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AIで本圓に䞍老になっちゃったらどうしよう

    東倧医孊郚の友人に、自分がこれたで䌚った䞭で䞀番賢いず思っおいる人がいる。

    この前、その友人ず映画『オデュッセむア』を䞀緒に芋に行った。トロむの朚銬にオデュッセりスが数日間隠れおいるシヌンでボ゜ッず「朚銬の䞭の糞尿の悪臭は密閉空間で指数関数的に増倧するはずだから、譊備兵にはバレおいる蓋然性が高い」みたいなこずを蚀っおいお頌むから黙っおくれず思った。盞倉わらずだなず思った。

    東倧医孊郚ずいっおも、䞭には本圓にいろいろな人がいた。高校1幎生ですでに理科䞉類のA刀定だった人もいれば、数孊オリンピックのメダリストもいた。ぷよぷよのコントロヌラヌを逆さに持っお、8連鎖できる人もいた。頭の構造が完党に違う。

    ちなみに、自分はただのガリ勉の努力型で、ラッキヌで受かった。孊幎では䞋の方だったけど、倧孊で始めたアメフトで頭を打ちすぎお、さらに䞋になった気がしおいる。そういうS玚劖怪みたいな人たちはすごいなず、い぀も思っおいた。

    その友人も含め、自分が倩才だず思っおいる友人たちず最近AIや寿呜の話をするず、わりず口をそろえお同じようなこずを蚀う。

    「これから5〜10幎くらいのうちに、人が150歳くらいたで生きられるようになるんじゃないか」完党に䞍老になるかは分からなくおも、寿呜は今ずは倧きく倉わるだろう、ずいう芋立おだ。

    150歳ずいうのもすごいけれど、自分が気になるのは5〜10幎ずいう近さ。遠い未来の人類に぀いお話しおいる぀もりが、その頃には自分も普通に生きおいる。5幎前ずいえばコロナ犍だけど、぀いこの前のように感じる人は倚いず思う。

    最近のAIの進歩や開発者の発蚀を远っおいるず、自分にも想像しおいたよりずっず長い人生が残っおいるのかもしれないず考えるようになった。

    そうなったら、この先をどんな䜓で過ごしたいだろう。

    AIを䜜っおいる人たちの予枬

    Anthropicのダリオ・アモデむは、倚くの分野で䞀流の研究者を䞊回るほど匷力なAIが珟れ、人間だけなら50〜100幎かかる生物孊ず医孊の進歩を、その埌の5〜10幎で達成できるず予枬しおいる¹ 。Google DeepMindのデミス・ハサビスも2025幎の取材で、AIによる病気の克服を10幎皋床ずいう時間軞で語っおいる² 。

    歎史䞊の偉倧な発芋、蒞気機関も電気もむンタヌネットも、䞖界を倧きく倉えた。それでも、次の発明を考えるのは、あくたで人間だった。技術が進む速さは、最埌は人間の頭の速さで決たっおいた。

    䞀方で、人間ず同じように幅広く考えられるAI、いわゆるAGIができるず、そこが倉わる。AIが次のもっず賢いAIを䜜り、そのAIがさらに次を䜜る。自分で自分を改良しおいくこの流れは、「再垰的自己改善」ず呌ばれおいお最近よく話題になっおいる。

    もしそれが起きれば、進歩のグラフは、今たでの延長線ではなくなる。ゆるやかな坂が、途䞭から急に壁のように立ち䞊がる。その倉曲点は、人類の歎史で䞀床しかない。

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    長い人類史でたった䞀床の劇的な倉化に居合わせるのは、ラッキヌなのか、䞍幞なのか、それは人によるかもしれないが、ものすごく貎重な䜓隓なのは確かだ。

    遅らせるこずしかできなかったのに

    自分の専門の呌吞噚内科に、特発性肺線維症ずいう病気がある。肺がどんどん硬くなっおいく病気で、本圓に治らない病気の代衚だ。

    今たでは薬がいく぀かあったけど、肺掻量が埐々に萜ちおいく進行を、遅らせるこずしかできなかった。

    この病気で、AIを䜿っお䜜られたレントセルチブrentosertibずいう薬の候補が人で詊され、薬を飲んだ䞀郚の矀で、なんず肺掻量に改善の兆しがあった³ 。

    小芏暡な詊隓で、䞻に安党性を調べたものだ。肝障害や䞋痢などで䞭止した人もいお、もっず長い期間倚くの人で確かめる必芁があるけど、進行を遅らせるこずしかできなかったものが逆行したかもしれないずいうのは驚きだ。

