
サヴィニー・レ・ボーヌ1級畑"オー・ゲット"とは?|ドメーヌ ジャン・マルク&ユーグ・パヴロが造る高台のピノ・ノワール
ブルゴーニュ、コート・ド・ボーヌ北部に位置するサヴィニー・レ・ボーヌ(Savigny-lès-Beaune)。
その村を見下ろす高台に、Aux Guettes(オー・ゲット)という1級畑(プルミエ・クリュ Premier Cru)がある。
この畑で長年ピノ・ノワールを育てているのが、サヴィニー・レ・ボーヌを代表する造り手のひとつ、ドメーヌ ジャン・マルク&ユーグ・パヴロ(Domaine Jean-Marc et Hugues Pavelot)だ。
「ゲット(Guettes)」という名前は、フランス語の ゲッター(guetter)「見張る」に由来する。
標高約300m。高台からサヴィニーの谷とその先を見渡すことのできる場所である。
しかし、オー・ゲットの本当の面白さは、その眺望だけではない。
急な南向き斜面、浅く痩せた石灰質土壌、そして低い収量。
その土地の条件が、パヴロのピノ・ノワールの個性をつくっている。

サヴィニー・レ・ボーヌは「谷」を見ると分かる
サヴィニー・レ・ボーヌのテロワールを理解する鍵のひとつが、その地形にある。
オート・コート側から流れてくるロワン川が谷を刻み、その谷がコート・ド・ボーヌへ開くところにサヴィニーの村がある。
ブドウ畑は谷を挟んで異なる斜面に広がっている。
そのため同じサヴィニー・レ・ボーヌであっても、標高、斜面の向き、日照、そして土壌の構成が異なる。
地下にはジュラ紀に形成された石灰岩や泥灰岩が現れ、その上を斜面から運ばれた石灰岩の礫や粘土などが覆う。
ブルゴーニュでよく使われる「粘土石灰質」という一言だけでは、この複雑さを十分には表せない。
谷のどちら側なのか。
斜面の上なのか、下なのか。
どちらを向いているのか。
そして、岩盤の上にどれほどの土があるのか。
その小さな違いが、ピノ・ノワールの性格を変えていく。

Aux Guettesをはじめとする1級畑は、この村を囲む斜面に広がっている。
1級畑オー・ゲット―標高約300mの南向き斜面
サヴィニー・レ・ボーヌ1級畑 オー・ゲット(Aux Guettes)は、急な南向き斜面の中腹に位置する。
標高は約300m。
パヴロの資料によれば、土壌は浅い石灰質土壌で、肥沃度が低い。
そのためオー・ゲットは、パヴロが所有する畑の中でも、恒常的に収量が最も低い区画のひとつ。
太陽を十分に受ける南向き斜面でありながら、ブドウが根を張るのは浅く痩せた石灰質の土壌。
「日当たりの良い畑=豊かで力強いワイン」という単純な図式では説明できないところに、この1級畑の面白さがある。
「オーゲット(Aux Guettes)」という名前はどこから来たのか
ゲッター(Guetter)とは、フランス語で「見張る」「監視する」という意味。
パヴロ自身も、この畑名の由来をその標高と眺望に結びつけている。
標高約300mの斜面から、ボーヌの街を含む周囲を見渡すことのできる場所。
つまりAux Guettesとは、サヴィニーを高台から“見張る場所”なのである。
実際にこの斜面に立ってみると、畑の名前が単なる古い地名ではなく、地形そのものを表していることが分かる。

パヴロが所有するオー・ゲット
ドメーヌ・パヴロは、オー・ゲットに1.48haの畑を所有している。
ブドウ品種はもちろん、ピノ・ノワール。
パヴロの資料で2023年時点の平均樹齢は35年とされている。
そして、パヴロのオー・ゲットを特徴づけるのが、先ほどの浅く痩せた石灰質土壌だ。
肥沃ではないため収量は少ない。
しかし、その厳しい条件の中で育ったピノ・ノワールが、この畑独特の輪郭をつくる。

パヴロのオー・ゲットはどんなワインなのか
パヴロは、オー・ゲットのワインについて、黒系果実のニュアンス、しっかりとした骨格、そしてシルキーなタンニンを特徴として挙げている。こうした土壌条件は、ワインに緻密さを与え、タンニンも粗さではなく、きめ細かなパウダーを思わせる滑らかな質感として現れることが多い。
力強さはある。
しかし、重さだけで押すワインではない。
果実味を持ちながら、輪郭があり、タンニンには芯がある。
若いうちから楽しむことができる一方、パヴロは10〜15年の熟成能力もあるとしている。
南向き斜面がもたらす成熟。
標高約300mという高さ。
そして浅く痩せた石灰質土壌。
それぞれの条件が重なり合って、オー・ゲットという1級畑の個性を形づくっている。
収穫前の畑を見る
ワインになってしまえば、私たちが見るのは一本のボトルだ。
しかし、その前には一年を通じた畑での仕事がある。
そして収穫が近づくと、ドメーヌではそのための準備が始まる。
パヴロの収穫準備を見ながら改めて感じるのは、ブルゴーニュのワインは「村名」や「1級畑」という名前だけで存在しているのではないということだ。
なぜ、この場所が1級畑なのか。
地形を見て、斜面を歩き、土壌を知る。
そして、そこで育ったピノ・ノワールを飲む。
標高約300mの高台からサヴィニーを見渡すAux Guettes。
「見張る」というその名前には、この土地の地形そのものが刻まれている。
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