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AIを使ったゲームの作り方 Vol.3 目的で変わるAIの使い方

    これまでの回は、こちらです。
    AIを使ったゲームの作り方(予告編)
    https://note.com/ukyousan/n/n8856d2f1d7f8
    AIを使ったゲームの作り方 Vol.2 7つの手段と最初の1本
    https://note.com/ukyousan/n/n0315cf4e9931

    前回は、何で作るかと、まずブラウザで1本作って公開するまでの段取りを書きました。もう1本作ってみた人もいるかもしれません。

    今回は、少し立ち止まって考える回です。そもそも、何のためにゲームを作るのか。

    就活のために作るのか。いつか収益化することをイメージして作るのか。これが決まっていないと、同じようにAIを使っていても、手元に残るものがまったく変わってしまいます。

    そして、これから先の回は、ここで決めた出口によって、読み方が少しずつ変わっていきます。

    この記事のターゲット
    ・初心者だけど個人でゲームを作ってみたい人
    ・就活のため、経験を積む目的でゲームを作ろうとしている人
    ・いずれ収益化することをイメージしながら、個人制作の経験を積みたい人

    この連載で書くこと
    ・AIを使いながら、1本のゲームを完成させて世に出すまでの段取り
    ・工程ごとの、AIに任せていいことと、任せてはいけないこと

    この連載で約束しないこと
    ・読めば儲かる、という話ではありません
    ・組織向けではありません

    今回(vol.3)で持ち帰ってほしいこと
    ・自分はどちらの出口で作るのかを、一行で書けるようになること

    先に一つだけ言っておきます。前回書いたとおり、最初の数本は、作っては捨てるを繰り返す時期です。

    その段階では、出口が決まっていなくても大丈夫です。出口を決めるのは、「この形なら、自分のやりたいことが表現できそうかも」という手ごたえが少しつかめてきたときで十分です。

    今回の話は、そのときのために読んでおいてください。

    Ⅰ|出口は、大きく2つ

    ゲームを作ったあと、それを最後にどこへ持っていくのか。この連載では、それを「出口」と呼びます。

    個人でゲームを作る人の出口は、大きく2つに分けられます。

    一つ目は、就活などで使う作品です。
    ゲーム会社を受けるときのポートフォリオ(自分の作品をまとめたもの)に入れる。面接で見せる。自分に何ができるのかを伝えるために作るゲーム開発の経験値です。(断言しますが、作るだけではアドバンテージにはならないです。大事なことは他にあります)

    二つ目は、収益化をイメージした制作です。
    いずれ売ることや、遊んでもらってお金が入る形を頭に置きながら、作ってから売るまでの流れを経験するために作るゲームです。

    もちろん、ほかにも出口はあります。趣味として作って、友達に遊んでもらう。コンテストやゲームジャムに出す。仲間を集めるために見せる。ただ、どれも突き詰めると、「見せる相手に、自分の力を伝える」か「遊ぶ人に届けて、反応やお金を受け取る」かのどちらかに近くなります。なので、この連載ではこの2つで考えます。

    Ⅱ|どちらも目的は経験。違うのは、最後に持って帰るもの

    大事なことを先に書きます。就活でも収益化でも、この連載で最初に置く目的は、経験を積むことです。 そして、粘り強く収益化ができるまでのクオリティを達成するための考え方を習得することです。

    何を目指すにしても、最初の1本では、利益の大きさより、作って、届けて、反応を受け取るまでを一度通すことを優先します。

    違うのは、最後に何を持って帰るかです。


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    図のとおり、就活のための作品で見られるのは、あなたの力です。見る人は、採用する人や、現場で一緒に働く人。完成の定義は、「短くても、何ができるのかが伝われば完成」です。全部を作り込む必要はありません。持って帰るものは、面接で話せる、自分の判断です。

    収益化をイメージした制作で見られるのは、ゲームそのものです。見る人は、買う人や遊ぶ人。完成の定義は、「売るところまで一度通したら完成」です。持って帰るものは、作ってから売るまでの、一連の流れです。

    この違いによって、AIの使い方も変わります。

    就活なら、判断するところは自分の手でやって、AIに任せたところは説明できるようにしておく。収益化なら、作る作業はAIに任せて速く回して、浮いた時間で売るまでの工程を経験する。

    同じAIでも、何を自分でやるかで、手元に残るものが変わるのです。

    Ⅲ|就活なら、「どう作ったか」を説明できることが大事

    就活のためにゲームを作る人に向けて、もう少しくわしく書きます。

    vol.2でも書いたとおり、ゲーム会社の現場で使われているのは、Unreal Engine、Unity、そして会社ごとの独自のエンジンが中心です。即戦力として見てもらうには、そこまでを使いこなせるか、少なくとも使いこなせるだけの基礎力があることを示す必要があります。

