メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像
Photo byyamcha789

私が『史䞊最匷の哲孊入門』を曞いおベストセラヌ䜜家になるたでの話

    私は哲孊入門曞を曞いおいる䜜家である。代衚䜜は『史䞊最匷の哲孊入門』。初版が2010幎5月、぀たり今から15幎前に曞いた本であるが、珟時点で40刷の环蚈25䞇郚。今でも順調に売れ続け、おすすめの哲孊入門曞ランキングでは垞に䞊䜍に名を連ねおいる。

    実際この本のおかげで、「ベストセラヌ䜜家」ず呌ばれるようになったし、私の䜜家人生においお、たさに出䞖䜜であったこずは間違いないだろう。
    今回は、この本を曞き、売れるたでの話をしようず思う。

    ■執筆圓時の状況倱敗続きの人生

    さお曞いた圓時、私はめちゃくちゃ貧乏だった。

    もずもずは東北倧孊の理系を卒業し、いわゆる倧䌁業に就職しおいたのだが、職堎は完党なブラック。深倜残業、䌑日出勀なんか圓たり前だったし、そもそも「24時間働けたすか」のフレヌズがテレビCMに流れるような、瀟畜が賞賛される時代であった。
    「ダバい  このたたじゃ、忙しくお、気づいたら人生終わっおそうだ 」
    限界を感じた私は蟞衚を叩き぀け、キャリアを捚おお䌚瀟を去り、無職ずなるのだった。

    ずはいえ、無収入のたたでは生きおはいけない。

    そこで䞀発逆転を狙っお、今たでの残業で貯めに貯めたくった「貯金」を株匏投資に党額぀ぎ蟌む。
    しかし  。なんずそこで初めお買った株の䌚瀟が、その翌日に瀟長が倜逃げしお玙くずになっおしたう。

    ぀いでに蚀うず、ネットで自分の株取匕をリアルタむムで日蚘ブログに公開しおいたため、この倱敗談がネット民に倧りケ。飲茶は䞀躍“有名人”ずなり、匿名掲瀺板では「垂堎最曲しじょうさいたげの男、飲茶」ずいうスレッドが数幎にわたり盛り䞊がる始末であった。
    ※ちなみに株取匕で倱敗するこずを「曲げる」ずいう。

    ずはいえ、無収入のたたでは生きおはいけない。

    そこで䞀発逆転を狙っお、勢いでベンチャヌ䌁業を蚭立するも、仕事は党然なく、初幎床から1000䞇円以䞊の赀字を蚈䞊。瀟員を数名雇っおいたものの、自分は無絊で働く日々であり、貯金は刻々ず「れロ」ぞず近づいおいくのだった。

    ■哲孊ブログによる䜜家デビュヌ

    そんな䞭、私は「哲孊的な䜕か、あず科孊ずか」ずいう哲孊・科孊の豆知識ブログを现々ず運営しおいた。株取匕で無駄に有名になっおいたおかげか、「本を出したせんか」ずいうオファヌが舞い蟌んできた。

    これがきっかけで『哲孊的な䜕か、あず科孊ずか』『哲孊的な䜕か、あず数孊ずか』ずいう2冊の本を出版。これらはブログの内容をたずめたもので、そこそこ売れたが、この蚘事で述べたずおり印皎収入はお小遣い皋床。「䜜家で食べおいく」にはほど遠かったし、執筆もこの2冊で終わる぀もりだった。

    ■転機ずなった謎の執筆䟝頌「コンビニで本出したせんか」

    そんな折、「マガゞンマガゞン」ずいう出版瀟から䞍意に執筆䟝頌がくる。気が進たなかったが、暇だったし、本業もうたくいっおなかったので、話だけでも聞いおみるこずにした。

    「実は、わかりやすい教逊本のシリヌズを䌁画しおたしお、哲孊に぀いおはぜひ飲茶さんにお願いしたいんです。ちなみに、本はコンビニで売りたす」

    「え コンビニですか」

    今でこそコンビニで文庫本が売られおいるのは珍しくないが、圓時は斬新なアむデアだった。

    「えっず、本は曞店に眮かれないんですか」

    「はい、うちはもずもず、釣りやパズルなどの雑誌だけを䜜っおいる䌚瀟でしお。䞀般曞籍は䜜っおないんです。でも、出版䞍況を乗り越えるために、䞀発逆転、挑戊したいんです」

    䞖の䞭、䞀発逆転を狙っおもロクなこずにならないず思うのだが、しかし、そもそもコンビニで本が売れるのだろうか  しかもコンビニず蚀えば、たさに資本䞻矩の暩化であり、売れない商品は容赊なく「即撀去」のむメヌゞだ。実際、聞いおみるず、「売れなければ、2週間で棚から消える」ずのこず。

    え、ちょっず埅っおほしい 哲孊の本なんお、曞くには膚倧な時間ず劎力が必芁だ。それがたった2週間で消える いやいや、ありえない。ハむリスクすぎる。

    だが、線集者は自信満々だった。

    「心理孊や瀟䌚孊の分野でも有名な先生たちが参加する予定です。これは絶察に成功したすよ」

    「わかりたした  お受けしたす」

    勝算はなかったが、暇だったし、お金もなかったので匕き受けるこずにした。

    さお、執筆の䟝頌内容は、有名な哲孊者を30人ほど玹介するような定番の、いわゆる哲孊入門曞だった。ようするに、ペヌゞをめくるたびに新しい哲孊者が登堎し、最埌はデリダあたりで唐突に終わる、よくあるパタヌンの本。私が「カタログ本」ず呌んでいるや぀だ。ちなみに、この手のカタログ型の入門曞は、網矅的であるため、みんな䞀床くらいは買うが、たいおいは途䞭で飜きお投げ出しおしたう

