メインコンテンツへスキップ
見出し画像

ティップランロッドの選び方|エギングロッドで代用できない理由

    よう、未来のエギングマイスターたち。

    秋になると、ティップランの船に誘われる機会が増える。船から真下へ重いエギを落とし、竿の穂先に出るアタリで掛ける釣りだ。そのとき真っ先に浮かぶのが「いつもの8.3ftのエギングロッドで乗れねぇかな」だろう。竿を1本買い足すのは安くない。気持ちは分かる。

    だが、船の上でその竿を握っても、穂先にアタリはほとんど出てこない。理由は腕じゃなく、竿の作りにある。

    ティップランロッドは、遠くへ投げる竿じゃない。真下の重いエギを支えたまま、止めた数秒の変化を穂先に出す竿だ。選ぶ順番はエギの重さ、長さ、穂先。最初の1本は6ft半・ML・ソリッドで決まる。

    船の上の操作はメーカーと釣具店の解説を土台にして、陸の竿と何が違うのかを数字で仕分けていく。店の棚の前で、カタログのどの行を見れば1本に決まるか。そこまで持って帰れ。


    01. ティップランロッドの選び方|エギの重さ・長さ・穂先の順に見る

    画像

    先に答えを言う。最初の1本は、この条件で探せ。

    ■ エギの重さ → 対応エギがシンカー込みで18〜70gのML
    ■ 長さ → 6ft半前後。メートルで約1.96m
    ■ 穂先 → ソリッド(中身の詰まったやわらかい穂先)。ダイワなら品番の末尾に「-S」が付いている
    ■ 形 → スピニング

    ダイワの品番で言えば「65MLS-S」がちょうどこの条件になる。65が6ft5in、MLが硬さ、MLのすぐ後ろのSがスピニング、ハイフンの後ろの-Sがソリッドの穂先だ。メジャークラフトなら6ft3inのMLが同じ位置に来る。

    棚の前でカタログを開いたら、見る行は3つだけでいい。対応エギ、全長、穂先の形式。この順に見ていけば、候補は自然に1〜2本まで減る。

     

    エギの重さは「シンカー込みのg」で見る

    ティップランロッドのスペック表は、エギを号数ではなくgで書いている。ダイワはこの数字を「シンカー込み」と断っている。エギ本体と、足した錘を合わせた重さのことだ。

    各社の表を並べると、硬さとgの関係はほぼ揃っている。

    ■ L → 上限が50〜55g。浅い湾や、錘をあまり足さない日向き
    ■ ML → 上限が70g。いちばん守備範囲が広い
    ■ M → 上限が90g。冬の深場や、潮の速い日向き

    なぜMLなのかは、使うエギの重さから逆算すれば分かる。ティップランのエギは、水深30m前後なら、専用エギ単体の27gか、錘を足して合計47gまでで入るのが基本になる。潮が速い日は77gまで重くすることもある。27〜47gがちょうど真ん中に来て、たいていの日を1本で受けられるのがMLだ。77gまで背負う日が多い海なら、Mを選べ。

    陸で決めたのと同じ理屈だ。硬さを先に決めない。使うエギの重さを先に決めて、それが範囲の真ん中に来る硬さを選ぶ。

     

    長さは6ft半を基準に、船と体格で前後させる

    長さの基準は、釣具のポイントのティップラン特集が6.5ft、Honda の解説が6〜7ftとしている。ここから外れる理由がなければ、6ft半前後を選べばいい。

    短い竿が選ばれる理由は、穂先を目に近づけるためだ。ダイワはティップラン用ロッドの説明で「短めにすることで目感度が大きく向上」と書いている。ティップランは、アタリを穂先の変化で見る釣りだ。その穂先が目から遠いほど、小さな変化を見落とす。

    前後させる条件は2つある。小さなボートや、隣の釣り人との間が狭い船なら、短めのほうが振りやすい。足場の高い大きな乗合船なら、海面が遠くなるぶん7ft前後が扱いやすい。ただ、短すぎる竿は船の揺れを吸いきれず、止めたエギが落ち着かないという解説もある。最初の1本は6ft台に収めておけ。予約のときには、船の大きさと足場の高さを船長に聞いておくといい。

    ▶ ティップランの解説動画を出している富所潤氏が、ティップランロッドに求める性能を実物で見せている。4分40秒あたりから、アタリを目で取るので穂先はやわらかいソリッドがいい理由を、8分20秒あたりから竿を曲げて継ぎ目の分からない曲がりがいい理由を、10分4秒あたりで長さの話をしている。人によって幅はあるが、この動画の基準は6ft6inから7ft2inぐらいだ。

     

