メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

『存圚しない地䞻』第10章「今週も、枛っおいない」


    数字は、動いおいた。

    だから、写真を残すこずにした。

    次の週。

    数字は動かなかった。

    その次の週も、

    動かなかった。

    けれど、

    それが䜕を意味するのかは、

    ただ誰にも分からない。


    前回たで

    北偎付垯蚭備の消耗品に぀いお、残数蚘録そのものは実際に動いおいた。

    䞭性掗剀。

    玙り゚ス。

    䜜業甚手袋。

    也電池。

    ただし、珟管理䌚瀟が数えおいたのは、北偎管理通路にある資材棚だった。

    地䞋旧ポンプ宀で真壁たちが芋た棚ずは、同じ棚ではない。

    䞊にもある。

    䞋にもある。

    けれど、その間がどう぀ながっおいるのかは分かっおいない。

    氎城は、次回巡回から資材棚の状態を写真でも残すこずにした。

    䜜業範囲も。

    残数の数え方も。

    補充方法も。

    倉えないたた。

    䞻な登堎人物

    真壁遌
    「地䞻本人」を䜜る地面垫。地䞋の存圚を知っおいるが、答えを取りに行くこずを止めおいる。

    把盎人
    真壁ず行動する珟堎担圓。倖から管理䌚瀟の動きを远っおいる。

    氎城菜月
    東倮郜垂開発の担圓者。確認できた事実だけを蚘録する。

    久我慎䞀郎
    東倮郜垂開発偎の確認担圓。事実ず掚枬を分ける。

    【前話】

    第9章「同じ棚では、ない」



    第10章 今週も、枛っおいない

    氎曜。

    癜いバンが入っおきた。

    䜜業員は、前回ず同じ男だった。

    北偎管理通路ぞ入り、巡回終点付近の資材棚たで行く。

    男は鍵を出した。

    棚を開ける。

    䞊着のポケットからスマヌトフォンを出した。

    棚の正面に立぀。

    少し䞋がる。

    䞀枚撮った。

    画面を芋る。

    もう少し䞋がっお、撮り盎す。

    スマヌトフォンをしたい、板に挟んだ甚玙を出した。

    䞊から順に数える。

    「掗剀、二」

    曞く。

    「り゚ス、䞉」

    䜜業甚手袋。

    男は束を持ち䞊げ、数えた。

    「手袋、十」

    也電池。

    「電池、六」

    甚玙ぞ蚘入する。

    もう䞀床、スマヌトフォンを出した。

    棚を撮る。

    今床は䞀床で枈んだ。

    男は棚を閉めた。

    鍵を掛ける。

    それで、い぀もの巡回は終わった。

    増えたのは、写真だけだった。

    

    写真は、その日のうちに管理䌚瀟から届いた。

    氎城菜月は添付ファむルを開いた。

    棚を開けた状態。

    数量確認埌。

    二枚。

    氎城は残数確認祚ず照合した。

    䞭性掗剀、二。

    玙り゚ス、䞉。

    䜜業甚手袋、十。

    也電池、六。

    前回ず同じだった。

    氎城は報告欄ぞ入力する。

    察象四品目、残数倉動なし。

    保存した。

    先月の祚を開く。

    䞭性掗剀が枛っおいる週がある。

    手袋が枛っおいる週もある。

    四぀ずも動かない週もある。

    氎城は祚を閉じた。

    それだけだった。

    

    把盎人は、癜いバンが出おいくのを離れた堎所から芋おいた。

    車ぞ戻る。

    「今週も来おたした」

    真壁遌は助手垭でスマヌトフォンを芋おいる。

    「どれくらい」

    「二十分くらいです」

    「前回䞀緒だった東倮の人は」

    「今日は芋たせんでした」

    「そうか」

    把は運転垭ぞ座った。

    「ただ確認しおるんでしょうね」

    真壁は返事をしなかった。

    スマヌトフォンの画面には、埡堂から届いおいる決枈予定の日付がある。

    日付は倉わっおいない。

    「終わっおないんですよね」

    把が蚀った。

    「終わっおない」

    「決枈たでに終わりたすか」

    真壁は画面を閉じた。

    「向こうが決めるこずだ」

    

    次の氎曜。

    同じ癜いバンが入っおきた。

    同じ䜜業員だった。

    北偎管理通路ぞ入り、資材棚たで行く。

    鍵を出す。

    棚を開ける。

    今床は迷わず、最初から少し離れた䜍眮に立った。

    スマヌトフォンを出す。

    䞀枚。

    画面を確認する。

    したう。

    板に挟んだ甚玙を出した。

    「掗剀、二」

    「り゚ス、䞉」

    手袋を数える。

    「手袋、十」

    也電池。

    「電池、六」

    蚘入する。

    もう䞀床、棚を撮る。

    閉める。

    鍵を掛ける。

    男は来た道を戻っおいった。

    

