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【海外現地ラジオ】デジタル地上波ラジオ「DAB/DAB+」について

    こんにちは、ラジオと地理です。
    ところで、「デジタル地上波ラジオ」って、聞かれたことはございますか?「え?」「何それ?」と仰る方も多いでしょう。
    それもそのハズ。現時点で日本では行われていませんので、ご存じないのも仕方ありません。
    ところがグローバルな観点でみると、ジワジワと普及しつつあるのです!
    そこで今回は、欧州を中心に普及しつつある「DAB/DAB+」にフォーカスして、ご紹介してみましょう。 ※最終修正は2026年6月

    実は日本にもあったの!?

    はい。日本国内でも似たものとして、TOKYO FMが中心に実施していたマルチメディア放送「i-dio」(2020年終了)や、NTT docomoが中心となっていた「NOTTV」(2016年終了)がありました。
    スマホとラジコの爆発的な普及で、埋もれてしまったのが終了した一因なのかと察しています。
    【参考】
    ・Wikipediaにおけるi-dioの説明
    ・WinipediaにおけるNOT TVの説明

    「i-dio」では日本独自のデジタル規格「ISDB-Tsb」が採用されましたが、他の国では導入されず終わってしまい、現在は利用されていません。
    では実際どうなってるの?ですが、世界を席巻している標準方式はなくて、幾つかの有力な方式が混在しています。
    北米では「HD Radio」、短波・インドや中国等の国内放送では「DRM」そして欧州では「DAB」(Digital Audio Broadcasting)と、拡張されたアップグレード版の「DAB+」です。

    対応した機種が必要になるの?

    そうなんです。
    このDAB/DAB+は、専用の周波数帯を確保し、完全にデジタル化された電波を受信して音声にする仕組み。このため、放送を楽しむには対応した機種が必要となります。つまり、従来の「アナログだけ」の機種ではダメ。
    これが 、既存のアナログ音声にデジタル信号を付加する、いわばハイブリッド型の「HD Radio」や「DRM」と一番違う所ですね。

    どこの国でやってるの?

    英国がいわば「発祥の地」(後述)で、欧州がメインなのですが、アジア・アフリカ・オセアニアでもトライアル(試験放送)も含め、導入している国が多いのも特徴の一つです。
    EU各国と繋がりが深い国(地域)がアジア・オセアニアにもありますが、主にこういった国が中心ですね。
    【参考記事】
     【海外現地ラジオ】フランスの海外領土におけるFM/DAB+移行   
     いつのまにか豪州が「DAB大国」になっていた話|
    私個人的には(身近なアジアでは)カタールのドーハ(本放送)と、インドネシアのジャカルタ(試験放送)で受信したことがあります。(下の画像)

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    カタール・ドーハにてDAB+を受信(2025年3月)
    公営の「Qatar Media Corporation」による「Qatar Radio」
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    インドネシア・ジャカルタにてDAB+を受信中(2018年10月)
    公営の「RRI」 (Radio Republik Indonesia)の音楽番組
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    (上の続き)

    私の愛用機 ソニー「XDR-P1DBP」

    私が愛用しているのはソニー製「XDR-P1DBP」という、重さ僅か170グラムの超小型モデルで、2015年に発売されました。(当記事の各画像)
    私もご多分に漏れず日本人なので、日本のメーカーを好んでしまうのですが、ソニーはラジオ製造を全体的に縮小しており、この機種も既にディスコン(製造中止)のようですね。
    中古市場では見かけるのですが、とても小柄で旅行には最適、かつ質感と性能も良く、英国アマゾンでも高評価を連発していました。
    よって、とても気に入っていたのですが、最初の1台はコロナ禍で外国に行かなくなり手放してしまいました。
    私はソニーとは何の関係もなくて「忖度」はないですが、今まで使ったラジオの中でも、トップクラスの質感と性能だと勝手に思っています。 
    やっと2024年から海外旅行を再開しましたので、ようやく2台目を中古で手に入れました。
    SONY のエンブレムを誇らしげに付けているので😁  企画/設計までは日本でしょうが、製造は中国で欧州向けの機種ですので、いわば「逆輸入車」といったところでしょうか。
    (参考記事)

    欧州では凄い数の対応機が販売済

    例えば英国の例では、これまで販売された対応機(携帯型、据置型、車載型、時計型、オーディオチューナーなど全て)の累積販売数は5559万台(2024年)だそうです。
    これに大陸側の各国(メインはフランス、ドイツ、北欧、スイス、イタリアあたり)まで含めると、凄い数なるでしょうね。
    例えば英国アマゾン(amazon.co.uk)
    のトップページを開いて「DAB Radio」で検索してみて下さい。
    多くの機種がドッと出て来ると思います。
    Amazon.co.uk : dab radio
    メーカー、価格帯、デザインも多種多様で、幅広いバリュエーションからチョイスできますね。もちろん日本のメーカーも散見されますよ。

