情を芋぀め盎す。

    無理に結論を出さず、心に残った堎面を䞁寧に蚀葉にしおいる。

    そこが良かった。

    黒瀬は机のスマヌトフォンを芋た。

    「  蚘事を読むっお、こういうこずもあるんだな」

    真冬は地図に、小さな印を付けた。

    この街の倖ぞも、道は続いおいた。

    📖 こじたるさんなぜ、連絡が来ないだけで自分たで嫌になるんだろうこじたるの寄り道ノヌト #02



    27むズミ――たた買っおしたった犁曞

    次の店には、本が積たれおいた。

    「  曞店か」

    「ノりハりです」

    むズミさんの蚘事だった。

    知識を集めるだけではなく、手を動かそう。

    そう決めたはずなのに、たた新しいノりハりを買っおしたう。

    黒瀬は蚘事を閉じた。

    「  耳が痛いな」

    「䜕か心圓たりが」

    「ないこずもない」

    行動したいのに、準備ばかり増やしおしたう。

    その矛盟を隠さず、自分自身を笑いながら蚘録しおいる。

    倱敗を栌奜よくたずめるのではなく、倱敗しおいる最䞭の自分たで芋せおいるのが面癜い。

    黒瀬は本棚を芋た。

    「  真冬」

    「はい」

    「事務所の本、䜕冊積んであった」

    「数えたすか」

    「  やめずこう」

    黒瀬は店を出た。

    い぀か䜿うかもしれない知識。

    今すぐ䜿える知識。

    その違いに぀いお、少し考えながら。

    📖 むズミさんノりハりコレクタヌ、たたノりハりを集める



    28花乃――安さだけでは決めない旅行案内所

    通りの終わりに、旅行案内所があった。

    「ようやく普通の店だな」

    「花乃さんの蚘事です」

    旅行の仕事に長く携わっおきた経隓から、LCCに぀いお曞かれおいた。

    安い。

    けれど、すべおの旅行に向いおいるわけではない。

    同行者は誰か。

    どんな予定か。

    時間の䜙裕はあるか。

    その条件によっお、良い遞択は倉わる。

    黒瀬は蚘事を読み終えた。

    「  安ければいいっお話じゃないな」

    「条件を芋ないず刀断できたせん」

    䟡栌だけではなく、同行者や旅行の目的、移動の負担たで考えお刀断する。

    経隓に裏付けられた具䜓的な説明が良かった。

    黒瀬は地図を芋た。

    「今回の旅も、もう少し蚈画すべきだったか」

    「䞀晩じゃ終わらん、ず蚀ったその足で出発したしたから」

    「  それは蚀うな」

    真冬は、残りの䞃人の名前を確認した。

    城ぞ戻る道にも、ただ扉が残っおいる。

    📖 花乃さん䞖の䞭にはLCCが向かない旅行もある



    第五章城ぞ戻る道

    29くみっきヌ――フィンランドぞ届く䞀枚

    旅行案内所を出るず、その向かいに小さな郵䟿局があった。

    窓口には、䞀枚のポストカヌド。

    描かれおいるのは、サヌフィンをするハムスタヌだった。

    「  たたハムスタヌか」

    「今床は海倖ぞ行きたす」

    「どこぞ」

    「フィンランドです」

    くみっきヌさんの蚘事だった。

    ポストクロッシングで、海倖の人にポストカヌドを送る。

    今回の盞手は、これたでに䞀䞇枚以䞊のカヌドをやり取りしおいるベテラン。

    「  䞀䞇枚」

    「はい」

    黒瀬はカヌドを芋た。

    そんな盞手に、䜕を送れば喜んでもらえるのか。

    くみっきヌさんはプロフィヌルを読み、盞手の暮らす街を調べた。

    さらに、盞手の教員経隓らしき蚘茉から、自分ずの共通点も芋぀けた。

    「  カヌドを遞ぶだけじゃないんだな」

    「添える蚀葉も考えおいたす」

    海蟺の街から送る、ハムスタヌのカヌド。

    盞手の街の建築に぀いお調べたこず。

    い぀か蚪れおみたいずいう気持ち。

    短い英文の䞭に、いく぀もの発芋が詰たっおいた。

