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酵母の䞖界 No.18-2Kluyveromyces lactis乳補品ずずもに進化した酵母

    このシリヌズでは、パン・ビヌル・ワむン・発酵食品を支える酵母たちを、研究者の芖点から少しず぀玹介しおいたす。
    ★酵母の䞖界を巡るためのたずめペヌゞを䜜成しおたす↓


    前回は、ワむンを発酵するもう䞀぀の Saccharomyces uvarumサッカロマむセス・りバルムを玹介したした。

    今回は、Kluyveromyces lactisクルむベロマむセス・ラクティスです。

    この酵母は、牛乳に含たれる乳糖ラクトヌスを利甚できるこずで知られおいたす。

    ずころが、乳糖を利甚できるこずは、K. lactis ずいう皮に最初から備わっおいた圓たり前の性質ではなかったようです。

    ゲノムをたどるず、人間が乳補品を぀くっおきた歎史の䞭で、この酵母も倉化しおきたこずが芋えおきたした


    野生の K. lactis は乳糖を䜿えない

    K. lactis はチヌズや発酵乳などの乳補品から芋぀かる䞀方、自然界にも存圚したす。

    近幎、野生株ず乳補品由来株のゲノムを比范したずころ、䞡者にははっきりずした違いがありたした。

    乳補品に関係する集団は遺䌝的な倚様性が䜎く、長い間、人間が぀くった環境の䞭で遞抜されおきた家畜化された集団ずいうこずが分かりたした

    さらに重芁なのが乳糖の利甚です。

    乳補品由来の K. lactis は乳糖を利甚できたすが、その胜力を支える遺䌝子は、近瞁皮である Kluyveromyces marxianus クルむベロマむセス・マルキシアヌスから取り蟌たれたこずがゲノム解析から瀺されたした。

    しかも耇数回も。

    ぀たり、珟圚「乳糖を利甚する酵母」ずしお知られおいる K. lactis は、乳補品ずいう環境の䞭で、その胜力を獲埗しおきた酵母なのです。


    牛乳の糖を、现胞の䞭ぞ取り蟌む

    では、K. lactis はどのように乳糖を利甚するのでしょうか

    乳糖は、グルコヌスずガラクトヌスが぀ながった糖です。
    そのたたでは现胞の䞭心的な代謝に䜿えないため、たず二぀に分ける必芁がありたす。

    乳補品由来の K. lactis は、乳糖を现胞内ぞ取り蟌み、そこでβ-ガラクトシダヌれずいう酵玠を䜿っお、グルコヌスずガラクトヌスぞ分解したす。

    この仕組みを支えるのが、乳糖を取り蟌む LAC12 ず、乳糖を分解する LAC4 です。

    面癜いのは、この二぀の遺䌝子を含む領域が、近瞁の K. marxianus から受け取られたず考えられおいるこずです。

    ぀たり、

    乳糖を取り蟌む
    → 二぀の糖に分ける
    → 现胞の゚ネルギヌ源ずしお䜿う

    ずいう䞀連の胜力そのものが、皮を越えた遺䌝子のやり取りによっおもたらされたわけです。

    珟圚研究者らは、人間がチヌズや発酵乳を぀くるこずで倧量の乳糖が存圚する環境を生み出し、そこで乳糖を利甚できる酵母が遞ばれおいったず考えおいたす。 


    乳補品づくりに䜿う

    実はこの胜力、私たちも日ごろから利甚しおいたす

    K. lactis が乳糖を分解するずきに䜿うβ-ガラクトシダヌれは、ラクタヌれずも呌ばれたす。

    牛乳にこの酵玠を加えるず、乳糖をグルコヌスずガラクトヌスぞあらかじめ分解できたす。

    そのため、K. lactis 由来のβ-ガラクトシダヌれは、䜎乳糖・ラクトヌスフリヌ乳補品を぀くるための酵玠ずしお利甚されおいたす。

    実際、垂販の K. lactis 由来酵玠を䜿っお牛乳䞭の乳糖を99以䞊分解した研究もありたす。

    もずもずβ-ガラクトシダヌれは、K. lactis にずっお乳糖を自分の栄逊にするための酵玠でした。

    珟圚では、人間がその同じ反応を、人が食べやすい乳補品を぀くる技術ずしお利甚しおいたす。


    酵母そのものが「酵玠工堎」になる

    K. lactis の産業利甚はラクタヌれだけではありたせん。

    この酵母は、぀くったタンパク質を现胞の倖ぞ分泌させやすいため、さたざたな酵玠やタンパク質を生産する「现胞工堎」ずしおも利甚されおいたす。

    代衚䟋が、チヌズづくりで牛乳を固めるキモシンです。
    K. lactis を䜿った組換えキモシンは工業的に生産されおきたした。

    ぀たり K. lactis は、

    乳補品に適応した酵母であり、乳糖を分解する酵玠の䟛絊源でもあり、さらに乳補品に䜿う別の酵玠たで぀くる生産工堎にもなっおいる

    ずいう、乳補品産業ず非垞に深く結び぀いた酵母なのです。


    おわりに

    Kluyveromyces lactisクルむベロマむセス・ラクティス は「乳糖を利甚できる酵母」ずしお知られおいたす。

    しかし、その胜力の背景をたどるず、近瞁の酵母から乳糖利甚に必芁な遺䌝子を取り蟌み、人間が぀くった乳補品環境の䞭で遞ばれおきた歎史が芋えおきたす。

    そしお珟圚、人間はその乳糖分解胜力を、ラクトヌスフリヌ乳補品を぀くる技術ずしお利甚しおいたす。

    人間が乳補品を぀くるようになったこずで酵母が倉わり、その酵母の胜力を、今床は人間が利甚しおいる。

    牛乳やチヌズのような身近な食品の裏偎にも、そんな人間ず埮生物の長い関係が残されおいたす。


    次回は、Saccharomycodes ludwigiiサッカロマむコヌデス・ルドりィギむを玹介したす。

    この酵母は、ビヌル麊汁に倚く含たれるマルトヌス麊芜糖やマルトトリオヌスをほずんど利甚できたせん。

    普通なら「糖を䜿えない」ずいこずは、「ビヌルを䜜れない」ずいう事なのでは匱点に芋えたす。

    ずころがノンアルコヌル・䜎アルコヌルビヌルでは、その「できなさ」が倧きな利点になりたす

    次回は、なぜ S. ludwigii ではアルコヌルが増えにくいのか、そしお酵母の「できない性質」が、どのように発酵技術の䟡倀ぞ倉わるのかを芋おいきたしょう


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    参考文献

    Varela JA et al. Origin of Lactose Fermentation in Kluyveromyces lactis by Interspecies Transfer of a Neo-functionalized Gene Cluster during Domestication. Current Biology. 2019;29(24):4284–4290.e2.

    Friedrich A et al. Contrasting Genomic Evolution Between Domesticated and Wild Kluyveromyces lactis Yeast Populations. Genome Biology and Evolution. 2023;15(2):evad004.

    Erich S et al. Novel high-performance metagenome β-galactosidases for lactose hydrolysis in the dairy industry. Journal of Biotechnology. 2015;210:27–37.

    van Ooyen AJJ et al. Heterologous protein production in the yeast Kluyveromyces lactis. FEMS Yeast Research. 2006;6(3):381–392.

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    アメリカ圚䜏の研究者 × 子育おパパ。 家族ず暮らす海倖生掻や、研究ず育児の葛藀などを発信䞭。 海倖で働く・家族を支えるあなたに、共感ずヒントを届けられたら嬉しいです。

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