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命をつないだ奇跡/夫の人生を変えたある出来事からのメッセージ


    命を繋いだ奇跡の先に――夫の心筋梗塞が教えてくれたこと


    三年半前の春に
    思いもよらない出来事が起こりました。

    夫が突然、急性心筋梗塞を発症したのです。

    それはいつも通りの日常が
    一瞬にして変わってしまうほど

    衝撃的な出来事でした。

    それでも今振り返ってみると

    あの出来事は命の危機を乗り越えた
    というだけではなく

    夫がこれまでの生き方を見つめ直し

    新しい方向へと歩み始めるための
    大切な転機だったように思えるのです。

    今回は、三年半前に夫に起きた出来事と

    その後の暮らしの中で私が感じてきたことを綴ってみたいと思います。

    突然の電話から始まった一日

    その日の朝も夫はいつもと変わらず
    元気に出勤していきました。

    私は夫を見送ったあといつものように
    家のことをして過ごしていました。

    ところが、出勤から一時間ほどたった頃
    夫から電話がかかってきたのです。

    こんな時間に電話があるなんて
    夫に何かあったのか……。

    そう思いながら電話に出ると
    夫は苦しそうな声で

    通勤途中に具合が悪くなり
    タクシーで病院に着いたこと

    これから診察を受けるので

    息子に診察券を持って
    すぐに来てほしいことを伝えてきました。

    私はすぐに息子を向かわせるから
    大丈夫だと伝え

    息子は急いで病院へ向かいました。

    その時点ではまさかこれほど大変なことが
    起きているとは思ってもいませんでした。

    それから一時間ほどたった頃
    息子から連絡が入りました。

    夫が心筋梗塞を起こし
    緊急手術を受けているというのです。

    私は必要なものを準備し
    急いで病院へ向かいました。

    頭の中はどうして? なぜ夫が? 
    という思いでいっぱいでした。

    夫は毎年、健康診断を受けていました。

    ほかの部分で再検査や通院が
    必要になったことはありましたが

    心臓については
    何の指摘も受けていなかったのです。

    これまで心臓に問題があるなどとは
    まったく考えていませんでした。

    病院に着くと息子と一緒に
    待合室で手術が終わるのを待ちました。

    必要な書類を確認し手続きに必要なことを
    一つずつ済ませながら今は医師に
    お任せするしかないと思っていました。

    やがて手術が終わりICUに入る前に

    ほんの少しだけ
    夫の顔を見ることができました。

    運ばれてきた夫が最初に口にしたのは

    「心配かけちゃってごめんね」
    という言葉でした。

    私は夫を少しでも安心させたくて

    「大丈夫大丈夫。いろいろなところへの
    連絡は私がやっておくから
    何も心配いらないからね。」

    と、できるだけ落ち着いて答えていました。

    本当は私も突然の出来事に
    内心動揺していましたが

    今は夫が安心できるようにしてあげたい…
    そんな思いでいました。

    その後手術を担当して下さった医師から
    夫の状態の説明を受けました。

    夫は運ばれてきた時点で
    すでにかなり重症だったそうです。

    冠動脈のうち二本の血管で
    合わせて三か所が詰まっており

    三か所にステントを入れて
    血管を広げる処置が行われました。

    医師のお話では命を落としていても
    不思議ではない状態だったとのことでした。

    そのことを聞いて改めて

    夫がどれほど危険な状況だったのかを
    思い知らされました。

    それでも夫は
    こうして命を繋いでくれて

    今思うと本当に奇跡のような出来事でした。

    驚くほど早い回復と入院中の暮らし


    緊急手術のあと
    夫は二日間をICUで過ごしました。

    その間家族が病室を訪ねて
    直接顔を合わせることはできませんでした。

    病院では決められた時間に

    タブレットを使って家族と話す方法も
    ありましたが

    利用できる枠が少なかったため

    夫には携帯電話を使える場所まで
    移動してもらい

    LINEのビデオ通話で話をしていました。

    ICUに入って二日目の夕方夫から
    右手が自由になったと連絡がありました。

    そして三日目のお昼頃ようやく
    一般病棟へ移ることができたのです。

    そこでは必要な検査や検温を受けながら
    夫は携帯ラジオをイヤホンで聴いたり

    点滴を引き連れてフロアを散策したりして
    過ごしていたようです。

    入院五日目からはリハビリも始まりました。

    心臓に大きなダメージを受け
    緊急手術を受けたばかりの身体なので

    どれほど消耗していただろうと思いましたが
    それでも検査結果は驚くほど良好で

    医師からも回復がとても早いと
    驚かれたそうです。

    入院から二週間後には
    退院の許可が下りました。

    あれほど危険な状態だったことを思うと
    夫の回復力は嬉しい驚きでした。

    命を救って下さった医療関係者の皆さまや

