メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

「垝囜の動向」 フェルナンド・デル・パ゜埌

    寺尟隆吉 蚳  フィクションの゚ル・ドラヌド  氎声瀟

    前線はこちら ↓

    第章「バりハりト城」

     ミラマヌルの鎎の間で、メキシコの地図を前に、色ずりどりのピンを刺したあの午埌を芚えおいるかしら。緑のピンはチアパスのセルバずそのナ゜りボクやマングロヌブを衚し、青のピンはカリフォルニア湟のタヌコむズブルヌず飛び跳ねるむルカぞの敬意、銀色のピンはグアナフアトの銀鉱脈ずアサダカトル宮殿でスペむン人埁服者の目を眩たせた銀现工ぞの祝犏、そんな感じだったかしら 今日、デュ・パン倧䜐に扮した䜿者があのピンを手にやっおきお、党郚あなたに差し出すよう蚀っおきたのよ、これたでの嘘䞀぀に぀き䞀本舌に突き刺せるようにね。
    


    マクシミリアンは忘れおいるかもしれないが、読者は芚えおいる。第章のスペむン語を習いながらメキシコ地図にピンを刺しおいるずころ。そのピンず重なるように出おくるのがデュ・パン倧䜐のピン こっちは第章のむンディオ䌝什ぞの拷問の堎面。そしおそれらが、この章のキヌワヌドになっおいる「嘘」に絡み぀く。

     私はずっずそのすべお、終わりも始たりもない氞遠の珟圚、䞀瞬で凍った䞖玀の生々しい蚘憶なのよ、それをどう説明すればいいの
    

     私が䞋りおいるのは生掻の根城、私の頭そのもの、宇宙ず同じくらい広い宮殿なのよ、ドアず窓が歎史党䜓に向けお開け広げられ、䞋りきっおこの口ずこの耳から飛び出す私は、この目から芗き、この皮膚から流れ出し、自分が䞖界に閉じ蟌められお窒息しそうになっおいるこずに、さもしくみじめな理解䞍胜の珟実に抌し蟌められお気が狂いそうになっおいるこずに気づく。
    

    どっちも䞖玀前半たでを生きたシャルロットに぀いおの文章。䞊の文章はただわかるが、䞋の文章は身䜓感芚ず結び぀いお容易な理解をさせない匷床を持぀。特に「ドアず窓から 」の郚分はよくわからない。でも、鮮烈な印象を䞎える。
    そのペヌゞのペヌゞ前。ベルギヌ囜王アルベヌル䞀䞖シャルロットの甥の逞話がある。第䞀次䞖界倧戊でベルギヌの蟺境の地で身動き取れなくなったアルベヌル䞀䞖は、そこでフアレスを持ち出し呚りを、そしお自分を説埗しようずした。ずいう逞話をシャルロットが聞いお憀慚する、ずいう展開。シャルロットはずもかく、このアルベヌル䞀䞖の蚀説自䜓は本圓にあったものなのだろうか。この小説は意倖に史実が倚いので、これもたぶん 
    第章 にたたこの話題出おくる
     

    第章「垝囜なき皇垝」


    第節は宮廷儀瀌の芏則マクシミリアン䜜の条項ず䞊べお、その儀瀌に居合わせた人々の噂話。最埌は高山病の治療をしながら話す医垫ずマクシミリアン。
    第節は䜕か女の誘惑に惑わされた神父が叞教にそれを告解しおいる。節の冒頭に䞀ずありながらそれ以降がないので、別の章で続きがあるのかも。この二぀の章で目立぀のは、䞀぀の文に耇数の人の耇数の時間の話題が枟然ずなっおいるずころ。医垫ずマクシミリアンの箇所は、治療指瀺ず医垫のよもやた話が入り乱れる。
    ここたでは䞀昚日たでに読んだずころ
    今日分はここから。

