
猫に会いに、世界を旅する 04|ギリシャ・イドラ島(2019年)ーロバのいる日常、名残惜しい島
2019年のゴールデンウィークに訪れたギリシャ。エーゲ海に浮かぶ4島(サントリーニ島・パロス島・ミコノス島・イドラ島)を巡りました。
今回は、最後に訪問したイドラ島での出来事を振り返ります。
イドラ島へ
ミコノス島からフェリーでアテネの外港のピレウス港へ向かい、そこからさらにイドラ島行きのフェリーに乗り換えます。ピレウス港からおよそ1時間半の船旅を経てイドラ島に到着した頃には、すっかり日が暮れていました。

イドラ島も細く入り組んだ路地が張り巡らされた迷路のような街でした。港から宿まではほんの数分のはずなのに、夜の暗さもあって、すぐに道に迷ってしまいました。GPSはここでも役に立たず、宿がなかなか見つかりません。途方に暮れていたとき、一匹の猫がふいに現れました。導かれるようにその後を追ってみると、そこは目的の宿の前でした。「猫が道案内をしてくれたのかも...」そんな風に感じてしまうのも、この島の独特な空気感のせいかもしれません。
朝の街並みとロバのいる風景
日帰り観光客が多いイドラ島の早朝は、とても静かでした。到着時は暗くて気づかなかったのですが、この島の建物は白い壁にオレンジ色の屋根。それまで訪れた3つの島の青と白の景色とは異なり、温かみのある街並みが広がっていました。
港に出ると、ロバたちが整然と並んでいました。イドラ島では車やバイク、自転車などは原則禁止されているため、ロバが今も現役で運搬手段として活躍しています。その周りでは猫たちがくつろいでいました。営業時間外のレストランでは、ほとんどの椅子がテーブルに傾けられていますが、猫が寝やすいように、そのままになっている椅子もいくつかありました。

やがて漁船が港に戻ってきました。ここでは漁師たちが船から直接魚を売るスタイルのようで、魚を買い求める人が来ると、それに合わせて猫たちもぞろぞろと集まってきます。漁師が時折投げる小さな魚を、猫たちは見逃さず、さっと受け取っていました。その様子は、島の日常の一コマなのだと思いますが、微笑ましく感じました。

あいにくの天気もまた良い
3日間の滞在中、1日は雨が降ったり止んだりの空模様でした。しっとりと濡れたイドラの街は少し彩度を落とし、その静かな佇まいに晴天時とは異なる趣がありました。
雨が降り出すと、猫たちは軒下やテーブルの下で雨宿りを始めましたが、観光客に傘を差してもらっている猫もいて、なんとも心和む光景でした。
猫たちは天候に合わせてそれぞれのペースで過ごしていました。私も雨のおかげでゆっくりでき、旅の疲れを癒すことができました。

雨の翌日はすっきりした晴天。猫たちは朝から元気いっぱい遊んでいて、私は子猫たちの遊び道具になってしまいました。笑
なかなか別れられないイドラ島
旅の最終日。昼のフェリーでアテネに移動し、遺跡を観光しつつ夜の飛行機で日本へ帰る予定にしていました。ところが、予約していたフェリーが「欠航」(強風のため)との知らせが届きました。まさかの事態に固まりましたが、チケット売り場に駆け込んで代わりの便を探してもらい、なんとか夕方のフェリーに変更できたものの、飛行機に間に合うかどうかは微妙なところ。ピレウス港に着いてすぐに空港行きのバスに飛び乗り、なんとか間に合いました。今思えば、イドラ島が私を引き止めてくれたのかもしれません。

島を離れる時、”もっといたかった”、”まだ帰りたくない”という気持ちが心の底から湧き上がりました。その寂しさの度合いが、この島が本当に好きだったという証のような気がします。
イドラ島は、最後の最後まで心に刻まれる思い出をくれました。

エーゲ海に浮かぶ4つの島を巡った旅。島ごとに異なる風景や空気感、そして猫たちとの出会いが、私の心に深く刻まれました。
帰国してしばらく経った今も、あの眩しい日差しやひんやりとした石畳の感触、レストランから漂ってくる香りがふと蘇る瞬間があります。
そして、ギリシャは食事が最高に美味しく(今まで訪れた国の中で一番と言っても過言ではない)、フローズンヨーグルトが恋しくなることもしばしば。
猫たちが見せてくれた無邪気な仕草や、その土地で暮らす人々の温かさもまた、私にとって大切な思い出です。
次にまたギリシャに戻る日が来るとしたら、また新たな発見と心に残る出会いがあるはずです。そんなことを思いながら、再びギリシャを訪れる日を夢見ています。