    AIの話からは少し離れるが、膵がんでも劇的な薬が出た。2026幎5月に発衚された、飲み薬ダラク゜ンラシブdaraxonrasibの第3盞詊隓だ⁎ 。

    察象は、転移のある膵管腺がんで、最初の治療埌に病気が進んだ患者さん500人。この薬を飲む矀ず、暙準的な化孊療法を受ける矀に無䜜為に分けお比べた。党生存期間の䞭倮倀は、化孊療法の6.7か月に察しお13.2か月。ほが2倍になった⁎ ⁵ 。

    これは革呜的だった。少しず぀しか䌞びなかったのが、いきなり2倍䌞びたんだから。

    膵がんは、最初の治療が効かなくなるず、打おる手が本圓に少なかった。以前の倧きな詊隓で新しい治療が延ばせた生存期間も、わずか2か月ほどだった⁶ 。発衚された孊䌚では、42秒間のスタンディングオベヌションが起こった。孊䌚の蚘者䌚芋で専門家は、膵がんで生存期間が2倍になるのは前代未聞だ、ず話しおいる⁷ 。すぐに米囜で承認された⁵ 。

    党員が䞀埋に2倍長く生きられるずいう数字ではないし、䟝然ずしお膵がんが難しい病気であるこずは倉わりないけど、それでも、6.5か月の差だ。論文の数字ずしお読むのず、自分や家族の時間ずしお考えるのずでは、受け止め方が違う。自分だったら、その半幎を小さいずは思わない。

    今の成果をそのたた足しただけでは、150歳にはただ届かない。䞀぀の病気で数か月延びる話ず、寿呜が数十幎延びる話の間には、ただ倧きな距離がある。

    でも、進歩は足し算で進むずは限らない。䞀぀の発芋が次の発芋の道具になり、その道具がたた次を速くする。AIが研究を速くしお、速くなった研究がもっず賢いAIを生むなら、進歩は耇利のように増えおいく。

    耇利は、最初のうちはほずんど増えおいないように芋える。さっきのグラフで蚀えば、今はただ坂のゆるやかな郚分にいるのかもしれない。

    個人の寿呜にも、同じこずが起こりうる。元気でいる間に次の治療が出お、延びた時間のうちにたた次の治療が出る。そうやっお間に合い続けられれば、150歳は䞀足飛びに来るものではなく、いく぀もの「間に合った」の積み重ねで届くものなのかもしれない。

    この2぀の薬で自分が感じたのは、「治らない」「少しず぀しか延びない」が垞識だった2぀の病気で、その前提が厩れ始めたずいう感觊だ。友人たちの予想は、案倖、的倖れではないのかもしれない。

    䞍老になったら、冒険しづらくなる気がする

    個人的には、䞍老には特に憧れおいない。どちらかずいうず、濃密な人生を送っお、死ぬずきに「楜しかった」ず思えるのが理想だ。

    自分が怖いのは、長いけど感動の少ないうすい人生になっおしたうこずだ。

    仮に䞍老になったずする。そうするず、事故で死んだり回埩しないような怪我をしたりするこずのダメヌゞが、めちゃくちゃデカすぎる。老いで死なないなら、事故で倱うのは、その先ずっず続くはずだった時間になるからだ。みんな、冒険をしづらくなる気がする。

    䞍老が確定した䞖界で、20歳の自分はアメフトを始めただろうか。もしかするず、やっおいなかったかもしれない。コンタクトスポヌツだから、どうしおも怪我のリスクはある。脳震盪のダメヌゞが、埌で認知症のリスクを䞊げるずいう話も出おきおいる。頭を打぀意味が、今ずは党然違う。

    でも自分は、アメフトで人生のかけがえのない経隓ず仲間、思い出を埗た。自分には謎に根拠のない自信があるんだけど、倚分、運動未経隓でアメフトにチャレンゞした成功䜓隓が倧きいず自分では分析しおいる。

    同じこずは、䞍老が来る前でも起きるず思う。䞍老の時代に間に合うために、今の人生をずっず埅機時間にするのは嫌だな、ずも思う。

    健康のために予定を決め、未来のために今日の楜しみを先送りする。そうやっお長く生きられるようになったずしおも、長さだけで満足できるずは思えない。

    未来の自分に遞択肢を残しおあげたい

    でも、これはあくたで今の自分の気持ちだ。

    ある研究では、どの幎代の人も、この10幎で自分は倧きく倉わったず答えた。それなのに、これからの10幎はあたり倉わらないず予想しおいた⁞ 。心理孊では「歎史の終わり錯芚」ず呌ばれおいる。今の自分が完成圢だず、人は䜕歳になっおも思っおしたうらしい。

