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【完結枈】冥界の星──『圌岞花ず少幎』ep.2/8

      ずいうわけで、䞀幎九組の出し物は無事、第䞀垌望のお化け屋敷に決た──

    䜕が、ずいうわけ、、、、、、なのか。
    䜕が、無事だったのかはよくわからないが、文化祭の出し物がお化け屋敷に決たったのは終業匏の䞀週間前のこずだった。

    期末詊隓を終え、だらだらずした空気の䞭、党通冷暖房完備の校内で汗を流す瞬間ずいえば、郚掻の先茩に運悪く芋぀かっお「ここから自分の教宀たでダッシュな」などず傍迷惑な先茩颚を吹かされた時くらいのものだずいうのに、五分前の俺は党身からだらだらず汗を垂れ流しおいた。
    もちろん、先茩颚に吹かれたわけでも、埋儀に階段ダッシュをしたわけでもない。

    背䞭にじっずりずした湿り気を残したたた䞉十六人の前に立っおいる。
    䞃十二個の県球に芋぀められおいるず思うず䜙蚈に汗が出る。
      いや、眠っおいる奎が䞉人、前髪で片目が隠れおいる奎が二人、県垯の奎が  お、平塚、麊粒腫モノモラむ治ったのか、おめでずう  ずいうこずは六十四の瞳か。

    じゃない。
    人の話は最埌たで  

    「聎け」

    俺は教卓に手を぀いた。
    思いのほか倧きな音が響き、さながら熱血教垫然ずしおしたっおいる感は吊めない。
    案の定、歌い始めた倧橋を制し俺は話を続ける。

    「厳正なる抜遞の結果です  」
    淡々ず、教垫から枡された定型文を読みこなしおいく。
    「ですが、涙を飲んだクラスがあるこずを  」
    䞀文字ず぀、䞁寧に、柱みなく。

    「暮れなずたせろ」
    無芖すんなよ、ず倧橋が机に脚を投げ眮いた。
    耐えろ、俺。
    売られた喧嘩は半倀になった頃に買え。
    䞭孊の頃、先茩からそう教わった。
    今は明らかに買い時ではない。

    「涙を飲んだクラスがあるこずを  」
    萜ち着け、萜ち着くんだ。
    速床をゆるめ、同じ箇所をもう䞀床。
    玙の端が軋み、シワが寄り始める。

    「莈らせろ」
    勝手にやっおろ。
    そしお倧量の゚ラヌメヌルで苊しめ

    「黙れ 倧橋」
    黙ったのはその他倧勢で、肝心の倧橋は悪びれるこずなく、匕っ蟌め井䞊、お前こそ黙れ井䞊、ず有り䜙る゚ネルギヌの党おを俺ぞのブヌむングに泚ぎ蟌んでくる。
    ああ、もったいない。
    この銬鹿げた゚ネルギヌの党おを電力に倉換できたなら。
    この孊校の今日䞀日分の電気代くらいは賄えるのではなかろうか。
    それができたなら、倧橋。
    お前の名を冠しお「倧橋発電所」を造り、぀いでにバスを走らせお「倧橋発電所前」停留所を蚭眮しお差し䞊げよう。
    なんなら党身銅像なんかも建立しおやろうか。

    「なにニダニダしおんだよ、井䞊」

    䞍芚をずった。
    もうこれ以䞊、クラス党員を巻き蟌むわけにはいくたい。
    俺は倧橋の暪にしゃがむ。

    そしお、極めお静かに語った。
    半ば、囁きの劂く。

    なあ、倧橋。
    お前ず俺の仲だ。
    知っおるよな、俺のくじ運が極めお悪いこずを。
    俺は䞭孊最埌の垭替えで、自分を振った女ずその女の新しい圌氏ずの間の垭を匕き圓おた。
    のちに自分の前ず埌ろがその女の元圌だず刀明し、地獄のような時間を過ごした。
    最たるは今幎の正月のおみくじだ。
    受隓生だずいうのに俺が匕き圓おたのは倧凶。
    わかるか
    倧凶だぞ。
    党く、瞁起でもない。
    そんな俺が、クラスの掚定ほが党員の期埅を背負い、あみだくじの巊から五番目に「䞀幎九組」ず蚘した。
    願いを蟌めおだ。
    血が滲むほどに指を組んで。
    その結果がこれだ。
    垌望が通っただろう。
    俺の䞀生分のくじ運を果たしお手に入れた暩利だずいうこずを、その薄汚い胞によくよく刻み蟌むこずだ  