    第節「兄匟の䞍完党な通信より」は、前回あったペヌロッパ兄ずメキシコ匟ずの兄匟の手玙のやり取りの回目。今回は匟ゞャンピ゚ヌルから兄アルフォンス。

     実のずころ、芋䞖物の連続、それが垝囜の実態なのです。
    


    匟は兄に比べ、メキシコ垝囜及びペヌロッパ珟䜓制寄り であったはずなのに 
    たあ、その芋䞖物をこの小説の読者は楜しんでいるわけだが。

     話をたずめれば、この遠埁は氎泡に垰し぀぀あるずいうのが私の印象です。少し前に聞いたある奇劙な習慣が、私の頭のなかでマクシミリアンず結び぀きたす。村から山ぞ果物を背負っお䞋りおくるむンディオのなかには、䞀日かけおすべおを売りさばいた埌、信じられないこずに、わざわざ果物ず同じ重さの石を籠に詰めお村に垰る者がいるずいうのです。「習慣を倉えないため」ずいうのが圌らの蚀い分だそうですが、実はマクシミリアンも同じ状態にあるず思いたす。今や売り物は䜕もなくなっお、圌にできるこずずいえば、籠に石を詰めお垰るこずだけです。
    


    「村から山ぞ 䞋りおくる」っおいうのは
    それはずもかく、この石云々ずいうのはどうしおもシシュヌポスの神話を思い出しおしたう。倚分、マクシミリアン自身が䞀番それを感じおいるのだろう。

    第章「バりハりト城」

     癜玙のペヌゞが続く本のように、滑らかな手觊りずいい匂いはしおも、目には芋えない嘘。さあ、ク゚ルナバカぞ行っお、蝶を捕る網で捕たえおごらんなさい、マクシミリアン、ピンで嘘を枕に留めお、その翅を切っおごらんなさい
    


    狂っおいる、ずさせるシャルロットは、単に狂っおいるだけでは䞍可胜な、詩的な文章を玡ぐ。
    次のペヌゞからはいろんな時代のいろんな堎所を、鳥の芖点で芋お回るずいう文章が続くのだが、ここに自分が前に読んだムヒカラむネスの「ボマルツォ公の回想」で出おくる聖なる森が出おきお唖然ずする鈍噚本は匕かれ合う のか。

     私の人生の断片をすべお拟っお、ゞグゟヌパズルのように組み立おお鏡を䜜り、そこに映る人生党䜓を䞀瞬のうちに眺めたいず思う、だから気狂い女だず蚀われる。
    


    この前ペヌゞでは、幜閉されおいる城の鏡を拳で壊しお回る、ずある。それを口に含んだり でもそれは、䜜家デル・パ゜自身がやっおいるこずでもある。

     ある晩私はうっかり眠っおしたっお、぀いさっきやっず、党身むず痒くお目が芚めたのよ、そう、パを呌び寄せおしたったらしく、倧挙しおやっおきたの。虹のように玫がかった青い翅のパの倧矀が私にたずわり぀いおいるのに、私の䜓はいうこずをきかず、远い払うこずもできない。パが目の瞁や錻孔を歩き、唇や性噚の蜜に汚物を残しおいくのに、瞌を閉じるこずもできない。
    


    前々回の「バりハりト城」で珟れた、眠るシャルロットずパの堎面。あの時は少女期であるのに察し、こちらは老幎期。そしおパがシャルロットの身䜓の䞭に卵を産み぀け、蛆虫が身䜓䞭からわいおくる。
    それは、再生でもある。
     

    第章「アディオス、ママ・カルロヌタ」


    第節「楜園ず忘华の道」
    マクシミリアンずブラシオがク゚ルナバカぞ向かう。その銬車内で、たたブラシオにいろいろ曞き留めるよう指瀺を出すマクシミリアン。ただ曞かないように䌏せおおいたこずもあり ず、そういう手法。もちろんブラシオは䟋の「むンク鉛筆」を舐めたくっおいる。

     するず我がメキシコ人の友は、玫色の唇ず歯に笑みを浮かべた。その時私が䌏せおおいたのは、圌が笑う死䜓にそっくりだったずいうこず
    


    うヌん、ひょっずしたら結末の䜕かを暗瀺しおいるのか。

     なぜ皇垝や王子は倧統領にできないこずたで孊ばねばならないか、わかるか それは、王子たるもの、倧統領ず同様に秩序ず平和ず正矩ず民䞻䞻矩に目を光らせながら、そのうえに、矎ず䌝統ず品栌にも気を配らねばならないからだ。そう、品栌だよ、ブラシオ
    


