
体幹が弱いは筋力不足だけじゃない|療育で見る姿勢の5つの見方
「体幹が弱い子が多いですよね」
発達支援の現場で、
この言葉をよく聞きませんか?
保護者の方も、園や学校、病院などで
「この子は体幹が弱いですね」と
言われたことがあるかもしれません…
そう言われると、
「腹筋や背筋を鍛えなきゃ」
「家で筋トレをさせたほうがいいのかな」
と考えてしまいますよね。
お子さんのためにすぐ何かしてあげたいと思うのは、
とても自然なことだと思います。
ただ、「体幹が弱い」は、
実は『筋力不足』だけの話じゃないんです。
支援者が「体幹」と言うときは、
もっと広い意味で使っています。
そして、体幹が弱く見える理由は一つではありません。
この「体幹が弱い」という
不安にさせる『なんとなくの魔法の言葉』
しっかり定義を揃えてみませんか?
この記事で分かること
- 発達支援の現場でいう「体幹」の3つの意味
- 「体幹が弱く見える」5つのタイプとその理由
- 筋トレだけでは変わりにくい子がいるわけ
- 「姿勢を正しなさい」の代わりに大切にしたい支援の考え方
僕は「発達支援の翻訳者」ヒデアキです。
夫婦で療育施設を3つ運営していて
保育士・児童発達支援管理責任者として子どもたちと関わっています。
最近書いた渾身の自己紹介はこちら↓
いつもはthreadsというSNSで
発達支援の情報を発信していて
ありがたいことに、
今では13000人以上の方が
フォローして情報を受け取ってくださっていて
何より難しい発達の話を分かりやすく
図解にして届けることを行なっているんです
こんなふうに↓

「体幹が弱い」と言われたら|筋トレだけでは変わらない子もいる
まず結論からお伝えすると、
支援現場でいう「体幹」は、
腹筋・背筋の強さのことだけではないんですよね
僕たち支援者が「体幹」と呼んでいるのは、
主に次の3つの力をまとめたものです。
- 姿勢を保つ力
- 重心をコントロールする力
- 手足を動かすための「土台」の安定性
「体幹」という言葉ひとつに、
この3つが入っているんです。
びっくりじゃないですか?
「それならそうと言ってよ〜」
という声が聞こえてきそうなぐらいに(笑)
なので、筋トレだけでは変わらない子もいるんですよね。
僕は、ここがすごく難しいところだと思っていて。
言う側は「姿勢や安定性」のつもりで話していても、
聞く側は「筋肉が弱い」と受け取ってしまう。
同じ言葉なのに、思い浮かべているものが違うんです。
まずは「体幹=筋肉だけじゃない」と知っておくだけでも、
お子さんの見え方が少し変わってくると思います。
それがまず知って欲しくて
今日もわかりやすく書くので
コーヒー片手に読んでみてくださいね。
身体の発達の基礎理解はこちらのnoteがまとまっています
※図解多めでガッツリ解説していますので
▶︎鉛筆の持ち方が直らない、発達の順番↓

ここからは、「体幹が弱い」ように見える5つのポイントを、ひとつずつ見ていきますね。
① 座るとすぐ崩れる・机に突っ伏す|重力に逆らう力の発達がゆっくり
1つ目は、重力に逆らう力(抗重力)の育ちがゆっくりなタイプ
姿勢を保つことが苦手なお子さんですね。
子どもは赤ちゃんのころから、
次の順番で、重力に逆らって体を支える力を育てていくんです。
首すわり → 寝返り → おすわり → ハイハイ → つかまり立ち
この順番がゆっくり進んできた子は、
たとえばこんな様子が見られやすくて。
- 座るとすぐ崩れる
- 机に突っ伏す
- 立つとふらふらする
こうした様子があると、
「体幹が弱い」と見られやすいんですよね。
事業所でも、椅子に座って手先の動きを行おうとすると…
いつの間にか背中が丸くなって
机に突っ伏してしまったり
「ビシッ」と言って背筋が伸びても
どうしてもすぐに「グニャ〜」ってなっちゃう子
いませんか?それも実はサインだったりします。
つまり、崩れてしまうのは
「やる気」の問題ではなく、発達の順番の途中にいるサイン
として見ることができます。

まずはしっかり発達の順番を知りたい方はこちらをチェック
▶︎発達の順番・見えない土台・DCD
② グラグラしがち|感覚の土台(前庭感覚・固有感覚)が不安定
2つ目は、ここが超重要なポイントです。
姿勢を保つには、
筋力より先に「感覚=自分の体の位置を感じる力」が必要なんです。
特に大事なのは、次の2つの感覚
- 前庭感覚:バランス感覚。体の傾きや揺れを感じる力
- 固有感覚:体の位置感覚。手足がどこにあって、どれくらい力が入っているかを感じる力
運動が中心の療育先だったり
未就学児の事業所さんでは
すごく力説されるところですが
名前だけ見ると「めちゃくちゃ硬い」ですよね(笑)
前に庭がある感覚?…どんな感覚?
って僕は最初に思ったのは内緒です
ざっくりと分かりやすく翻訳すると
この感覚が弱いと、
「どこに力を入れたら安定するか」が分からずに、
グラグラしがちになります。
だから支援では、
ブランコやトランポリンのように、
バランス感覚や体の位置感覚を刺激する運動を取り入れています。
療育施設に
トランポリンやブランコ
ハンモックがある理由
分かりましたか?
このタイプのお子さんは、「力がない」というより、
身体の使い方が難しいと感じていることが多いんですよね。

