
「公園から帰れない、毎回大泣き」それ、切り替えのどこかで止まっているのかもしれない話
こんにちは、みみみです。保育士・児発管(児童発達支援管理責任者)として、療育の現場で7年目になります。
発達が気になる子の保護者の方や、支援者の方に向けて書いています。
今日は、「切り替え」の3つの段階と、止まっている場所ごとの手立てについて書いていきます。
「もう帰るよ」と声をかけても、帰れない。泣いて、座りこんで、最後は抱えて帰る。まわりの目も気になるし、毎日だとこちらもくたくたになります。
「切り替えが苦手な子」と言われることもあるかもしれません。でも、その「切り替え」は、ひとつの動きに見えて、実はいくつかの段階に分かれています。
「切り替え」は、3つの段階でできている
終わりが分かる:「もうすぐおしまい」が分かっている
気持ちを区切る:「楽しかった、おしまい」と自分の中で区切れる
次へ向かう:次にすることが分かって、そちらに向かう気持ちになれる
同じ「帰れない」でも、どの段階で止まっているかは子どもによってちがいます。止まっている場所がちがえば、手立ても変わります。
① 終わりが見えていない子
「あと5分ね」と伝えても、5分がどのくらいなのかは、子どもにはつかみにくいものです。
そんなときは、時間よりも回数で伝えるほうが届きやすいことがあります。
「すべり台、あと3回ね。いち、に、さん。おしまい!」
指を折って数えたり、タイマーを一緒に見たりするのもいい方法です。「終わり」が目に見えると、心の準備がしやすくなります。
② 気持ちを区切れない子
終わりは分かっている。でも、まだ満足しきっていない。そんなときは、途中で止められること自体が苦しいのかもしれません。
おすすめは、「おしまい」を形にすることです。最後の1回を本人に選んでもらう、すべり台に「バイバイ」と手を振る、ハイタッチで終わる。小さな区切りがあるだけで、気持ちを切りやすくなる子がいます。
療育で使っている「おしまい」の合図を、家でも同じように使うのもひとつの方法です。くわしくは、「療育ではできるのに、家ではできない」の記事に書いています。
③ 次に向かえない子
帰ったあとに何があるのか分からない。あるいは、帰ること自体が楽しくない。そんな子にとっては、公園を出る理由が見つかりません。
「帰ったらおやつにしよう」「帰り道で電車を見ていこう」と、次の楽しみをセットで伝えると、足が向きやすくなります。
「次」が見えると気持ちが動きやすくなるのは、「ゲームで負けそうになると、急に怒り出す」の記事で書いたことにも通じています。
ただ、疲れていたりお腹がすいていたりすると、どの段階もうまくいかなくなります。うまくいかない日があるのは、自然なことです。
泣いてしまったときは
予告して決めた「おしまい」は、泣いても戻さないほうが、次の予告が届きやすくなります。
でも、泣いたことは責めなくて大丈夫です。
「まだ遊びたかったね。また来ようね」
ルールは守りつつ、気持ちは受け止める。その両方がそろうと、子どもは少しずつ「おしまい」に慣れていきます。
支援者の方へ
記録や計画に「切り替えが苦手」と書くとき、どの段階で止まっているかまで書いてみてください。
たとえば「終了の予告があれば終われるが、次の活動が見えないと動けない」。そこまで書くと、チームで同じ手立てをとりやすくなります。
止まっている場面の見方は、「様子を見ましょう」の記事の「いつ・どこで・だれと・その前後」も参考になります。
さいごに
切り替えが苦手なのは、それだけ「今」に夢中になれるということでもあります。
その子がどこで止まっているのかが見えてくると、毎日の「帰るよ」が、少しずつ楽になっていくはずです。気になることが続くときは、ひとりで抱えずに、園の先生や地域の子育て相談窓口、かかりつけ医などに相談してみてくださいね。
※記事に出てくるエピソードは、個人が特定されないよう、複数のケースを組み合わせたり内容を変えたりしています。