メインコンテンツへスキップ
見出し画像

酵母の世界|バイオテクノロジー・産業利用から読む酵母の多様性

    この記事は、バイオテクノロジーや産業利用に関わる酵母をまとめた「酵母の世界」の案内記事です。


    酵母の利用方法は、酒やパンをつくることだけではありません。

    酵母そのものを利用することもあれば、酵母がつくる物質を使うこともあります。
    さらに、酵母を「細胞工場」として使い、人間が欲しい物質をつくらせることもできます。

    このページでは、「酵母そのものを使う」「酵母がつくるものを使う」「酵母につくらせる」という3つの視点から紹介します!



    酵母そのものを使う

    最も直接的なのは、酵母の細胞そのものを利用する方法です。

    酵母は増殖すると、タンパク質やビタミンなどを含むバイオマスになります。そのため、食品や飼料などへの利用が研究されてきました。

    19-1:Cyberlindnera jadinii

    酵母は、食べ物をつくるだけの微生物なのでしょうか?
    様々な資源をタンパク質へ変える「食べられる酵母」を紹介します!

    35-1:Blastobotrys adeninivorans

    酵母は、何を「食べる」かでも個性が見えます!
    Blastobotrys adeninivorans はアデニンを利用できる酵母で、その特殊な代謝がバイオものづくりにもつながっています。

    43-1: Vanrija humicola

    私たちの体をつくるアミノ酸には、「右手」と「左手」のような鏡像関係があります。
    Vanrija humicola は通常とは反対向きのD-アミノ酸を利用でき、その特殊な代謝が酵素研究やバイオ変換に利用されてきた酵母です。



    酵母がつくるものを使う

    酵母は、生きるためにさまざまな物質をつくります。

    油脂、色素、糖アルコール、界面活性剤など、その種類は酵母によって大きく異なります。

    人間は、こうした代謝産物を食品や素材、化学品として利用しています。

    8-1:Yarrowia lipolytica

    油を分解するだけでなく、細胞内に油をためる酵母がいます。
    自然界の代謝が、バイオ生産へつながる例です。

    14-2:Starmerella bombicola

    洗浄や乳化に役立つ分子を、酵母がつくれるとしたらどうでしょうか?
    糖と油からソホロリピッドを生み出し、発酵のものづくりを広げる酵母を紹介します。

    20-1:Rhodotorula mucilaginosa

    なぜ、酵母が赤い色をしているのでしょうか?
    カロテノイド色素をつくり、環境ストレスに向き合いながら暮らす酵母です。

    22-1:Moniliella megachiliensis

    甘味料エリスリトールは、どのようにつくられているのでしょうか?
    高い糖濃度に耐える性質を活かし、エリスリトール生産に利用される黒色酵母を紹介します。

    31-2:Lipomyces starkeyi

    酵母はアルコールだけでなく、油もつくります。
    Lipomyces starkeyi は糖を取り込み、細胞の中に油脂をためる能力をもち、バイオものづくりへの利用が期待される酵母です。

    31-3:Lipomyces kononenkoae

    デンプンを「糖にする」ところから、「油をためる」ところまでできる酵母がいます。
    Lipomyces kononenkoae はデンプンを分解する酵素を出し、取り込んだ炭素を脂質として蓄積できる酵母です。

    42-1: Diutina rugosa

    酵母は、油をためるだけでなく、分解し、つくり変えることもできます。
    Diutina rugosa は脂質を扱う能力に優れ、「油を操る酵母」として産業利用が研究されてきました!



    酵母につくらせる

    さらに進むと、酵母は「細胞工場」として使われます。

    酵母に遺伝子を導入したり、代謝の流れを組み替えたりすることで、人間が必要とするタンパク質や化合物を生産させることができます。

    9-1:Komagataella phaffii (Pichia pastoris)

    薬や研究に使われるタンパク質を酵母につくらせる。
    細胞を小さな工場に変えた酵母です。

    18-1:Kluyveromyces marxian

    チーズづくりで残るホエイは、ただの副産物なのでしょうか?
    乳糖を利用し、高温でもよく育つ性質から、発酵資源として注目される酵母です。

    34-1:Ogataea polymorpha

    酵母は、糖だけを食べて暮らしているわけではありません。
    Ogataea polymorpha はメタノールを利用できる特殊な代謝をもち、その能力がタンパク質生産やバイオテクノロジーへつながっています。

    36-1:Scheffersomyces stipitis

    酵母が発酵できるのは、ブドウ糖だけではありません。
    Scheffersomyces stipitis は植物由来のキシロースを利用してエタノールをつくり、植物バイオマスの資源化に研究されてきた酵母です。



    酵母の使い方は一つではない

    酵母の産業利用には、いくつもの形があります。

    酵母そのものを使う。
    酵母が本来つくる物質を使う。
    そして、酵母に新しいものをつくらせる。

    どれも、出発点は酵母ごとの生理や代謝の違いです。

    酵母の多様性を知ることは、「何をつくれるか」だけでなく、「どう使えるか」の選択肢を増やすことでもあります。

    「酵母の世界」では、これからもバイオテクノロジーや産業利用につながるさまざまな酵母を紹介していきます!


    酵母の世界では、パン・ビール・ワイン・発酵食品を支える酵母たちを、研究者の視点から少しずつ紹介しています。
    ★酵母の世界を巡るためのまとめページを作成してます↓

    ★過去の様々なトピックの記事を全てまとめてます。詳細はこちらから↓

    これらの記事が参考になったら「スキ&フォロー」をぜひお願いします!

    #酵母
    #学び
    #発酵
    #科学
    #生態系
    #野生酵母
    #産業

     
     
    アメリカ在住の研究者 × 子育てパパ。 家族と暮らす海外生活や、研究と育児の葛藤などを発信中。 海外で働く・家族を支えるあなたに、共感とヒントを届けられたら嬉しいです。

    あなたへのおすすめ