
遺書 漫画家アシスタント物語 第2章 6
《 写真上:1975年~76年頃。調布市仙川の下宿二階だけは日当たり良好 》
まだ、「第1章〈1〉」をお読みでない方は、先に「第1章〈1〉」をお読みいただく事をお薦めいたします。
まとめてお読みになりたい方は、去年編集した、改編前のマガジン「第1章、第2章」をどうぞ!
〚 前回のあらすじ 〛
初めてのアシスタント業につまづき、バス添乗員のアルバイトをはじめるのですが‥‥
6 怖い観光バスもある!
電車やバスに乗るお客さんが、のんびり居眠りできるのは、運転手が乗客に「 不安 」を感じさせないように細心の注意をはらって運転しているからです。( 加速や停止にも細心の注意を払っています )
もし「 安全運転 」を信じていたバスが暴走しだしたら・・・・!
それは、忘年会の送迎を終えて、全てのお客さんを目的地で降ろした後の出来事でした‥‥
バスは大型で補助席も含めると50人以上は乗れる大きさです。 私は、バスに乗り、前部ドアを閉めて自分の添乗員席に座ろうとした時です。
運転手の様子が変な事に気付きました‥‥
帽子を斜めにかぶり、薄ら笑いを浮かべている‥‥ ハンドルに顎をのせるようにして、私を見て笑っている。

完全に酔っている!
「 ええ、飲んでますよ~ 」赤い顔の運転手。
エンジンをスタート、ギアが入ってガリガリと鳴る‥‥
「 半月前から退職願い出してるのに‥‥ 本当なら有給休暇があるからさぁ‥‥ 」
靖国神社通りを市ヶ谷へ向かって走りだす‥‥
「 今すぐ辞めたって、給料もらえるんだよ、それなのに『まだ働け』だなんてぬかしやがってよぉ‥‥ 」
市ヶ谷の自衛隊駐屯地の横は、長い一本道で信号も無い。そこで速度がどんどん上がる。
「 忙しいから働いて下さいって、頭下げるならまだしもよぉ‥‥ 」
「 ‥‥‥‥ 」私は言葉が出ない。
「 何様なんだよ、俺に『働け』だなんてよ~っ! 」
「 ‥‥‥‥ 」
「 客がみんな飲んでるのによぉ 俺が飲んじゃダメなの? 」
この時、何キロ出していたのかはわかりません。しかし、「 法定速度 」をはるかに越えたスピードで突っ走っていく。
ものすごいエンジン音!( アクセル全開 )
観光バスや路線バスのこんなエンジン音聞いた事ない!
ヴォ~~ウォオオオオオオ~~ッ
「 ・・・・・・・! 」私は全身を緊張させる。
先の信号が「 赤 」になった!
このスピードじゃ止まれっこない!
ヴォオオオオオオオオ‥‥‥‥
私は添乗員席で足を突っ張る!
大型観光バスのヘッドライトの先に横断歩道が見えた瞬間!
ギキキキィーーーーッ!!
全身の毛穴から汗が噴出す!
プッシュゥーーーッ ( 油圧ブレーキ解除音 )
バスは停止線でピタリと止まっている!
運転手はニッコリ笑って、隣の私を見る。
「 ビビッた?」
「 ‥‥‥‥ 」血の気の引いた私。
「 止まれるとは思わなかったろ? 」
子供のようなカワイイ笑顔で・・・・・・
「 こんぐらいのテクニックは持ってんだぜぇ~! 」
観光バスツアーから結婚式にお葬式、果ては火葬場への送迎バスなど、色々な体験をさせていただきましたが、半年ほどで辞めさせていただきました。
「漫画家アシスタント物語 第2章 7」へつづく・・・・
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