
【回復の記録㉗】回復すると、先祖のことまで気になってきた。|私、どうやら平家側らしい
回復の記録|鎧を脱ぎ、愛へ還るまで 27話目。
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回復の記録㉖ 雲の上に浮かぶ|安心という土台で、存在ごと愛される(前回記事)
BGMを流しながらどうぞ。
今まで、歴史とか過去には、あまり興味がなかった。
日本史はほとんど知らないし、高校の選択授業は世界史を選んだ。
「昔のことを知ったところで、今の自分が変わるわけでもない。」
そんなふうに思っていたから。
目の前の生きづらさを抱え、今日を生き延びることで精一杯だった頃は、自分の過去や先祖のことなんて考える余裕すら見出せなかった。
けれど、回復が進み、心の深いところで安心感を受け取れるようになってきた最近、ふと思うようになった。
「自分のルーツって、案外大事なのかもしれない」と。
どんな環境で育ったのか。どんな傷を負ったのか。
その経験が、今の自分にどんな影響を残しているのか。
そこからさらに遡って、どんな家系だったのか。
どんな人たちが時代を生きて、この血を繋いできたのか。
そんなことまで、気になり始めたのだった。

親戚という別世界
母が消えたのは十歳の頃だったし、私は一人っ子だったこともあり、大人になるまで親戚との関わりがほとんどなかった。
父の姉の子どもたちや、その孫たちと関わることはあった。
兄弟が多くて、いつも人がたくさんいた。
一人っ子だった私からすると、まるで別世界。
正直、羨ましかった。
「こういう家族もあるんだな」「うちとは違いすぎる」と、少し離れたところから見ていたような感覚だった。
そんな私が最近、母の兄弟たちと会って話す機会があった。
そこで、ふと思った。
「母と似ているところがあるな」
顔とか、話し方とか、ちょっとした仕草とか。
考え方とか生き方、雰囲気のようなもの。
性格がすべて同じというわけではないけれど、血の繋がりというものの不思議さを、身体の感覚で理解した瞬間、「ああ、血ってあるんだな」と思った。
平家側だった
せっかくなので、母方の家系についても聞いてみた。
ただ、昔のことなので、詳しいことまでは分からないそうだ。
その中で聞いた話。
うちは源氏ではなく、平家側だった
父方にも、以前から「遡ると平家の落武者だった」という話を聞いていた。
どこまでが真実で、どこからが口伝なのかは分からない。
古い家系の話というのは、記録だけではなく、代々伝わってきた話や土地の記憶も混ざっているもの。
だから、ここは、
「そういう話が家に伝わっている」くらいに受け取っている。
ただ。
両親の家系について、どちらからも似たような話を聞くと、
「へえ……」となる。

源氏と平家
そこで、ちょっと調べてみた。
ものすごくざっくり言えば、平安時代末期の源平の対立には、武士としての勢力拡大だけではなく、朝廷や貴族社会との関係、政治的な権力争いなど、いろいろな要素が絡んでいるようで、
「源氏は武士、平家は貴族」とだけ分けてしまうのは正確ではないらしい。
けれど、私の頭の中の平家のイメージは、
華やかさ。都。文化。政治。権力。そして、貴族的な雰囲気。
一方で、源氏のイメージは、
武士。土地。戦。実力。現場。実業的な雰囲気。
もちろん、これは無知な私がものすごく雑にイメージ化したもの。
でも、
「……なんか私、平家っぽい気がする」と思った。
そういえば若い頃は、「お嬢様っぽい」とか「育ちが良さそう」とか言われることがよくあった。
中身はこんななのに。女子校出身だからかなと思っていたけれど。
もしかしたら、血筋の気質も、どこかで関係していたのかもしれない、と思ったりした。
そして、改めて考えてみると。
夫側の両親も、どちらかというと平家っぽい気がする。
義母なんて、もろに姫様タイプだ。
上品で、所作もきれいで、めちゃくちゃ育ちの良さを感じさせる。
そして夫も、そんな義母の上品さをちゃんと受け継いでいる。
私より、ずっと上品だ。
……あれ?
私たち夫婦、平家側なのでは?

「こいつ、偉そうだろ」
そういえば以前、父が夫に、私のことを、こう言っていた。
こいつ、偉そうだろ
失礼な話だ。まあ、否定もしないけど。
「甘やかして育てたのはあんただろ」とも思いながら。
たしかに私は、納得できないことに対して、
「それ、なんで?」となりやすい。
人から言われたことを、そのまま受け取るのも苦手。
自分なりに考えて、「いや、こっちじゃない?」と言いたくなる。
そして父も、相当偉そうだった。
小さな会社とはいえ社長をやっていたから当然かもしれないけれど、譲れない芯と妙なプライドを持った人だった。
納得感へのこだわりや、安易に人に屈しない頑なさは、父から譲り受けたものなのかもしれない。
そして、もしかすると父も、そのまた前の世代から何かを受け取ってきたのかもしれない。
自分が「偉そう」に見えてしまうのも、どうしようもなく我が強いのも、
「ああ、そういう血筋なのかもしれないな」 と、少し面白がりながら受け入れられるようにはなってきた。
血筋のせいにするには、まだ証拠が足りない……とは思うけれど。

どこから来たのか
もちろん、
「私は平家の血を引いているから、こういう性格なんです」
と言いたいわけではない。そんな単純な話ではないとは思う。
性格は、遺伝だけで決まるものでもない。
育った環境も、経験も、人との関係も、自分自身の選択もある。
ただ、回復のプロセスの中で「私はどこから来たんだろう」と問いを投げてみることには、とても大きな意味があると感じている。
自分がどんな家庭で育ったのか。
両親はどんな人だったのか。
その両親は、どんな家で育ったのか。
さらにその前には、どんな人たちがいたのか。
今まで「自分ひとりの問題」だと思い詰めていた「生きづらさ」や「性格の癖」が、 長い歴史という時間軸の中で考えることで、ふっと肩の荷が下りる感覚があるのだ。
傷も。頑固さも。価値観も。そして、譲れない美学も。
すべては私ひとりから始まったわけではなく、大きな流れの中で受け継いできたものなのかもしれない、と。
平家っぽい紬
ちなみに、本音を言うと、
母方の兄弟から聞いた話をきっかけに
「平安貴族っぽくドヤ顔をする紬」のイラストを描きたくなった
というのが一番のきっかけだったりするのだが。笑

でも、こういう「なんとなく自分に繋がっている気がするもの」を拾っていくのも、回復の一部なのかもしれないと思う。
過去を掘り返して、傷を探すためだけじゃない。
辛かった記憶の認識を変えるためだけでもない。
「私は、どこから来たんだろう」と眺めてみる。
その先に、今まで気づかなかった自分の一面や、愛おしいルーツが見つかるかもしれない。
もし本当に平家の流れを引いているのなら——
私が少し偉そうで、納得いかないことに首をかしげてしまうのも、
血のせいかもしれない。

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