    穂先は品番の末尾と先径で見分ける

    穂先がソリッドかどうかは、ダイワなら品番の末尾で分かる。末尾に「-S」が付く品番がソリッドの穂先だ。末尾の-Sがソリッドを表すのは陸のエギングロッドでも同じで、エギングロッドの選び方で書いた品番の読み方がそのまま使える。メジャークラフトは品番に出ないので、説明文の「ソリッドティップ」の文字で確かめろ。

    もう1つの見分け方が、スペック表の「先径」の列だ。ダイワのティップラン用ロッドは、ソリッドの品番がどれも1mmを切っていて、多くは0.7〜0.8mmだ。陸のエギングロッドの主力は1.4mm前後のチューブラー、中が空洞の穂先だ。

    ソリッドを使う理由は、重さの変化で曲がるからだ。中身の詰まった細い穂先は、エギの重さが乗って少し曲がったまま止まっている。イカが抱いて重さが変われば、その曲がりが目に見えて変わる。ダイワは自社のソリッド穂先の説明で「穂先に表れる視覚的感度に優れる」と書いている。チューブラーが拾うのは硬いものに当たった「コンッ」という響きで、ソリッドが拾うのは重さが抜ける、重くなるという変化だ。ティップランで欲しいのは後者になる。


    02. エギングロッドで代用できない理由|竿の仕事が逆だから

    ティップランロッドと陸のエギングロッドの違いの比較図。陸は2.51m・先径1.4mmのチューブラー・エギ2.5〜4.0号(11〜26g)、船は1.96m・先径0.7mmのソリッド・シンカー込み18〜70gで、役割の違いを示しています。
    ティップランロッドと陸のエギングロッドの違いの比較図

    陸のエギングロッドと、ティップランロッドを数字で並べてみる。陸の代表にダイワのエメラルダス X 83M、船の代表に同じダイワのエメラルダス MX BOAT 65MLS-S を置く。

    ■ 長さ → 陸 2.51m / 船 1.96m
    ■ 背負える重さ → 陸 エギ2.5〜4.0号(重さに直すと11〜26g) / 船 シンカー込み18〜70g
    ■ 穂先 → 陸 チューブラーで先径1.4mm / 船 ソリッドで先径0.7mm
    ■ 重さの書き方 → 陸は号数 / 船はg

    長さは船のほうが半mほど短い。背負える重さは船のほうが上限で3倍近い。穂先の太さは半分だ。同じメーカーの、同じ「エギング」の名前がついた竿で、ここまで違う。

     

    陸の竿は投げるため、船の竿は見せるためにある

    代用できない理由を一言で言えば、長さ・背負える重さ・穂先の3つが、どれも逆の仕事に合わせて作ってあるからだ。

    陸のエギングロッドは、3.5号を遠くへ投げて、キレよくダートさせるための竿だ。長さは足元の高さをかわして投げ、エギを操るため、張りのあるチューブラーの穂先はシャクリの力をエギに伝えるためにある。

    ティップランロッドは投げない。真下の底まで重いエギを落とし、シャクって止め、船に引かれて横へ流れるエギを穂先で見張る。短いのは穂先を目に近づけるため。穂先がソリッドなのは、止めている間の重さの変化で曲がるためだ。

    陸の竿を船に持ち込むと、この仕事がずれる。30gを超える重さを真下に吊るせば、陸の竿は設計した範囲の外で使うことになる。張りの強い穂先は、重さが少し抜けたくらいでは形が変わらない。2.5mの竿の先は、目から遠い。イカがエギを触っても、その変化が穂先に出にくく、出ても目で拾いにくい。

    解説の書き方も割れている。Honda の解説は、岸からのエギングロッドでも「釣れなくはない」が、専用のほうが使いやすいとしている。釣具のポイントは、ティップランは専用の竿が要り、ほかのエギングと「共用ができない」ことを弱みとして挙げている。俺の読み方では、2つは同じことを言っている。イカが勝手に掛かった1杯なら、どの竿でも釣れる。だが穂先に出ないアタリは、お前にとって無かったことになる。釣れなくはない、は代用できる、とは違う。

    陸の竿の守備範囲をgで測る方法は、ここに書いた。

     

    代わりが効くのは、重さと穂先が合う船の竿だけ

    どうしても買う前に試したいなら、代わりになる竿の条件は2つだ。対応するエギの重さに、その日使う27〜47g前後が入っていること。穂先がソリッドでやわらかいこと。

    上で紹介した富所氏の動画では、イカメタルやタイラバの船の竿で始める手を、条件つきで挙げている。船の竿なら、この2つを満たすものがある。陸のエギングロッドは、この2つとも外れる。