    先に、少し厳しいことを書いておきます。残念ながら、AIでゲームを作ったというだけでは、就活で有利になることはありません。 これは、AIが出てくる前に、個人でゲームを作ったことがある人でも同じでした。「ゲームを1本作りました」だけでは、それだけで評価が上がるわけではないのです。

    ただ、作ったことがある経験は、ないよりあったほうが当然いいです。そして、それ以上に大事なのは、そのゲームを、どういう考えを持って、どう作ってきたのかです。

    自分なりのこだわりはどこなのか。苦労して面白さを追求したところはどこなのか。制作の工程と、面白さを、自分の言葉で説明できることのほうが、完成したゲームの出来よりも大事だったりします。

    だから、就活のためのゲームでは、次のことを残しておいてください。

    • なぜこのゲームを作ろうと思ったのか

    • 自分なりのこだわりは、どこなのか

    • 面白くするために、どこで苦労して、何を試したのか

    • どこをAIに任せて、どこを自分で決めたのか

    • 遊んでもらって、何を直したのか

    これは、vol.2で書いた「記録を置く場所」がそのまま役に立ちます。途中の記録が残っていれば、面接で「このゲームのどこを工夫しましたか」と聞かれたときに、自分の言葉で答えられます。

    職種によって、作品で見せるところが違う

    就活のためのゲームでは、自分が目指す職種によって、見てもらうところが変わります。そして、見てもらうところは、AIに任せきりにしないほうがいいところでもあります。

    プランナーを目指すなら、ルールと調整の意図を見せます。
    なぜこのルールにしたのか。なぜこの難しさで、なぜこの順番でステージが並んでいるのか。仕様を文章にしたり、数値を計算したりするのはAIに手伝ってもらって構いません。でも、面白さの核と、調整の判断は自分でやってください。そこがプランナーの仕事そのものだからです。

    プログラマーを目指すなら、仕組みと、その作り方の判断を見せます。
    動きを気持ちよくするために何をしたのか。処理が重くならないように、どんな工夫をしたのか。コードの下書きやエラーの原因探しは、AIに任せていいところです。ただし、AIが書いたコードでも、どこで何をしているのかを自分で読んで説明できる状態にしておいてください。面接で「ここはどう動いているんですか」と聞かれて答えられなければ、書いていないのと同じに見えてしまいます。

    アーティストやデザイナーを目指すなら、絵作りと、画面の見せ方を見せます。
    キャラクターや背景、演出、ボタンや文字の配置。ここは、あなたの手が一番見られるところです。AIで生成した画像を主役にしてしまうと、あなたの力を見せる場所がなくなってしまいます。仮の素材として使うのは構いませんが、見せたい部分は自分の手で仕上げてください。

    どの職種でも、考え方は同じです。自分が目指す職種の部分は、自分の手でやる。 それ以外の部分は、AIに手伝ってもらって、完成まで持っていく。そうすれば、小さなゲームでも、あなたの力がちゃんと見える作品になります。

    作品には、1枚の「制作メモ」を添える

    作品を見せるときは、ゲームだけを渡すのではなく、1枚の制作メモを添えてください。見る人が数分で、あなたが何を考えて作ったのかをつかめるようにするためのものです。書くことは、次の6つで十分です。

    【このゲームの狙い】一行で
    【こだわったところ】3つまで
    【面白くするために苦労したこと、試したこと】
    【AIを使ったところ/自分で決めたところ】
    【遊んでもらって直したこと】
    【次に直したいこと】

    たとえば、ブロック崩しを改造したゲームなら、こんな形です。

    【このゲームの狙い】ボールを打ち返すたびに、少しずつ焦りが増えていくブロック崩し
    【こだわったところ】ボールが当たるたびに少しだけ速くなる/残りのブロックが少なくなると音が変わる
    【面白くするために苦労したこと、試したこと】速くなる量を何度も変えた。速くしすぎると理不尽に感じるので、10回当てるとはっきり分かるくらいに抑えた
    【AIを使ったところ/自分で決めたところ】最初のプログラムと効果音はAIに作ってもらった。速さの上がり方と、音が変わるタイミングは自分で決めて、数字を調整した
    【遊んでもらって直したこと】友達が最初の10秒で飽きていたので、最初からボールを少し速くした
    【次に直したいこと】ブロックの並びを、ステージごとに変えたい

    これがあるだけで、見る人は「この人は何を考えて作ったのか」をすぐにつかめます。面接で話すときの台本にもなります。そして、vol.2の記録の置き場所に途中の記録が残っていれば、このメモはほとんどそこから書き写すだけで作れます。

    逆に、一番もったいないのは、AIに全部作ってもらって、動くものはあるのに、「どうしてこうなっているのか」「どこが面白いのか」を何も説明できない状態です。見た目がどれだけ整っていても、説明できなければ、それはあなたの力の証明になりません。

