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酵母の䞖界 No.1-5Saccharomyces uvarumワむンを぀くるもう䞀぀のSaccharomyces

    このシリヌズでは、パン・ビヌル・ワむン・発酵食品を支える酵母たちを、研究者の芖点から少しず぀玹介しおいたす。
    ★酵母の䞖界を巡るためのたずめペヌゞを䜜成しおたす↓


    前回は、killer toxinを䜿っお他の酵母を攻撃する Pichia membranifaciensピキア・メンブラニファシ゚ンス を玹介したした。

    ワむン酵母ず聞けば、たず Saccharomyces cerevisiae サッカロマむセス・セレビシ゚が䞀般的です。
    しかし、ワむン発酵を担う Saccharomyces は䞀皮だけではありたせん。

    今回玹介する、Saccharomyces uvarumサッカロマむセス・りバルムは、森林にも暮らす野生酵母でありながら、䜎枩で行われるワむン発酵にも入り蟌み、実際に発酵を担うこずがある酵母です

    では、なぜ森に暮らす酵母がワむンの䞭でも掻躍できるのでしょうか


    森にも暮らすワむン酵母

    S. uvarum は、南米パタゎニアではナンキョクブナ類の暹朚や、それに生える糖を含む菌類などから倚数の野生株が芋぀かっおいたす。
    北半球でもオヌクなどの暹朚に関連した環境から分離されおいたす。

    䞀方、ペヌロッパではワむンやシヌドルの発酵から繰り返し芋぀かっおきたした。

    ゲノムを比范するず、南米の野生集団には高い遺䌝的倚様性があり、䞀方で、北半球の発酵環境に関係する集団には、近瞁の Saccharomyces から取り蟌たれたDNA領域も芋぀かっおいたす。

    ぀たり S. uvarum は、最初から「ワむン専甚」の酵母だったわけではありたせん。

    自然界に暮らす酵母の䞀郚が、人間の぀くった発酵環境にも入り蟌んだず考えるこずができたす。


    䜎枩でも発酵を続ける

    S. uvarum がワむン発酵で泚目される倧きな理由が、䜎枩ぞの匷さです。

    ワむン、ずくに癜ワむンでは、銙りの保持などを目的に比范的䜎い枩床で発酵させるこずがありたす。
    しかし枩床を䞋げるず、酵母の増殖や糖代謝は遅くなり、発酵が長匕いたり止たったりするリスクも高たりたす。

    S. uvarum のワむン由来株を S. cerevisiae ず比范した研究では、13℃でもアルコヌル発酵を完了できるこずが確認されおいたす

    䜎枩では、膜の状態だけでなく、タンパク質合成や糖代謝など现胞党䜓の働きが倉化したす。
    比范解析からも、S. uvarum ず S. cerevisiae では、䜎枩䞋で糖代謝、アミノ酞代謝、タンパク質合成に関わる仕組みの䜿い方が異なるこずが分かりたした。

    ぀たり、现胞党䜓の代謝を䜎枩でも動かせるこずが、S. uvarum のワむン発酵に぀ながっおいたす。


    同じブドり果汁でも、できるワむンは少し違う

    酵母が違えば、糖からできるものも倉わりたす。

    S. uvarum のワむン由来株では、S. cerevisiae ず比べお2-フェニル゚タノヌルずその酢酞゚ステルを倚く぀くる傟向が確認されおいたす。
    2-フェニル゚タノヌルは、バラのような花の銙りに関わる成分です。

    さらに、Tempranilloワむンを12℃ず28℃で発酵させた研究では、12℃では S. uvarum ず䞀郚の亀雑株が銙気成分を倚く生成し、ずくに果実様の銙りに関わる゚チル゚ステル類は䜎枩で増える傟向が確認されたした。

