メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

『存圚しない地䞻』第9章「同じ棚では、ない」

    数字は、確かに動いおいた。

    消耗品は枛り、䞍足した分だけ補充されおいる。

    では、その数字は、どこで数えられおいるのか。

    䞊ず䞋を぀なぐ䞀぀が、ただ抜けおいた。


    前回たで

    北偎付垯蚭備の巡回予定は、前月の実瞟から耇写され続けおいた。

    ずころが、残数確認祚に蚘録された消耗品の数字は、実際に動いおいた。

    䞭性掗剀。
    玙り゚ス。
    䜜業甚手袋。
    也電池。

    䞍足すれば、補充される。

    そしお地䞋でも、真壁たちは同じ皮類の物を目にしおいた。

    ただし、それが同じ物なのか。

    どこから来るのか。

    誰が動かしおいるのか。

    ただ、確認できおいない。

    今回の䞻な登堎人物

    氎城菜月
    東倮郜垂開発・甚地取埗郚。北偎付垯蚭備の蚘録を远っおいる。

    久我慎䞀郎
    氎城の䞊叞。確認できた事実だけを蚘録に残す。

    真壁遌
    停の地䞻本人を䜜り䞊げる「本人蚭蚈者」。

    把盎人
    真壁ず行動する実働担圓。珟堎偎から地䞋蚭備の動きを远っおいる。

    【前話】

    第8章「枛った分だけ、足される」



    第9章 同じ棚では、ない

    氎城菜月は、残数確認祚をもう䞀床開いた。

    䜜業甚手袋。

    基準数、十。

    残数は動いおいる。

    それは確認した。

    氎城は管理䌚瀟ぞ電話をかけた。

    「東倮郜垂開発の氎城です。北偎付垯蚭備に぀いお、もう䞀点お願いしたす」

    「はい」

    「残数確認は、どこで行っおいたすか」

    「堎所ですか」

    「はい」

    少し間があった。

    「北偎管理通路の資材棚です」

    氎城はペンを取った。

    「旧ポンプ宀たで入られたすか」

    「いえ」

    担圓者はすぐに答えた。

    「巡回は棚たでです」

    「棚から先は」

    「䜜業に入っおいたせん」

    氎城は、

    巡回終了――資材棚。

    ず曞いた。

    「次の巡回はい぀ですか」

    「氎曜です」

    「䜜業内容を確認したいので、同行しおも構いたせんか」

    「通垞䜜業のたたでよろしければ」

    「そのたたでお願いしたす」

    電話を切った。

    氎城は残数確認祚を閉じた。

    数字の暪ぞ、

    堎所。

    ずだけ曞いた。

    

    氎曜。

    癜いバンが入っおきた。

    前に話を聞いた䜜業員だった。

    氎城を芋るず、軜く頭を䞋げる。

    「今日は立ち䌚いですか」

    「䜜業範囲を確認させおください」

    「分かりたした」

    男は北偎管理通路ぞ入った。

    氎城は少し埌ろを歩いた。

    男は途䞭で立ち止たるこずなく、奥ぞ進む。

    巡回終点付近に、金属補の資材棚があった。

    男は鍵を出した。

    棚を開ける。

    氎城は䞭を芋る。

    癜い容噚。

    玙り゚ス。

    䜜業甚手袋。

    也電池。

    四぀。

    男は板に挟んだ甚玙を出した。

    䞭性掗剀を数える。

    蚘入する。

    玙り゚ス。

    手袋。

    也電池。

    順番に数えた。

    「今日は䞍足なしです」

    氎城は手元の資料を芋る。

    「補充が必芁な堎合は」

    「枛っおたら報告したす」

    男は甚玙を戻した。

    棚を閉める。

    鍵を掛ける。

    それで䜜業は終わったらしい。

    男が来た方向ぞ戻ろうずする。

    氎城が聞いた。

    「この先は」

    男が振り返った。

    「行きたせん」

    「巡回は、ここたでですか」

    「はい」

    男は資材棚を指した。

    「䜜業に入っおないので」

    氎城はその先を芋る。

    通路はただ続いおいた。

    「この先にある蚭備は、確認されないんですか」

    「しないですね」

    「理由は」

    男は少し考えた。

    「予定にないので」

    氎城は男を芋る。

    「予定に」

    「はい。今日やるのは、この棚の残数たでです」

    男はそれ以䞊説明しなかった。

    氎城も聞かなかった。

    二人は来た道を戻った。

    男は䞀床も振り返らなかった。

    

    氎城は垰瀟するず、珟圚の管理図を開いた。

    北偎管理通路。

    巡回担圓者から聞いた資材棚の䜍眮を確認する。

    赀いペンで、小さく䞞を付けた。

    次に、叀い蚭備図を出した。

    旧受氎槜。

    旧ポンプ宀。

    そこぞも䞞を付ける。

    二枚を䞊べた。

    瞮尺が違う。

    珟圚の図面には、旧蚭備点怜通路の党䜓が茉っおいない。

    叀い図面には、珟圚の巡回範囲が曞かれおいない。

    氎城は報告曞を開いた。

    入力する。

    北偎付垯蚭備に係る消耗品残数確認は、北偎管理通路内の資材棚にお実斜。珟管理䌚瀟の通垞巡回は圓該地点たで。以遠は䜜業範囲倖。

    読み返した。

    保存した。

    旧ポンプ宀に぀いおは、䜕も曞かなかった。

    

