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【魔王軍ノベルス閑話1】『存在しない最終列車』【駅のホーム|地図にない灯り】

    雪綴ゆきさんのショートショート企画『地図にない灯り』に参加します。
    (約2,000文字)

    今回はわかモンさんの
    『地図にない灯り』ショートショート・メーカー!!
    を使って作成しました。

    魔王軍音楽革命隊の隊長、ミキ・ウェイブが、異世界より一旦、現実世界へ戻ってきた時の逸話になります。

    存在しない最終列車

    ショート・ショート|異世界ラノベ・ファンタジー

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    「すうすう… ん〜っ」

     目を開けると、知らない駅のホームだった。

    「……あれ?」

     ミキ・ウェイブは、古びた木製ベンチから身体を起こした。

     頭上には蛍光灯が一本。ホームの端には、青白く光る自動販売機。線路の向こうには真っ暗な山が広がり、虫の声だけが聞こえている。

     壁の時計は、午前零時四十三分。

    「……自分、何してたんだっけ?」

     隣には、愛用のベースケースが置かれていた。

     スマホを取り出す。

     圏外ではない。日付も正常。見慣れた通知が並んでいる。

     どうやら、現実世界に戻ってきたらしい。

    「……帰ってきちゃったんだ」

     ミキは小さくつぶやいた。

     魔王城。

     音楽革命隊。

     仲間たちと巡った異世界の街。

     剣を持った兵士たちの前でベースを鳴らしたこと。音楽を禁じられた街で、みんなと演奏したこと。

     そして、魔王ノア。

    『そなたの音が必要だ』

     別れ際、ノアはそう言った。

     いつもの威厳ある声だった。

     けれど、その目は少しだけ寂しそうだった。

    「……自分だって、まだ弾き足りないよ」

     ミキはベースケースに手を置いた。

     そのとき。

     ジジッ。

     頭上のスピーカーから雑音が聞こえた。

    『……まもなく……』

    「え?」

    『まもなく、一番線に、魔王城行きが参ります』

     ミキは顔を上げた。

    「……は?」

     ホームの電光掲示板が、突然点灯する。

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     赤い文字がゆっくり流れた。

    『臨時最終列車 魔王城行き』

    「いやいやいや!」

     ミキは立ち上がった。

    「ここ、日本だよね!?」

     スピーカーが再び鳴る。

    『お乗り遅れのないよう、ご注意ください』

     聞き覚えのある声。

     低く、落ち着いていて、妙に偉そうな口調。

    「……ノア様?」

     返事はない。

     代わりに、線路の向こうから小さな光が見えた。

     山の暗闇を抜けて、ゆっくり近づいてくる。

     列車だった。

     黒い車体。

     金色の装飾。

     先頭には、巨大な魔王軍の紋章。

     煙突から紫色の煙を吐きながら、蒸気機関車がホームへ滑り込んできた。

    「……うそでしょ」

     列車は音もなく停車した。

     扉が開く。

     車内には赤い絨毯が敷かれ、豪華なシャンデリアが揺れている。

     そして、扉の横には一枚の札。

    『魔王軍音楽革命隊 隊長専用車両』

    「……専用車両?」

     ミキは思わず笑った。

    「待遇、よくなってるじゃん」

     だが、足は動かなかった。

     振り返る。

     誰もいないホーム。

     自動販売機。

     蛍光灯。

     見慣れた日本の風景。

     ここには、帰ってきたかった日常がある。

     けれど。

     あちらには、待っている仲間がいる。

     ミキはベースケースの取っ手を握った。

    「……ノア様」

     小さく呼んでみる。

     すると、スピーカーから声が響いた。

    『ミキ・ウェイブ』

     今度は、はっきりと。

    『そなたの音が必要だ』

     ミキは目を丸くした。

     そして、笑った。

    「……もう!」

