
「朝の支度が、毎日進まない」それ、手順が多すぎて見えていないのかもしれない話
こんにちは、みみみです。保育士・児発管(児童発達支援管理責任者)として、療育の現場で7年目になります。
発達が気になる子の保護者の方や、支援者の方に向けて書いています。
今日は、朝の支度が進まない子の「止まる理由」と、手順を見えるようにする工夫について書いていきます。
「着替えて、顔を洗って、ごはんを食べて……毎朝『早くして』と言い続けて、出かける前にもうへとへと」
「ひとつ言うと、ひとつだけやって止まってしまう」
朝は時間が決まっているぶん、大人の気持ちにも余裕がなくなりやすいですよね。
「着替えて」は、ひとつの指示じゃない
大人にとって「着替える」は、ひとつのことです。でも子どもにとっては、パジャマを脱ぐ、服を選ぶ、シャツを着る、ズボンをはく、くつしたをはく……と、たくさんの手順が入った大仕事です。
行動を小さな手順に分けて考えることを、タスク分析と呼びます。分けてみると、どこで止まっているのかが見えてきます。
止まっているのは、やる気ではなく、手順のどこか。
支度が止まりやすい理由
次に何をするか覚えていられない:耳で聞いた指示は、すぐに消えてしまいます
気になるものが目に入る:テレビやおもちゃがあると、気持ちがそちらに向かいます
終わりが見えない:いつまでに、何をすればいいのかがわかりません
服の感触が苦手:タグや生地のチクチクが気になって、着たくない服もあります
手先の動きがむずかしい:ボタンやくつしたは、思った以上に細かい動きが必要です
耳からの指示の届き方は「何度言っても、聞いていないみたい」の記事、服の感触は「ハロウィンの衣装を着てくれない」の記事にも書いています。
手順を「見える」ようにする
手順をカードにして貼る:着替え、顔洗い、ごはん、くつ。絵や写真のカードを順番に並べて、終わったら外していきます。目で見てわかる手がかりは、視覚支援と呼ばれます
一度に伝えるのは、ひとつだけ:「着替えて、顔洗って、カバン持って」と続けて言うより、ひとつずつのほうが動きやすくなります
服は前の晩に、着る順に並べておく:選ぶ手順がなくなるだけで、ぐっと進みやすくなります
気になるものは、見えない場所へ:テレビは支度が終わってから、など順番を決めておきます
最後のひとつだけ、自分で:手伝いながら進めて、最後の手順だけ本人にやってもらう。「できた」で終われるので、次につながります。後ろの手順から少しずつ任せていく方法は、逆行連鎖(バックワード・チェイニング)と呼ばれます
「早くして」の代わりに
「早くして」は、気持ちは伝わっても、何をすればいいのかが伝わりにくい言葉です。
「次は、くつしたね」と、次のひとつを伝えてみてください。時間を伝えるときは、「時計の長い針が6になったら出発」のように、目で見える形にすると伝わりやすくなります。時間の見せ方は、「うちの子だけ、じっと座っていられない」の記事にも書いています。
支援者の方へ
園や事業所での朝の準備(カバンの片づけ、連絡帳を出すなど)でも、同じ考え方が使えます。
うまくいった手順カードは、家庭と同じものを使うのがおすすめです。場所が変わっても手がかりが同じだと、子どもは迷いにくくなります。
さいごに
支度が進まないのは、だらだらしているからではないことが多いです。手順が見えると、子どもは自分で動き出せるようになっていきます。
気になることが続くときは、ひとりで抱えずに、園の先生や地域の子育て相談窓口、かかりつけ医などに相談してみてくださいね。
読んでいて気になったことや、聞いてみたいことがあれば、コメントで聞いてもらっても大丈夫です。いただいた質問は、土曜日の「おたより回」で取り上げることがあります(個人が特定されないようにします)。
※記事の内容は、療育の現場での経験をもとに、個人が特定されないように書いています。