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2026年、いまソシャゲを作るならどう考えるか? 捨てるものと残すもの

    先日、2026年6月4日、ゲーム関連で久しぶりに講演をしてきた。その際に考えていたことを自分用に記録しておく。もちろん、私の考えとは全然違うよという人も多いと思うので、ぜひコメント等で教えてほしい。

    お話ししたテーマは「ゲーム市場全体の話、市況」「外部決済機能を活用した経営戦略」みたいな話だった。が、裏で考えていたことは「今日本でライブゲーム(運営型ゲーム)を作るならばどうするべきか?」という問いでもあった。

    表題にはあえて「ソシャゲ」と書いたが、今やソシャゲは過去の呼び方であり、ソシャゲ=モバイルライブゲームが相応しい呼び方ではないかと思っている。その辺りは後半でも触れていく。

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    話変わって、ちょうど同じ日にアメリカでゲーム業界に所属するkentoons氏の興味深いエントリーを目にした。

    アメリカのゲーム業界に長くいる身として、近年の大量レイオフはリーマンショック時とは比較にならないほど異常だと肌で感じている。 気になって「何が起きているのか」をAIに分析させてみたら、巷の『AIが仕事を奪っている」という俗説とは全く違う、業界の深刻な構造破綻が見えてきた。

    ── kentoon氏のX投稿(2026年6月3日)より引用
    氏が書いていたことは、次の4つのコンボとセットだった。
    1.【コロナ特需の崩壊】
    2.【ゼロ金利時代の終焉】
    3.【AAAタイトルの開発費肥大化】
    4.【「終わらないゲーム」の独占】

    さらに加えて、「リーマンの時は『経済が戻ればまた作れる』という希望や、モバイル・インディーという『次の受け皿』があった。だが今回は、業界のビジネスモデルそのものが壁にぶつかっている。だからこそ現場の体感として、過去最悪の危機だと感じる」という内容だった。

    これは日本でもそっくりそのまま当てはまりやすく、とりわけソシャゲ、モバイルライブゲームはほぼ合致して、それこそ2022年頃から如実に現れていた。

    この記事においては、タイトルと同じく「2026年、いまからゲームを作るならどう考えるか? 捨てるものと残すもの」について、現時点での私なりの考え方をメモしておく。

    異論は多々あると思うので、それはもちろんそれでいいと思うし、他の方法もあるかもしれないが、とりあえずメモがてらとさせてほしい。

    1|ソシャゲ?笑かすなよ

    ご存知の通り、今日本の会社で「ソシャゲをオリジナルで作るからお金をください」と言うと、「寝言は死んでから言え」「やりたいなら自己資本でやれよ」と一蹴されるほどハードルが高い。

    そもそも今、日本国内でオリジナルのゲーム企画を通そうとした場合、小予算で買い切り型のインディー(独立系小規模開発)勝負をするか、スーパー低予算でモバイル勝負をするか、その2択しか稟議を通せる自信がない。というか自己資本でやるとしてもそうなるだろう。

    それほどまでに、今や「オリジナルゲーム」の設計と商業的成功のハードルは高く、ましてやオリジナルのモバイルライブゲームに至っては絶望的なほどの高い壁ばかりが並ぶ。

    それでも血迷ってオリジナルでモバイルライブゲームをやるというのなら、会社の総力を集結して「これぞ!」という一球入魂のタイトルを、会社が死なない程度にグローバル&マルチプラットフォーム(複数ゲーム機・PC・スマホへの同時展開)前提で考えてやり切るほどの器量が必要ではないかと考えている。

    いや、これが仮にIPものだった場合はどうなのか、だが、稟議が少しだけ通りやすいかもしれないけれど、成功確率はあんまり変わらないだろう。
    集客には多少有利かもしれないが、何かのトラフィックインセンティブか、よほどのブランドがない限りはその恩恵は受けづらい。

    そもそも今のご時世、F2P(基本プレイ無料)ゲームの場合は無料で触れる人が多い分、面白くなければ速、没る。商業ベースの収益は初日で今後の行く末が見えるぐらいの速さだ。
    そのため、いずれにしてもスタート初期でこけるのは致命的。そのためリリース前から勝負を数回仕掛けてチューニングする余地がないとほぼ死ぬ。

    あるいは、リリース後に全リソースを集中させて改善点を爆速で治していくというスタイルが求められるだろうが、今はこの後者のやり方をしているタイトルは見たことがあまりない。もしそうなっている場合は高確率で想定通りになっていない作り方と売上だという予測だ。

    そういう背景がある中で、もしライブゲームをやるならば、マルチプラットフォーム×他チャンネルをやるかもしれない。
    とはいえ、その成功事例はまずは小さく確かめなくてはいけないことも事実なので、先に非ライブゲームでエッセンスをリリースして感覚を確かめるかもしれない。

