
「うちの子だけ、じっと座っていられない」それ、座れる条件がそろっていないのかもしれない話
こんにちは、みみみです。保育士・児発管(児童発達支援管理責任者)として、療育の現場で7年目になります。
発達が気になる子の保護者の方や、支援者の方に向けて書いています。
今日は、じっと座っていられない子の「座れない理由」と、座れる条件の整え方について書いていきます。
「先生のお話の時間に、うちの子だけ立ち歩いてしまう」
「ごはんの途中で、すぐに椅子から下りてしまう」
参観や就学時健診のあとに、こんな心配を聞くことが増える時期です。
「座りなさい」だけでは、座れない
座っていられない姿を見ると、つい「座って」「じっとして」と声をかけたくなります。でも、言われてすぐに座れる子なら、きっと最初から座っています。
現場で見ていると、座れない子の多くは「座りたくない」のではありません。座っていられる条件が、まだそろっていないように見えます。
座れないのは、やる気の問題ではなく、条件の問題かもしれない。
座れない理由は、ひとつじゃない
同じ「座れない」でも、理由は子どもによってちがいます。よく見かけるのは、こんな理由です。
終わりが見えない:いつまで座っていればいいのかわからないと、待つことがとてもつらくなります
体が動きを求めている:体を動かすことで、気持ちや注意を保っている子もいます。座ったまま体をゆらしたり、足をぶらぶらさせたりするのも、その子なりの工夫のことがあります
姿勢を保つのが大変:足が床につかない椅子や、すべりやすい座面では、座っているだけで力を使い切ってしまう子もいます
何をする時間かわからない:お話の中身が届いていないと、座っている意味が見えにくくなります
終わりが見えないつらさは「公園から帰れない」の記事、体の感じ方のちがいは「ハロウィンの衣装を着てくれない」の記事、言葉の届き方は「何度言っても、聞いていないみたい」の記事でも書いています。
座れる条件の整え方
理由がちがえば、手立てもちがいます。できそうなものから、ひとつ試してみてください。
終わりを見せる:「時計の長い針が6になったらおしまい」「あと2ページ読んだらおしまい」。終わりが見えると、待てる時間が少し延びます
動いていい時間を、先に入れる:座る前に体をたくさん動かしておきます。プリントを配る、物を運ぶなどのお手伝いを頼むのも、自然に動ける方法です
座りやすい椅子にする:足の裏が床につくように台を置く、すべり止めのシートを敷く。姿勢が安定すると、座っているのがぐっと楽になります
短く区切って伝える:最初から長い時間を目指さず、今より少しだけ長く。「最後まで座れたね」ではなく、「ここまで座れたね」を伝えます
「座ること」をゴールにしない
もうひとつ大切にしたいのは、座ることそのものは、ゴールではないということです。
本当のゴールは、お話を聞くこと、ごはんを食べること、活動に参加すること。少し体を動かしながらでも、お話が聞けているなら、それはちゃんと参加できています。
見たいのは「座っているか」より、「参加できているか」。
診断が気になるとき
じっとしていられない姿から、ADHD(注意欠如・多動症)を心配される方もいると思います。
ここで書いた見方は、ADHDの診断がある子にも、ない子にも、役に立つことがあります。診断が気になるときは、ひとりで判断せずに、かかりつけ医や地域の発達相談の窓口で相談してみてください。発達検査については、「発達検査を受けるのがこわい」の記事に書いています。
支援者の方へ
集団の場では、どうしても「座れていない時間」に目が行きます。
おすすめしたいのは、反対に「座れている時間」の条件を記録することです。どんな活動で、どの席で、何分くらい座れていたか。できている場面の条件がわかると、次の手立てが見えてきます。場面による姿のちがいは、「家ではできるのに、園ではできない」の記事にも書いています。
さいごに
座っていられないのは、わがままでも、育て方のせいでもないことが多いです。条件をひとつずつ整えていけば、座れる時間は少しずつ延びていきます。
気になることが続くときは、ひとりで抱えずに、園の先生や地域の子育て相談窓口、かかりつけ医などに相談してみてくださいね。
読んでいて気になったことや、聞いてみたいことがあれば、コメントで聞いてもらっても大丈夫です。いただいた質問は、土曜日の「おたより回」で取り上げることがあります(個人が特定されないようにします)。
※記事の内容は、療育の現場での経験をもとに、個人が特定されないよう一般化して書いています。