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酵母の䞖界 No.42-1Diutina rugosa油を操る酵母

    このシリヌズでは、パン・ビヌル・ワむン・発酵食品を支える酵母たちを、研究者の芖点から少しず぀玹介しおいたす。
    ★酵母の䞖界を巡るためのたずめペヌゞを䜜成しおたす↓


    前回は、糖から脂質を぀くり、现胞の䞭に油をためる Lipomyces kononenkoaeリポマむセス・コノネンコア゚ を玹介したした

    今回の䞻圹は、Diutina rugosaディりティナ・ルゎサずいう酵母です

    以前は Candida rugosa カンゞダ・ルゎサず呌ばれおおり、2015幎の分類芋盎しによっお、珟圚の Diutina 属ぞ移されたした。

    前回の酵母が「油をためる」のに察しお、今回の酵母が埗意なのは油を分解するこずです

    そしお、そのために぀くられる酵玠は、人間のものづくりにも利甚されおいたす


    油を分解しお利甚する

    油脂の䞻成分であるトリアシルグリセロヌルは、倧きな分子なので、そのたたでは利甚しにくい物質です。

    そこで D. rugosa は、リパヌれずいう酵玠を现胞の倖ぞ分泌したす。

    リパヌれは油脂を切り、

    油脂
    ↓
    脂肪酞  グリセロヌル

    のように、より小さな物質ぞ倉える酵玠です。

    こうしお油脂を分解するこずで、酵母はそこに含たれる炭玠を利甚できるようになりたす

    さらに面癜いのは、呚囲の環境によっおリパヌれの生産が倉化するこずです

    培逊液に脂肪酞を加えるず、䞀郚のリパヌれの生産が誘導されたす。

    実際、オレむン酞ずいう脂肪酞を炭玠源ずしお利甚した研究では、高いリパヌれ生産が確認されおいたす。

    ぀たり、呚囲にある栄逊に合わせお、「油があるなら、それを分解する道具を甚意する」ずいうように適応しおいたす。


    「切る酵玠」がものを぀くる

     D. rugosa の面癜いずころは、リパヌれは本来は油脂を分解する酵玠ですが、反応させる環境を倉えるず、今床は脂肪酞ずアルコヌルなどを぀なぐ反応にも利甚できたす

    ぀たり、

    自然界では、油を切る道具

    だったものを、

    バむオテクノロゞヌでは、分子を぀なぐ道具

    ずしお利甚できるのです

    旧名に由来しお「Candida rugosa lipase」ず呌ばれるこのリパヌれは、埮生物由来の生䜓觊媒ずしお叀くから研究されおきたした。

    油脂の加工だけでなく、゚ステル化などさたざたな物質倉換に利甚されおいたす。


    銙りの成分も぀くれる

    リパヌれによっお぀くるこずができる物質の䞀぀が、゚ステルです。

    ゚ステルには果物のような銙りを持぀ものが倚く、食品や銙料などで利甚されおいたす。

    䟋えば、バナナのような銙りを持぀酢酞む゜アミルの合成にも、D. rugosa 由来のリパヌれが䜿われおいたす

    2012幎の研究では、このリパヌれを固定化し、酢酞む゜アミルを合成する方法が怜蚎されたした。

    別の研究では、D. rugosa 由来リパヌれを䜿っお耇数の銙気゚ステルを合成できるこずも瀺されおいたす。

    ぀たり、酵母そのものに銙りを぀くらせおいるわけではなく、酵母が぀くったリパヌれを取り出し、ものづくりの道具ずしお利甚しおいるのです


    埮生物そのものだけが資源ではない

    埮生物の産業利甚ずいうず、酵母を培逊しおアルコヌルや化合物を぀くらせる姿を思い浮かべるかもしれたせん。

    しかし、利甚できるのは现胞そのものだけではありたせん

    埮生物が持っおいる酵玠ずいう機胜だけを取り出しお䜿うこずもできたす。

    特にリパヌれは、反応条件によっお油脂を「切る」反応にも、分子を「぀なぐ」反応にも利甚できたす。

    そのため、D. rugosa 由来リパヌれは、長幎にわたっおさたざたな生䜓觊媒反応の研究察象になっおきた歎史があるのです


    おわりに

    Diutina rugosaディりティナ・ルゎサ は、油脂を分解するためにリパヌれを现胞の倖ぞ分泌する酵母です。

    酵母にずっおは、呚囲にある栄逊を利甚するための道具です。

    しかし人間は、その同じ酵玠を取り出し、銙り成分をはじめずする新しい物質を぀くるためにも利甚しおきたした。

    埮生物資源の䟡倀は、埮生物そのものだけにあるわけではありたせん

    D. rugosa を芋るず、自然界で生きるために獲埗した䞀぀の酵玠が、人間にずっおは「ものづくりの道具」にもなるこずが芋えおきたすね


    次回は、私たちが普段䜿うアミノ酞ずは“鏡写し”の分子を食べる酵母を玹介したす

    その名は、Vanrija humicolaノァンリダ・フミコラ。

    この酵母のある株は、D型アミノ酞を栄逊ずしお利甚する特別な仕組みを持っおいたす。

    「䜕を食べられるか」ずいう違いが、どのように枬定技術ぞ぀ながるのかを芋おいきたす


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    参考文献

    Khunnamwong P et al. Description of Diutina gen. nov., Diutina siamensis, f.a. sp. nov., and reassignment of Candida rugosa and related species to the genus Diutina. International Journal of Systematic and Evolutionary Microbiology. 2015;65:4701–4709.

    Lotti M et al. Physiological control on the expression and secretion of Candida rugosa lipase. Chemistry and Physics of Lipids. 1998;93(1–2):143–148.

    Domínguez de María P et al. Understanding Candida rugosa lipases: an overview. Biotechnology Advances. 2006;24(2):180–196.

    Ozyilmaz G, Yağız E. Isoamylacetate production by entrapped and covalently bound Candida rugosa and porcine pancreatic lipases. Food Chemistry. 2012;135(4):2326–2332. 

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    アメリカ圚䜏の研究者 × 子育おパパ。 家族ず暮らす海倖生掻や、研究ず育児の葛藀などを発信䞭。 海倖で働く・家族を支えるあなたに、共感ずヒントを届けられたら嬉しいです。

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