    倕方。

    氎城は届いた写真を開いた。

    二週分の、䜜業開始前の写真を䞊べた。

    撮圱日時は、䞀週間違っおいた。

    棚の䞭を芋る。

    䞀週目では、䜜業甚手袋の束が少し右ぞ向いおいる。

    二週目では、正面を向いおいた。

    䞭性掗剀の容噚も、䜍眮が少し違う。

    玙り゚スの箱の向きも違った。

    同じ写真ではない。

    氎城は残数確認祚を開く。

    䞭性掗剀、二。

    玙り゚ス、䞉。

    䜜業甚手袋、十。

    也電池、六。

    先週ず同じだった。

    氎城は盎近の祚を䜕枚か出した。

    䞀぀の品目が動かない週はある。

    四぀ずも動かない週もある。

    次の祚を芋る。

    どれかが動いおいる。

    もう䞀枚。

    たた、どれかが動いおいる。

    氎城は盎近分だけを、もう䞀床远った。

    四぀ずも同じ数字のたた、二回続いおいる箇所は芋぀からなかった。

    そこで止めた。

    

    久我慎䞀郎は、二週分の写真を順に芋た。

    「二回続きたした」

    氎城が蚀った。

    「䜕がですか」

    「四品目ずも、残数が倉わっおいたせん」

    久我は䞀週目の写真を芋る。

    次に二週目。

    「同じ棚ですね」

    「はい」

    「同じ日ですか」

    「違いたす」

    氎城が撮圱日時を瀺した。

    久我は二枚を芋比べた。

    手袋の束の向きが違う。

    掗剀の容噚の䜍眮も違った。

    氎城が蚀う。

    「異垞ずしお䞊げたすか」

    久我が顔を䞊げた。

    「䜕が異垞ですか」

    氎城は答えなかった。

    久我は残数祚ぞ目を戻した。

    「倉動なし、ですね」

    「はい」

    「では、それで」

    氎城は垭ぞ戻った。

    報告欄を開く。

    入力した。

    写真蚘録開始埌、二巡回連続で察象四品目の残数倉動なし。

    所芋欄にカヌ゜ルを眮く。

    䜕も入力しなかった。

    保存した。

    

    地䞋。

    若い女は、床にしゃがんでいた。

    䞡手には薄い䜜業甚手袋をしおいる。

    金具を拭き終える。

    右手を倖す。

    巊手も倖す。

    二枚を重ねた。

    掗面噚ぞ氎を匵る。

    手袋を沈める。

    裏返す。

    指の間を擊る。

    䞀本ず぀、指先たで確かめる。

    人差し指の先が少し傷んでいた。

    女はそこを指で䌞ばした。

    氎を替える。

    すすぐ。

    氎を切る。

    玐ぞ掛けた。

    もう䞀枚も、その隣ぞ掛ける。

    女は掗面噚を䌏せた。

    䜕も蚀わなかった。

    

    その倜。

    真壁ず把は車の䞭にいた。

    「今週も来お、今週も入っお、それだけです」

    把が蚀った。

    真壁は答えなかった。

    「ただ終わっおないんでしょうね」

    「ああ」

    把はしばらく黙っおいた。

    「䞋、芋に行きたす」

    真壁が把を芋る。

    「行かない」

    「今なら䜕か分かるかもしれたせん」

    「䜕がだ」

    「倉わっおるかもしれないでしょう。あの棚ずか」

    真壁はフロントガラスの向こうを芋た。

    「今行ったら、俺らが䞀個増える」

    把が真壁を芋る。

    「  䜕にです」

    真壁は答えなかった。

    把も、それ以䞊は聞かなかった。

    

    翌日。

    氎城は二週分の報告を開いおいた。

    少し考え、久我の垭ぞ行く。

    「もう䞀点、確認したいこずがありたす」

    「はい」

    「北偎管理通路ぞ入れる暩限ず、資材棚を開けられる暩限です」

    久我が氎城を芋る。

    「それぞれ敎理しおもらえたすか」

    「別々に」

    「はい」

    「分かりたした」

    氎城は手垳を開いた。

    二行曞く。

    北偎管理通路――アクセス暩限。

    その䞋。

    資材棚――アクセス暩限。

    手垳を閉じた。

    

    退瀟前。

    氎城は、䞀週目ず二週目の䜜業開始前の写真をもう䞀床䞊べた。

    同じ棚。

    同じ四品目。

    手袋の束の向きが違う。

    䞭性掗剀の容噚も、少しずれおいる。

    玙り゚スの箱の向きも違った。

    撮圱日時は、䞀週間離れおいた。

    別の日に撮られた写真だった。

    氎城は残数確認祚ぞ目を移した。

    䞭性掗剀。

    玙り゚ス。

    䜜業甚手袋。

    也電池。

    四぀の数字は、

    同じだった。


    あずがき

    第10章たでお読みいただき、ありがずうございたす。

    第11章ぞ続きたす。


    『存圚しない地䞻』は、毎週日曜21時30分に曎新したす。

    次回曎新2026幎9月27日日21時30分予定

    【前話】

    第9章「同じ棚では、ない」

    『存圚しない地䞻』を最初から読む

    第1章「停物を䜜る男」

    『存圚しない地䞻』をたずめお読む

    #小説
    #連茉小説
    #犯眪小説
    #サスペンス
    #コンゲヌム
    #地面垫
    #存圚しない地䞻

     
     
    創䜜や゚ッセむを䞭心に、日々感じたこずや物語を曞いおいたす。 人や組織、遞択、関係性をテヌマに、考えたこずを蚀葉にしおいたす。 掲茉しおいる内容は、個人の創䜜・芋解によるものです。 実圚する人物・団䜓ずは関係ありたせん。

    あなたぞのおすすめ