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エンパスか、ナルシストか、ではなく

    前回のユング関連の記事で、エンパスとナルシストは、単に善人と悪人ではないということを書いた。

    誰でも、エンパス側にもナルシスト側にもなりうる

    今朝また動画を見ながら思ったのですが、誰でも、いわゆる「エンパス側」にも「ナルシスト側」にもなりうるんじゃないか、と。

    もちろん、ここで言う「ナルシスト」は診断名としてのNPD(自己愛性パーソナリティ障害)の話ではありません。
    自分の見方を相手より優先してしまうような、関係の中での動きの話。

    人によって、どちらかに振れやすい傾向はあるのかもしれない。

    でも、「エンパスな人」「ナルシストな人」って人種を二種類に分けるより、関係の中でどちらに振れやすいかなんじゃないかと思いました。

    相手を受け取りすぎて、自分の中心を失う人と、自分の見方を信じすぎて、相手の中心を見失う人。

    たとえば最近こんなことがありました。

    わたしは自分をエンパス傾向がある人として自覚しています。

    わたしは長年友達の愚痴を聴き続けていた。それは決して楽しいものではありませんでした。

    でも、友達の心が少しでも軽くなるならという思いで、自分の気持ちを抑えながら愚痴の聞き役に回っていた。

    ここまではエンパス的な動きです。

    でも、周りに影響を受け過ぎて苦しくなっている彼女に、つい彼女の癖を指摘して、「こうしたらいいよ」と聞かれてもいないアドバイスしてしまったのです。

    わたしは彼女に「少しでも楽になってほしい」という気持ちからでした。たぶんわたし自身、彼女の愚痴を聴くのに疲れてしまっていたのだと思います。

    でも、電話での彼女の口調から、触れてはいけないことに触れてしまったと気がつきました。

    それで後からメッセージで謝ったのですが、もしここで、彼女の気持ちを無視して、わたしが彼女に対してさらにアドバイスを続けていたらどうでしょうか。

    相手に自分の解釈を押し付けている時点で彼女を傷つけ、それは、わたしがここで「ナルシスト側」と呼んでいる動きに近づいていきます。

    エンパス側、ナルシスト側の両者は、どちらも「境界線」の問題です。

    片方は、相手の円に入りすぎて自分の円が薄くなる。
    もう片方は、自分の円を相手の円まで広げてしまう。

    方向が逆なだけで、どちらも「自分と相手の中心を同時に残す」が難しくなっている。

    そしてエンパス的な「感じる人」だからといって、必ずしも相手を正確に受け取れるわけではないと思いました。

    最近わたしは人に、わたしの言った言葉を別の意味に受け取られ、その人の解釈を乗せられたような経験をしました。

    その人は、とても共感力のある人です。
    その人の言葉は、愛から発せられたものなのかもしれません。
    でも、そのときはわたしにとってその言動は「ナルシスト的」に感じました。

    だから、感じる力、相手の言葉を受け取る力、自分の解釈を保留する力は、別のものなんだと思います。

    感受性が強い人ほど、自分が感じたことに確信を持ちすぎることもあるのかもしれません。

    「私はこう感じた」が、「あなたは本当はこう感じている」に変わったら、そこで相手の言葉より自分の解釈が上に置かれることになります。

    自分を信じることは大切ですが、自分の見方を相手の真実にした時点で、その関係には歪みが生じます。

    もっと大きな視点から見れば、対立もすれ違いも、ただ関係の中で起きていることなのかもしれません。

    誰か一人を悪者にしなくても、それぞれに背景があり、傷があり、見えている世界がある。

    でも、理解することと、責任をなくすことは違います。

    相手が実際にしたことの責任は、相手にあります。
    自分が実際にしたことの責任は、自分にあります。

    相手の事情を理解しても、相手の行為まで自分が背負う必要はありません。
    自分の事情を理解しても、自分がしたことが消えるわけではありません。

    だから、わたしは「エンパスか、ナルシストか」で人を分けるより、今、この関係の中で、わたしはどちらに振れているんだろう、と見るほうがいい気がしています。

    相手を受け取りすぎて、自分を失っていないか。
    自分を信じすぎて、相手を失っていないか。

    その真ん中で、自分も相手も残しておくバランス力。

    その真ん中を探し続けることが、コミュニケーションなのかもしれません。



    ▶関連記事|相手を理解しても、自分の痛みを消さなくていい



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