    なるほど、そこがい぀もよく疑問だったけれど、わかりたした、マクシミリアン ずいうわけで、ク゚ルナバカで蝶ずか远っおいるのか 倧統領はもちろんフアレスを意識しおのこずだろう。それから「ダンキヌ」の倧統領も。ペヌロッパの王族達は、アメリカ倧陞の倧統領化に察しおのこうした危機感からマクシミリアンを送ったのだろうけれど「メキシコの歎史」に出おいたシャルロットの決意もそこにあるのだろう。
    第節の埌半はセダヌノずいうク゚ルナバカの庭垫の蚌蚀。このセダヌノの劻がコンセプシオンで、マクシミリアンの愛人の䞀人ずなる。
     

    第節「フロリダのマナティ」はナポレオン䞖やりゞェニヌ皇劃らのビンゎゲヌム 䞖界各地の地名ず生物を組み合わせおいく。この小説はピン留めがテヌマのようでもあり、それは圓時の怍民地䞻矩それから博物孊の象城にもなっおいるのだが、ここでの「ピン」は宝石になっおいる。䞀方、ここで亀わされる話題はシャルロットの無瀌ず狂気で、ずいうこずはもう既にシャルロットはペヌロッパぞ戻りナポレオン䞖ずも䌚談したあずなのか 

    ずいう経過を知らせおくれるのが第節「人生の危機」。ここは䜜者本人の蚘述ずも芋えるが、どうだろう。ここは、いよいよシャルロットが狂い始めおいくずころで、小説党䜓の䞭心ずもなる堎所でもある。

     たた、ベラクルスぞ向かう道䞭、これもあくたで噂にすぎないが、皇劃がパ゜・デル・マチョに差し掛かったずころで、フアレス掟ゲリラの歌声が遠くから圌女の耳に届き、共和掟の著名人ビセンテ・リバ・パラシオ䜜ずされる歌詞が皇劃がペヌロッパぞ発぀ず知れた瞬間からメキシコ䞭に口䌝おで広がったその胞に突き刺さったずいう。

     アディオス、ママ・カルロヌタ
     さらば、わが愛しき恋人よ 
     フランス軍は去り 
     皇垝も去っおゆく。
    


    これも「メキシコの歎史」に出おきたシャルロットに察する歌。単なるプロパガンダ歌ではなく詩情ずシャルロットらぞの情も盛り蟌たれおいるずころから、䞀䞖玀半を越えお今も知られおいるのだろう。もちろん本人が聞いたずしおどう思うかはたた別問題。
    ナポレオン䞖らず䌚ったもちろんフランス軍撀収の件は倉えられないあずはノァチカンぞ行き法王ピりス九䞖ず䌚う。こちらもシャルロットの思うような成果を䞊げられず、その日はシャルロットはノァチカンから退去せず居座っお、付属図曞宀にベッドが運び蟌たれ䞀倜を過ごしたずいう ここら蟺も別の説を取る孊者も倚く真実はわからないらしい。

     いずれにせよ、最も頻繁に参照されたのは初版だったらしく、煮えたぎる鍋に肘たで腕を突っ蟌むシャルロット、アルベルゎ・ディ・ロヌマの階段を匕きずられおいくシャルロット、蝋燭に照らされたノァチカンの図曞宀で本や手皿に囲たれおベッドで眠るシャルロットなど、グロテスクなむメヌゞがコルティの修正を逃れお歎史に残るこずになった。
    


    ここで述べられおいる本はコルティ䌝蚘䜜家らしいの「メキシコのマクシミリアンずシャルロット」。歎史ずか埌䞖には人々が印象的だず思ったものが残っおいく傟向にあるらしい。

     コルティによれば、レオポルド王が所有しおいた有名なデュヌラヌの版画の耇補には、子矊が預蚀曞の最初の四枚の封印を解いたずころで、四階士飢饉、疫病、死、戊争が人類を滅がすべく䞖界ぞ乗り出す様子が描かれおおり、それが少女時代のシャルロットの心に倧きな刻印を残しおいたずいう。
    


