
【3分あらすじ】シャーロック・ホームズの凱旋(微ネタバレ)【森見登美彦/中公文庫】
『 ワトソンなくしてホームズなし 』
ヴィクトリア朝京都を舞台にした、シャーロック・ホームズの冒険。
伏線回収と言うよりも、全てが明らかになったときに別の作品が表れる、と言えます。
森見登美彦さんのテイストが存分に味わえる一作。
是非ご一読ください。
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『はじめに』
東北南部は9月に入って雨模様が続き、外出を躊躇うことが多くなっています。その一方で、気温が30℃を超えることもあり、大変蒸し暑い状況が続いています。
そうすると、積極的に外出しようとする気力も失われてしまうので、部屋で過ごすことが多くなり、現在は読書が捗る時期とも言えます。
このように、読書をするための絶好のシチュエーションを得られる時期ですので、最近読んで印象に残ったり、買ったまま積んでいたりした本の感想を書こうと思います。この感想で、その作品や著者に少しでも興味を持って頂ける内容にしたと思いながら書いていますが、登場人物やぼんやりしたあらすじなど、『微ネタバレ要素』を含む記載がありますので、その点にご注意ください。
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本作は、ヴィクトリア朝京都を主要舞台にした、以下の各章+プロローグ&エピローグの物語です。
第一章 ジェイムズ・モリアーティの彷徨
「まったく困った奴だよ、ホームズは」
寺町通221Bにある下宿屋。
そこに住むホームズとワトソンが大家のハドソン夫人と夕食を取っていると、様々な研究結果を残し有名な作品を発表している、名士中の名士、ジェイムズ・モリアーティ教授を下宿人として受け入れることになったという話しを聞く。
以後、ホームズの下手なヴァイオリンの騒音でいざこざを起こすなどするが、ある時、モリアーティ教授の研究室の研究員・カートライトが下宿屋にやってくる。
そこでホームズに対して
「先生はまるで何かに取り憑かれてしまったようです」
と困りごとを話す。
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第二章 アイリーン・アドラーの挑戦
「それはもう!あの人は史上最高の霊媒ですよ」
十一月最初の日曜日、ワトソンはハドソン夫人と馬車に揺られ、南禅寺界隈に住む、名高い霊媒・リッチボロウ夫人の邸宅を目指していた。
その目的は、スランプに陥ったため、下宿屋に閉じこもりグータラしているホームズを何とかするきっかけを得る為だった。
心霊主義には懐疑的なワトソンだったが、リッチボロウ夫人が心霊的エネルギーを集める為と使用した水晶玉には、ある少女の姿が映し出されていた。
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第三章 レイチェル・マスグレーヴの失踪
「シャーロック・ホームズ君、消息を絶つ モリアーティ」
リッチボロウ夫人の心霊をインチキと指摘した、新人探偵アイリーン・アドラー。
彼女は、ワトソン夫人・メアリと組み「アイリーン・アドラーの事件簿」を発表する。
それは、ホームズ譚の休止により新作に飢えていた読者たちに受け入れられ、瞬く間に洛中洛外を熱狂の渦に巻き込んだ。
その後、行方知れずとなったホームズを探し、ホームズの学生時代の友人であり、洛西にすむマスグレーヴ家に赴いたワトソンとモリアーティ教授。
そこでホームズを見つけるのだが、成り行きで、アイリーン・アドラーたちとリッチボロウ夫人の行う「心霊的調査・交霊会」のからくりを暴く手助けをもとめられる。
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第四章 メアリ・モースタンの決意
「ロンドン?ロンドンって何だ?」
交霊会後、モリアーティ教授は姿を消し、下宿屋へは戻ってこなかった。
一方、ホームズは、アイリーン・アドラーと業務協定を結び、アイリーン・アドラーの手足となって働くことで、大分顔色も良くなるなど体調の回復が見てとれる。
ある日、モリアーティ教授の業務の引き継ぎのため下宿屋を訪れたカートライト。
気になったこととして、ホームズに
モリアーティ教授の寝室に、ハドソン夫人がつけた覚えのない鍵がかかっている。
と話す。
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第五章 シャーロック・ホームズの凱旋
「必ず帰ってきてください。約束ですよ」
シャーロック・ホームズと袂を分かってから約一年。
ワトソンは発表のあてもないまま「シャーロック・ホームズの凱旋」の執筆を行っていた。
執筆が行き詰まり、市内を歩いていると
「シャーロック・ホームズ氏、襲撃される!」
という見出しの記事を読む。
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本作は、今年度のベスト5に入るような、読了後の満足感がとても大きい一作でした。
ホームズ・ワトソン・モリアーティといった、シリーズの主要登場人物だけでなく、アイリーン・アドラーなど、本家シャーロック・ホームズシリーズのファンも喜ぶような主要キャラが生き生きと振る舞っている世界。
ただ、その世界では、本家とは違った展開も多いです。
本家シリーズが好きであれば好きなほど、その違った・違和感のある展開に心を痛めるかもしれません。
しかし、最終的に読了したあとは、各章の違和感だけでなく、
なぜ「ヴィクトリア朝京都」という舞台なのか、
なぜ「ホームズ(モリアーティも)が〇〇〇〇状態」なのか、
など、本作のテーマについては伏線回収とはまたちょっとニュアンスが違った感じで、違和感が無くなったことによって、一気にまた別の作品が表れ・完成するような、とてもスッキリとした読了感でした。
森見登美彦さんのテイストが満載の一作。
是非皆さんもご一読ください。
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