
ランキングがプラットフォームを痩せさせる。「今売れる」に強いほど、「次売れる」に弱くなる。Web小説投稿サイトの未来|AI時代の創作メモ(#創作論 #web小説 #なろう #カクヨム #note #文章術 #エッセイ #書籍化 #生成AI #画像生成AI)
Xを眺めていると、ときどきこんな質問を見かけます。
「文芸を投稿するなら、どこのサイトがおすすめですか?」
「ラノベではない小説を投稿できる場所ってありますか?」
気になってコメント欄まで見に行くのですが、
「なろうなら、まだカクヨムよりは読まれやすいです」
という回答がほとんど。
あります、ではなく。
「まだマシです」という状況。
私はここに、今の小説投稿プラットフォームの硬直化を感じます。
こんにちは。こんばんは。
普段はラノベを書いている「うら表紙」と申します。
少し前に私は、
AIによって「つくる」力だけが増えて、人間が作品を受け取る時間は増えないなら、これから希少になるのは「選ぶ力」なのではないか、というnoteを書きました。
これって実は、プラットフォームでも同じ問題が起こるのですよね。
当然ですが、すべての作品をユーザーへ平等に紹介することはできません。
130万作品とかあるのだから、それはそうです。
だから、
ランキングをつくる。
おすすめを出す。
タグで分類する。
読者が反応した作品を、さらに見つけやすくする。
そうやって「選びやすさ」をつくりました。
これは読者にとって、とても親切な仕組みです。
私だって、100万作品を一作ずつ検分して選びたいとは思いません。
ただ、この仕組みがうまく機能するほど、別の問題が起こります。
よく読まれる作品は、さらに見つけやすくなる現象です。
たとえば、異世界転生がよく読まれる。
するとランキングに異世界転生が増える。
ランキングを見た書き手も、
「ここでは異世界転生が読まれるんだ」と考えて書く。
作品が増えれば、異世界転生を読みたい読者も集まる。
その読者がさらに作品を読むので、
ランキングにもおすすめにも、また異世界転生が増える。
もちろん、異世界転生が悪いという話ではありません。
需要があるから増える。
読みたい人がいるから、プラットフォームでも見つけやすくする。
とても自然な流れです。
でも、この状態が何年も続いたらどうなるのでしょう。
異世界転生や悪役令嬢など、すでに読者の多いジャンルはますます作品数も読者数も増えていく。
一方で、文芸やライト文芸寄りの作品、既存の人気ジャンルに当てはまらない小説はどんどん人目に浮上しにくくなっていきます。
すると、その作品を書く人が減る。
そして、それを探していた読者も来なくなる。
プラットフォームに残るのは、そこで読まれやすい作品を書く人と、それを読みたい人だけです。
その状態になった時、
プラットフォームはどうなるのでしょう。
おそらく最初は、好調に見えるのではないかと思います。
人気ジャンルの作品がたくさんある。
それを読みたい読者もたくさんいる。
おすすめを出せば読まれる。
ランキング上位から書籍化作品も出る。
読者が何を求めているか分かりやすいので、プラットフォーム側もサービスを改善しやすい。
かなり効率のいい市場です。
ただ、その中では別の競争が始まります。
みんなが同じ大きな需要を狙うので、
今度は人気ジャンルの中で作品が増えすぎる。
異世界転生を読みたい人は多い。
でも、異世界転生を書く人も大量にいる。
すると、
異世界転生だから読まれる、
では足りなくなる。
同じジャンルの中でランキングに入り、
おすすめに表示され、
その中からさらに選んでもらわなければならない。
市場は大きいのに、競争はどんどん激しくなる。
まるで地獄ですね。
そして、その頃には異世界転生以外を書く作者も読者もすっかりいなくなっている。
プラットフォーム全体で見ると、
人気ジャンルには大量の作品が集中して過当競争が起きる。
しかし、それ以外の作品は読む人がほぼいない。
そんな状態になると思うのです。
そして、もう一つ気になることがあります。
そのような状態の中で、新しい流行はどこから生まれるのでしょう。
異世界転生だって、
最初から出版社や巨大プラットフォームが「次はこれを流行らせよう」と決めて生まれたものではありません。
それまで商業出版の中心ではなかった作品を、
たくさんの人がネットに書いた。
それを読者が読み、
似た作品が増え、
少しずつ共通した型ができて、
やがて巨大な市場になりました。
つまりWeb小説の強さって、
売れると分かっているものを大量につくれることだけではなく、
「まだ売れると分かっていないもの」を試せることにも大きな意味があったはずなんですよね。
ところが、
読まれるジャンルが固定され、
そこから外れた作品ほど投稿されなくなるなら、
その実験場としての強みはなくなります。
今売れているものを見つける力は強い。
でも、次に売れるものが生まれる場所ではなくなっていく。
もうそうなりかけていますよね。
だからこれからの小説投稿プラットフォームは
「すでに需要が確認されているジャンルの作品が大量に集まり、その中から特に強い作品を選ぶ場所」へと固定化されると思っています。
言ってしまえば、人気市場の選抜施設になっていく。
この状態はプラットフォームにとって、必ずしも失敗ではありません。
そこに大勢の読者がいて、
書籍化やコミカライズにつながる作品が次々見つかるなら、
事業としては十分に成立するからです。
むしろ、しばらくは今より強くなるかもしれません。
ただ、その代わり、
主流以外の作品を書いている人は最初から投稿しなくなります。
主流以外の作品を読みたい人も、最初から探しに来なくなる。
ここまで進むと、
ランキングやおすすめを改善しただけでは、多様性は戻りません。
載っていない作品はおすすめできないし、
来なくなった読者の好みもデータには残らないからです。
皮肉ですよね。
かつてWeb小説は、
既存出版では拾われにくかった作品が集まることで、新しい市場を生み出しました。
でもWeb小説そのものが成熟した結果、
今度はそこに適合しない作品が流出していく。
もし今後、まったく新しい小説の流行が生まれるとしたら、
それは巨大なプラットフォームのランキング上位からではなく、
そこから押し出されてしまった作品の中から生まれる可能性の方が高いのではないでしょうか。
そしてその時、今のプラットフォームは、
外で生まれた新しい需要を自分の方へ引き寄せられるのでしょうか。
小説投稿サイトのこの先を考えた時、私はそこがいちばん気になっています。
あとがき:
実は、ダッシュボードが変わってから一番影響を受けたのは私自身かもしれません。正直に告白すると、少し前までは「かたい話題」を書く時、かなり慎重になっていました。こういう話はどこまで深掘りしていいんだろう、もう少し感覚的に伝えた方が読みやすいかな、とか考えて書かなかったことも多いです。でも、IMPは低くてもPV(読んでくれた人がいるとわかって)があると分かってから、気持ちが変わりました。「だったら、もう少し分析的なことを書いてみてもいいのかも」と思うようになって、最近は以前より構造の話やロジックの部分も出しています。ただ、油断するとすぐ下品な論文みたいになるので、そこはうちのAIさんに止めてもらっています(笑)皆さんはダッシュボードで心境に変化とかはありましたか?
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カランコロン

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