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    オーディオショップ「Curry’s」のラジオ売り場(ロンドン中心部にて / 2025年)
    全部が DAB / DAB+ / アナログFM のみの機種

    既に本放送から30年以上!英国の現況

    1995年に英国BBC(日本のNHKに相当)により、世界で初めてDABによるデジタル地上波ラジオの「本放送」が開始されました。
    既に30年以上の実績がありますし、今では多くの局がオンエアしている英国は、いわば「DABの本家本元」と言えそうですね。
    英国では前期型のDABが主に利用されていまして、190~230MHz付近といったVHF帯としては高い周波数帯で、アンテナの地上高はさまざま。
    最大1.5MHzの帯域を取り多重化されているので「Multiplex」とも呼ばれ、周波数の割り当ては「Block」(Channelとも呼ばれる)という単位で、電波行政を担う日本の総務省に相当する情報通信庁(OfCom)が指定します。
    Multiplexには、幾つか種類があって…
    ・National(全国)
    ・Regional(広域)
    ・Local(小地域)
    ・Small-Scale Trial (地域限定のお試し版)
    デジタル化に伴う最大のメリットである「多重化」ですが、実際一つのBlockには10程度の局(番組)が「同居」しています。
    全国版Multiplexには、こんな例があります
    ・BBC National(Block番号 12B) ※BBCのチャンネル一式
    ・Digital-One(Block番号 11Dなど)
     ※「Absolute Radio」や「Talk Sport」などの主要局
    ・Digital-Two(Sound Digital)(Block番号 11A)※Virgin Radio等
    これらのBlockは、移動時に最寄りの基地局エリアを出ても、すぐに隣接基地局に自動で切り替わり、継続して聞けますから便利(携帯網に似ています)
    デジタルなので文字も伝送しますから、曲名、電子番組表、交通情報や緊急速報などの情報も得られますが、もはやデジタルなので当たり前といった所でしょうか。
    (参考記事)

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    ロンドン近郊にてBBCのDAB放送を受信中!(2025年8月)

    順風満帆とは言えないが、ジワジワと!

    実際に聞くことは、いたって簡単。
    Blockを意識せずとも、大抵の機種はアンテナを伸ばして電源を入れるだけです。
    電波が強く復号可能な局を拾うと局名が表示され、この中から聞きたい局を選ぶのですが、いわばプリセット選局のイメージに近いと思います。
    私個人的には、2011年にフランスで初めてDAB+受信を体験しました。
    音質は良く電波も途切れず選局は楽でしたが、受信環境に左右されやすく、鉄筋の建物だと窓際にラジオを置かないと、良く聞こえませんでした。
    クルマなどで移動した際や局数が少ない地方では、周辺環境に注意しないと聞こえない場面が多いのでは?と感じましたが「既に設計思想が古く不安定だぞ!」と指摘する人は少なくないです。
    事実、欧州ではアイルランドの公営局(RTÉ)は、2021年3月に一旦DABから撤退しましたし、フィンランドやハンガリー等では導入が見送られていますね。
    その一方、スペインの公営局(RNE)は、2025年末に国内の中波送信を一気に止め、DAB+シフトを加速するようです。
    更に、バルト三国のエストニアでは2025年9月より、DAB+の本放送がスタートしています。

    ロンドンに普及団体がある

    ロンドンに普及団体「World DAB」があり、最新の情報を同団体のサイトで得ることが出来ます。
    リレーションシップ・マネージャーで、親日家のベッキー(Becky Keene) さんと、プロジェクト・ディレクターのバーニー(Bernie O'Neill)さんからは、定期的に情報を頂いており役立っています。
    【参考】 World DABのサイト

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    World DABのロゴ

    今後の展開は?

    既にノルウェーやスイスといった国では(一部の例外を除き)アナログFMからDAB+に移行を進めており、こういった「完全移行組」は次第に増えそうな気配ではあります。
    また、移動体向けメディアとしての活用も進み、EUでは新車へのDAB+チューナー搭載が義務化されていますので、普及を後押ししていますね。
    ネットやスマートスピーカーと連携する、日本の「ラジスマ」に似た、ハイブリィド受信アプリとデバイスも出ていると聞きました。
    紆余曲折があるにせよ、これからもジワジワと普及していくでしょうから、引き続き、DABに着目して参ります。
    【参考】ラジコとFMラジオが両方楽しめるスマホがある⁉(ラジスマ)

    参考記事

    こちらに一式ございますので、ご参考までどうぞ


     
     
    ラジオ受信から、地理・地形・文化を読み解いています。 なぜ海岸で遠くの局が聞けるのか? なぜ山一つで聞ける局が変わるのか? 「電波で地理を見る」面白さを発信。 ラジオ関連記事執筆100本以上(三才ブックス等) /英国ラジオ受信愛好会(BDXC) /日本地図学会/地理学専攻

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