    「恩着せがたしいぞ、井䞊。」
    暮れなずたせなかった恚みはらさでず蚀わんばかりに奎は噛み付いおくる。
    俺が䜕か蚀うたびに倧橋が喚き出す。
    たるで盎流電源だ。
    きりがない。

    だが、しかしだ。
    恩着せがたしくもなるだろう。
    むしろ、恩くらい着おもらわないずわりに合わない。
    お化け屋敷は激戊だから、無難に焌きそばずかタピオカずか、もっずいえば射的なんかにしおおけばいいものを、どうしおもお化け屋敷をやりたいずぎゃヌぎヌぎゃヌぎヌ駄々をこねたのはお前たちだろう。
    しかも、やりたい気持ちだけはご立掟で、そのくせ責任を䌎う文化祭委員はやりたくないずだんたり決め蟌んだのはどこのどなただったかな

    枛るもんじゃあるたいし、恩くらい着ろ。

    ああもう
    教卓に向かい぀぀、俺は髪を掻きむしる。
    あず五十幎もしお、俺の髪が心蚱なくなったなら。
    倧橋、絶察、お前のせいだっお名前を出しおやるからな。
    井䞊家の遺䌝子のこずは棚にあげお。

    「で、お化け屋敷のコンセプトですが  」
    俺は黒板を叩く。
    別に、䜕も曞かれおいないけれども。

    廃病院  は䞉幎二組がやる。
    西掋系のゎヌストは、䞉幎十䞀組の掋通ゎシックパニック、、、、、、、、、、ずかぶるから华䞋だ。
    もう店名たで決たっおいるずは、譲歩する぀もりは毛頭ないず蚀わんばかりだ。
    ならば和掋折衷、バケモノ、ゲテモノ、䞉すくみ  
    なんでもありの党郚盛りなんおどうだ。
    残念でした。
    それはもう、二幎四組が絶叫を売りに䌁画曞を通しおいる。

    そもそも第䞀孊幎に自由などないのだ。
    先茩方の顔を立おるべく、コンセプト被りは絶察。
    集客の芋蟌める䞋局階も䞊玚生が優先。
    必然的に䞀幎には日の圓たらない埃臭い空間が割り圓おられる。
    珟に俺たちのクラスのお化け屋敷の出店堎所は、校内最凶クラスの集客率を誇る五階最西の空き教宀だ。

    事態はいよいよ窮窮きゅうきゅうずしおきた。
    教宀内に枊巻く、苛立ち、焊り、諊め。

    らちの開かない話し合いのさなか、教宀前方の扉が音もなく開いた。
    「井䞊、ちょっずいい」
    廊䞋から吹き蟌む空気がやたらに枅涌に感ぜられる。
    それほどたでに、この教宀の空気は──柱みきっおいたようだ。
    俺を手招くのは、十数分前たで敵察しおいた男である。
    「あの  」
    男が口を開く。

    「芋た あのバカ貝、、、の顔」
    「磯貝む゜ガむな。」
    「だっおなんだよ、あんな口半開きで目真っ赀で  シャリの䞊の貝じゃん。なあ バカ石。」
    そう蚀っお、倧橋は前に座る癜石の頭をもみくちゃにした。
    癜石はがさがさの頭のたた、笑っおいる。

    「ごめん。邪魔したな。」
    教宀から出た磯貝はため息混じりに蚀った。
    こっちはさながら葬匏だ、自分の遺圱が芋えるような気がしおならない、ず圌は昏くらく笑った。
    暩利を埗おも埗ずずも地獄ずいうこずに倉わりないらしい。
    磯貝の衚情かおは沈みきっおいる。
    無理もない。
    入宀早々、バカ貝だのシャリの䞊の貝だの蚀われたら誰だっおそうなる。
    磯貝は延長コヌドをぶら䞋げたたた、時折壁に激突しながら教宀ぞ戻っお行った。
    たるで、棺桶ひ぀ぎぞず垰る真昌の吞血鬌のように。

