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ティップランとは|陸っぱりのエギングとの違いは竿・重さ・穂先

    よう、未来のエギングマイスターたち。

    秋になると、釣具屋の棚に「ティップラン用」と書いたエギが並びだす。同じ3.5号でも、いつものエギより重い。船に誘われて、陸で使ってる竿とエギをそのまま持って乗ろうとしてるなら、少し待て。

    ティップランは、同じアオリイカを同じエギで狙う釣りだ。だが、陸っぱりの感覚のまま乗ると、底も取れないし、アタリも見えない。

    ティップランは、陸っぱりのエギングを船に乗せた釣りとは別物だ。エギを止めて船に流させ、穂先で掛ける。ラインとリーダーはそのまま持っていけるが、竿とエギの重さは替えて、アタリは穂先で見ろ。

    船の上の操作は、船で釣っているメーカーと釣具店の解説を土台にして、陸で使う理屈のどこが船でも通用するかを物理で仕分けていく。


    01. ティップランとは|船を流して、止めたエギに抱かせる釣り

    ティップランの釣り方の4つの手順図。風で横へ流れる船の風上側から真下へエギを落とし、5回前後シャクって止め、5〜10秒穂先を見て、反応が無ければ落とし直す流れを、水深15〜30mの断面で示しています。
    ティップランの釣り方の4つの手順図

    ティップランとは、風で流れる船から重いエギを真下の底へ落とし、シャクって止め、船に引かれて横にすべるエギにアオリイカを抱かせて、穂先の変化で掛ける釣りだ。

    1回の流れは、これで全部だ。

    ■ 落とす → 船の風上側(風が吹いてくる側)に、投げずに真下へ落とす。ラインが出ていかなくなったら着底
    ■ シャクる → 着底したら、竿を上へあおってエギを跳ね上げる。これを5回前後
    ■ 止める → シャクったら竿を止めて、5〜10秒、穂先だけを見る。アタリの多くは止めてすぐに出る
    ■ 落とし直す → 何も無ければもう一度底まで落として、同じことを繰り返す。落とし直しを3回ほどやって反応が無ければ、いったん巻き上げて入れ直す

    船は、風に対して横向きにして流す。これを「ドテラ流し」という。船が風に押されて横へ流れていくから、船から入ったラインは斜めになって、エギの近くでは垂直に近くなる。シャクって浮かせたエギは、止めた瞬間から船の動きで横に引かれて、水の中を水平にすべっていく。イカが抱くのは、この止めている間だ。

    名前の由来も、ここにある。アタリが竿の穂先(ティップ)に出て、それを見て掛けるから「ティップラン」だ。陸っぱりのように、遠くに投げて、足元まで引いてくる釣りじゃない。船の真下の深い所を、上下に刻んで探る釣りだ。

    狙う水深も違う。ティップランの船が入るのは、岸からそれほど離れていない水深15〜30mくらいの場所が多い。陸っぱりで狙うことの多い5〜10mの、3倍前後の深さだ。この深さが、このあと話す竿とエギの違いを全部決めている。

    ▶ ヤマシタのエギングマイスターが、船の上でティップランの基本の動作を実演している。6分29秒あたりから、風の吹いてくる側に真下へ落とし、ラインが止まったら着底、5回前後シャクって止め、5〜10秒待って反応が無ければ落とし直す手順を見せている。12分16秒あたりからは、穂先に出るアタリの形を竿で見せている。



    02. 陸っぱりのエギングと違う3つ|竿・エギの重さ・穂先

    ティップランと陸っぱりのエギングの違いの比較図。陸は8.3ft以下のM竿と22gのエギで5〜10mを横に探りラインでアタリを見る、船は2m前後の穂先がやわらかい竿と27gのエギで15〜30mを縦に刻み穂先で見る違いを示しています。
    ティップランと陸っぱりのエギングの違いの比較図

    陸と船で違うのは、この3つだ。

    ■ 竿 → 陸は8.3ft(約2.5m)以下で、硬さは中くらいのM。船は2m前後の短い竿で、穂先がやわらかい
    ■ エギの重さ → 陸は3.5号で20g台前半。船は同じ号数でも重くして、さらに錘を足す
    ■ 穂先 → 陸はラインの動きを目で見てアタリを取る。船は穂先の変化でアタリを取る