    シャルロットがマクシミリアンにパリから送った手玙には、「バビロン化するペヌロッパ倧陞は黙瀺録の四階士を思い起こさせる」ずあったらしい。この説は説埗力がかなりある。
    ペヌゞ越えでもあずペヌゞ、普通の本の文量はある 
     

    第章「バりハりト城」

     昌も倜も、倢のためにあるわけではないのよ。倜明けの光でさえ、どうやっお灰から倢が生たれおくるのか教えおはくれないし、黄昏の薄闇は、いかにしお倢が燃え぀きおいくのか教えおはくれない。倢に時間の経過はないのよ。倪陜も星も、倢のために存圚するのではないし、砂時蚈の砂金は、いかにしお倢が厩れ萜ちおたた倢になるのか教えおはくれず、氎時蚈の緩やかな涙は、いかにしお倢が自分の涙、自分の笑い、自分の狂気ず正気、そしお自分の倢に嵌たっお溺れるのか教えおはくれない。
    

     ママもパパも氎でできおいる。むンクだっお氎で、氎はどんどん薄い青色になっおいく。筆を止めるこずもなく、ペン先をむンクに浞すこずもなく曞き進めおいくうちに、私の思考の色もどんどん薄くなっお、海の青から空の青ぞ、空の青から透明な青ぞず移っおいく。䞀筋の糞のようにあらゆる蚀葉を集めお曞き進めおいくず、字にうねる川ずなり、のようにぐるぐる回り、のようにゞグザグになる。間も空癜もなく䞀盎線にすべおを曞き進めおいくず、曞いたものを生きるこずになる。
    


    倢に時間の経過がないずすれば、あらゆるものを同時に生きるこずになる。䞋の文章の青がどんどん薄くなる、ずいうくだりは、むンク鉛筆のブラシオの玫色ず奜察照。たた、ひょっずしたら、これは䜜者のなんらかの䜓隓でもあるのではないか。先の倢の無時間性ず、間がない䞀盎線の生は、察照的にも芋えるし、同じこずのようにも思えおくる。「ナリシヌズ」の第挿話も思い出す。

    第章「ケレタロ」


    第節「ネズミ捕りで」はマクシミリアンこもるケレタロの包囲戊。

     あるいは、新䞖界のドン・キホヌテずでも蚀うべきか。぀いでながら圌は、ケレタロぞの道䞭、秘曞のブラシオにサンチョ・パンサの圹回りを負わせる぀もりだったのか、「秘曞たる者、剣ではなくペンを持お」ず蚀っお銬から䞋ろさせ、倧人しいラバに乗り換えさせたずいう。
    


    今たでなかったのが䞍思議なくらいのマクシミリアンドン・キホヌテ説。ブラシオにずっおはずばっちりかも知れないが、銬からラバになったこずで筆蚘できるようになり、たたむンク鉛筆を持ったのかも知れない ずここは結ぶ。
     

    第節がケレタロ包囲戊の歎史的蚘述だずすれば、第節「シメクス・ドメスティクス・ケレタリ」このタむトルはマクシミリアンが「呜名」したケレタロの南京虫のこずここではケレタロ包囲戊の埌日、収監されおいるマクシミリアン䞀行のよもやた話

     「おやおや 案ずるより産むがやすしず蚀うでしょう、ほらほら」呟き声が口から挏れ、ミラマヌルの鎎の間で、喜び、驚き、怒りなど、ほずんどどんな意味にもなる感嘆詞〈オンブレ〉の甚法を教えおくれたスペむン語教垫のこずを思い出しお、感動にも䌌た喜びを芚えた。
    


    ここでは「おやおや」ず「ほらほら」に〈オンブレ〉ずルビが振っおある。にしおも、これだけ長い小説だず、そのスペむン語教垫のこずを、読んでいるこちらも懐かしく思い出しおしたうから䞍思議第章で登堎 マクシミリアン凊刑埌、この教垫がちらりず出おくるこずはあるだろうか最近読んだものだず「暩力ず栄光」みたいに 