     ベースケースを背負う。

    「そんなこと言われたら、行くしかないじゃん!」

     一歩、列車へ近づく。

     だが、そこで立ち止まった。

    「……ねえ、ノア様」

    『なんだ?』

    「自分、またこっちに帰ってこられる?」

     少しの沈黙。

     やがて、スピーカーから答えが返ってきた。

    『もちろんだ』

    「ほんと?」

    『余は魔王である』

    「それ、理由になってないよ!」

    『……では、約束しよう』

     ミキは静かに耳を傾けた。

    『そなたが帰りたくなったら、また迎えに来る』

    「……うん」

    『ただし』

    「ただし?」

    『次のライブが終わってからだ』

    「結局ライブ優先じゃん!」

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     ミキは声を上げて笑った。

     そして、列車に飛び乗った。

    「自分、まだ隊長だからね!」

     扉が閉まる。

     汽笛が鳴る。

     黒い列車は、紫色の煙を残して走り始めた。

     窓の外で、無人駅の明かりが遠ざかっていく。

     ミキは座席に腰を下ろし、ベースケースを開いた。

     指先で弦をひとつ弾く。

     低い音が、車内に響いた。

     すると。

     隣の車両から、ピアノの音が聞こえた。

     続いて、サックス。

    「……え?」

     ミキが顔を上げる。

     向こうの扉から、聞き慣れた声が飛んできた。

    「ミキー! 遅いよー!」

    「みんな待ってたんだから!」

     ジュリとマリの声だった。

     ミキはベースを抱えたまま、立ち上がった。

    「……もう、みんな!」

     笑いながら、扉へ走る。

     その背後で、車内放送が流れた。

    『次は、魔王城。魔王城。お忘れ物のないよう、ご注意ください』

     少し間があって。

    『なお、魔王軍音楽革命隊の諸君』

     魔王ノアの声が、ほんの少し弾んだ。

    『アンコールの準備をせよ』

     ミキは振り返り、にやりと笑った。

    「了解、魔王様!」

     その夜。

     日本の小さな無人駅から、一両の列車が消えた。

     時刻表には、最初から存在しない列車だった。

     ただひとつ。

     誰もいないホームの電光掲示板に、朝まで消えない文字が残っていた。

    『次回運行 ライブ終了後』

      ーー完ーー

    #地図にない灯り  第1回お題|駅のホーム

    「あとがき」

    雪綴ゆきさん、素敵な企画に参加させていただきます。
    自分が現在連載している、「魔王様、音楽革命隊は、異世界を征服できるの?」の閑話としても作らせていただきました。

    今回のショートショートは、わかモンさんの応援企画で用意されている無料配布のプロンプト、
    ✨『地図にない灯り』ショートショート・メーカー!!✨
    を使用させていただきました。登場人物や内容の方向性を入力できるので自分の世界観もつくることができますね。おまかせでも出来るようなので自分でも想像していない物語もできるようです。誰でも気軽に参加できるように考えられてます。スゴイ⁉️

    秋のラノベ祭りの時に「ラノベ作成プロンプト」というものを使い、書き物の作品をまがりなりにも、初めて作ることができました。
    他にも色々な方がそれぞれ個性的なプロンプトを公開していて、それを利用させてもらっていて、まるで小説の編集者になっている気分です。言い回しをちょっと考えてみたり、表紙や挿絵などを作るのも楽しいですね。
    今回のように誰でも気軽に参加できる企画が始まると、色々な方と交流も出来てありがたいです。
    ゆきさん、これからもどうぞよろしくお願いします。

    みのぶぎ

    自分が連載している「魔王様、音楽革命隊は、異世界を征服できるの?」の記事です⬇️

     
     
    高齢者バンドのBass 担当。 AIバンド"BOOGIE LUNCH"名義で自作曲のAIカヴァーや "WOOGIE LUNCH"名義でAI楽曲などを演奏させてます。 ミキジュリマリの「AI 四コマ付楽曲」、 魔王軍音楽革命隊 AIラノベも始めました。

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