
TikTokで5000万部。いま本を売っているのは出版社でも作者でもない「個人」|AI時代の創作メモ(#創作論 #TikTok #BookTok #本 #書籍化 #小説 #ラノベ #スコッパー #生成AI #画像生成AI)
こんにちは。こんばんは。
普段はラノベを書いている「うら表紙」と申します。
突然ですが、BookTokをご存じでしょうか。
TikTokの中で、本を読んだ感想やおすすめを紹介する動画につけられる「#BookTok」というハッシュタグから生まれた、巨大な読書コミュニティです。
私は最初、これを知った時、
「TikTokで本が売れるの?」
と、かなり意外に思いました。
TikTokというと、短い動画を次々と見る場所という印象が強かったので、じっくり時間をかけて読む「本」とは、あまり相性がよくなさそうに見えたからです。
ところが実際には逆で、BookTokはいま、海外の出版市場を動かすほど大きな存在になっています。
新刊が売れるだけではありません。
何年も前に出版された本が、誰かの「これ、すごくよかった」という一本の動画をきっかけに突然ベストセラーへ戻ってくることまであります。
その代表例として、とても面白いのが太宰治です。
『人間失格』が刊行されたのは1948年。
日本では「昔から有名な文学作品」という位置づけですが、今その『人間失格』が英語圏の若い読者に「私は太宰治に書かれた」という言い回しまで生まれるほど強い影響を与えています。
きっかけの一つには『文豪ストレイドッグス(日本のアニメ)』の影響があり、その後TikTokで太宰本人や作品について語る動画が広がりました。
2025年には英訳の新刊も相次ぎ、『人間失格』の新訳も刊行されるなど、亡くなってから70年以上経った作家に新しい読者が生まれています。
今の本の売れ方を考えるうえで、これはかなり象徴的だと思います。
2025年には、ヨーロッパだけでもBookTokで紹介された本が5,000万部以上売れたとされています。
これはもう、一時的なブームという規模ではありません。
少し前に私は、AIによって作品をつくれる人が増えても、人間が作品を読む時間は増えないというnoteを書きました。
作品が増えるほど、「何を読むか」を決めることの方が難しくなる世界です。
だからランキングの中から自分の代わりに作品を選んでくれるものの価値が上がるのではないか、と。
たとえば、小説投稿サイトのランキングを開いて、面白そうな作品が100本並んでいたとします。
でも、ランキングは人気の順番を教えてはくれますが、
「私にとって読む価値があるか」までは教えてくれません。
作品が増え過ぎた結果、「面白い」だけでは選ばれなくなる現象です。
そこを教えてくれるのが「BookTok」だったのだと思います。
「この人が薦める恋愛小説は自分に合う」
「この人が泣いた本なら読んでみたい」
「この人とは本の好みが近い」
作品が増え続けて、選べなくなる人が増えるほど、
選ぶ人に価値が移っていく。
実際、BookTokで大きく売れた作品には、出版社の広告よりも読者の推薦動画が何度も共有され、そこから売上が伸びたという例が数多くあるそうです。
これまでは、作品→読者だったのに、その間に「この作品を薦める人」が入るようになったのです。
作品そのものが足りなかった時代なら、面白い作品をつくることに価値がありました。
作品が増えた時代には、ランキングが「読む候補」を減らしてくれました。
今度はそのランキングの中から「自分にとって読む価値があるか」を教えてくれる人が大切になる。
私は、これからここがかなり大きくなると思っています。
作品はいくらでもある。
レビューもある。
星もある。
ランキングもある。
ありすぎるからこそ、
最後は「この人が薦めるなら読んでみよう」という判断に頼るようになる。
そこで価値を持つのは、何を薦めてきたのか。
薦めた作品を読んだ人が、実際にどう感じたのか。
宣伝だから薦めているのか、本当に好きだから薦めているのか。
そういう「好き」を突き詰めたところにある「信頼」の積み重ねです。
これは出版社でも、書店員でも、配信者でも、読書アカウントでも同じでしょう。
作品が溢れるほど、この傾向はさらに強くなるはずです。
だから、これから不足するのは作品ではありません。
不足するのは、
「この人のおすすめなら、私の時間を使っても大丈夫」と思える人。
もちろん、これは紹介する側だけの話ではありません。
むしろ、作者の側に絶対必要になるものでもあります。
そもそも、信用のない作者の作品を紹介しようと思う人はいないからです。
そう考えると、これからはおすすめしやすい「完結作品」の方が需要が高くなるかもしれませんね。
ここまでを踏まえると、書き手ができることは一つです。
今書いている作品をきちんと完結させること。
そうやって一緒にコツコツと信頼を積み上げていきましょう。
あとがき:
先日、カクヨムが「なろう系のスコッパーさん」にコラムを依頼し、その寄稿記事が公開されていました。それを読んでいて、「ついに日本でもスコッパーさんが表舞台で取り上げられるようになったのかぁ」と、時代の変化をしみじみと感じたんです。こうなると、これからは“書く人”より“選ぶ人”のほうが重宝される流れがますます強まるでしょう。有名スコッパーさんには仲介手数料が発生する未来も、案外すぐそこまで来ている気がします。いつの世も、生産者より中抜きがいちばん強い。そんな構造が、物語の世界にも静かに浸透してきたのだなと、妙に世知辛く思ったのでした。「もう書きたくない!」と思ったら、スコッパーに転生するのもアリかもしれません(笑)
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カランコロン

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