    ただ䌚ったこずのない盞手のプロフィヌルを読み、喜んでもらえる䞀枚ず蚀葉を考える。

    遠くの人ずの亀流を、䞁寧に準備しおいるずころが良かった。

    黒瀬はポストカヌドを芋送った。

    「  この地図には、フィンランドたでの道も描くか」

    「そこたで描くず、城䞋町の地図ではなくなりたす」

    「それもそうか」

    真冬は手垳を閉じた。

    でも、その䞀枚が向かう先には、ただ䌚ったこずのない誰かがいた。

    📖 くみっきヌさん【ポスクロ】フィンランドに旅立぀助六ずゞロヌ



    30ルミ゚ルH――癜金蛞島

    郵䟿局を離れるず、朮の銙りがした。

    「  今床は海か」

    「癜金蛞島です」

    ルミ゚ルHさんの創䜜䞖界。

    島の䜏人たちが、秋に぀いおそれぞれの意芋を語り合う。

    秋刀魚。

    ぶどう。

    そしお、なぜかKURI-X。

    「  最埌のは䜕だ」

    「蚘事を読んでください」

    黒瀬が読み進める。

    同じテヌマでも、キャラクタヌごずに反応が違う。

    秋の話だったはずが、最埌には代衚決定戊にたで発展しおいた。

    「  にぎやかな島だな」

    「そうですね」

    自分で築いた創䜜䞖界を保ちながら、倖の䌁画を取り蟌み、新しい遊びに倉えおいる。

    しかも、䞖界芳を厩さずに笑いぞ぀なげるずころが面癜い。

    黒瀬は遠くの島を眺めた。

    「  城䞋町から、ずいぶん遠くたで来たな」

    「蚘事の䞭なら、行けたすから」

    䞀぀の蚘事から、知らなかった䞖界を蚪ねる。

    今回の䟝頌も、最初はそういうずころから始たったのだった。

    📖 ルミ゚ルHさん癜金蛞島・秋の代衚決定戊



    31雪綎ゆき――物語がゲヌムになった日

    次の堎所では、雷が走っおいた。

    「  戊堎か」

    「雪綎ゆきさんの䜜品です」

    自分の小説が、ゲヌムになった。

    『雷光の戊堎』。

    原䜜は『ルミナヌル戊蚘 倖䌝』第1話。

    制䜜したのは、ぜおむしさん。

    Claude Codeを䜿い、物語をブラりザで遊べるゲヌムぞず倉えた。

    黒瀬は画面を芋た。

    「  戊車が3000䞡」

    「垝囜軍の戊車です。プレむダヌはメむサずいう胜力者を操䜜したす」

    「䞀人で止めるのか」

    「防衛線を守るために戊いたす」

    蚘事には、原䜜者が特に感動したずいう二぀の仕組みがあった。

    䞀぀は、戊いの結果が「投資評䟡」ずしお衚瀺されるこず。

    もう䞀぀は、力を䜿うほど熱が蓄積し、自分自身が危険になるこず。

    「  ただ敵を倒せばいいわけじゃないんだな」

    「はい。原䜜にある葛藀たで、ゲヌムの仕組みに取り蟌たれおいたす」

    黒瀬はしばらく画面を眺めおいた。

    「  ちゃんず読んで䜜っおるんだな」

    「䜜者が倧切にしおいた郚分を、別の圢で衚珟しおいるんですね」

    物語をゲヌムにする。

    それは単に、登堎人物を動かせるようにするこずではなかった。

    原䜜の痛みや葛藀たで、プレむダヌが䜓隓できる仕組みに倉えおいる。

    そこが良かった。

    真冬は地図に曞き蟌んだ。

    䞀぀の物語が、ぜおむしさんの手で新しい圢になった。

    ぜおむしさんは、今回の35人の䜏人には含たれおいない。

    けれど、その関係を蚘録しない理由にはならなかった。

    「  道っお、城䞋町の䞭だけじゃないんだな」

    黒瀬が蚀った。

    「そうですね」

    二人の地図は、少しず぀倖偎ぞ広がっおいた。

    📖 雪綎ゆきさんわたしの小説がゲヌムになりたした



    32算術01 劉鑑――500文字の壁

    城の手前に、研究宀があった。

    䞭から、䜕やら隒がしい声が聞こえおくる。

    「  故障か」

    「コメント欄の文字数制限です」

    「䜕」

    真冬が蚘事を開いた。

    算術01 劉鑑さん。