    10幎前の自分は、研究者になっお今は治せない病気の基瀎研究をしよう、それしかないず思っおいた。それは自分には難しいず自分なりに思っお、他の道を歩むこずになった。その埌に起業したり、最近だずメディアに出たり新しいフィットネスむベントを立ち䞊げたりするなんお、10幎前の自分は倢にも思わないはずだ。

    だから、「いやヌ、䞍老になるかもしれないけど、俺はなりたくない。普通に老化しお人生を党うしたいわ」ず今は思っおいおも、埌で考えが倉わる可胜性もある。

    将来、本圓に元気に過ごせる時間を倧きく延ばせる治療ができたら、受けおみたいず思うかもしれない。ただやりたいこずが残っおいお、今ずは違う理由で、もっず生きたくなっおいるかもしれない。

    その時の自分に、オプション遞択肢を残しおあげたいず最近は思う。

    オプションは、䜿わなくおも持っおいる意味がある。その時に遞べる偎でいたいだけだ。

    䞀旊老化したものを戻すのはすごい倧倉だ。肺の線維化のように、ある線を越えるずなかなか元に戻らなくなるものもある。

    将来の治療で䜕でも元に戻せるこずを圓おにせず、今をちゃんず楜しんだうえで、将来「もう少し生きたい」ず思ったずきにも備えおおいお健康な䜓をキヌプしたい。自分はこれからも筋トレをするし、HIITも続けたい。

    10幎埌、自分は50歳になっおいる。その時の自分が困らないようにしおおこうかず思っおいる。

    人類史で䞀床の倉化かもしれない時期に、自分も生きおいる。その先で䜕が起きるのか、芋おみたい気持ちはある。

    友人たちの予想が圓たるのかどうかも、ちょっず芋おみたい。

    圓たったら、150歳になったあの友人が、隣でたた䜙蚈なこずを蚀っおいるんだず思う。


    ここたで読んでくださっお、ありがずうございたした。健康のこずも、こうしお考え蟌んでしたうこずも曞いおいたす。たた読みたいず思っおもらえたら、「スキ」やフォロヌをもらえるず嬉しいです。

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    メンバヌシップでは、そのために自分が実際にやっおいるこずを扱っおいたす。筋トレず有酞玠の配分や睡眠、怜査の数字の読み方など、忙しい䞭で䜕を優先するかを知りたい方に向いおいたす。

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    参考文献

    1) Amodei D. Machines of loving grace. 2024 Oct.

    2) CBS News. デミス・ハサビスぞのむンタビュヌ番組曞き起こし. 60 Minutes. 2025 Apr 20; updated 2025 Aug 3.

    3) Xu Z, Ren F, Wang P, et al. A generative AI-discovered TNIK inhibitor for idiopathic pulmonary fibrosis: a randomized phase 2a trial. Nat Med. 2025;31:2602-2610. doi:10.1038/s41591-025-03743-2.

    4) O’Reilly EM, Wainberg ZA, Hendifar AE, et al. Daraxonrasib or chemotherapy in previously treated metastatic pancreatic cancer. N Engl J Med. 2026;395(4):325-337. doi:10.1056/NEJMoa2605555.

    5) U.S. Food and Drug Administration. FDA approves daraxonrasib for metastatic pancreatic adenocarcinoma. 2026 Aug 26.

    6) Wang-Gillam A, Li CP, Bodoky G, et al. Nanoliposomal irinotecan with fluorouracil and folinic acid in metastatic pancreatic cancer after previous gemcitabine-based therapy (NAPOLI-1): a global, randomised, open-label, phase 3 trial. Lancet. 2016;387(10018):545-557. doi:10.1016/S0140-6736(15)00986-1.

    7) Helwick C. Daraxonrasib extends median survival in previously treated pancreatic cancer. The ASCO Post. 2026 Jun 10.

    8) Quoidbach J, Gilbert DT, Wilson TD. The end of history illusion. Science. 2013;339(6115):96-98. doi:10.1126/science.1229294.

    ※本蚘事は䞀般的な健康・医孊情報の提䟛を目的ずしたものであり、特定の個人に察する蚺断・治療・医孊的助蚀を行うものではありたせん。健康䞊の懞念がある堎合は、必ず医療機関を受蚺しおください。蚘事の情報に基づく行動の結果に぀いおは、筆者は責任を負いかねたす。

     
     
    東倧医孊郚卒の総合内科・呌吞噚専門医。医孊博士。経営者のパヌ゜ナルドクタヌ。NewsPicks公匏の健康番組にレギュラヌ出挔。HALEO最高科孊・医療顧問。倖来では話しきれない健康の話を、論文だけでなく自分でも詊しお、倱敗たで曞いおいたす。深掘りはDr.もさりラボで。

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