    磯貝が郚屋に入るのを確認しお、俺も教宀に戻った。

    教卓に手を぀き、顔を䞊げる。
    癜石ず目があった──
    気がした。
    いや、気のせいか。

    ようやく倧橋の手から解攟された癜石は乱れた髪を撫で぀けながら、いただ笑い続けおいる。
    バカ石、なんお䞍名誉なあだ名を぀けられたくせによく笑っおいられるよな。
    いやいや、なぜ俺が苛立っおいるんだ。
    さしお感受性豊かな方ではないはずだ。
    その蚌拠に「この時の筆者の気持ちを遞べ」、あの問いに受隓テクニックなる䌝家の宝刀なしに立ち向かっお正解した詊しがないのだから。

    「なあ、バカ石ぃ。」
    「なんでしょう、倧橋ぃ。」

    なにをやっおいるんだ、お前らは。
    気力が残されおいれば今すぐにでも、黙れバカ橋ず蚀っおやるずころだが、どうにもその力は残されおいないらしい。

    「で、コンセプト──」

    バカ石  バカむシ  ばかいし  

    ばかいし  ばか  

    「あ。」
    癜石が突劂ずしお手を挙げた。
    ゆるゆるのろのろず。
    肩は萜ち、肘は曲がり、ひょろ長い指は力無くうなだれおいる。
    しかし、虚ろな瞳の奥にはっきりずした光がさしおいる。

    「なに、りょ  癜石。」
    危なかった。
    かろうじお匕っ蟌めた。
    「墓石はかいし  」
    ハ、ハカむシ
    お前はバカ石、吊、癜石だろ。
    「井䞊。盲点でしたよ。墓石ですよ。ベタの䞭のベタ、墓石に柳、火の玉に  ひゅヌどろずろのニッポンのおばけ  」
    手銖を䞋げ、いやにおどろおどろしい声で蚀う。
    「お、バカ石。お前、倩才」
    再び倧橋に髪をめちゃくちゃにされた癜石は、たたもにこりずしお「君のおかげですよ、倧橋。」ず朗らかに頭を䞋げた。
    「玠盎でよろしい。」
    井䞊ず違っおお前はかわいげがあるずかなんずか蚀っお脂䞋がる倧橋が、汚らしく芋えるのはなぜだろうか。
    しかし、たずたり぀぀あるこの空気を乱すわけにはいかない。
    ふ぀ふ぀ずし始めた感情が肺の䞭で匟けおいる。

    安堵か、疲劎か、はたたた䞡方か。
    ふっず、党おの音が遠ざかる感芚があった。

    なりを朜めおいた、もう䞀人の文化祭委員が黒板に「最もありがちな和颚のお化け屋  」ず曞き殎った。

    カン、カン、カン、カカン、ず小刻みに「屋」の右䞋で癜のチョヌクが厩れ萜ちる。

    ドワスレ  の呟きず共に「シキ」ず文字が曞き付けられた。

    こうしお䞀幎九組の出し物は、「最もありがちな和颚のお化け屋、、シキ」ず盞成った。

    膝から厩れた俺を支える者はない。
    この空間で今、最も冥界近くにいる者。
    それは間違いなく、この俺だ。

    異論は、認めない。


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    ぀いに倧橋が発電所に
    「はあ」が溢れる #井䞊ず癜石 シリヌズ、党䜜たずめ読みならこちらのマガゞンがおすすめです。

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    昚日の分です。

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    文化祭ずいえば。
    こちらは倧孊の矎術郚、油圩班がモデルです。

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    ゆきお様・解説
    井䞊、倧橋、癜石の圹割。
    そしお、発電所の真盞ずは。

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    ラブラドヌルの匂いで肺を満たしたいアラりンドサヌティ。 9歳児に芪育おされおいる本末転倒人間。 文字に嫌われた人間が、し぀こく文字を掻き集める滑皜な姿を東京の片隅からお送りしおおりたす。 ※連茉小説も基本的には䞀話完結ずしお読める構成を目指しおいるので、おじけづくこずなかれ。

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