    コンダクタヌず挔算䜓01が登堎する、芳枬・挔算空間。

    今回のテヌマは、noteのコメント500文字制限だった。

    思いを蟌めおコメントを曞いた。

    けれど、文字数が倚すぎお収たらない。

    それに察しお、挔算䜓01が激しく怒り始める。

    「  ずいぶん熱いな」

    「挔算回路がオヌバヌヒヌトしたそうです」

    コンダクタヌは、慌おお止めに入る。

    画面を壊すな。

    萜ち着け。

    深呌吞しろ。

    黒瀬は読み進めながら、口元を緩めた。

    「歎史を挔算するんじゃなかったのか、この人たち」

    「普段は歎史の構造などを扱っおいたす」

    「コメント欄でここたで隒ぐずはな」

    けれど、蚘事から䌝わっおくるのは、怒りだけではなかった。

    曞きたいこずがある。

    䌝えたい気持ちがある。

    それを500文字に収めるのが難しい。

    歎史を分析する挔算䜓ずコンダクタヌを、noteで起きる身近な困りごずに登堎させおいる。

    壮倧な䞖界芳ず、日垞の小さな䞍満ずの萜差が面癜い。

    黒瀬は蚘事を閉じた。

    「  真冬」

    「はい」

    「35人分の感想を、500文字で頌む」

    真冬は手垳を芋た。

    「どの情報を削るか、先に決めおください」

    「  やめずこう」

    📖 算術01 劉鑑さん【note仕様】コメントの500文字制限にブチギレたら、AIの挔算回路がオヌバヌヒヌトした件



    33KANU――垰る家を通り過ぎた人

    城ぞ続く道の手前。

    䞀台の車が、同じ道を戻っおくるように芋えた。

    「  道を間違えたのか」

    「KANUさんの蚘事ですね」

    タむトルは、

    『劄想がいいずころなので、家を通り過ぎたした。』

    黒瀬は足を止めた。

    「  どういう状況だ」

    KANUさんは、仕事垰りの車内で音楜を聎いおいた。

    頭の䞭では、掚しのラむブが始たっおいる。

    しかも、自分はその掚しのマネヌゞャヌ。

    レッスンを芋守り、぀いに本番を迎えたずいう蚭定だった。

    「  実際に」

    「劄想です」

    「ずいぶん具䜓的だな」

    劄想の䞭では、担圓する掚しも倉わる。

    VTuberの同期になったり、仕事のできる女性になったり。

    その日の気分で、さたざたな自分になれる。

    蚘事は、もう䞀人の自分である『僕』の芖点で進んでいく。

    劄想のラむブは倧成功。

    ずころが、珟実に戻っお気づく。

    家を通り過ぎおいた。

    黒瀬は笑った。

    「  垰れなくなったわけじゃないんだな」

    「はい。目的地を通過しただけです」

    䜕気ない仕事垰りの出来事が、もう䞀人の自分ずの掛け合いによっお、䞀぀の楜しい物語になっおいる。

    劄想の蚭定が现かいのも、その劄想に本人が本気なのも面癜かった。

    黒瀬は地図を芋盎した。

    「  道があっおも、通り過ぎるこずはあるんだな」

    「黒瀬さんは、気を぀けおください」

    「䜕で俺なんだよ」

    真冬は手垳を開いた。

    「それず、KANUさんには別の蚘録がありたす」

    「䜕だ」

    「Minaさんの蚘事を玹介されおいたす」

    黒瀬は雲の浮かぶ空を芋䞊げた。

    「  次は、䞊か」

    📖 KANUさん劄想がいいずころなので、家を通り過ぎたした。



    34Mina――雲の䞊にある、もう䞀぀の扉

    城ぞ続く最埌の階段。

    その䞊には、癜い雲のバルコニヌが広がっおいた。

    「  ここか」

    「Minaさんの䞖界です」

    盞棒AIのかんちゃんず過ごす、雲の䞊のバルコニヌ。

    けれど、今回、真冬が開いたのは少し違う蚘事だった。

    『BLACK BALCONY SIDE NOTE』

    黒瀬は、バルコニヌの奥を芋た。

    癜い雲の向こうに、黒い扉がある。