    久我慎䞀郎は、画面に衚瀺された報告を読んだ。

    「残数確認は、旧ポンプ宀ではありたせんでした」

    「はい」

    「どこですか」

    「北偎管理通路の資材棚です」

    「巡回は」

    「そこで終了しおいたす」

    久我が氎城を芋る。

    「その先は」

    「䜜業範囲倖です」

    「䜜業員は入っおいない」

    「少なくずも、通垞巡回では入りたせん」

    久我は画面ぞ戻った。

    「それで蚘録しおください」

    「はい」

    氎城は䞀文を修正した。

    通垞巡回における確認範囲は、北偎管理通路内の資材棚たで。

    久我が読む。

    「それでいいです」

    氎城は珟圚の管理図ず叀い蚭備図を机に眮いた。

    久我が二枚を芋る。

    「同じ堎所ですか」

    「違いたす」

    「䜍眮関係は確定しおいたすか」

    「しおいたせん。図面の瞮尺も違いたす」

    「では、そこも分けおください」

    氎城は頷いた。

    しばらくしお、久我が残数確認祚を開いた。

    数字が䞊んでいる。

    枛っおいる週。

    戻っおいる週。

    動かない週。

    「今は、数字だけですね」

    「はい」

    氎城は少し考えた。

    「次回から、棚の状態も写真で残しおもらいたすか」

    久我は顔を䞊げた。

    「お願いしたす」

    「䜜業内容も倉えたすか」

    「いえ」

    久我は残数確認祚を閉じた。

    「蚘録だけ増やしおください」

    氎城は管理䌚瀟ぞの䟝頌文を䜜った。

    次回巡回時より、残数確認時の資材棚に぀いお写真を添付するこず。

    䜜業範囲。

    確認方法。

    補充方法。

    いずれも倉曎なし。

    送信した。

    

    その日の午埌。

    把盎人は車ぞ戻るず、運転垭ぞ座った。

    「東倮の人、今日は䜜業員ず䞀緒でした」

    真壁遌は助手垭でスマヌトフォンを芋おいる。

    「どこたで」

    「管理通路に入るずころたでは芋たした」

    「䞭は」

    「芋えたせん」

    「䜕分」

    「い぀もより長かったです」

    真壁が顔を䞊げた。

    「䜕をしおた」

    「だから、䞭は芋えおたせんっお」

    「そうか」

    把はシヌトぞ背䞭を預けた。

    「珟堎たで来るようになりたしたね」

    真壁は返事をしなかった。

    「残数祚の次ですかね」

    「分からない」

    「でも、蚭備の確認でしょう」

    「それはそうだろうな」

    把がフロントガラスの向こうを芋る。

    「今日あの人たちが入った管理通路ず、俺らが降りた入口っお、別ですよね」

    真壁が把を芋る。

    「違う」

    「やっぱり」

    「䜕が」

    把は少し考えた。

    「じゃあ、地䞋で芋た棚を、あの䜜業員が数えおるわけじゃない」

    「違う」

    「でも物は同じです」

    「同じ皮類だ」

    「四぀ずも」

    「ああ」

    把が黙った。

    少ししお蚀う。

    「䞊から来るっお蚀っおたしたよね」

    「蚀った」

    「じゃあ、あの棚から」

    「そこたでは分からない」

    「でも䞊に同じ物がある」

    「ある」

    「䞋にもある」

    「ある」

    把はハンドルぞ手を眮いた。

    「䞊から䞋です」

    把が続ける。

    「間がない」

    真壁は窓の倖を芋る。

    「ないんじゃない」

    把が振り向く。

    「え」

    「分かっおないだけだ」

    「誰かいるんでしょう」

    「ただ人ずは限らない」

    「じゃあ䜕です」

    真壁は少し考えた。

    「䞀぀抜けおる」

    それ以䞊は蚀わなかった。

    把が息を吐く。

    「あの女に聞けば」

    真壁が芋る。

    把は途䞭で止めた。

    「  聞かないんでしたね」

    「聞いた」

    「䞊です、だけ」

    「ああ」

    「じゃあ、どうするんです」

    真壁はスマヌトフォンを䌏せた。

    「向こうが䜕を芋るかを芋る」

    「東倮ですか」

    「珟堎たで来た。それだけ分かればいい」

    真壁はシヌトぞ背を預けた。

    「䞭で䜕を芋たかは、こっちには分からない」

    把は頷いた。

    ゚ンゞンをかける。

    車が動き出した。

    

    氎城は退瀟前に、二枚の図面をもう䞀床出した。

    珟圚の管理図。

    北偎管理通路の資材棚に、小さな赀い䞞がある。

    その暪に、叀い蚭備図。

    旧ポンプ宀。

    同じ赀で䞞を付けた。

    二枚を䞊べる。

    氎城はペンを持った。

    珟圚の図面を芋る。

    叀い図面を芋る。

    もう䞀床、珟圚の図面ぞ目を戻す。

    ペン先を䞋ろした。

    止めた。

    そのたたキャップを閉めた。

    ペンを眮いた。


    あずがき

    ここたで読んでいただき、ありがずうございたす。

    第10章ぞ続きたす。


    『存圚しない地䞻』は、毎週日曜21時30分に曎新したす。

    次回曎新2026幎9月20日日21時30分予定

    『存圚しない地䞻』を最初から読む

    第1章「停物を䜜る男」

    『存圚しない地䞻』をたずめお読む

    #小説
    #連茉小説
    #犯眪小説
    #サスペンス
    #コンゲヌム
    #地面垫
    #存圚しない地䞻

     
     
    創䜜や゚ッセむを䞭心に、日々感じたこずや物語を曞いおいたす。 人や組織、遞択、関係性をテヌマに、考えたこずを蚀葉にしおいたす。 掲茉しおいる内容は、個人の創䜜・芋解によるものです。 実圚する人物・団䜓ずは関係ありたせん。

    あなたぞのおすすめ