    また、これからのライブゲームを展開するためには、膨大な運営コストを掛け続ける余裕はないので、作る前から「何を捨て、何を残すか」の設計思想を極限まで研ぎ澄ます必要があるということも認識している。

    前置き長すぎ案件なのだが、本記事では、最新のSensor Towerの2026年ゲーム市場レポートが示す「地殻変動」のデータをベースに、26年間この業界の現場を見てきた立場から、いま私たちが「捨てるべきもの」と「残すべきもの」の具体的な判断基準についても書いておく。

    2|数字が示す「地殻変動」と、そこから導き出される判断

    まず、いちばん大きな数字から見ていこう。

    ◆モバイルの「成熟」という名の、蛇口の閉鎖

    2025年のモバイルゲームのアプリ内課金売上は820億ドル、前年比1.3%増 。要するに、ほぼ横ばいだ。一方、PC・コンソールゲームの市場は13%増という伸び。数字や資料を読み解くに、モバイルは「広告を撒けばユーザーが取れる」という新規ユーザーの蛇口が完全に閉まったことに等しい。

    とした場合、
    「広告を大量投下して新規ユーザーをかき集める」という、従来の物量マーケティング戦略を捨てて、ピンポイントで課金転換しやすいユーザー獲得の媒体にシフトする。

    一方、
    新規獲得ではなく、既存ユーザーを長く深く繋ぎ止め、一人あたりの生涯価値を最大化する「LTV(生涯価値)設計」が伸びる方法にお金を使うことを高める。シンプルにはオフラインでの体験、開発者やクリエイターとのコミュニケーションに投資するなど。

    ◆生き残った新規モバイルゲームは「4Xストラテジー」だけ

    ジャンル別に見ると、二極化はさらに生々しい。2025年にダウンロード、売上、プレイ時間のすべてでプラス成長を記録したのは、「4Xストラテジー(探索・拡張・開発・征服を競う戦略ゲーム)」というジャンルだけだった。代表的なタイトルは『Last War: Survival』や『Whiteout Survival』といった、アジアや東欧の開発会社のメガヒット作品。

    ただこれは結果的にそうなっただけであって、これらのタイトルが巨大プロモーションされて収益性も高く、セールスも一番伸びたという形だと見ている。結局はこのジャンル売れたゲームは、スーパーハイクオリティモバイルライブゲームの集大成と言える作品であり、広告展開のパワープレイが前提となっていたので、生半可な真似とマーケコストがないと覇権は取れない。

    一方で、これまでモバイルの主流だったライフスタイル系、シミュレーション系、パズル系は、ダウンロードが大幅に減少しているのは自然で、そこそこ遊べるタイプ+課金型が今のご時世は相性が良さそうだと言える。

    「ちょっといい、中途半端なオリジナルモバイルゲーム」を作るという発想はおそらく成り立たないだろう。

    もしモバイルで勝負するなら、ハイブリッドカジュアル(軽量・短サイクルの広告収益モデル)に振り切るか、圧倒的な覇権を狙う「4Xストラテジー」のような極端なゲームデザインだけを残す。
    新規200位内にあるタイトルのうち日本タイトルはRPGが約7割らしいが、いい着地点を見つけなくては厳しそうだ。

    ◆PC・コンソールを動かす「インディーの狂気」

    さてゲーム開発をするにあたって、PC・コンソール側も当然知っておく必要があるということだが、2025年最大のヒットは『Battlefield 6』だった。

    これはシリーズが積み上げてきた信頼と実績に加え、ユーザーの期待を外さない「ブランドの王道」の強さなのかもしれない。ここ最近はブランドが積み重ねた王道コースが圧倒的に強い。

    しかし、もっと興味深いのがAAA以外の動きだ。

    画面を見た瞬間からもユニークさが溢れた『R.E.P.O.』や『PEAK』といったインディーゲームが、並み居る大作を抑えて、2025年のベストセラー上位に食い込んでいる。
    共通点は「10ドル以下」「協力プレイ前提」「配信者が切り抜き動画を作りやすい狂気が仕込まれている」こと。

    低価格故に薄利多売が前提になっているが、これはなかなか真似できないししたくない。でも売れる裏付けを事前に取れるならばというか、コミュニティで作れるならば、その価格設定とグローバル展開ができるならば展開確度が高まるのだろう。

    つまりは、予算を中途半端にかけた「そこそこ綺麗で、そこそこ遊べる、毒にも薬にもならないゲームは無風で終わる可能性が高いので発想を捨てる。

    一方で低価格帯で勝負せざるを得ない場合は、配信者やコミュニティが勝手に盛り上がって拡散してくれる、尖りきった「狂気(作家性)」の設計だけをシステムに残すことは考えなくてはならないだろう。

    3|業界危機の「本質」と、日本のソシャゲの破綻構造

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