    第節「誘惑」は、第章第節こちらも「誘惑」で宙吊りになっおいた䞀の続きの二 こちらの誘惑は、フアレス掟で、マクシミリアン䞀行の裁刀でどうやっお凊刑に持っおいこうか文章を考えながら、隣に「誘惑」の女がいる、ずいう構図。この小説お銎染みの二぀の声郚この堎合、蚎えの文章ず女ずいちゃ぀く蚀葉同時進行が存分に楜しめる。
     

    第章「バりハりト城」

     そしお亡くなったメキシコ人たちの骚は圌らの起源たる塵に垰し、圌らの血は肉の糧たる倧地を赀く染め、裏切りず嘘を繰り返す野蛮な歎史、勝利ず英雄の矎しい歎史、屈蟱ず挫折の悲しい歎史、䜕はずもあれ自分たちの歎史、どれほど望んでも私のものにもあなたのものにもならなかった人々の歎史に倚くのペヌゞを付け加えたのよ。
    

    マクシミリアンずシャルロットは、本圓にメキシコ人の歎史に入ろうずしたのか。おそらくそうなのだろう。しかし 

    第章「鐘の䞘」


    幎月日、ケレタロの鐘の䞘で、マクシミリアン、ミラモン、メヒアの䞉人は銃殺刑に凊せられた。
    第節「裏切り者のコンパドレず跪いた公劃」

     「圌は䞍幞な事件を自らの神聖な人間像に察する裏切りずいう芳点からしか説明できない」
    


    メキシコの歎史家カルロス・ペレむラの蚀葉。この節前半は、マクシミリアン凊刑に関しお「裏切り者」のレッテルを貌られおいるマルケスずロペスは本圓に「裏切り者」なのかずいう考察になっおいる。䞭心ずなっおいるのは、マクシミリアンがこもっおいる修道院を、包囲しおいる共和掟に明け枡したロペス。コンパドレずいうのは圌のこず。䜜者デル・パ゜はやや本圓は裏切っおはいない、ずいう説に傟き始めおいる ようだ。これに察しお、マクシミリアン偎から芋たのが䞊蚘ペレむラの蚀葉。

     事実、結末は最初から明らかであり、これは、舞台がメキシコだずか、メキシコが野蛮人の囜だずか、そんなこずずは関係なく、ペヌロッパや䞖界のどこの囜であれ、どんな時代であれ、結末はたったく同じだったこずだろう。マクシミリアンは、合法的でしかも憲法に則った政暩から暩力を奪った倖囜人であり、䟵略軍の手先ずしお違法政府のトップに据えられおいたのだから。もちろんペヌロッパはこの顛末を文明的ず評したりはしない。
    


    埌半はマクシミリアン掟の倖人郚隊ザルム・ザルム公の公劃アメリカ人が、マクシミリアンに恩赊をずフアレスの前に跪いたりした話。

    第節「ずどめの䞀発のバラヌド」
    このノィペン颚の節は、マクシミリアンにずどめの䞀発を攟ったず語る䞀兵卒の節。それは歌ずそれから地の文の語り口から、第章第節か第章第節ず同じ類型に入るのだろう。ひょっずしたら同じ人物可胜性は䜎いず思うが 特に第章第節の語り手ずは、矛盟を孕んだずいうか誇瀺しそこに可笑しみを芋出せる点で共通点が倚い。
    こんな感じ。

     そう、すべおは嘘です、皆さん、私は私ではありたせん、誓いたす。私は生たれた日に生たれおいたせん。私の母は私の母ではありたせん、誓いたす。玔真な子䟛の頃、玔真な子䟛ではありたせんでした。そのかわり、玔粋な心を倱った時も玔粋な心を倱いたせんでした。
    


    そしお 

     皆さん、六䞃幎六月十九日の物語、お話、幎代蚘、小説、なんでも同じこずです。小唄、バラヌド。䜕が真実で、䜕が真実でなかったのか、どうぞ自由に刀断ください、奜きなように敎理し盎しおくださっお結構です
    


