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「ググレカス」の次の時代。逃げるは恥だが楽になる。わかりやすい物語が強い理由|AI時代の創作メモ(#創作論 #Web小説 #なろう #カクヨム #文章術 #小説の書き方 #note #エッセイ #書籍化 #生成AI #画像生成AI)

    こんにちは。こんばんは。
    普段はラノベを書いている「うら表紙」と申します。

    「ググレカス」という言葉をご存じでしょうか。

    インターネットが今ほど身近ではなかった頃、分からないことは他人に聞く、自分で文献を調べる、が一般的でした。

    ところが検索エンジンが登場すると、分からないことはまずネットで調べるのが当たり前になりました。

    だから、以前のように分からないことを人に聞くと、

    「ググレカス」

    つまり、「それくらい検索しろ」と言われたわけです。

    でも、中には検索しても答えへ辿り着けない人がいました。
    いわゆる「検索が下手な人」です。

    同じことを調べても、欲しい答えに辿り着ける人と辿り着けない人がいる。

    たとえば、パソコンの調子がおかしい時に、

    「パソコン 変」
    と検索する人もいれば、

    「Windows10 カーソルが消えた」
    と検索する人もいる。

    後者の方が欲しい答えへ辿り着きやすいのは、検索する前に、

    「パソコンがおかしい」
    という漠然とした状態から、

    「Windows10を使っていて、画面からカーソルが消えた」
    というところまで問題を切り分けているからです。

    検索と一口に言っても、頭の中では意外と複雑なことをしています。

    何が分からないのかを把握する。
    自分はどんな答えが欲しいのかを考える。
    それを検索エンジンに通じる具体的な言葉へ変換する。

    この工程ができなければ、そもそも適切な検索ワードがつくれません。

    だから「検索力」や「言語化力」が重要だったし、それが重要だったから「言語化力」を扱う本がたくさん読まれていたのかもしれません。

    そして2026年の今。

    AIの普及によって、この工程を人間が全部やらなくてもよくなりました。

    「パソコンがなんか変なんだけど」
    くらいの曖昧な相談でも、

    「画面の表示がおかしいのですか?」
    「動作が遅いのですか?」
    「マウスカーソルが表示されないのでしょうか?」
    と、AIの側がこちらの意図を探ってくれる。

    自分でも何が分からないのか分からない状態から、問題を切り分けて言葉にするところまで手伝ってくれるわけです。

    人間側の能力が見事に代替されたとも言えます。

    それでラクになるならよかったのですが、どうもそうは問屋が卸さないようです(笑)

    少し前に、落合陽一さんと羽生善治さんの対談を見ました。

    その中で羽生さんは、AIには「気持ち悪い手が多い」と話していました。

    人間の定跡や経験則から外れた、おおよそ人間では予想できない手をさすのだそうです。
    それをされると、対局する側はその先を予測しづらくなる。

    これまでなら、「この局面なら、おそらくこう来る」という人間同士で積み重ねてきた経験から、次の展開をうっすらシミュレーションできました。

    ところがAIがその外側から手を出してくる。

    何が正解か分からない。
    この手を選んだ先に何があるのかも分からない。
    それでも、次の一手は選ばなければならない。

    私はこの話を聞いて、AIによって人間に必要な能力そのものが変わったんじゃないかと思ったんです。

    検索エンジンの時代には、正しい答えへ辿り着くことが難しかった。

    AIは、そこをかなり助けてくれるようになりました。

    ところが今度は、AIが一つの問いに対して複数の可能性を出せるようになったことで、そもそも何が正解なのか確定しない状態が増えました。

    確信できないこと自体が異常なのではなく、それが普通の状態になっていくのかもしれません。

    考えてみれば、私たちが今暮らしている社会そのものがそんな感じです。

    日本の景気はこの先良くなるのか。
    今ある仕事はAIに奪われるのか、それともAIによって新しい仕事が増えるのか。
    物価はどうなるのか。
    世界情勢は落ち着くのか。

    だから、人々は、分かりやすくて自分を安心させてくれるものに精神の安定を求めるようになってきていると感じます。

    推し活、ラノベ、スピリチュアル、陰謀論、底辺系ナラティブ。

    もちろん、それぞれ中身も目的も全然違います。

    ただ、不安定な現実の中で「自分はここにいていい」「世界はこういう仕組みなんだ」「自分が苦しいのはこういう理由なんだ」と、複雑なものを分かりやすい形にしてくれるところには共通点があります。

    未来が分からない時ほど、人は何かを信じて安心したくなる。

    これはかなり自然な反応だと思います。

    しかし、世の中はこれからますます不安定化していくと思います。

    そうなればなるほど、人はますます確実なものを求め、そこに精神を避難させるようになるでしょう。

    だからこそ、これから希少になるのは、不確実性に耐えられることそのものなのだと思うのです。

    昔は、「自分で検索して答えへ辿り着ける人」が強かった。
    でも今は、その部分をAIがかなり肩代わりしてくれます。

    すると今度は、答えがまだ決まっていない、どちらが正しいのかも確信できない。
    それでも進み、進んだ先で必要なら変更する力が求められるようになった。

    不確実なまま考え続けられること自体が、人間側の資本になる。
    今の社会を見ていると、私はそんな未来を想像します。


    あとがき:
    AIが生活の中に深く入り込むようになって、もうかなりの時間が経ちました。世間では「どんな仕事が奪われ、どんな仕事が残るのか」という議論が絶えず続いています。若い世代では検索よりAIに尋ねることが主流になり、ますますAIなしでは生活が成り立たない状況になりつつあります。そんな中、最近話題になっている犯罪があります。AIが提示したURLをクリックすると、本物そっくりの詐欺サイトに誘導される――つまり、詐欺師がAI検索に最適化した偽サイトを紛れ込ませている、という手口です。AIを攻略し、検索結果に紛れ込むように偽サイトを作り込む詐欺師たち。「仕事が奪われるかどうか」以前に、犯罪者の方がAI活用について一枚も二枚も上手だったという現実が浮き彫りになった気がします。皆さんもAIが提示するリンクを不用意に踏まないように気を付けてくださいね。


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    書籍化作家で、マーケター歴20年。 なのに中身はだいぶ繊細気質。 創作の裏側や、読まれる仕組み、時々ちょっと人生の話。 うまく言えない感情を、言葉にしていく場所です。

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