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【簡単あらすじ】秘密(微ネタバレ)【東野圭吾/文春文庫】


    『 長い間、本当に長い間、お世話になりました。』


    妻子が実家に帰るため乗車したバスが事故を起こした。

    娘は奇跡的に生き残っており、病院で目を覚ますと
    娘の体内には、亡くなったはずの妻の魂が宿っていた。

    読了すると、老若男女問わず感情を揺さぶられ続ける一作です。




    ―

    『はじめに』
    日本各地で雪の便りが届くようになり、東北南部も外出には厚手のコートが必要な季節になりました。そうすると、必然的に家や自室で過ごす時間が増えることになり、読書も捗る季節とも言えます。
    このように、読書をするための絶好のシチュエーションを得られる時期ですので、最近読んで印象に残ったり、買ったまま積んでいたりした本の感想を書こうと思います。この感想で、その作品や著者に少しでも興味を持って頂ける内容にしたと思いながら書いていますが、登場人物やぼんやりしたあらすじなど、『微ネタバレ要素』を含む記載がありますので、その点にご注意ください。

    ーー

    夜勤明け、杉田平助は自宅で一人、テレビがついている部屋で朝ご飯を食べていた。

    特に集中してTVを見ているわけでは無く、特に何か予感があってというわけでも無く、いつものルーティーンで、贔屓の力士の結果を見るためにつけているものだった。

    今日も今までの人生と同じ、穏やかで平凡な一日になると違いないと信じていた朝。

    しかし、ニュースでスキーバスの転落事故が報じられる。

    そのバスには、実家へ帰るために妻・直子と、娘・藻奈美が乗車していた。


    ―
     
    東野圭吾さんの作家生活40周年特集ということで、2025年3月から7月まで開催された、全国民参加型!の「東野圭吾 104冊・1億部 全国民投票」で、第四位となった作品です。
     
    バス転落事故をきっかけに、娘の身体に、死んだはずの妻の意識が宿る。

    個人的に題名の「秘密」がとても良い響きです。

    この「秘密」が、時期や場面・人物によって全く違ったものになります。

    本作はミステリーでは無いのですが、

    誰の秘密(謎)か、
    誰に対する秘密(謎)か、
    何のための秘密(謎)か、

    と置き換えてもとてもしっくりする物語です。

    じっくり考えても、

    正解はどこにあるのか・そもそも正解があるのか、
    ハッピーエンドなのか・バッドエンドなのか、

    最初から最後まで、感情が落ち着きませんでした。

    読む方によって、登場人物の考え方や行動に対する受け止め方は全く違くなると思います。

    本筋のストーリーからは少し外れてしまうのですが、
    個人的には、主人公・平助と以前の職場の同僚・中尾の話がとても刺さりました。

    「会社ってのは人生ゲームだよな。会社にいて出世するってのは、人間が歳をとるってのと同じことだと思うよ。出世したくないってのは、歳をとりたくないっていうことなんだ」

    P269

    「誰だっていつまでも子供でいたいわけだよ。馬鹿だってしていたい。だけどそれを周りが認めなくなるんだな。あんたそろそろお父さんなんだからしっかりしなさいとか、もうおじいちゃんなんだから落ち着きなさいってことになっちゃう。違うよ俺はただの一人の男だよなんていっても、許してくれない。子供ができたら父親だし、孫が生まれりゃじいさんなんだ。その事実からは逃げられないんだよな。だったら、自分はどんな父親になれるか、どんなじいさんになれるかを考えるしかないんじゃないか」

    P269~270

    この部分は、いつまでも若くありたい、と考えている方々の裏側を暴いた(痛いところをついているセリフ)のではないでしょうか。

    私は、良いおじさんになろうと思います。


    ―

    読了すると分かりますが、上記総選挙で第四位というのも納得です。

    恐らく、読んだ老若男女が様々な感情と感想を持った作品であり、忘れられない・忘れることの出来ない作品だと思います。

    いつもであれば、「さわやかな」「すっきりした」読了感、ということをおススメする理由としているのですが、本作は、一度読み始めると、感情が物語に絡み取られることが間違い無いですし、すっきりとした読了感には恐らくならないでしょう。

    しかし、それでもおすすめの一作です。

    是非ご一読ください。

    ちなみに、巻末には(色々話題の)広末涼子さんの解説があるところも見どころです。


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    (東野さん作品レビューはもっとありますので、お時間ありましたら特設ページからご覧ください)



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