    病院に行くまで夫を助けて下さった
    電車内の乗客の方々

    駅員の方やタクシードライバーの方には
    感謝の気持ちでいっぱいです。

    ただ退院すればすべてが元通りに
    なるわけではありませんでした。

    夫にはそれまで経験したことのない
    身体の変化が現れていたのです。

    匂いも味もこれまでとは違う世界に


    一般病棟に移り

    食事ができるようになった頃から
    夫はある変化に気づいていました。

    食べ物や身の回りの匂いが

    以前とは比べものにならないほど
    強烈に感じられるようになったのです。

    温野菜の匂いが気になり

    病院で支給された歯磨きクリームも
    受けつけませんでした。

    さらにこれまで食べ慣れていたものの味が

    まるで別のもののように
    感じるようになりました。

    嗅覚過敏と味覚障害です。

    もともと夫は匂いに敏感なところがあり
    化粧品売り場などの匂いが苦手でした。

    それでも食事に関しては
    特に問題なく過ごしていたのです。

    ところが心筋梗塞を発症してからは

    食べることそのものが大変なことで
    苦痛なものになってしまいました。

    退院して自宅療養に入ってからも
    その状態は続きました。

    食べられるものが限られてしまい

    これまで普通に飲めていた
    麦茶や緑茶も受けつけません。

    そのため水分補給のために
    ミネラルウォーターを購入して

    それは現在でも続いています。

    食事も温かいものは
    匂いが強く感じられるため

    ご飯やおかずをうちわや扇風機で
    少し冷ましてから食べたり

    日によっては冷めたご飯でさえ
    匂いが気になることもありました。

    当時はパンのほうが食べやすかったので
    朝食には卵やツナをのせたパンや生野菜

    果物、ヨーグルト、牛乳などを
    用意することが多くなりました。

    お肉も薄めの味つけで少量なら食べられ
    匂いの関係で野菜は生のもの以外

    なかなか受けつけませんでした。

    あまり動けないので食欲もなく
    お腹がすいたという感覚も乏しく

    少し起きては横になる
    そのように過ごす日々でした。

    食べられるものが
    あまりにも限られていたために

    最初のうちは
    栄養のバランスを考えることよりも

    まずは今食べられるものを
    口にしてもらうことを大切にしていました。

    部屋の匂いにも敏感になっていたため

    換気をしたり、消臭木を置いたりと
    家の中の環境にも気を配りました。

    夫にとっても、そばで支える私にとっても
    試行錯誤の続く毎日でした。

    少しずつ食べられるものが増えて

    麦茶も飲めるようになった時には
    ほっとしたものです。

    それでも身体が元気を取り戻すには
    時間が必要なのだと感じました。

    身体が教えてくれた思いがけないこと

    実はこの嗅覚と味覚の変化によって

    夫にとって
    大きな転機となったことがありました。

    それは長年続けてきた
    喫煙習慣をやめられたことです。

    夫は半世紀近くタバコを吸っていました。

    決してヘビースモーカー
    というわけではありませんでしたが

    仕事に集中したあとの一服や
    食後のタバコは夫にとって

    大切なリラックスタイムだったようです。

    以前から「タバコは一生やめない」
    と話していたほどでした。

    けれども今回の緊急手術のあと
    医師から禁煙するように言われました。

    さすがに今回はやめるだろうと
    思っていた私でしたが

    入院中のビデオ通話では夫が

    「すぐには無理、少しずつ減らしていくよ」と話していた時には完全にやめるのは

    難しいのかもしれないと感じていました。

    ところが退院後二週間ほど
    タバコを吸わずに過ごした夫が

    久しぶりに一服してみると
    「全然おいしくなかった」というのです。

    それ以来
    夫はタバコをやめることができました。

    長年、当たり前のように続けてきた習慣を

    自分の意志だけで変えるのは
    簡単なことではなかったと思います。

    けれども身体に起きた変化によって
    思いがけず手放すことができたのです。

    私はこの出来事を通して身体というものは
    私たちが頭で考えている以上に

    自分自身を守ろうとして
    くれているのかもしれないと感じました。

    もちろん嗅覚過敏や味覚障害が
    すべての人に起こるわけではありませんし

    その原因についても
    私たちにはよくわからないのです。

    それでも夫の場合、この変化が

    長年続けてきた習慣を変える
    きっかけになったことは確かでした。

    不快に感じられる症状の中にも

    結果としてこれからの身体を守るために
    必要な変化が含まれていたのかもしれない

    そう思うようになったのです。

    薬との付き合いから見えてきたこと


    退院後、夫は心臓の治療を続けながら
    自宅での療養生活を送ることになりました。

    その後の通院では
    血圧の変化にも注意が必要でした。

    もともと夫の血圧は低かったのですが

