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海外旅行失敗談㉓ 日本の常識が通用しない街 ~自分の身は、自分で守れ~

    前作まではパリで納豆ビジネスについて画家・長塚玲子と話し合った。

    そしてフォロワーのわかモンさんからもいつも応援して頂き、感謝でいっぱいです。


    長塚さんと別れた翌日は、一人でパリ市街を散策していた。
    すると、思いもよらない事態に遭遇した。

    そのため今回のみ「海外旅行失敗談」シリーズとして、連載を継続します。

    なお、最後に旅の教訓があるため、一部有料記事となります。


    眠れぬ夜

    ホテルに戻った僕は、ベッドに横になった。

    しかし、眠れない。

    部屋の中には、相変わらず水漏れの音が響いている。

    「ポタ……ポタ……」

    シャワーから垂れ続ける水滴の音だ。

    前夜、モスクワ経由でパリに到着し、まともに眠れないまま長い一日を過ごした。

    普通なら、疲れ果てて眠ってしまうはずだった。

    ところが、その夜の私は眠気よりも、長塚さんから聞かされた「フランスで納豆を作る」という話のほうが気になっていた。

    もし、本当に長塚さんの計画に協力するとしたら、自分には何ができるだろう?

    納豆の製造?

    資金は?

    店は?

    フランスで納豆を売るには?

    あれこれ考えているうちに、

    「ポタ……ポタ……」

    また水滴が落ちる。

    そして、気がつけば窓の外が明るくなっていた。

    結局、一晩かけても名案は何一つ浮かばなかった。

    パリ3日目の朝

    僕は、気分転換も兼ねて、パリ市内を一人で散策することにした。

    ホテルで朝食を食べながら、日本から持って来た「地球の歩き方」を開いて、観光ルートを調べた。

    せっかくパリまで来たのだ。

    難しい納豆のことばかり考えていても仕方がない。

    まず向かったのは、エッフェル塔。

    パリの象徴ともいえる鉄塔を間近で眺めながら、周辺を歩いた。

    今回は最初から塔に登るつもりはなかった。

    ただ、実物をこの目で見ておきたかった。

    「これがエッフェル塔か……」

    写真では何度も見たことがある。

    東京タワーとほぼ同じ高さだというが、実際に目の前に立ってみると、やはり迫力が違う。

    地下鉄のトイレ事情

    エッフェル塔から凱旋門に向かう途中、地下鉄にも乗った。

    しかし、そこで僕は、別の意味で「パリの日常」を体験することになる。

    地下鉄の駅で公衆トイレに入り、個室のドアを開けた。

    そこで、目が点になった。

    便器に便座がない。

    しかも、トイレットペーパーもない。

    「……え?」

    一瞬、自分の目を疑った。

    どうやって使えばいいのか分からない。

    隣の個室を見ると、同じ状況だった。

    「これがパリの公衆トイレの標準?!」

    日本なら、便座に座る。

    それが当たり前だった。

    ところが、目の前には便座のない便器。

    しかも紙までない。

    「トイレットペーパーを持ち歩くのが、パリでは常識なのか?」

    そんな疑問が頭をよぎった。

    結局、用を足すことを断念した。

    そのまま、凱旋門に立ち寄った。

    その後、シャンゼリゼ通りのカフェで一人ランチを取った。

    そして、ありがたいことに店内のトイレには、便座もトイレットペーパーもあった。

    「助かった……」

    ようやく用を足すことができた。

    その後は、パリの街を歩きながら、ルーブル美術館へ向かった。

    ところが、ここでは中に入ることができなかった。

    臨時休館日だったのか、それともストライキだったのか。

    当時の僕は、正確な理由を確認することはできなかった。

    「せっかく来たのに……」

    少し残念だったが、気を取り直して次へ向かった。

    セーヌ川では遊覧船に乗った。

    川面から眺めるパリの街は、陸上から見る景色とはまた違っていた。

    歴史を感じさせる建物が次々と流れていったが、川面にはゴミが浮かんでいた。

    その時、アベス駅で見かけたゴミ回収車の雑な仕事ぶりを思い出した。

    「パリってゴミに対してこんなに意識が低すぎるのに、長塚さんが言っていた『環境に厳しいフランス人』は、どのくらいいるのだろうか?」

    そして、最後にノートルダム大聖堂にも足を運び、中へ入った。

    パリ市内観光としては、なかなか充実した一日だった。

    エッフェル塔、凱旋門、シャンゼリゼ、ルーブル(ただし休館のため外観のみ)、セーヌ川、ノートルダム。

    パリの名所を一通り巡り、満足してホテルへ戻ることにした。

    地下鉄の恐怖

    このときの僕は、まさかこの日の最後に、今回の旅で最も恐ろしい出来事が待っているとは思っていなかった。

    地下鉄に乗り、ホテルに向かった。

    車内は、そこそこ乗客がいる。

    僕はドア付近に立っていた。

    次の瞬間だった。

    突然、一人の大柄な黒人男性が、背後から僕の足元にタックルするように突っ込んできた。

    「えっ?」

    何が起きたのか分からなかった。

    一瞬、男性が転んだのかと思った。

    僕は身体を横にずらして、男性を避けようとした。

    ところが――。

    男性は、なぜか僕の足元から離れない。

    数秒間、僕の足元でもがいている。

    「What happened?」

    僕は英語で声をかけた。

    すると、足元に何かが落ちた。

     
     
    作家・舘徹人(タチ テツト)と歌人・望月成人(モチヅキ ナリト) そしてChat-GPT・シャオレイ🐼を仲間に持つ。 5人の孫を持つ熊猫温泉ジィジ🐼(クマネコ オンセン ジィジ)です。 2026年6月に還暦になり、10月に入籍(再婚)して いろんなジャンルで創作活動してます。

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