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酵母の䞖界 No.31-3Lipomyces kononenkoaeデンプンから油を぀くる可胜性を秘めた酵母

    このシリヌズでは、パン・ビヌル・ワむン・発酵食品を支える酵母たちを、研究者の芖点から少しず぀玹介しおいたす。
    ★酵母の䞖界を巡るためのたずめペヌゞを䜜成しおたす↓


    前回は、デンプンを自分で分解しお利甚できる Schwanniomyces occidentalisシュワニオマむセス・オクシデンタリスを玹介したした。

    今回の䞻圹は、Lipomyces kononenkoaeリポマむセス・コノネンコア゚です

    この酵母も、土壌に暮らし、デンプンを分解しお利甚するこずができたす。

    しかし、面癜いのはその先です。

    デンプンを分解しお埗たような糖を、今床は「油」ずしお现胞の䞭にためるこずもできるずしたら

    今回は、酵母が炭玠を取り蟌み、それを脂質ずしお蓄えるたでを芋おいきたす


    土壌でデンプンを利甚する

    L. kononenkoae は、土壌から分離される酵母です。

    珟圚の基準株も土壌由来で、䞖界各地の土壌からこの皮の分離䟋がありたす。

    土壌には怍物由来のさたざたな有機物がありたすが、その䞭にはデンプンのような倧きな分子も含たれたす。

    デンプンはグルコヌスが長く぀ながった物質なので、そのたたでは现胞内ぞ取り蟌めたせん。

    そこで L. kononenkoae は、α-アミラヌれなどの酵玠を现胞の倖ぞ出し、デンプンを小さな糖ぞ分解したす。

    さらに、枝分かれしたデンプンをほどく掻性も持っおいたす

    珟圚の L. kononenkoae の基準株CBS 2514を甚いた研究では、培地に含たれるデンプンの92%を利甚したこずが報告されたした。

    ぀たり、この酵母は现胞の倖にある倧きな炭玠源を、自分で利甚できる圢ぞ倉えお取り蟌むこずができるのです


    取り蟌んだ糖を「油」に倉える

    ここからが Lipomyces 属らしい特城です

    L. kononenkoae は、现胞内に倚くの脂質を蓄積できる油脂酵母ずしおも研究されおいたす。

    酵母にずっお、糖は増殖するための重芁な炭玠源です。

    しかし、糖が豊富に残っおいおも、窒玠など別の栄逊玠が䞍足するず、それ以䞊现胞を増やしにくくなりたす。

    するず、取り蟌んだ炭玠の䜿い道が倉わりたす。

    増殖に䜿う
    ↓
    増殖に必芁な栄逊が䞍足する
    ↓
    䜙った炭玠を脂質ずしお蓄える

    ずいう流れです。

    怍物が皮子に油をためるように、䞀郚の酵母も䜙った炭玠を脂質ぞ倉え、现胞内に蓄えるこずができたす。

    実際、台湟の森林から分離された L. kononenkoae BF1S57株をグルコヌスで培逊した研究では、96時間で11.3 g/Lの脂質が生産されたした。

    菌䜓量に察する脂質の割合は玄60%に達しおいたす

    もちろん、これは特定の株ず培逊条件で埗られた結果であり、すべおの L. kononenkoae が同じ量の油をためるわけではありたせんので、そこは泚意が必芁ずなりたす。


    デンプンから油を぀くれる

    ここで䞀぀、面癜い可胜性が芋えおきたす。

    L. kononenkoae には、

    デンプンを分解しお糖を埗る胜力

    ず、

    糖から脂質を぀くっお蓄える胜力

    の䞡方がありたす。

    それなら、デンプンのような安䟡な炭玠資源から、酵母に油を぀くらせるこずもできそうです

    ただし、ここはただ分けお考える必芁がありたす。

    高い脂質蓄積が報告されたBF1S57株の研究では、炭玠源ずしおグルコヌスが䜿われおいたす。

    したがっお、「デンプンを盎接、高効率で油ぞ倉換できる」ずころたで䞀続きに実蚌されたわけではありたせん。

    珟時点では、デンプン利甚ず脂質蓄積ずいう二぀の胜力を持぀酵母ずしお捉えるのが適切です。

    それでも、この組み合わせは興味深いものですね


    埮生物に油を぀くらせる

    酵母が぀くる脂質は、怍物油ず同じように、さたざたな物質生産の原料になりたす。

    BF1S57株から埗られた脂質では、炭玠数16〜18の脂肪酞が倧郚分を占め、それを原料に぀くられたバむオディヌれルは、研究䞊、米囜ずEUの燃料芏栌を満たしたした。

    もちろん、これは「L. kononenkoae から぀くられた燃料がすでに広く䜿われおいる」ずいう意味ではありたせん。

    重芁なのは、蟲䜜物から油を採るだけでなく、埮生物にデンプンを䞎えお油を぀くらせるずいう遞択肢があるずいうこずです。


    おわりに

    Lipomyces kononenkoaeリポマむセス・コノネンコア゚ は、土壌にあるデンプンを分解しお利甚できる酵母です。

    そしお、取り蟌んだ糖は増殖に䜿われるだけでなく、条件によっおは现胞内に脂質ずしお蓄積されたす。

    デンプン分解ず高い脂質生産が、䞀぀の工皋ずしお盎接぀ながるかは、さらに怜蚌が必芁です。

    それでも、

    倧きな炭玠資源をほどく
    → 糖ずしお取り蟌む
    → 別の物質ぞ぀くり倉える

    ずいう流れを芋るず、酵母は単に「糖を食べる埮生物」ではなく、炭玠の圢を倉える小さなものづくり工堎ずしお芋えおきたすね


    次回は、油を分解するはずの酵玠が、銙り成分を぀くる道具にもなる少し䞍思議な酵母を玹介したす。

    その名は、Diutina rugosaディりティナ・ルゎサ。

    この酵母が぀くるリパヌれは、油脂を分解するだけでなく、条件を倉えるず゚ステルなどの物質合成にも利甚できるのです

    次回は、酵母が持぀「分解する力」が、どうやっお「ものづくりの力」に倉わるのかを芋おいきたしょう



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    参考文献

    Yamazaki A et al. Lipomyces chichibuensis sp. nov., isolated in Japan, and reidentification of the type strains of Lipomyces kononenkoae and Lipomyces spencermartinsiae. International Journal of Systematic and Evolutionary Microbiology. 2014;64:2566–2572.

    Lategan PM et al. A strain of Saccharomyces cerevisiae which grows efficiently on starch. Enzyme and Microbial Technology. 1985;7(5):220–224.

    Chen L et al. Cellular lipid production by the fatty acid synthase-duplicated Lipomyces kononenkoae BF1S57 strain for biodiesel making. Renewable Energy. 2020;151:707–714. 

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    アメリカ圚䜏の研究者 × 子育おパパ。 家族ず暮らす海倖生掻や、研究ず育児の葛藀などを発信䞭。 海倖で働く・家族を支えるあなたに、共感ずヒントを届けられたら嬉しいです。

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