    退院後なぜか一時的に
    血圧が高くなる時期がありました。

    心臓にとって血圧の管理は大切なので
    医師はその変化を重く受け止め

    血圧を下げる薬を増やすことにしました。

    ところが薬を増やしてから
    今度は血圧が大きく下がり始めたのです。

    ひどい時には上の血圧が六十台、
    下が四十台という数値になりました。

    身体はひどく疲れやすくなり

    朝の洗顔や歯みがきで
    ほんの少しの間立っていることでさえ

    つらい状態になってしまいました。

    これでは日常生活を送ることも
    難しくなってしまいます。

    私は元々血圧が低い夫に
    さらに血圧を下げる薬を増やして

    大丈夫なのかを心配をしていました。

    その後、医師に実際の状態を伝え
    薬の量を調整していただきました。

    心臓を守るために必要な治療であっても

    その時々の身体の状態によって
    薬の作用が大きく現れることもあります。

    夫の場合も血圧の変化や強い疲労感を
    確かめながら医師と相談して

    治療を進めていく必要がありました。

    また、夫には慢性腎臓病もあり

    心臓と腎臓の両方に
    気を配らなければなりませんでした。

    それぞれの病気を診る専門の医師がいても
    身体は一つに繋がっています。

    一つの場所を治療することが
    別の場所に影響することもある…

    複数の病気を抱えながら
    治療を続けることの難しさを

    私も身近で感じるようになりました。

    身体の状態は、いつも一定ではありません。

    だからこそ検査の数値だけではなく
    実際にどんな変化が起きているのかを伝え

    医師と相談しながらその時の身体に合った
    治療を考えていくことが

    大切なのだと思いました。

    夫の生き方を振り返って


    こうして夫の身体に起きた
    さまざまな変化を見つめているうちに

    私はこれまでの夫の生き方についても
    考えるようになりました。

    夫は仕事に対して
    とても責任感の強い人です。

    設備関係をはじめ多岐に渡って
    様々な仕事に携わり

    専門的な知識を
    必要とする業務を続けてきました。

    新しい事業の立ち上げなどにも多く関わり

    問題が起きれば自分の知識と知性を使って
    解決していきました。

    「誰かがやらなければならないから」と
    そんな思いもあったようで

    夫は難しい問題に向き合い
    何とか解決することに力を注いできました。

    また普段から頭を使い考える習慣がないと
    いざという時に解決策が出てこないからと

    仕事をしている時だけでなく

    家でテレビを見ている時にも
    いろいろと考えている様子でした。

    そんな夫を見て私は

    いつもこれほど頭を使っていて
    疲れないのかなと感じたこともありました。

    けれども夫自身はその働き方を選び

    難しい課題を解決することに
    やりがいを感じていたのだと思います。

    周囲から頼られることも
    夫にとっては大きな喜びだったのでしょう。

    その姿は夫らしさでもあり
    長年培ってきた能力でもありました。

    ただ、今振り返ってみると
    いつも頭を働かせ次々と問題を解決し

    何とかすることを積み重ねてきた日々は

    知らず知らずのうちに夫の身体に
    負担をかけていたのかもしれません。

    もちろん心筋梗塞の原因を

    仕事の忙しさだけに結びつけることは
    できません。

    医師からは喫煙習慣についても
    指摘がありましたが

    なぜ夫にあのようなことが起きたのか
    私たちにはわからない部分も残っています。

    それでも私は今回の出来事をきっかけに
    夫がこれまでの働き方や生き方を

    見つめ直す時期を迎えたのではないかと
    感じるようになりました。

    これまでの働き方は今の夫にとって
    最善の道ではないのかもしれない…

    自分の身体を大切にしながら
    無理のない形で能力を発揮していく…

    そんな生き方へと少しずつ
    方向を変えていく必要が

    あったのではないかと思うのです。

    ネガティブに見える出来事のその先に

    病気になることは
    誰にとっても望ましいことではありません。

    突然の発症に驚き命の危険を感じ
    手術や入院を経験する…

    その後も思うように食べられなかったり

    身体の不調に悩まされたりと
    さまざまな困難がありました。

    私たち家族にとって
    当時は心配の絶えない日々でした。

    けれどもあの出来事がなければ
    今もこれまでと同じような働き方を続けて

    長年手放せなかったタバコをやめることも

    これほど真剣に身体と向き合うことも
    なかなかできなかったと思います。

    そう考えるとあの出来事は

    夫の人生を別の方向へと導くために起きた
    大きな転機だったように思えるのです。

    私はすべての病気に意味があり

    つらい出来事が必ず良い結果に繋がると
    思っているわけではなく

    渦中にいる時には
    苦しさや不安でいっぱいになったり

    その先に何があるのかなど
    考える余裕もないこともあると思います。

