メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

【完結枈】王子様のおや぀『ラテックス、そしお倏』ep.5/9

    「ずころで王子様っおなに食べるの」
    「はあ」

    口を抌さえた時にはもう声は出おいった埌だった。
    母の音無き舌打ちを知らぬ存ぜぬの顔でやり過ごし、䞭指でテヌブルの瞁を叩く。

    俺ががんやりしおいる間に䜕が起きたんだ。
    い぀の間に「癜石しらいし王子様」が䞖界共通認識ず化したんだ
    かがちゃパンツに癜タむツ、ちゃちな黄色い冠を頭に茉せお埮笑む癜石の姿を必死に振り飛ばした。

    「こんなものがあるけど  」
    湯気の向こう偎にがんやりず長四角ながしかくの菓子が芋える。
    「お矩母かあさん、倧倉申し蚳にくいのですが  」
    「なぁに」
    「それっお、い぀頃  」
    「そうね、タドコロさんが遊びにきた時に持っおきおくれたものだから  」
    「  ばあちゃん タドコロさんっお、あのスむミング仲間の  」
    「あら、悠来ゆうき。よく芚えおるじゃない。  あ。もしかしお、あんたああいう人が奜み そりゃそうか、矎人だものねェ  」
    矎人だずか矎人じゃないずかそう蚀う問題じゃないだろう。
    タドコロさんは確かに矎人だし、優しいし、旊那䞀筋で若い男にう぀぀を抜かすような人じゃあない──おそらく。
    たがしかし、俺が蚀いたいのはそこじゃない。
    「っおこずはそれ  二幎以䞊前  」
    誰もが息を止めた台所の柱んだ空気を扇颚機がかき混ぜる。
    倖では怋鳥の喧嘩がより䞀局熱を垯び始めおいた。

    「じゃあもう、アむスでいいだろ。暑いし。」
    俺はちょうどふた぀重なっおいたカップアむスに手を䌞ばした。
    「だめだめ。それは颚呂䞊がりのおじさん甚だから。」
    すぐさた母がすっ飛んできお、冷凍庫の匕出しを閉めた。
    俺は負けじずもう䞀床匕出しを開ける。
    「じゃあこっちのストロベリヌなんずかは」
    「ストロベリヌもおじさん甚だから」

    この家にはおじさん専甚アむスしかないのか

    「母さん  」
    「ん」
    「痛い。」
    「え」
    俺は雑巟がけでもするみたいな圢で冷凍庫に手銖を挟たれおいた。

    そもそもがだ。
    前提が間違っおいる。
    母さん、あんたが毎晩読み聞かせおくれた物語によればこの地球には癟十䞀人も王子様がいるらしいじゃないか。
    ずもすれば──頭の䞭で描き始めた暹圢図を右から順に消しおいった。

    「あの、お蚀葉ですが。」
    「なに 突然改たっお。」
    「倧事なのは王子様がなにを召し䞊がるか、じゃなく  じゃなく ではなく」
    「悠来」
    「癜石が、なにを、食うか、だろ」
    「あら、悠来。たたにはたしなこず蚀うんだ。」
    「たたにっおなんだよ。あず『たし』っおなんだよ  」
    麊茶を入れたコップの結露が滑るように垂れる。

    「で、王子  癜石君っおどんなもの食べるの」
    「山菜蕎麊ずか  」
    「枋しぶ   じゃなくお。おや぀の類の話。」
    「小枝  ずか。」
    「意倖ず庶民的なんだ。」

    ただ蚀うか  
    王宀の人間ロむダルファミリヌじゃないんだぞ、癜石は。
    しかもあれは煙草の真䌌事のために咥えおいるだけで  

    母ず祖母は俺に背を向け、菓子の入った戞棚を持っおは「あらァ  」ず肩を萜ずしおいる。
    溶け萜ちたチョコレヌト菓子がテヌブルに打ち䞊げられおいく。

    俺は気乗りしないたた盆を持ち䞊げた。

    「ああ 悠来、悠来 これ、持っおっお。」
    「なに」
    「だから、王子様のおや぀。」
    母は玅茶ず件くだんのしょうもない、、、、、、麊茶の隙間を埋めた。
    「これが」
    「あんたも食べおいいから。」
    「王子様のなのに」
    母が顎ず指を突き出しおきた。
    くぅ、ず喉の奥が閉たる音がした。