    AIを使ったことを、就活でどう伝えるかは、vol.11でくわしく書きます。

    Ⅳ|収益化なら、一人で起業するのと同じ段取りになる

    収益化をイメージして作る人に向けては、ゲーム制作とは全然違う話になりますが、別の話をしておきます。

    収益化を目指す個人開発は、一人で起業するのと、ほとんど同じ段取りになります。

    何を作るかを決める。誰に向けて作るかを考える。いくらで売るか、どこで売るかを決める。どうやって知ってもらうかを考える。お金と時間をどれくらいかけるかを決める。会社なら、それぞれに担当の人がいます。個人開発では、これを全部、一人でやることになります。

    私は2回独立していますが、一人で全部やってみて、どこで詰まったかと聞かれたら、正直に言うと、全部です。全部大変でした。その中でも、どうでもいいように見えて一番手間取ったのは、バックオフィスでした。お金の管理、契約、請求、税金まわりの手続きといった、作ることとはまったく関係のない事務の仕事です。

    個人でゲームを売るときも、同じことが起きます。売上が出れば、お金の出入りを記録して、税金の手続きも関わってきます。売る場所ごとの登録や、規約の確認もあります。どれも地味ですが、誰かが代わりにやってくれるわけではありません。

    ここで大事なのは、作ることは、その段取りのうちの一つでしかないということです。AIのおかげで、作るところは本当に速くなりました。でも、値段を決めること、知ってもらうこと、売ることは、AIが速くしてくれるわけではありません。

    だから、収益化をイメージして作る人は、AIで浮いた時間を、もっと作り込むことに全部使わないでください。その時間で、作って、届けて、反応を受け取るまでの工程を一度経験する必要があります。
    それが、この出口で持って帰るものです。
    あと意外と他にも雑務がやってくるので、そこも嫌々ながらもやらなくてはいけないという胆力が必要なことを伝えておきましょう。

    もう一つ、公開したり売ったりする段階では、使ったAI、素材、音楽、公開する場所の規約を確かめる必要があります。AIで作れたことと、安心して公開・販売できることは、同じではありません。ここでは、「公開や販売の前に、規約を確かめる工程がある」とだけ覚えておいてください。くわしくは、公開の回(vol.11)で書きます。

    そして、1本目は売れない前提で大丈夫です。
    vol.2で「最初の1本は無料で公開すれば十分」と書いたのと同じ考え方です。 最初の目的は、ヒットさせることではなく、作ってから売るまでを一度通して経験することです。売り方の種類や、それぞれのメリットとデメリットは、次の次の回(vol.5)でくわしく書きます。

    作る以外の段取りを、時期ごとに並べておく

    一人で起業するのと同じ段取りになる、と書きました。とはいえ、全部を一度にやろうとすると、何から手をつけていいのか分からなくなります。なので、時期ごとに分けて並べておきます。

    作り始めるとき

    • 出口を一行で書く(Ⅶで書きます)

    • どこで公開するかを決める(vol.2のⅣを見てください)

    • 記録の置き場所を作る(vol.2の0番目の段取り)

    • 無料で出すか、値段を付けるかを、ざっくり決めておく

    作っている途中

    • 作っている様子を、記録の置き場所やSNSに少しずつ出していく

    • 画面の画像や、動いている動画を撮りためておく(あとで紹介に使えます)

    公開する前

    • 紹介文と、画面の画像を用意する

    • 使ったAI、素材、音楽、公開する場所の規約を確かめる

    • 人に遊んでもらって、直す

    公開したあと

    • 感想を集めて、直して、もう一度公開する

    • 売上が出たら、お金の出入りを記録しておく

    こうして並べると、作ること以外にも、やることがたくさんあるのが分かると思います。ただ、この中には、AIに手伝ってもらえるものも多くあります。紹介文や告知の文章の下書き、集めた感想の整理、記録のまとめ。そういう作業はAIに手伝ってもらって、浮いた時間を、人に遊んでもらうことや、感想を読むことに使ってください。

    知ってもらう準備や、作りながらの発信のくわしい話は、vol.10で書きます。

    1本目の目標は、売上ではなく「届いたかどうか」で立てる

    収益化をイメージして作る人ほど、1本目から売上の目標を立てたくなると思います。でも、1本目の売上は、たいていとても小さいです。そこで売上だけを目標にすると、数字を見て落ち込んで、2本目を作る気持ちがなくなってしまいます。

    なので、1本目は、届いたかどうかを目標にしてください。たとえば、こんな目標です。

    • とにかく公開する

    • 10人に遊んでもらう

    • 感想を5件もらう

    • 最後まで遊んでくれた人が、何人いたかを数える

    どれも、売上より先に確かめておきたいことです。誰にも届いていないゲームは、値段を付けても売れません。まず届くかどうかを確かめて、その結果を、2本目の目標を立てる材料にしてください。

    Ⅴ|2つを混ぜると、両方失う

    出口が2つあることを書いてきました。ここで一番気をつけてほしいのは、2つを混ぜないことです。

    よくあるのは、次の2つのパターンです。

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