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【山を歩いてきた道 02】浜石岳|毎週、同じ山に通っていた理由

    山を歩き始めた2012年10月。

    初めて浜石岳に登ったあと、また山に行きたいと思った。

    次はどこに登ろう。どんな山があるのだろう。

    そんなことを考えながら、少しずつ登山について調べるようになった。

    まずは浜石岳を歩き、次に近くの標高1,000mほどの山へ。そして、いつかは標高2,000mの山にも登ってみたい。

    登りたい山が増えるにつれて、週末の天気予報も気になるようになった。

    晴れ予報なら嬉しい。雨予報なら残念。

    今週末は山に行けるだろうか。

    そんなことを考える時間も、山歩きの楽しみのひとつになっていた。

    ただ、当時の自分が繰り返し通っていたのは、ほとんど浜石岳だった。


    山頂で朝食を食べ、コーヒーを飲む

    浜石岳に何度も登ったのは、山頂からの景色が好きだったからだ。

    そして、山頂で過ごす時間も好きだった。

    登って、景色を眺め、朝食を食べ、コーヒーを飲む。

    それだけのことなのだけれど、その時間が心地よかった。

    日常の中では、仕事や家庭のことなど、いろいろなことを考える。

    頭の中であれこれ考えていても、なかなか整理できないことがある。

    でも、山を歩いていると、不思議と考えがまとまっていくことがあった。

    歩きながら、同じことを何度も考える。

    そうしているうちに、ふと、

    「そうか、次はこうしてみよう」

    と思えることがある。

    悩みがすべて解決するわけではない。

    それでも、頭の中で絡まっていたものが少しずつほどけて、次に何をすればいいのかが見えてくる。

    山頂で景色を眺め、コーヒーを飲むころには、気持ちもすっきりしていた。

    そして、

    「また来週も頑張ろう」

    そんな気持ちで山を下りていた。

    浜石岳は、ただ登るための山ではなかった。

    日常から少し離れ、自分の考えを整理して、また普段の生活に戻るための場所でもあったのだと思う。


    同じ山を繰り返し歩く

    毎週のように同じ山に登っていると、次第に歩くことにも慣れてくる。

    最初は登山だったものが、だんだん「ちょっとそこまで散歩」に近い感覚になっていった。

    歩くことが苦ではなくなり、疲れも残りにくくなった。

    もちろん、浜石岳以外にも登りたい山はあった。

    山を調べれば調べるほど、知らなかった山が見つかる。いつか行ってみたいと思う山も増えていく。

    それでも、すぐにあちこちの山へ出かけるようにはならなかった。

    当時は子どもたちも小さく、今のように自由に使える時間があったわけではない。

    山に行きたいからといって、一日を自由に使えるわけではなかった。

    だから、限られた時間の中で山を楽しむ方法を考えた。

    浜石岳なら、日の出前に家を出て、子どもたちが起きる前に登り、下山することができた。

    山を歩いたあとには、家族と過ごす時間が待っている。

    早朝の山歩きと、家族との休日。

    当時の自分にとっては、その両方を大切にするための、ちょうどいいスタイルだった。

    同じ山に通い続けたのは、ほかの山を知らなかったからでも、変化がなくて退屈しなかったからでもない。

    行きたい山はたくさんあった。

    ただ、当時の暮らしの中では、浜石岳がちょうどよかったのだと思う。


    山を歩く時間が、日常を支えていた

    今振り返ると、浜石岳に通っていたころは、山に登る時間だけでなく、山へ行く前から楽しみが始まっていた。

    次に登る山を調べる。

    標高を見て、今の自分でも登れそうか考える。

    週末の天気予報を確認する。

    晴れそうなら嬉しくなり、雨なら残念に思う。

    まだ登ったことのない山を想像しながら、次の週末を待つ。

    山に行けば、自然の中を歩き、景色を眺め、考えを整理することができる。

    そして、また日常に戻っていく。

    特別なことをしていたわけではない。

    それでも、毎週山を歩く時間があることで、気持ちを切り替え、次の一週間を迎えられていたように思う。

    当時は、将来これほど遠くの山へ出かけたり、長い距離を歩いたりするようになるとは考えていなかった。

    ただ、山を歩くことが楽しかった。

    そうして通い続けるうちに、少しずつ登れる山が増え、山の楽しみ方も広がっていった。


    浜石岳から、その先へ

    山を始めたころは、まず標高1,000mほどの山に登り、いつか2,000mの山へ。

    そんなふうに、少しずつステップアップしていくことを考えていた。

    その一方で、ブログや山行記録を読むようになり、自分が知らなかった山や、さまざまな登山者の歩き方を知るようになった。

    誰かが歩いた山の記録を見ていると、自分も行ってみたくなる。

    浜石岳を繰り返し歩いていた日々から、やがてほかの山へと目が向くようになっていった。

    その先で、富士山に登り、さらにさまざまな山を歩くようになる。

    そして、いつしか隣り合う山をつないで歩くことも、自分の山歩きの大きな楽しみになっていった。

    けれど、その始まりには、毎週のように通った浜石岳があった。

    山頂で朝食を食べ、コーヒーを飲み、景色を眺める。

    歩きながら考えを整理し、気持ちを切り替える。

    あのころから、山を歩く時間が好きだった。

    その気持ちは、今も変わっていない。

    次は、また山の話を。


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    山を歩く中で、
    少しずつ変わってきたことがあります。

    このマガジンでは、
    そんな山との付き合い方や、
    歩きながら考えてきたことを残しています。

    ▶ 「山と歩いてきた時間」

     
     
    静岡の山を中心に、稜線をつないで歩いています。 約10年かけて静岡百山を完登。 静かな山や深い山、山と向き合う時間が好きです。 ロングハイキングやトレイルランも楽しみながら、山で出会った景色や歩いてきた道を綴っています。

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