    いちばん手堅いのは、竿を貸し出している船に乗ることだ。1回乗れば、穂先にアタリが出るのがどういうことか、目で分かる。続けると決めたら、専用の1本を買え。


    03. おすすめのティップランロッド3本|最初はMLのソリッドを1本

    画像

    最初の1本は、01で決めた条件で揃える。6ft台、ML、ソリッドの穂先、スピニング。ここでは同じ条件を満たすものを、グレードの低い順に3本並べる。迷ったら、1本目か2本目のどちらかでいい。違いはメーカーと、穂先の見せ方の工夫くらいだ。

    メジャークラフトの NEWソルパラ ティップランモデル SPJTE-S632ML は、6ft3inのMLで、エギは70gまで背負える。メジャークラフト自身が「イカに違和感を与えないソリッドティップ」と書いている入門のシリーズだ。まず1本持って船に通い始めるなら、これで条件は全部満たせる。

    ダイワのエメラルダス X BOAT 65MLS-S は、2026年8月に出たダイワのティップラン用の入門グレードだ。全長1.96m、対応エギは18〜70gで、01で出した答えそのものになる。品番の末尾は-S、穂先は先径0.8mmで、ダイワは視認性の高いシルバー塗装の穂先だと説明している。

    ダイワのエメラルダス MX BOAT 65MLS-S は、長さも対応エギも X BOAT と同じで、穂先にメガトップというソリッドを使っている。ダイワの説明では、繊維と樹脂が均一に分散したカーボンのソリッドで、穂先に出る変化の見やすさを売りにしている。続けると決めてから買う1本なら、ここが目安になる。

     

    上のグレードで変わるのは、穂先の素材と軽さ

    ダイワにはこの上に、エメラルダス EX BOAT と AIR BOAT がある。EX BOAT は穂先にチタン合金を使った SMT という穂先を載せていて、AIR BOAT は同じ長さで10g前後軽い。高い竿で払っているのは、穂先の素材と、1日持ち続けても疲れにくい軽さだ。長さと対応エギの重さは、入門グレードとほとんど変わらない。だから最初の1本の答えは変わらない。

    形はスピニングを選べ。Honda の解説も、一般的なのはスピニングとしている。ダイワはベイトの品番を、スピニングでは力負けするような深場や重いエギ向けに置いている。深場ばかり攻める海で、2本目として考えればいい。ダイワにはラインを竿の中に通すインターラインもあるが、これも2本目の話だ。

    エギの重さの決め方そのものは、こっちで詳しく書いた。竿の対応gと突き合わせるときに使え。



    04. リールとラインは陸のままでいい|下巻きゼロとダブルハンドル

    画像

    竿は専用が要るが、リールとラインは陸のエギングのものをそのまま持っていける。竿のほかに買い足すのは、底が取れる重さのエギ(専用のエギか、手持ちのエギに足す錘)くらいだ。

    ラインは PE0.6号を200m、リーダーはフロロカーボンの2〜2.5号。陸っぱりと同じ組み合わせだ。ダイワのティップラン用ロッドも、MLまでの品番は適合する PE を0.4〜0.8号としていて、0.6号はその真ん中に入る。

    リールは、エギングリールの選び方で決めた条件がそのまま通る。PE0.6号が下巻きなしで200m入るシャロースプールと、ダブルハンドル。Honda と釣具のポイントの解説も、ティップランのリールを2000〜3000番のスピニングとしていて、陸のエギングリールの番手と重なる。

    ダブルハンドルが船でも効く理由は、ダイワのリールの説明にそのまま書いてある。シャクったあとにハンドルの重さで勝手に回らないので、ラインを見てアタリに集中できる。ティップランは、シャクって止めた数秒で勝負する釣りだ。止めた瞬間にハンドルが半回転して巻き取るリールは、陸以上に邪魔になる。

    ドラグは、強くシャクったときに「ジッ」と少し出るくらい。これも陸と同じで、釣具のポイントの解説とも一致する。イカの身切れを防ぐための設定だ。

    ▶ ダイワのフィールドテスター住澤直樹氏が、ティップランのタックルを一通り解説している。2分40秒あたりから竿の長さは6ft前後から7ftちょいぐらいが使いやすいこと、3分21秒あたりからリールは2500か3000番のスピニングであること、3分41秒あたりから PE は0.5〜0.6号で、初めてなら0.6号を勧める話をしている。1分41秒あたりでは、穂先に出るアタリの形を竿で再現している。

    船に乗る前に、1つだけ確かめておけ。ライフジャケットだ。2018年2月から、小型船舶では船室の外にいる乗船者のライフジャケット着用が義務になっている(国土交通省)。すべての小型船舶で使えるのは、桜マークのタイプAだ。

