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2026年ブルゴーニュワイン最新ヴィンテージ速報|ヴェレゾンが進む畑に待望の雨【8月1日】

    ブルゴーニュでは、ブドウのヴェレゾン(色づき)が順調に進んでいる。

    白ブドウは黄緑色から黄色へ、赤ブドウは緑色から赤紫色へと変化し、畑は収穫へ向けた最終段階へ入った。

    ここ数ヶ月は4度にわたる猛暑に見舞われ、生育は例年よりも早いペースで進行している。一方で、雨は極めて少なく、多くの畑では乾燥による水不足が懸念されていた。

    そのような中、7月31日午後から夜にかけて、ブルゴーニュ一帯を雷雨が通過した。

    待望の雨となった7月31日の雷雨

    7月31日、コート・ドールとソーヌ・エ・ロワールでは雷雨警報が発令され、局地的には激しい雨と突風、一部では雹も報告された。地域差は大きいものの、局地的には70〜80mmに達する非常に強い降雨が観測された。

    私自身、ちょうどこの雷雨の最中にボーヌ周辺を車で走っていた。雨は激しく、ワイパーを最速で動かしても前方が見えないほどであった。強風で折れた街路樹の枝が次々と道路に散乱し、車線をそのまま走ることさえ難しい状況だった。今回の雷雨が局地的ながら、いかに激しいものであったかを身をもって実感した。

    最終的には短時間でまとまった降雨となり、乾燥していた畑には久しぶりに十分な水分が供給された。

    現時点では、広範囲で品質に影響するような大規模な雹害は確認されていない。

    もちろん、畑によっては被害を受けた畑もある可能性はあるが、2026年ヴィンテージ全体を左右するような災害には至っていないとみられる。

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    コート・ド・ボーヌの7月31日夕方の空の様子

    ヴェレゾンの時期だからこそ、この雨には意味がある

    今回の雨を評価するうえで重要なのは、ブドウがヴェレゾンの段階に入っていることである。

    ヴェレゾンとは、単に色が変わる現象ではない。

    この時期から果粒は急速に成熟を始め、

    • 糖分を蓄積し、

    • 酸が徐々に穏やかになり、

    • タンニンや香りの成分が形成されていく。

    つまり、ワインの品質を決定づける重要な期間なのである。

    しかし、水不足が続くと、ブドウ樹は自らを守るために活動を抑え、光合成が低下し、成熟が停滞することがある。

    今回の雨は、そのストレスを和らげ、樹が再び活発に活動するきっかけになる可能性が高い。

    もし今後、晴天と適度な風が続けば、糖度だけでなくフェノール成熟も順調に進み、よりバランスの取れたブドウへと成熟していくだろう。

    一方で油断はできない

    雨には良い面だけではない。

    急激に果粒へ水分が供給されることで、一時的に果実が膨らみ、裂果のリスクが高まる場合がある。

    さらに、高温多湿の状態が続けば、ボトリティス(灰色かび病)などの病害も警戒しなければならない。

    もっとも、現時点の予報では雷雨通過後は再び乾燥した天候が戻る見込みであり、今回の雨は「恵みの雨」と評価できる可能性が高い。

    山火事の煙はブルゴーニュへ影響するのか

    もう一つ気になるのが、フランス各地で相次いでいる山火事である。

    この夏は南フランスだけでなく、各地で乾燥と高温の影響から山火事が発生している。

    7月31日にブルゴーニュを通過した雷雨は、乾燥した地域に雨をもたらしたものの、フランス全体の山火事を終息させるほどの広がりではなかった。

    一方で、大西洋岸のジロンド県では、風が弱まったことや消防活動が奏功し、大規模火災は封じ込めが進み、多くの避難住民が帰宅できる状況となっている。雨は局地的な鎮火や延焼リスクの低下には寄与したと考えられるが、地下でくすぶる火や再燃の危険は残っており、引き続き警戒が続いている。

    ワイン関係者にとって最も懸念されるのは、「スモークテイント(Smoke Taint)」と呼ばれる現象

    煙に含まれる揮発性フェノール類がブドウに吸収されることで、灰や焦げた木を思わせる香りがワインに現れることがある。

    この現象は、オーストラリアやアメリカ西海岸で大きな問題となり、日本でも知られるようになった。

    しかし、現時点ではブルゴーニュでそのようなリスクを心配する段階にはない。

    確かに風向きによって煙が流れてくる日はあるものの、長期間にわたって濃い煙が畑を覆う状況ではなく、ブルゴーニュでの山火事も局地的である。また、現時点で2026年ヴィンテージへの品質上の影響を示す情報も確認されていない。

    今後も山火事の状況や風向きには注意が必要ではあるが、現段階では過度に心配する必要はないだろう。もっとも、8月は例年フランスで最も山火事が発生しやすい時期でもある。今後の高温や乾燥の程度によって状況は変化する可能性があり、収穫まで引き続き注視していきたい。

    品質を決めるのは、これからの約1か月

    2026年ヴィンテージは、ここまで非常に順調に生育が進んできた。

    春は比較的安定し、夏は猛暑が続いたことで成熟は早まっている。

    そして、ヴェレゾンが進んだこのタイミングで、待望の雨が畑へ十分な水分をもたらした。

    もちろん、この一度の雨だけでヴィンテージが決まるわけではない。

    収穫までの数週間、適度な日照と昼夜の寒暖差、そして病害を防ぐ乾燥した気候が続くかどうかが、最終的な品質を左右する。

    2026年ヴィンテージは、まさにこれからが本番である。

    今後も現地ブルゴーニュから、生育状況や気象の変化を継続して報告していきたい。

    石黒かおり
    ブルゴーニュワインスペシャリスト
    BELLEVUE FRANCE 代表 / WINE no KAORI 主宰

    ブルゴーニュ在住20年以上。ブルゴーニュのドメーヌでヴィニュロンとしてブドウ栽培やワイン造りに携わるとともに、国際事業責任者として輸出・ブランド戦略を担当しました。

    現在は、BELLEVUE FRANCE代表として生産者と日本市場を結ぶワインビジネスを展開するとともに、WINE no KAORIを主宰し、フランスワインの文化と価値を伝えています。

    講演・執筆・監修などのご相談を承っております。
    contact@bellevue-france.fr​




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