
【旅の栞】子連れ韓国探訪記 #03 仁川空港からソウル駅への鉄道旅。夜の車窓に響く異国語と、旧駅舎の赤レンガを訪ねて
こんにちは、てるてるです。
10年前、私はひょんなことから、自分のルーツが韓国にあることを知りました。
曾祖父が見上げた韓国の空、そして歩いた大地。それを私自身の足で辿り、感じてみたい――。
そう思い立ち、この夏、小学生と2歳の娘ふたりを連れて渡韓しました。
前回(#02)は 仁川(インチョン)国際空港に着き、ソウル駅を目指して鉄道(A'REX)に乗り込んだところまでをお届けしました。今回は、その先のお話です。
1. 地下深くから、夜の地上へ。車内に響くハングルの音色
韓国の地下鉄や鉄道はシェルターの機能も兼ね備えていると聞いていましたが、本当に地上の喧騒から遠く引き離されていくような、どこまでも深い場所にホームがありました。
普段は車が生活の足である宮崎の田舎町からやってきた私にとって、ホームを整然と囲むガラス張りのホームドアさえも、どこか未来都市の仕掛けのように映ります。
手荷物を抱えて乗り込み、しばらく走ると電車は静かに地上へ。
時刻は19時を過ぎた頃。車窓の向こうはもう本格的な暗闇に包まれていて、流れていく街並みの表情を窺うことはできませんでした。
私は頭上の案内表示を見つめながら、「あと何駅でソウル駅……」と心の中でひとつずつカウントダウンを重ねていきます。
娘たちは普段あまり電車に乗る機会がないため、はじめは珍しそうに窓の外を眺めて浮足立っていましたが、しだいに手持ち無沙汰な様子に。
それでも、車内に流れるハングルや英語のアナウンスの不思議な響き、暗闇を駆け抜ける未知の風の音を、まるで宝探しでもするように五感全体で楽しんでいるようでした。
「ああ、私たちは今、外国人なんだ」
娘たちの横顔を見つめながら、異国の地に足を踏み入れた実感と心地よい緊張感を、静かに噛み締める時間でもありました。
2. 100年の時を超える、旧ソウル駅舎の赤レンガ
そうして辿り着いたソウル駅は、想像をはるかに超えるスケール感で私たちを出迎えてくれました。
行き交う大勢の人波と、近代的なターミナル駅の熱気。
その大きな駅の喧騒の中で、私にはどうしてもこの目で確かめたい場所がありました。
それは、現代の巨大な駅舎の隣に静かに佇む、旧ソウル駅舎(文化駅ソウル284)の美しい赤レンガの建物です。
どことなく日本の東京駅を思わせる、重厚でクラシカルな洋風建築。
日本と韓国、ふたつの国が歩んできた激動の歴史の繋がりを、そのまま肌で感じられる象徴のような場所です。
およそ100年前。
海を渡り、命のバトンを繋いでくれた曾祖父の旅の起点も、もしかしたらここソウル駅だったのかもしれません。
見上げれば、100年前のあの日もきっとこんな風に、静かな夜空がどこまでも広がっていたのでしょう。
長い歳月を超えて繋がってきた命の確かさを胸に抱きながら、私は娘たちの小さな手をギュッと握り直し、その赤レンガのシルエットをじっと瞳に焼き付けていました。
(つづく)
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