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2026年ブルゴーニュワインの最新ヴィンテージ速報|猛暑と水不足、収穫と品質への影響【7月25日】

    7月25日。

    ブルゴーニュのブドウ畑は、収穫へ向けた重要な仕上げの時期に入っている。

    2026年は春から生育が非常に早く、7月初旬には早い区画ですでにヴェレゾン(véraison/色づき)が確認された。

    病害は少なく、ブドウの衛生状態は全体として良好である。そして何より、今年の畑にはしっかりと房がついている。

    一見すれば、2026年は非常に順調なヴィンテージに見える。

    しかし7月後半になった現在、畑を見ながら気になるのは別のことである。

    「この房を、どのような状態で収穫まで育てることができるのか」

    今年のブルゴーニュを考える上で、ここから大きな鍵となるのは「水」、そして「暑さ」である。

    非常に早く進む2026年のブドウ

    7月に発表された農業情勢によれば、今年のブドウの生育は極めて早い。

    6月末の猛暑を経ても生育は先行し、7月初旬にはコート・ドール県(
    Côte-d'Or)やソーヌ・エ・ロワール県(Saône-et-Loire)の早い区画でヴェレゾン(色づき)が始まっていた。

    ヴェレゾンは、ブドウが成長から成熟へと大きく舵を切る時期である。

    ピノ・ノワールでは果粒が緑色から赤紫色へと変化し、シャルドネでは果皮が次第に透明感を帯びていく。

    ここから糖が蓄積され、酸が変化し、果皮や種子、香りも成熟していく。

    2026年は、例年よりかなり早くこの重要な段階に入っている。

    病害の少ない、きれいな畑

    今年のブルゴーニュの畑の衛生状態は全体として非常に良好である。

    ミルデュー(べと病)は極めて限定的で、リスクは非常に低い水準。ウドンコ病についても、全体として良好な状態が報告されている。

    雨の多いヴィンテージでは、生産者は収穫近くまで病害との闘いを強いられる。

    2026年は、少なくとも今のところ、そのような年ではない。

    今年の問題はむしろ、その反対側にある。

    水が足りないのである。

    房はある。しかし、それがそのまま収量になるわけではない

    開花、結実を経て、畑には十分な房がある。

    しかし、「房がある」ことと「収量がある」ことは同じではない。

    ここから果粒が育つためには水が必要。

    水分が不足すれば、果粒の肥大が十分に進まず、見た目には多くの房があっても、最終的な果汁量や収量は想定を下回る可能性がある。

    つまり7月25日の2026年は、

    「房はある。しかし収量はまだ分からない」

    という段階だ。

    7月中旬、待望の雨が降った

    長く続いた暑さと乾燥の中、7月中旬、ブルゴーニュにも待望の雨が降った。

    乾燥に耐えていたブドウにとって、この雨は一息つく機会になったはずである。

    特にヴェレゾンを迎え、果実が成熟へ向かい始める時期である。乾いていた土壌に水が入った意味は小さくない。

    しかし、この雨には大きな地域差があった。

    雷雨性の降水では、ほんの数キロ離れただけで雨量が大きく異なる。

    また、長期間乾燥した斜面に短時間で強い雨が降っても、そのすべてがブドウの根の届くところまで浸透するわけではない。地表を流れてしまう水もある。

    そして、その雨から約10日。

    再び、まとまった雨が降っていない。

    雨の後も、水不足は続いている

    7月24日、Saône-et-Loire県は最新の渇水状況を発表した。

    そこには、

    「有効な降水がないため、河川の状況悪化が続いている」

    と記されている。

    一部地域では渇水規制も強化された。

    つまり7月中旬の雨は、ブドウにとって貴重な雨ではあったものの、この地域が抱える水不足そのものを解消するほどではなかったということである。

    畑を見る上でも、ここは重要である。

    雨が一度降ったからといって、それまで数週間にわたって積み重なった土壌の水分不足がリセットされるわけではない。

    山火事が伝える、もう一つの乾燥のサイン

    今年の乾燥を物語っているのは、ブドウ畑だけではない。

    フランス各地で森林や草地の火災が相次いでいる。

    フランス内務省によれば、2026年に入ってから7月24日までに、すでに5万ヘクタール以上が火災によって焼失している。

    南西部では大規模な森林火災が発生し、多くの住民が避難を余儀なくされている。

    しかし、これは南フランスだけの問題ではない。

    ブルゴーニュでも7月24日、リュリー付近でも新たに植生火災が発生した。

    ブルゴーニュに暮らしている私にとって、山火事はもはや遠い地域だけの出来事ではないのである。

    もちろん、火災の発生そのものを単純に高温や気候変動だけの結果と考えることはできない。フランスでは出火原因の多くに人間活動が関係している。

    しかし、乾燥と高温は、植物を乾かし、火がついた際に燃え広がりやすい環境をつくる。

    畑のブドウが水を求めていることと、森や草地が燃えやすくなっていることは、同じ乾燥した大地の上で起きている現象なのだ。

    そして来週、再び暑さがやってくる

    さらに気になるのが、これからの天候である。

    Météo-Franceが7月24日に発表した予報によれば、週末はいったん気温が下がるものの、27日から再び上昇し、28日、29日と暑さが強まる可能性がある。

    Météo-Franceは、これをこの夏4回目となる可能性のある高温エピソードとしている。

    ここで「4回目の猛暑」と断定しないのは、現段階ではその強度や継続期間がまだ確定していないため。