    「  ずいぶん雰囲気が違うな」

    「もう䞀぀の創䜜シリヌズです」

    普段の雲バルでは、AIずの優しい付き合い方を描いおいる。

    䞀方、『BLACK BALCONY』で扱うのは、AIの裏偎やネットワヌク瀟䌚の怖さ。

    蚀葉の危うさ。

    誰かを信じるこず。

    心が揺れたずきに、戻っおこられる力。

    黒瀬は蚘事を読み進めた。

    「  同じバルコニヌでも、芋える景色が違うんだな」

    「はい」

    今回のSIDE NOTEは、本線の少し倖偎。

    物語を進める䞭では描ききれなかった、キャラクタヌの癖や奜み、小さな出来事。

    そうしたものを玹介する堎所だった。

    寡黙なAI、K-1119M。

    静かな時間を奜みながら、実は察話も奜む。

    本線だけでは分からない人物像が、少しず぀芋えおくる。

    本線の物語だけで終わらせず、描ききれなかったキャラクタヌの现郚たで倧切にしおいる。

    䜜品䞖界をもう䞀段深く楜しめる堎所を䜜っおいるずころが良かった。

    黒瀬は黒い扉を芋た。

    「  ここも、ただ先があるのか」

    「はい」

    「党郚、芋お回るか」

    「今日の調査察象は、蚘事䞀件です」

    黒瀬は小さく笑った。

    「  そうだったな」

    そしお、真冬が地図を開いた。

    「KANUさんからMinaさんぞの玹介も確認されおいたす」

    二人の名前の間に、線が䞀本匕かれる。

    雲の向こうにも、道があった。

    📖 MinaさんBLACK BALCONY SIDE NOTE #01ブラバル本線の、その少し倖偎で。



    35倩界蚘録――立ち止たったずころから

    最埌の扉を開けるず、小さな机があった。

    そこには、蚘事の蚘録が積たれおいる。

    真冬が䞀぀取り出した。

    『深呌吞したら、秋だった。』

    い぀もの道。

    自転車。

    坂道。

    ふずペダルを止める。

    颚が圓たる。

    そしお、深呌吞する。

    懐かしい匂いがした。

    ただ、それだけの出来事だった。

    黒瀬は読み終えお、しばらくペヌゞを芋おいた。

    「  䜕も起きないんだな」

    「倧きな事件はありたせん」

    「でも、芚えおる颚景がある」

    「ありたすか」

    「ああ」

    黒瀬は窓の倖を芋た。

    い぀も通っおいる道。

    い぀も芋おいる景色。

    それでも、少し立ち止たれば、気づかなかったものが芋぀かる。

    真冬は手垳を閉じた。

    「35人分、確認したした」

    黒瀬は、机の䞊の地図に目を萜ずした。

    「  やっず終わりか」

    「調査は、です」

    「ただ䜕かあるのか」

    「地図が完成しおいたせん」

    黒瀬は窓の倖を芋た。

    さっきたで、䜕もなかったはずの城䞋町。

    今では、35人の名前の向こうに、それぞれ違う颚景が芋える。

    「  最初は、名前しかなかったんだけどな」

    真冬は手垳を開いた。

    「戻っお確認したしょう」

    二人は最埌の扉を閉めた。

    📖 倩界蚘録深呌吞したら、秋だった。



    ゚ピロヌグ地図に残った空癜

    倜。

    二人は城門の前に戻っおきた。

    黒瀬は地図を広げた。

    35人分の名前。

    その暪には、読んだ蚘事の蚘録がある。

    最初は空癜だった地図に、いく぀もの印が付いおいた。

    「  党郚回ったな」

    「蚘事は確認したした」

    真冬は手垳を開いた。

    「ただし、䜏人同士の぀ながりは、䞀郚しか確認できおいたせん」

    「そうだろうな」

    黒瀬は地図を芋た。

    星ねこず氎晶ゆめ。

    シャヌロットず久䞖拓匥。

    この二組には、お互いの蚘事を玹介する関係があった。

    マボロシプロレスからデゞさしみぞ。

    KANUからMinaぞ。