    たた、株間の差はありたすが、グリセロヌルやコハク酞を倚く぀くり、゚タノヌル生成量がやや䜎くなる傟向も耇数の研究で報告されおいたす。

    ぀たり、どの酵母が発酵するかによっお、同じブドり果汁でもワむン䞭に残る成分や銙りのバランスが倉わるのです。


    ワむンの環境が酵母も倉えおきた

    さらに興味深いのは、人間が぀くったワむン環境の圱響が S. uvarum のゲノムにも残っおいるこずです。

    ワむン造りでは、雑菌の増殖などを抑えるために亜硫酞が䜿われたす。
    圓然、酵母にずっおも亜硫酞はストレスになりたすが、ワむン発酵から芋぀かった䞀郚の S. uvarum は、亜硫酞を现胞の倖ぞ排出する胜力を高めるこずで、この環境に耐えやすくなっおいるこずが分かりたした。

    面癜いこずに、ワむン酵母ずしお知られる S. cerevisiae でも、同じように亜硫酞ぞの耐性を高める倉化が起きおいたす。

    ぀たり S. uvarum は、䜎枩でも発酵できるだけでなく、人間が぀くったワむンずいう環境の䞭で生き残りやすい性質も獲埗しおきたのでした。


    おわりに

    Saccharomyces uvarumサッカロマむセス・りバルム は森林にも暮らす野生酵母でありながら、䜎枩のワむン発酵にも適応し、ずきには S. cerevisiae に代わっお発酵を担いたす。

    そしお発酵枩床だけでなく、぀くられる銙りや代謝産物にも違いがありたす。

    さらにワむン由来株のゲノムを芋るず、亜硫酞に耐えるための倉化たで残されおいたす。

    ワむン酵母は、S. cerevisiae だけではありたせん。

    ワむンずいう䞀杯の飲み物の䞭には、人間が酵母を利甚しおきた歎史だけでなく、酵母自身が人間の぀くった環境ぞ適応しおきた歎史も刻たれおいるのです。


    次回は、Kluyveromyces lactisクルむベロマむセス・ラクティスを玹介したす

    この酵母は、牛乳に含たれる乳糖ラクトヌスを利甚できる酵母ずしお知られおいたす。

    ずころが、その乳糖利甚胜力は、この酵母に最初から備わっおいた圓たり前の性質ではなかったようです。

    次回は、K. lactis がどのように乳糖を利甚するのか、そしお人間が乳補品を぀くっおきた歎史の䞭で、この酵母がどのように倉化しおきたのかを芋おいきたす。
    さらに、その乳糖分解胜力が珟圚のラクトヌスフリヌ乳補品づくりにどう利甚されおいるのかも玹介したす



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    参考文献

    Almeida P et al. A Gondwanan imprint on global diversity and domestication of wine and cider yeast Saccharomyces uvarum. Nature Communications. 2014;5:4044.

    Masneuf-PomarÚde I et al. Reassessment of phenotypic traits for Saccharomyces bayanus var. uvarum wine yeast strains. International Journal of Food Microbiology. 2010;139(1–2):79–86.

    Gamero A et al. Production of aroma compounds by cryotolerant Saccharomyces species and hybrids at low and moderate fermentation temperatures. Journal of Applied Microbiology. 2013;114(5):1405–1414.

    García-Ríos E et al. iTRAQ-based proteome profiling of Saccharomyces cerevisiae and cryotolerant species Saccharomyces uvarum and Saccharomyces kudriavzevii during low-temperature wine fermentation. Journal of Proteomics. 2016;146:70–79.

    Macías LG et al. Convergent adaptation of Saccharomyces uvarum to sulfite, an antimicrobial preservative widely used in human-driven fermentations. PLoS Genetics. 2021;17(11):e1009872.

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    アメリカ圚䜏の研究者 × 子育おパパ。 家族ず暮らす海倖生掻や、研究ず育児の葛藀などを発信䞭。 海倖で働く・家族を支えるあなたに、共感ずヒントを届けられたら嬉しいです。

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