    けれども時間がたってから振り返ってみると

    その時にはわからなかったことが

    後になって少しずつ繋がって見えてくる
    こともあるのではないかと思いました。

    夫に起きた心筋梗塞も私には
    そのような出来事の一つに感じられます。

    何よりも夫が命を繋いでくれたこと

    そしてあの出来事を通して

    これからの生き方を
    見つめ直す機会を得られたこと

    それは私たち家族にとって
    かけがえのないことでした。

    これからの人生をもっと自分らしく


    人は自分の身体のことを

    実はわかっているようで
    あまりよくわからないのかもしれません。

    頭ではまだ大丈夫だと思っていても

    身体はすでに
    何かを感じ取っていることがあります。

    そして思いがけない変化を通して

    これまでのやり方を見直すように
    促してくれることがあるのかもしれません。

    私自身も前回の記事で

    自分の病気を通して身体が伝えてくれた
    メッセージについて綴りました。

    そして今度は夫の経験を振り返りながら

    身体の持つ力や人生の流れが
    変わっていくことについて考えています。

    夫の身体に起きたことを
    すべて理解できているわけではありませんが

    これからも体調の変化に気を配り

    必要な治療を続けながら身体と丁寧に
    付き合っていくことが大切だと思っています。

    私は夫に起きた出来事を

    夫がこれからの人生を
    より自分らしく生きていくための

    大切な節目として
    受けとめていきたいと思っています。


    ありがたいことに今では通勤はせずに
    自宅で仕事をこなす働き方に変わりました。

    嗅覚の過敏さや味覚障害も
    当初よりかなり症状が緩和されて

    食べられるものも増えてきました。

    これからは自分の身体の声にも
    耳を傾けながら無理をしすぎず

    日々の暮らしの中にある喜びも
    これまで以上に味わってほしいと思います。


    そんな思いが届いたのか

    一年前、夫は故郷の北海道へ
    市内に住む夫の弟に付き添ってもらい

    三泊四日をかけて行くことができました。


    継承するのが難しくなった納骨堂を
    二年前に夫がすべて手筈を整えて

    永代供養へきりかえることにしたのです。


    北海道に住む関わりのある親戚に
    事情を記した手紙を書いたのちに

    皆、理解を示してくれてその上で
    納骨堂じまいをする日に集まってくれました。

    夫は無事に役目を果たすことができましたが
    当時夫は不整脈がでていて現地には行けず

    二人の弟と一人の妹に当日は仕切って
    もらっていました。

    一年前の北海道行きはそんな方々へ
    お礼を伝えたいと計画したものでした。


    心筋梗塞を発症して以来

    夫はテレビで北海道の映像を観るたびに
    故郷を懐かしみ

    突然の大きな身体の変化に心がついていけず

    「この身体ではもう北海道には行けない。」
    とひどく落ち込むことがありました。

    私には何の根拠もなかったのですが

    なぜか夫がそのまま故郷に帰れなくなるとは
    思えませんでした。

    そこで私は「これからも行けるよ!」と
    事あるごとに何度も言い続け

    北海道へ行くとしたら
    どんな交通機関でどんなルートで行くか

    などを具体的に計画をたてることを
    勧めました。

    夫はだんだん気持ちがあがってきて
    綿密な計画をたて始めました。

    そうするうちに納骨堂じまいの流れがあり

    ずっと行きたかった故郷に
    帰ることができたのです。

    義母の葬儀以来五年ぶりに訪れた故郷は

    夫に懐かしい思い出を次々と
    運んできてくれたようでした。


    人生には思い描いていた通りに
    進まないこともあります。

    けれどもその出来事をきっかけに
    それまで見えていなかったものに気づき

    新しい方向へ歩き出すことは
    捉え方次第でできるのでは、と思います。

    たとえ今はネガティブに思えることでも

    その先に、これまでとは違う
    幸せが待っているのかもしれません。

    そう信じられることは

    これから先の人生を歩んでいくうえで
    大きな支えになるように思いました。

    あの日夫が命を繋いでくれた奇跡に
    感謝しながら

    これからも家族と一緒に

    一つひとつの出来事から
    大切なメッセージを受け取って

    今まで以上に自分たちらしい人生を
    歩んでいきたいと思っています。


    最後まで読んでいただき
    どうもありがとうございました。


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    sally

     
     
    葛藤の多い人生で自分を見失いがちだった私に、トートタロットというとても信頼できる導き手との出会いがありました。 心が望む『自分の本当の道』をトートが示してくれることで心の声を聞く大切さを知り、そこから始まった自分自身の変化などもお伝えすることができれば嬉しいです。

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