    3つはばらばらの違いじゃない。陸は投げて横に広く探る。船は真下の深い所を縦に刻む。この探る向きの違い1つから、エギの重さが変わり、竿が変わり、アタリの出る場所が変わる。

     

    エギの重さ|底が取れる重さまで足す

    陸で使う1本目のエギは、3.5号のノーマルだ。エギ王Kの3.5号なら22gで、1m沈むのに約3秒かかる。これをティップランの水深30mに落とすと、底に着くまで90秒かかる計算になる(公表の沈下速度×30mで、潮に流されない前提)。そのあいだに船は流れ、ラインは斜めに膨らみ、底に着いたかどうかも分からなくなる。

    だからティップランを続けるなら、専用のエギを使う。ヤマシタのエギ王 TR は同じ3.5号で27gあり、1m沈むのに約1.2秒。同じ計算で、30mを36秒で底まで届ける。

    さらに、エギに錘(シンカー)を足して重さを合わせる。ヤマシタの解説では、水深30mなら27gのエギに10gを足して始め、船が1ノットほどで流れる日は15g、20gと重くし、風が無くて船がほとんど流れない日は錘を外して軽くする。基準は「毎回、底が取れる重さ」だ。重すぎると思ったら軽くする。重さを決めるのは水深と、船の流れる速さの2つになる。

     

    竿|2m前後で、穂先がやわらかい

    陸のエギングロッドは、3.5号を遠くへ投げて、キレよくダートさせるための竿だ。長さは8.3ft以下、硬さはMで、使えるエギの重さに直すとおよそ11〜26gになる。この物差しの話はエギングロッドの流用の判定で詳しく書いた。

    ティップランの竿は、仕事が逆だ。遠くに投げる必要が無い。代わりに、真下の重いエギを支えたまま、止めている間の小さな変化を穂先で見せる必要がある。ダイワのティップラン用ロッド、エメラルダス MX BOAT の 65LS-S は全長1.96mで、使えるエギの重さはグラムで15〜50gと書いてある。穂先は、中身の詰まったやわらかいカーボン(ソリッド)だ。

    長さは陸の竿の4分の3ほどしかないのに、背負える重さは倍近くある。短くて、先だけがやわらかい。この形が、そのまま3つ目の違い、穂先で見るアタリにつながる。



    03. 抱く理屈は陸と同じ|止まったエギしか撃てない

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    止めたエギを、下へ落とさずに横へ流す。これがティップランの抱かせ方だ。陸っぱりのエギングでは、イカがエギを抱くのはほとんどがフォール中だから、逆に見えるだろう。だが、イカの側から見れば同じことが起きている。

    イカが獲物を捕まえる2本の長い腕を触腕という。触腕は、一度撃ったら途中で向きを変えられない。だから、外せば損をする。イカが撃つのは、止まっているか、同じ速さでまっすぐ動いていて、どこに来るかが計算できる獲物だけだ。シャクっている最中のエギは、動きが読めないから撃てない。

    陸っぱりでは、この「計算できる動き」を重力で作る。ラインを張ったまま、エギを斜め45度の姿勢で一定の速さで沈める。これがテンションフォールだ。

    ティップランでは、同じものを船の流れで作る。止めたエギは、船に引かれて水の中を水平に、ほぼ一定の速さで引っ張られていく。重力の代わりに、船がエギを動かしている。エンジンが違うだけで、イカに見せているのは「止まって、同じ速さで動く的」だ。

    ヤマシタの解説でも、シャクり上げたところからそのまま横へすべらせるのが理想で、シャクったあとにリールを1回だけ空巻きすると、エギが下へカクンと落ちずに横へ流れやすいと言っている。カクンと落としても食う日はあるが、イカが渋い日ほど、落としてから流すと食わないことがある、とも言っている。迷ったら、落とさずに流せ。

    陸でのフォールの使い分けは、ここで理屈から解いてある。



    04. アタリは穂先で見る|入る・戻る・震える

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    陸っぱりの昼のエギングでは、アタリはラインで見る。フッと弛む、横に走る、止まる。手元にドンと来るアタリは一部で、大半は目で見る違和感だ。