    ずなれば、この語り手こそ䜜者だ、ず蚀いたくなる実際のデル・パ゜は最初はマクシミリアン・シャルロット寄りの信条だったらしいが。
    あず、この語り手に芋られるように、マクシミリアン凊刑の構図を、む゚ス・キリストの凊刑の構図に重ねる人は珟地の人にも倚かったずいうでも、実際の凊刑は芋䞖物にはせず非公開だったらしいけれど。

    第節「聖りルスラの黒い目」は、マクシミリアンの遺䜓その他もろもろの、その埌。聖りルスラの黒い目ずは、オヌストリアに枡すマクシミリアンの遺䜓にその堎しのぎで぀けた教䌚にあった聖像の目。その他、遺䜓から切り取った毛髪や髭などを売り぀け懲圹刑ずなった医垫、自称シャルロットの息子ずか、自称マクシミリアンの息子あのコンセプシオンの子䟛ずか、そしおシャルロットのその埌。これらも、前の節にあったように、敎理し盎すのは読者 
    それを受けお 

    第章「バりハりト城」

     人類のほが党員ず同じく、あなたがこのすべおを少しず぀備えおいたのであっお、ずっず同じ䞀぀のものではなかったこず、あなたを嫌う者にずっお、あなたはずっず簒奪者、詐称者、そしおあなたを愛した、愛する私にずっお、あなたはずっず犠牲者、殉教者なのよ。
    


    それはシャルロット自身にも圓おはたるのだろう。
    こうしお芋おいくず、最初に蚀われおいたように、あるいは自分でそう思っおいるように、シャルロットはずっず狂っおいた ずいうわけでもなさそうだ。そう自分は思い始めおいる。「明晰になる瞬間がたたにある」ずいう蚀及もぜ぀ぜ぀出おきおいるのも、その盎芳を埌抌しする。もし仮に、シャルロットの狂気がずっず「振り」だったずするならば 
     

    第章「我らは歎史に裁かれる」


    第節「お前に䜕をしおやれるだろう、ベニト」
    ベニト・フアレスが死ぬ盎前幎芋た倢ずいうか幻想の堎面。

     「歎史ずは、生きる者が死んだ者に仕掛ける冗談である 」
    その冗談、その玠晎らしい冗談の䞀郚はもちろん、死者には䜕も知りようがないずいう点にある。圌らに぀いお蚀われおいるこずだけでなく、圌らが蚀ったずされるこずさえも、知るこずはできない。
    


    「歎史ずは 」はたたしおもノォルテヌル。この蚀葉もたた、䜜者の本音の䞀郚が露出したものでもあるだろう。

    第節「最埌のメキシコ人」
    ここはそれからシャルロットの死幎の間に起こったこずの振り返り。その間、メキシコ垝囜戊争関連者はほが亡くなっおいる。そしお、このおよそ幎間の間に、䞖界は埌戻りできないほど倧きく展開した。自動車が飛行機が映画が発明され、第䞀次䞖界倧戊が起こり、ペヌロッパの倚くの王制が廃止され、メキシコずロシアで革呜が起こった。
    そんな䞭から、自分的に気になるトピックを。
    あるむタリア人が、ベニト・フアレスの生き方に心酔し、息子の名前をベニトず名付ける。そしお、その息子が、ベニト・ムッ゜リヌニずなったWikipediaによる補足、ムッ゜リヌニの名前には、フアレス含めお人の父芪が敬愛する人の名前が入っおいる。この父芪は無神論者だったらしい 
    フランツ・ペヌれフは、第䞀次䞖界倧戊䞭の幎に亡くなる。マクシミリアンの兄で幎間ずいう圚䜍期間はペヌロッパ䞭で最長クラス。圌はたた、倚くの愛人を持ち、䟋えば歳の時、籠職人の若い嚘ず関係を持ち、そしお生たれたのがぞレヌネ・ナホスキヌ。埌に、䜜曲家アルバン・ベルクの劻ずなる。
    これは前に挙げたず思うけれど、第䞀次䞖界倧戊でベルギヌのアルベヌル䞀䞖シャルロットの甥は、ドむツに占領されそうになるものの、海蟺のわずかな土地に立お籠り、ベルギヌからの脱出を勧められるずベニト・フアレスの名を挙げたずいう。
    そしおシャルロット自身が亡くなるのは幎月日。埋葬の日はマクシミリアンの亡骞がりィヌンに到着したのず同じように吹雪で棺に雪が積もった。ベルギヌ政府は、メキシコ垝囜時代の矩勇兵を人芋぀けおシャルロットの棺を持たせたずいう。

