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【簡単あらすじ】さよならジャバウォック(微ネタバレ)【伊坂幸太郎/双葉社】


    『 桂さんはそういうヒトでした、と 』


    自身が受けた酷いモラハラがきっかけで、夫を殺してしまった量子。

    その後、様々な現実とは思えない出来事が量子を襲う。

    量子と読者の両者とも感じる微妙な違和感。

    違和感の正体が判明すると、全ての謎が解け物語がつながります。




    ―

    『はじめに』
    日本各地で雪の便りが届くようになり、東北南部も外出には厚手のコートが必要な季節になりました。そうすると、必然的に家や自室で過ごす時間が増えることになり、読書も捗る季節とも言えます。
    このように、読書をするための絶好のシチュエーションを得られる時期ですので、最近読んで印象に残ったり、買ったまま積んでいたりした本の感想を書こうと思います。この感想で、その作品や著者に少しでも興味を持って頂ける内容にしたと思いながら書いていますが、登場人物やぼんやりしたあらすじなど、『微ネタバレ要素』を含む記載がありますので、その点にご注意ください。

    ーー

    『量子さん、それはさすがに突飛すぎるよ』


    夫からの強烈なモラハラに耐え切れず、殺してしまった量子。

    無我夢中といえども殺人は殺人。

    残された息子のことを考え呆然としていたが、そこに現れたのは、大学時代の知人・桂凍朗。

    凍朗の勧めに従い、量子は死体を山に埋めに行く。

    その途中で量子は少しの眠りにつくが、目覚めた際に量子の前に現れたのは、破魔矢と絵馬という夫婦。

    この夫婦とともに、

    ある家族を訪問し、「ジャバウォック」と呼ばれる、人を狂暴に狂わせる存在を剥がすことを手伝ったり、

    凍朗の仲間と言われる、2メートルほどの大男と格闘したり、

    自宅マンション付近の景色が自分の記憶と変わっていたり。

    まるで、世界は夢なんじゃないかと感じるほど、量子に様々なことが一気に降りかかる。

    そして、破魔矢と絵馬に従い、量子は凍朗がいると言われたバスケットボールワールドカップの試合会場に向かう。

    何が現実で何が虚構なのか。

    それとも。


    ―

    伊坂さん「デビュー25周年作品」の一作です。

    (他作者さんですが)以前レビューしました「秘密」には、

    登場人物のセリフに、恐らくですが、作者・東野圭吾さんの考えが入り込んでいる部分がありましたが、本作にもありました。

    「斗真、凄いな、AIが作る曲は。
     びっくりするくらいにクオリティが高い」
    「これなら、わざわざ人がやらなくなるわけだ」

    P132

    現在、AIが目覚ましく進化し・その活用が世界的に広まっているため、「イラストレーター」や、最近の伊坂さんの作品に重要な役割を果たすことが多い「作詞・作曲などの音楽関連」、私の本業である社労士といった士業も、「AIに仕事を奪われる」と言われています。

    しかし、そのように感じている方は奪われるだろうし、そうでない方はそうでないなりに仕事は残るのではないでしょうか。

    「弱気も何も。こういう技術の進歩は仕方がないんだよ。馬車は車になるし、手書きはキーボードになる。象形文字は誰も使っていない。そうだろ」

    P133

    このように、なるようにしかならない笑と思います。

    そして、

    「真面目な人間がいなければ、社会はもっと簡単に壊れるだろうな。世の中の平和は間違い無く真面目な人間の踏ん張りのおかげだ」
    「真面目な人間はいいよ。確かに俺は好きだ。ただ、真面目過ぎる人間は、他人も巻き込もうとする。そうなると怖い。」

    P202

    「真面目に、誠実にやろうとするのはいいけれど、それを他人にまで求めはじめると危ないってことだよ。正しいことをそこまで正しいと信じるのは」

    P202

    これもその通りと思います。

    世の中の風潮で、現在は真面目な方が少々軽んじられているところもありますが、真面目な方がいらっしゃることによって、世の中が成立しているというところは間違い無くあります。

    もっと、良い意味での真面目な方が増えて欲しいですね。

    上記の東野圭吾さんの作品もそうですが、作中に「作者の考え」も少々含まれるような作品は、とても私の好みです。


    ―

    量子の夫を含め、作中では多くの方が命を落としてしまっているため、もちろん、ハッピーエンドとは言えません。

    ですが、出来るだけ多くの人物が自分の望んだ未来に進むという、決して救いのない展開ではないところが、流石の伊坂ワールドと言えます。

    何が現実で何が虚構なのか。

    そんな伊坂ワールド作品をご一読ください。


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