    竿を振る前の1サイクル、落として、シャクって、止めて、穂先を見る流れは、ここにまとめてある。

    ロッド・リール・ライン・リーダーを一式で決める順番は、陸の釣りでこう組んだ。



    まとめ

    画像

    今回の講義はここまでだ。

    ティップランロッドは、遠くへ投げる竿じゃない。真下の重いエギを支えたまま、止めた数秒の変化を穂先に出す竿だ。選ぶ順番はエギの重さ、長さ、穂先。最初の1本は6ft半・ML・ソリッドで決まる。

    ■ エギの重さは、シンカー込みのgで見る。水深30m前後の27〜47gが真ん中に来るのがML
    ■ 長さは6ft半前後。小さい船なら短く、足場の高い船なら長く
    ■ 穂先はソリッド。ダイワなら品番の末尾の-Sと、1mmを切る先径で見分ける
    ■ 陸のエギングロッドは、長さも背負える重さも穂先も合わない。試すなら竿を借りて乗る
    ■ リールとラインは陸のまま。下巻きゼロとダブルハンドルで船でも通る


    よくある質問(FAQ)

    理屈っぽいお前らが抱きそうな疑問に、先回りして答えておくぞ。

    Q1. コスパ最強のティップランロッドはどれですか?

    A. 結論:最強の1本は無い。6ft台・ML・ソリッドを満たす中で、いちばん手の届く1本がお前にとっての答えだ。 入門グレードと上のグレードで、長さと対応エギの重さはほとんど変わらない。変わるのは穂先の素材と軽さだ。俺の見立てでは、アタリが穂先に出るかどうかは、条件を満たした時点でほぼ決まる。高い竿は、通い続けて「もっと小さな変化を見たい」と思ってから選べば遅くない。

    Q2. ティップランロッドで、イカメタルやタイラバもできますか?

    A. 結論:その釣りで使う重さが、竿の対応するgの範囲に収まるならできる。外れるならやめておけ。 見るのはスペック表の対応エギの数字だけでいい。ティップランロッドのMLなら70g前後が上限だ。それより重い仕掛けを使う釣りは、竿が設計していない領域になる。範囲に収まる釣りでも、その釣りの専用竿と同じ仕事ができるわけじゃない。本気で続けるなら、釣りごとに竿を分けたほうが上達は早い。

    Q3. ティップランロッドは折れやすいですか?

    A. 結論:穂先が細いぶん、扱いを雑にすると折れる。重さより扱いの問題だ。 ダイワの修理を受け持つスポーツライフプラネッツは、竿の破損例として、仕掛けがトップガイドに当たってからさらに巻く「巻き込み」、継ぎ目の差し込みが浅い「コミ浅」、ぶつけて潰す「潰れ」を挙げている。船の上では、エギを回収するときに巻きすぎないこと、竿を船べりや隣の竿にぶつけないことだ。置き竿にするときも、穂先を踏まれない場所に置け。

    Q4. ダイワのティップランロッドで最高峰はどれですか?

    A. 結論:ダイワの中ではエメラルダス EX BOAT が最上位のシリーズだ。ただ、最初の1本の答えは変わらない。 EX BOAT は穂先にチタン合金を使った SMT を載せていて、ダイワは穂先の感度を売りにしている。だが長さと対応エギの重さは、入門グレードとほぼ同じ範囲だ。穂先に出るアタリを自分の目で読めるようになる前に最上位を買っても、差は分からない。最初はMLのソリッドで通い、足りないものが見えてから上げろ。


    船の上では、竿が釣りの半分を決める。陸で使い慣れた竿ほど手放しにくいが、穂先に出ないアタリは取りようがない。棚の前では、対応エギのg、長さ、穂先の形式の3行だけ見ればいい。

    穂先を目の前に置け。

    このブログでは、エギングの「なんとなく」を一つずつ物理で解体していく。役に立ったならフォローしておけ、損はさせねぇ。

    竿を替えれば穂先にアタリは出る。だが、そもそも抱かせる前の段取りが崩れていたら、出るアタリも出ない。釣れない日に何から直すかの順番を、1冊にまとめて有料で出した。

    またな。

     
     
    エギングに迷う釣り人へ。「釣れない理由」をロジックで潰し、最短で上達するためのベテランの知恵を叩き込む。色選びの科学から、四季折々の攻略法まで完全網羅。道具の良し悪しも忖度なしでレビューするぞ。(楽天のアフィリエイトとして、当サイトは適格販売により収入を得ています。)

    あなたへのおすすめ