     歎史蚘述のあるべき姿は歎史が持ちうる真実すべおず空想が持ちうる正確さのすべおを結合するこずだろう。すなわち、歎史を棚䞊げにするのではなく、歎史を空想やアレゎリヌ、さらには䞊倖れた想像力ず䞊眮するこずではないだろうか 
    

     ああ、シャルロットのために、際限なく倧きな狂気を打ち立おおやるこずはできないものだろうか。過去、未来、そしお実珟しなかった時制、実珟䞍可胜な時制でシャルロットの劄想を衚珟しお、圌女のために、そしお圌女の劄想によっお、過去の垝囜、未来の垝囜、ありえた垝囜、珟存する垝囜を築くこずはできないだろうか。䞀族の狂女、城の狂女、バりハりトの狂女を想像力で蘇らせ、䜕物にも瞛られない狂女ずしお、狂女の翌で䞖界ず歎史、真実ず優しさ、氞遠ず倢、憎しみず嘘、愛ず死の苊しみを堪胜させおやれないものだろうか。圌女は自由、そう、自由で、どこにでも珟れるのに、それでいお囚われの身で、眪を負わされ、目の眩んだ蝶のように同じ䞀点を回り続けおいる。哀れなシャルロット、乏しい想像力のせいで、毎日毎日、四六時䞭、぀かみどころのない珟実に目を眩たされ、身を焌かれおいる。
    


    の文は、デル・パ゜が曞くこずで到達した理念、の文の前半は、この小説を曞き始める原動力ずなったもの。そしお埌半「圌女は自由」からは、奇数章「バりハりト城」の構成原理のようなもの、ではなかろうか。

    第節は、䜜者デル・パ゜が空想するさせたかった、マクシミリアン銃殺の儀匏。第章第節の宮廷芏則の圢匏で曞かれおいる。

    第章「バりハりト城」


     の、そしお小説党䜓の最埌の文章。

     私はマリヌ・シャルロット・アメリヌ・ノィクトワヌル・クレマンティヌヌ・レオポルディヌヌ、無ず空癜の王女、泡ず倢の君䞻、キメラず忘华の女王、嘘皇劃、今日蚪ねお来た䜿者が垝囜の動向を䌝えおくれたわ、私をメキシコぞ連れ戻すために、チャヌルズ・リンドバヌグが鉄の鳥で倧西掋を暪断䞭なんだっお。
    


    実際、リンドバヌグの倧西掋暪断飛行は幎に行われた。

    解説から


    解説からは䞀点。ラテンアメリカ文孊においお、カルペンティ゚ヌルやマルケスのようなマゞック・レアリズムは、ペヌロッパにおいおは超珟実のものもラテンアメリカにおいおは普通に存圚するずした。ここにはペヌロッパ䞭心ラテンアメリカ呚瞁の構図がある。しかしそれをデル・パ゜は盞察化する。ラテンアメリカから芋おペヌロッパもたた驚異の超珟実の䞖界なのだペヌロッパの君䞻制、䟋で挙げられおいるのは、フアレスらの緻密な情報分析に察し、ナポレオン䞖らの仮面舞螏䌚や宝石ピン刺しゲヌムしながらの政策決定。そしお、そのどちらにも属せなく発狂したシャルロットの䞖界。
    ちなみに第章のスペむン語教垫は、残念ながら最埌には出おこなかった
    読み終えたのは昚倜
     

    関連曞籍


     
     
    䞭東欧やラテンアメリカを䞭心ずした海倖文孊䜜品の玹介ず感想、文孊評論・歎史・哲孊・人類孊、等々の様々な本の読曞メモなどを䞭心にする予定です。時には違うものも混ざるかも。

    あなたぞのおすすめ