    しかし、問題は一度の最高気温だけではない。

    すでに乾燥している土壌と植生に、再び高温が重なることである。

    今年の流れを追ってみると、

    高温 → 乾燥 → 7月中旬の雨 → 再び乾燥 → そして再び高温

    という状況の中で、ブドウは成熟期を迎えている。

    この暑さと乾燥は、ワインの品質にどう影響するのか

    では、現在の気象条件は、2026年のワインの品質にどのような影響を与えるのだろうか。

    ここは、「雨が少ないから悪い年」と単純に考えることはできない。

    ブドウにとって、ある程度の水分ストレスは必ずしも悪いものではない。

    水が十分にありすぎれば、ブドウ樹は枝や葉を旺盛に伸ばし続ける。一方、適度な水分ストレスがかかることで新梢の成長が抑えられ、果実の成熟へとバランスが移っていくことがある。

    また、果粒が過度に大きくならなければ、果皮に対する果汁の割合が相対的に小さくなる。

    特にピノ・ノワールでは、果皮に色素、タンニン、香りに関係する多くの成分が含まれている。

    したがって、小さく健全な果粒が得られれば、凝縮感のあるワインにつながる可能性もある。

    乾燥そのものが、品質にとって悪いわけではないのである。

    問題は、そのストレスが「適度」な範囲を超えるかどうかである。

    糖度だけが上がればよいわけではない

    高温のヴィンテージで難しくなるのが、成熟のバランスである。

    ブドウの成熟には、いくつもの時計がある。

    糖度が上がる。

    酸が変化する。

    果皮が成熟する。

    種子が成熟する。

    そして、その品種らしい香りが形成される。

    理想的には、それらが調和しながら収穫へ向かっていく。

    ところが高温が続けば、糖の蓄積が進む一方で、酸、とりわけリンゴ酸が失われやすくなる。

    糖度だけを見れば収穫できる状態でも、果皮や種子、香りの成熟との間にずれが生じる可能性がある。

    ブルゴーニュにとって、これは非常に重要な問題である。

    ブルゴーニュのピノ・ノワールやシャルドネに求められるものは、単なる力強さやアルコールの高さではない。

    果実、酸、香り、タンニン、そしてフレッシュさのバランスである。

    暑ければ暑いほど、成熟が進むわけではない

    さらに、水分ストレスが強くなりすぎると、逆の現象が起きる。

    ブドウ樹は水が不足すると、葉から水分が失われるのを防ぐため、気孔を閉じる。

    これは樹が自分を守るための反応である。

    しかし気孔を閉じれば、光合成も低下する。

    つまり、

    「暑ければ暑いほど、ブドウが早く熟す」わけではない。

    水分ストレスが限界を超えれば、成熟そのものが鈍ったり、一時的に止まったりする可能性がある。

    さらに強い日射が続けば、葉の早期黄変や果実の日焼けなども注意しなければならない。

    だからこそ、7月中旬の雨には意味があった。

    ヴェレゾンから成熟へ向かう重要な時期に、一度でも水分を補給できたことは、ブドウにとって助けになったと考えられる。

    しかし、その後は再び乾燥している。

    そして、次の高温が予報されている。

    今年は「畑の違い」がはっきり現れるかもしれない

    こうした年ほど興味深いのが、畑ごとの差である。

    同じブルゴーニュでも、ブドウが置かれている条件は決して同じではない。

    土壌の深さ。

    粘土の割合と保水力。

    石灰岩の位置。

    斜面の向き。

    樹齢。

    台木。

    根がどこまで深く伸びているのか。

    そして、生産者がこれまでどのように畑を管理してきたのか。

    深く根を張った古木と若木では、乾燥への反応が違う。

    浅く石の多い土壌と、粘土を多く含み水分を保持しやすい土壌でも違う。

    同じ村の中、場合によっては隣り合った区画でさえ、ブドウが経験している2026年は同じではない。

    乾燥の厳しい年ほど、テロワールや樹齢、そして畑仕事の違いが表に現れてくる可能性がある。

    これは、これから収穫まで私自身が畑を歩きながら注目していきたい点でもある。

    2026年は「豊作」なのか

    房はある。

    病害は少ない。

    生育も非常に早い。

    ここまでだけを見れば、2026年には大きな期待を持ちたくなる。

    しかし、7月25日の時点で「豊作」と判断するにはまだ早い。

    果粒がこれからどこまで育つのか。

    酸がどれだけ残るのか。

    果皮と種子はどのように成熟するのか。

    葉は収穫まで健全な状態を維持できるのか。

    そして、次の雨がいつ、どのように降るのか。

    今後の天候次第で、最終的な収量も品質もまだ変わり得る。

    2026年の答えは、まだ畑の中にある。

    石黒かおり
    ブルゴーニュ拠点 フランスワインスペシャリスト
    BELLEVUE FRANCE 代表 / WINE no KAORI 主宰

    ブルゴーニュ在住20年以上。ブルゴーニュのドメーヌでヴィニュロンとしてブドウ栽培やワイン造りに携わるとともに、国際事業責任者として輸出・ブランド戦略を担当しました。

    現在は、BELLEVUE FRANCE代表として生産者と日本市場を結ぶワインビジネスを展開するとともに、WINE no KAORIを主宰し、フランスワインの文化と価値を伝えています。

    講演・執筆・監修などのご相談を承っております。
    contact@bellevue-france.fr​




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