    ティップランでは、見る場所が穂先に変わる。

    理由は、ラインの張り方にある。船から斜めに入ったラインは、潮と船の流れでエギを引っ張り続けていて、エギの重さで穂先が少し曲がったままになっている。穂先に重さが乗り続けている状態だ。そこでイカがエギを抱くと、エギの重さが変わる。その変化が、曲がっていた穂先にそのまま出る。

    出方は、だいたい次の形だ。

    ■ 入る → 穂先がグッと引き込まれる。分かりやすいアタリ
    ■ 戻る → 曲がっていた穂先がポンと戻る。穂先に乗っていたエギの重さが抜けたときに出る
    ■ 震える・重くなる → 穂先が小さく揺れる、なんとなく重い。ラインが急に弛むこともある

    どれも「さっきまでと違う」という違和感だ。止めている5〜10秒の間は、穂先から目を離すな。違和感が出たら、待たずに合わせる。ヤマシタの基本の解説もそうなっている。

    掛けたあとは、竿を煽って寄せたり戻したりしない。エギの尾に付いた傘のような針(カンナ)には返しが無いから、ラインが弛むと外れやすい。一定の速さで巻き続けろ。ヤマシタの解説でも、バラさない一番のコツはこれだと言っている。

    陸で見ているアタリの形と、感度の考え方はここにまとめてある。



    05. 陸と変わらないもの|ライン・リーダー・水温

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    違う話ばかりしてきたが、陸から船へそのまま持っていけるものもある。

    1つ目は、ラインとリーダーだ。釣具のポイントのティップラン特集が勧めているのは、PE0.6号を200mと、フロロカーボンのリーダー2〜2.5号。陸っぱりのエギングで使う組み合わせと同じ数字だ。ダイワのティップラン用ロッドも、使えるPEを0.4〜0.8号としている。

    理由も陸と同じだ。水深が深くなるほど、水の中に出ているラインが長くなる。細いほど潮に押されにくく、エギを引っ張る力が穂先まで素直に届く。太いラインほど水の抵抗で損をする、という陸の理屈が、深い船の上ではもっとはっきり効く。

    リーダーの太さと長さの考え方は、ここで決めてある。

    2つ目は、時期の決め方だ。ティップランも、カレンダーではなく水温で読む。物差しは陸っぱりと同じだ。

    違うのは、終わりの遅さだ。陸っぱりのシーズンが終わるのは、水温が下がってイカが深場へ落ち、岸から届かなくなるからだ。船は、落ちた先まで行ける。だから秋から冬にかけても釣りが続く。

    時期を水温で読む方法は、ここに書いた。

    3つ目は、底を取ることだ。陸でも船でも、エギが今どこにいるかが分からないまま誘っても、何も始まらない。陸で数えて底を取る癖が付いている奴は、船でも「ラインが止まった瞬間」を見逃さない。


    06. ボートエギングとの違い|投げるか、真下に落とすか

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    船からアオリイカを狙う釣りには、ティップランのほかにボートエギングがある。名前が似ているから混ざりやすい。

    ■ ボートエギング → 陸っぱりのエギングを、そのまま船の上でやる釣りだ。エギを投げて、シャクって、フォールで抱かせる
    ■ ティップラン → 投げずに真下へ落として、止めて、船に流させて抱かせる

    ボートエギングは投げる釣りだから、揺れる船の上で狙った所へ投げる腕が要る。ティップランは真下に落とすだけだから、投げる腕は要らない。そのかわり、専用の竿が要って、陸のエギングと竿を使い回しにくい。釣具のポイントの解説も、ティップランの弱みとしてこの点を挙げている。

    船に乗る前に、1つだけ言っておく。小型船舶では、船室の外にいる乗船者のライフジャケットの着用が義務になっている(国土交通省・2018年2月から)。国の基準に合った印、桜マーク(Type A)の付いたものだ。陸の堤防で腰巻きの膨張式を使っているなら、それが桜マーク付きかを乗る前に確かめろ。

    竿やエギを貸し出している船もある。最初の1回は、予約のときに貸し出しがあるか、その日の水深で何gくらいの重さを使うかを船長に聞いて、借りて乗れ。続けると決めてから買うのは、専用の竿と、底が取れる重さのエギ(専用のエギか、手持ちのエギに足す錘)の2つだ。ラインとリーダーは陸のままでいい。