③ じっと座っていられない|「座る」は脳の高度な仕事(実行機能)
3つ目は、「じっと座る」こと自体が、
実はとても高度な脳の仕事だというお話です。
姿勢を保つためには、
次のような力が同時に必要になっていて。
- 注意を向け続ける
- 余計な動きを抑える
- 細かい調整を続ける
これらは「実行機能」と呼ばれる力です。
なんやねん!実行機能って!
そんな声が聞こえてきそうなので
これも翻訳してみますね。
やさしく言うと、
「自分の行動をコントロールする脳の司令塔」のような働きです。
ADHD傾向のある子は、この実行機能が苦手なことが多いんです。
そのため、姿勢が崩れてしまい、
結果として「体幹が弱そう」に見えるということが起こってしまう…
つまり、体の問題に見えて、
実は脳のがんばりどころが関わっている場合もあるんですよね。

④ ぐにゃっと座る・すぐ寄りかかる|低緊張タイプ(筋肉の「張り」が弱め)
4つ目は、低緊張タイプです。
筋肉には「力」だけでなく、「張り(トーン)」というものがあります。
やさしく言うと、
筋肉がふだんからどれくらいピンと準備しているか、
という状態のことです。
めちゃくちゃ力が出せても
普段はブヨブヨ…
「明日から本気出す」と言っている
そんな人どう思いますか?
これが筋肉の中で起こっている感じですね。
この張りが弱めのお子さんは、
発達支援の現場では
次のような様子が目立ちやすいです。
- ぐにゃっと座る
- 疲れやすい
- 寄りかかる
このタイプの場合は、
筋トレをするよりも、「安定した姿勢の経験」を増やすほうが伸びやすいんです。
「鍛える」より「安定した姿勢を体験する」
この視点が大事になってくるので
そういう支援プログラムを
ぜひ取り入れてあげてほしい。
そう思っています。
⑤ 体が固まって崩れる|不安・感覚過敏による緊張(ASDに多い)
5つ目は、
不安や感覚過敏で体が固まってしまうタイプ
一般的にですが
ASD(自閉スペクトラム症)のお子さんに
多く見られやすい気がしています。
このタイプのお子さんは、
刺激が強いと次のような様子が見られることが多いので
ぜひ「刺激」を起点としてみてあげて欲しい
- 体が緊張しすぎる
- 呼吸が浅くなる
- 固まりすぎて動けなくなる
体がガチガチになると、
姿勢の細かい調整ができません。
卒業式の卒業証書授与の時
壇上を歩いた感覚
あれを思い出してみてください
手と足が一緒に出た経験ありませんか?
僕はあります(笑)
姿勢の生業ができない…
その結果、姿勢が崩れてしまい、
「体幹が弱い」ように見えちゃうんです。
つまり、
力が足りないのではなく、力が入りすぎて調整できない
ということもあるんですよね。

「姿勢を正しなさい」の代わりに|僕が大切にしている3つの支援
だから僕は、「体幹が弱い」と聞いたときに、
筋肉の問題で終わらせたくないんです。
なので、体幹の話をするときに、
この5つのタイプと理由を知っておくと、
大人どうしで「共通認識」を持てます。
そうすると、
その子に合った「工夫」が生まれやすくなるんですよね。
その子が悪いわけではなくって。
次の3つが、今はまだ噛み合っていないだけなんです。
- 発達の順番
- 感覚の土台
- 環境と安心

なので発達支援では、
「姿勢を正しなさい」と声をかけるのではなく、
次の流れを大切にしているんですよね。
1. 姿勢が育つ環境を整える
2. その子ができる形に「翻訳」する
3. 成功体験を積み上げる
僕は、この支援を大切にして
日々の関わりを続けています。
この記事のまとめ
さて、ここまで情報量多くお伝えしましたが
イメージは湧いてきましたか?
今日話したことをまとめると
この3つになります↓
- 支援現場でいう「体幹」は、筋力だけでなく「姿勢を保つ力・重心のコントロール・手足の土台の安定性」のこと
- 体幹が弱く見える理由は、発達の順番・感覚・実行機能・筋肉の張り・不安や感覚過敏の5つ
- 大切なのは「姿勢を正しなさい」ではなく、環境を整え、できる形に翻訳し、成功体験を積むこと
↑
もし…
「あれ?そうだったっけ?」
と思ったら、少しスクロールして
図解だけでも見て欲しいです
人間って、ちょっと振り返って
復習するだけで
記憶の定着って進むので
そして、図解をコピーして
「ドヤ顔」で説明してください
「実は〜
〇〇の体幹がクラグラなのは
5つの理由が考えられて〜
私は『感覚』だと思うけど
あなたはこの中だったらどれだと思う?」
こうやって、コミュニケーションと説明を
図解を使ってやることで
周りの人もさりげなく教育しながら
お子さんの理解を広げていけますから(笑)
最後に復習としてお伝えしたいのは
姿勢が崩れてしまうのは、
その子のやる気やしつけの問題ではないこと。
❶発達の順番、❷感覚の土台、❸環境と安心
この3つが、今はまだうまく噛み合っていないだけなんです。
理由が分かれば、関わり方は必ず見つかります。
焦らず、その子のペースで、一緒に土台を育てていきましょうね
この記事を読んで
感じることや疑問に思ったことがあれば
ぜひコメントに書いてくださいね!
その疑問も翻訳してnoteで届けますから。
今日も最後まで読んでいただき
本当にありがとうございました!
2026年10月31日
発達支援の翻訳者🌻ヒデアキ
次の一歩
今日の記事を読んで
「うちの子は今、発達の順番のどのあたりにいるんだろう?」
と気になった方もいるかもしれません。
体や手先の発達を順番に沿って見ていくヒントとして、
こちらのnoteをまとめています。
▶ 新版K式発達検査のすべて
姿勢・運動・手先の発達を「順番」で読み解く方法を、
実際の検査者さん監修のもと、
保護者の方向けにやさしく解説しています。
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