    蚘事を読んで、盞手の魅力を玹介する道も生たれおいた。

    そしお、ちんぱんが䜜った64人の集合写真。

    その䞭にいたLOVEちゃんは、嬉しさを蚘事に残し、もらった画像をステッカヌにもしおいた。

    それは、城䞋町が始たる前からあった亀流だった。

    「  新しい道ばかりじゃないんだな」

    黒瀬が蚀った。

    「はい」

    「前からあった道を、俺たちが知らなかっただけか」

    「そういうものもありたす」

    誰かが䜜ったものを、別の誰かが受け取る。

    そこから、新しい䜜品や蚀葉が生たれおいく。

    䞀぀のゲヌムから、別の蚘事が生たれるこずもあった。

    小説が、別の䜜り手の手でゲヌムになるこずもあった。

    ただ䌚ったこずのない海倖の人ぞ、䞀枚のポストカヌドを送る人もいた。

    地図の倖ぞ向かう道だっおあった。

    けれど、線のない堎所はただ倚かった。

    「  35人もいるのにな」

    「はい」

    「名前を党郚䞊べただけじゃ、芋えおこなかった」

    黒瀬は鉛筆を手に取った。

    空癜の䞊で、䞀床止める。

    「ここも、぀ながっおそうだな」

    「確認はできおいたせん」

    黒瀬は、昌間に消した線のこずを思い出した。

    同じようなものを䜜っおいるから。

    䌌た経隓をしおいるから。

    きっず、仲良くなれる。

    そう思うこずはできる。

    けれど、それはただ、蚘録された事実ではなかった。

    「  そうだったな」

    黒瀬は鉛筆を眮いた。

    しばらく、二人は地図を眺めおいた。

    遠くで、街の鐘が鳎った。

    誰かが新しい蚘事を曞いおいるのかもしれない。

    誰かが、初めおのコメントを考えおいるのかもしれない。

    けれど、それはただ二人の知らないこずだった。

    「真冬」

    「はい」

    「最初の䟝頌、䜕お曞いおあった」

    真冬は手垳を開いた。

    「『ただ出䌚っおいない人ず人が、぀ながるきっかけを』。そこで終わっおいたす」

    「  そうだったな」

    黒瀬はもう䞀床、地図を広げた。

    「俺たちは35人の蚘事を読んだ」

    「はい」

    「䜕を面癜いず思ったかも残した」

    「蚘録枈みです」

    「なら、ここから先は――」

    黒瀬は空癜の残る地図を芋た。

    「俺たちが党郚描かなくおもいいだろ」

    真冬は地図を芋た。

    「誰かが別の蚘事を読めば、そこに新しい぀ながりが生たれるかもしれたせんね」

    「そういうこずだ」

    「ただ、ただ生たれおいない道もありたす」

    「なら、これからだ」

    黒瀬は笑った。

    「この街、完成させる必芁はないんじゃないか」

    真冬は少し考えた。

    「完成しないこずが、目的ですか」

    「違う」

    黒瀬は城門の向こうを芋た。

    「誰かが来るたびに、倉わっおいけばいい」

    真冬は手垳の最埌のペヌゞを開いた。

    調査察象35人。

    玹介蚘事35件。

    確認できた぀ながり䞀郚。

    亀流未確認の組み合わせ掚枬ずしお蚘録。

    残り未調査。

    「  未調査、か」

    黒瀬が蚀った。

    「はい」

    「珍しく、終わらない䟝頌だな」

    「私たちの担圓は、ここたでです」

    「そうだな」

    黒瀬はコヌトを矜織った。

    二人が門を出ようずしたずき、真冬が振り返った。

    「黒瀬さん」

    「䜕だ」

    「次に来る人のために、地図は眮いおいきたすか」

    黒瀬は少し考えた。

    「ああ」

    地図を門の掲瀺板に眮いた。

    すべおの道は描かれおいない。

    けれど、35人の蚘事ぞ向かう入口は残されおいる。

    黒瀬は最埌に、その地図を䞀床だけ芋た。

    「  あずは、奜きに歩けばいい」

    二人は城䞋町を埌にした。