    まとめ

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    今回の講義はここまでだ。

    ティップランは、陸っぱりのエギングを船に乗せた釣りとは別物だ。エギを止めて船に流させ、穂先で掛ける。ラインとリーダーはそのまま持っていけるが、竿とエギの重さは替えて、アタリは穂先で見ろ。

    ■ 1回の流れは、風上側の真下に落とす → 5回前後シャクる → 止めて5〜10秒穂先を見る → 無ければ落とし直す
    ■ 陸と違うのは、竿・エギの重さ・穂先の3つ。深い真下を探るから、エギは重く、竿は短く穂先がやわらかくなり、アタリは穂先に出る
    ■ エギの重さは、水深と船の流れる速さで決める。基準は毎回底が取れること
    ■ 抱く理屈は陸と同じ。止まって、同じ速さで動くエギしかイカは撃てない。陸は重力で、船は船の流れでそれを作る
    ■ PE0.6号とリーダー2〜2.5号、水温で時期を読むことは、陸のまま持っていける
    ■ 最初は借りて乗る。続けるなら、専用の竿と底が取れる重さのエギを買う


    よくある質問(FAQ)

    理屈っぽいお前らが抱きそうな疑問に、先回りして答えておくぞ。

    Q1. 陸で使っている普通のエギでも、ティップランはできますか?

    A. 結論:できる。錘を足して、底が取れる重さにすればいい。 ヤマシタの川上英佑氏も、専用のエギが無くても、普段岸から投げている使い慣れたエギでティップランは成立すると言っている。足りないのは重さだけだから、エギに錘を足して、その日の水深と船の流れで毎回底が取れるところまで重くしろ。ただ、専用のエギは止めたときにピタッと姿勢が決まるように作ってある。続けるつもりなら、何本かは専用のものを持っておけ。

    Q2. ティップランの竿は、陸っぱりのエギングに使えますか?

    A. 結論:おすすめしない。重さは合っても、長さが足りない。 ティップランの竿でも、3.5号の重さは使える範囲に入る。だが2m前後の竿では、陸から投げたときに飛距離が出ない。陸のエギングは、遠くに投げて広く探るほど有利な釣りだ。竿の長さと反発を投げるために使う陸と、真下の重さを支えて穂先で見る船では、竿に求める仕事が違う。1本で両方をこなそうとするより、釣りごとに分けたほうが早く上手くなる。

    Q3. ティップランの遊漁船の料金はどれくらいですか?

    A. 結論:地域と船宿で違うから、予約のときに必ず確かめろ。 乗船料だけでなく、竿やエギの貸し出しがあるか、その料金、どれくらいの重さの錘を用意すればいいかも一緒に聞いておくといい。乗る日の水深と船の流し方を一番知っているのは船長だ。そこを先に聞いておけば、当日重さが合わずに底が取れない、という無駄を減らせる。

    Q4. 同じ船に乗っていても、釣れる人と釣れない人がいるのはなぜですか?

    A. 結論:理由はいくつもあるが、重さの合わせ直しと、乗らなかったあとの動き方は差になりやすい。 船の流れる速さは、風が変わるたびに変わる。ヤマシタのマイスターの実演では、風の当たらない場所(風裏)に入って船の動きが緩くなったら錘を軽くして、毎回底を取り続けている。もう1つは、アタリがあって合わせたのに乗らなかったときだ。慌てて巻き上げず、エギを元の深さにスッと戻してやると、近くにいたイカがもう一度抱くことがある。これも同じ実演で見せている。


    ティップランは、投げない釣りだ。真下で止めたエギと自分の穂先の間には、細いライン1本しかない。その1本が伝えてくる小さな違和感に気づけるかどうかで決まる。底を数えて、ラインを見てきた目は、船の上でもそのまま使える。

    穂先から目を離すな。

    このブログでは、エギングの「なんとなく」を一つずつ物理で解体していく。役に立ったならフォローしておけ、損はさせねぇ。

    船でも陸でも、イカが抱くのは止まったエギだ。その止め方と見せ方を、釣れない日に何から直すかの順番で1冊にまとめて、有料で出した。

    またな。

     
     
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