    「ああ、わけわかんねぇ  」
    俺は盆を壁に抌し付け、ドアノブを回す。
    挏れ出た冷気が心地よかった。

    「今床こそ君でしたか。」
    癜石はただクロヌれットずCDラックの間に挟たっおいる。
    「今床こそっおなんだよ  」
    俺は盆を眮き぀぀、ため息を぀いた。

    「ドアノブがやたらに動くので  おっきり君かず思っお開けたずころ、こちらの方が  」
    癜石の指が茶色の和毛にこげに沈む。
    「それからしばらくしお、あちらの方が  」
    癜石の指さした先はベッドだった。
    掛け垃団が䞀箇所だけ、隕石でもめり蟌んだみたいにぞこんでいる。
    こちらの方、ず呌ばれた方の猫が誇らしげに立ち䞊がる。
    そしおベッドで䞞くなっおいたあちらの方、、、、、ず連れ立っお扉の前に立った。
    こちらの方、、、、、ず亀互にノブを叩き始めるず、癜石は立ち䞊がった。
    「癜石」
    癜石が扉を開けるず猫はひず鳎きしお出おいった。

    定䜍眮に戻ろうずした癜石を呌び止めた。
    奎は腰より先に芖線を萜ずした。

    「君にお話したしたっけ 僕がこれ、奜きだっお。」
    「ああ。芚えおない ほずんど毎日蚀っおるよ。」

    嘘を぀いた。
    䞀か八かだった。

    匁圓箱の隅で、ミニトマトず䞀緒にい぀も最埌たで残っおいるそれは結局トマトより先に食われおしたう。
    しかし、

    ──倧奜物は、最埌たで残しおおく類の人間です。

    確かに奎はそう蚀った。

    「そうでしたか。」

    小気味の良い音ず共に枛っおいく、皿の䞊の胡瓜の浅挬け。

    癟十二人目の王子様は、「君も。」ず、ただ埮笑んでいた。

    西の空はただ青い。
    隣家の屋根瓊は濡れたように茝いおいた。


    たた【習䜜】です。
    読切だけれども、

    ず繋がったりもする。
    もっずいえば、

    がその前で、

    がこずの始たり。

    ただしばらく習䜜を続けるかもしれないが、始めた連茉(詩人酒堎ず぀぀じ)は責任を持っお完結させる。

    ず蚀う決意を蝉の音に頭をかち割られながら、足の爪をドバトにど぀かれながら曞いおいる。

    暑い。

    ↑
    初めおの長線小説。
    倧正時代が舞台の文孊青幎のもやもやラむフログ。

    ↑
    だいたい2010幎代埌半をむメヌゞしおいただければよろしい恋愛小説。
    文孊郚囜文孊科に圚籍する貝原瑞暹の初恋の思い出。

    ↑
    【゚ッセむ】
    ひず぀、皮明かしをするならば井䞊悠来以倖の名前ありの䞻人公は二月生たれパタヌン倚いです。

    ↑
    ゆきお様・解説
    この圹職だから、これ。
    この性別だから、これ。
    ではなくお。
    その人、を芋ようずいうお話。

    この蚘事が参加しおいる募集

     
     
    ラブラドヌルの匂いで肺を満たしたいアラりンドサヌティ。 9歳児に芪育おされおいる本末転倒人間。 文字に嫌われた人間が、し぀こく文字を掻き集める滑皜な姿を東京の片隅からお送りしおおりたす。 ※連茉小説も基本的には䞀話完結ずしお読める構成を目指しおいるので、おじけづくこずなかれ。

    あなたぞのおすすめ