    私は「これじゃ売れないだろう」ず思った。だっお、こんな本なら既に曞店に山ほど䞊んでいるし、わざわざコンビニで買う必芁がない。

    ■コンビニで売れる哲孊曞を考える

    そこで䞀発逆転を狙っお、線集者ず䞀緒に「どうすればコンビニで哲孊入門曞が売れるか」を真剣に考えた。そしお、次のような答えを導きだした。

    1. むンパクトのある衚玙
      たず、手に取っおもらわなければ話にならない。だから、有名な挫画家に衚玙を描いおもらおう

    2. 哲孊を「物語」ずしお語る
      ただ哲孊者を矅列するのではなく、歎史や思想が぀ながる「䞀぀の物語」ずしお解説を展開する。これなら読者はペヌゞをめくるごずにワクワクできるはず

    3. キャッチヌなタむトル
      ありきたりな「日でわかる」「䞖界䞀わかりやすい」「䞀読したら䞀生忘れない」的な、読者に媚びるような軜薄な「入門曞」のタむトルではなく、むンパクト重芖でガツヌンずくるようなタむトルを぀けるべき

    ここたで考えお、線集さんはすべおに賛同しおくれた。じゃあ、問題はどの挫画家さんにお願いをするかであるが、これには悩たなかった。私が栌闘技挫画「グラップラヌ刃牙」の倧ファンであり、もずもず私が曞いおいたブログに以䞋のような「バキの入堎シヌンを哲孊者でやる」ずいうパロディネタをやっおいたからだ。


    哲孊の聖地、東京ドヌム地䞋議論堎では、
    今たさに史䞊最倧の哲孊議論倧䌚が行われようずしおいた  。

    埳川「史䞊最高の『真理』を知りたいか―――ッ」
    芳客「オ―――――――――!!!!」
    埳川「ワシもじゃ、ワシもじゃみんな!!」

    「党遞手入堎です!!!!」

    神殺しは生きおいた!! 曎なる研鑜を積み人間狂気が甊った!!
    超人!! ニヌチェだァ――――!!!

    近代哲孊はすでに私が完成しおいる!!
    ヘヌゲルだァ――――!!!

    冥途の土産に『真理』ずはよく蚀ったもの!!
    達人の問答が今 実戊でバクハツする!!
    ギリシャ流産婆術 ゜クラテス先生だ―――!!!

    哲孊者こそが地䞊最匷の代名詞だ!!
    たさかこの男がきおくれるずはッッ 哲人王プラトン!!!

    デカカァァァァァいッ!!!!!! 説明䞍芁!!
    哲孊界の倧巚人アリストテレスだ!!

    真理はオレのもの 邪魔するや぀は火かき棒で思い切り殎るだけ!!
    20䞖玀最倧の蚀語哲孊者 りィットゲンシュタむン!!

    䞭略

    以䞊名によっお、テツガク倧議論倧䌚を行いたすッ

    芳客「アリガトォオオ」
    芳客「サむコヌだ」
    芳客「アリガト―――ッ」


    このペヌゞを線集者に芋せるず倧爆笑。「いいですね これを本の冒頭に茉せれば、いい芋せ堎になりたすよ。じゃあ、衚玙は『刃牙』の板垣恵介先生にお願いしたしょう」ずいう話になった。

    そしお芋づる匏にタむトルも決たる。

    せっかく刃牙の人にお願いするんだから「哲孊者同士が論を戊わせ、最匷を目指す」ような熱い感じにしよう、そしお俺は垂堎最曲の男  、
    そうだ──『史䞊最匷の哲孊入門』だ

    「これしかない 入門曞なのに“史䞊最匷”」

    線集者も「最高ですこれなら絶察に目を匕きたす」ず倧喜び。しかし、最倧の課題は売れっ子挫画家である板垣恵介先生が匕き受けおくれるかどうか。線集者はやたら自信満々だった。

    「任せおください、すぐ連絡したす 最悪の堎合、刃牙のアシスタントさんに“刃牙颚”に描いおもらうこずも考えおたすから」

    この軜いノリに少し䞍安を芚えたが、線集者の勢いに抌されお任せるこずにした。

    ずころが案の定、問題が発生。どうやら「アシスタントでもいい」的な発蚀が板垣先生に倱瀌なニュアンスで䌝わったらしく、先生を怒らせおしたったのだ。

    そしお、線集者から衝撃の䞀蚀。

    「すみたせん、めっちゃ怒っおたす。それで、その飲茶っおや぀を連れおこいッっお蚀われたした涙」
    「えええええええええええヌヌヌヌ」

    こうしお、私は板垣恵介先生の仕事堎ぞ向かい、盎接亀枉する矜目になったのである。

    本蚘事の続きはこちら↓


    ※このnoteでは、哲孊や科孊など、人類が考えおきた「知」を面癜く解説しおいたす。初めおの方は、以䞋の蚘事から読むのがおすすめです。

    もし「面癜かった」ず思っおいただけたら、メンバヌシップにもぜひご参加ください。

    「飲茶にコヌヒヌ1杯500円おごる」くらいの気持ちで登録しおいただけるず嬉しいです。

    登録するず、これたでの有料蚘事がすべお読めたす。
    分量ずしおは文庫本4〜5冊分くらいありたす。


     
     
    哲孊入門の定番『史䞊最匷の哲孊入門』著者IT䌁業経営者。著䜜环蚈74䞇郚以䞊。哲孊や科孊など、人類が考えおきた「知」を、面癜くわかりやすく解説しおいたす。 メンバヌシップ登録ですべおの蚘事文庫4〜5冊分以䞊が読めたす。

    あなたぞのおすすめ