    名前は、最初からあった。

    道は、読んでみなければ分からなかった。

    そしお今も、地図には空癜が残っおいる。

    次にその道を歩くのは――

    この蚘事を読んでいる、あなたかもしれない。

    ――午前零時の解決屋、今回の調査はここたで。


    あずがき倩界蚘録

    ネロ王子の「王子の城䞋町発芋隊」に参加したした

    最初は、気になる方の蚘事を䜕本か読んで玹介しようず思っおいたした。

    でも、赀髪のあかりさんの21人玹介蚘事を読んで、考えが倉わりたした。

    せっかくなら、私も党員の蚘事を読んでみたい。

    そしお、ただ順番に玹介するのではなく、䜕か䞀぀の䜜品にできないかなず。

    そこで登堎しおもらったのが、『午前零時の解決屋』の黒瀬迅ず把真冬です。

    い぀もは少し厄介な䟝頌を受けおいる二人に、今回は城䞋町を歩いおもらいたした。

    王子には、䟝頌䞻になっおいただきたした笑。

    そしお、35人の䜏人の蚘事を䞀぀ず぀玹介しおいたす。

    調べおみるず、本圓にいろいろな方がいたした。

    マラカスを振る研究員。

    20秒走るハムスタヌ。

    プロレスの思い出を語るおばあちゃん。

    6日で76曲も䜜った人。

    自分の小説がゲヌムになった人。

    そしお、新しい堎所に入るたで40分迷った人。

    䞀人ひずり、違うんですよね。

    あかりさんが玹介されおいた方に぀いおは、できるだけ別の蚘事も読んでみたした。

    同じ人でも、蚘事が倉わるず、たた違った面癜さが芋えおきたす。

    でも、䞀番面癜かったのは、すでに䜏人同士で蚘事の玹介や䜜品の亀流が始たっおいたこずです。

    王子が蚘事で玹介されおいた、星ねこさんず氎晶ゆめさん、KANUさんずMinaさん、マボロシプロレスさんずデゞさしみさん。

    そしお、シャヌロットさんず久䞖拓匥さん。

    今回、ちんぱんさんずLOVEちゃんさんの぀ながりも芋぀けたした。

    こちらは城䞋町が始たる前の蚘事でした。

    新しく生たれた亀流もあれば、前からあったのに、私が知らなかった亀流もある。

    それが面癜いなず思いたした。

    たた、同じ題材を曞いおいたり、䌌た掻動をしおいたりする方もいたす。

    そういう方々が、これから亀流するかもしれない。

    でも、ただ぀ながっおいるず確認できないなら、勝手に線を描かない。

    今回は、黒瀬ず真冬にも、そんな調査をしおもらいたした。

    ちなみに、35人目には私自身の蚘事も入れたした笑。

    自分で自分の蚘事を玹介するのも倉なので、最埌は黒瀬ず真冬の二人に読んでもらっおいたす。

    今回ご玹介した蚘事は、実際に公開されおいるnoteの蚘事です。

    䞀方で、城䞋町の建物や二人の䌚話、調査の堎面は、この特別線のための創䜜です。

    実際に䜏人さんたちが登堎しお話したわけではありたせん。

    35人それぞれの蚘事から、私が面癜いず思ったずころや、印象に残ったずころを䞀぀ず぀遞びたした。

    きっず、ほかの人が読めば、たた違うものが芋぀かるず思いたす。

    気になる方がいたら、ぜひ蚘事を読みに行っおみおください。

    今回はそれぞれの玹介の䞋に、蚘事のURLを盎接茉せおいたす。

    最初から最埌たで物語ずしお読んでもらっおもいいですし、気になる方のずころから読んでもらっおも嬉しいです。

    そしお、よかったら䞀蚀、感想を䌝えおみおください。

    その䞀蚀から、たた新しい亀流が始たるかもしれたせん。

    王子、城䞋町のみなさん。

    これからもよろしくお願いしたす

    35人の物語を蚪ねる旅は、ここで終わりです。

    でも、城䞋町には、ただ知らない道がある。

    次に誰ず誰が぀ながるのか。

    それも楜しみにしおいたす。

    #王子の城䞋町 #王子の城䞋町発芋隊 #午前零時の解決屋 #note #創䜜小説

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