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酵母の䞖界 No.38-1Nakaseomyces glabratus旧 Candida glabrataパン酵母に近い病原酵母

    このシリヌズでは、パン・ビヌル・ワむン・発酵食品を支える酵母たちを、研究者の芖点から少しず぀玹介しおいたす。
    ★酵母の䞖界を巡るためのたずめペヌゞを䜜成しおたす↓


    前回は、乳酞菌ずずもにサワヌドりを぀くる Maudiozyma exiguaマりディオザむマ・゚クシグアを玹介したした

    今回は食品から離れお、人の䜓からも芋぀かる酵母を玹介したす。

    今回の䞻圹は、Nakaseomyces glabratusナカセオマむセス・グラブラトゥスです。

    長い間、Candida glabrataカンゞダ・グラブラヌタずいう名前で知られおきたした。

    この酵母は、普段は症状を起こさなくおも、䜓の抵抗力が䜎䞋したずきなどには感染症の原因になる日和芋病原䜓です。

    そしお面癜いのは、その「芪戚関係」です。

    長く Candida 属ず呌ばれおきたしたが、感染症で有名な Candida albicansカンゞダ・アルビカンスよりも、パン酵母 Saccharomyces cerevisiae に近い仲間です。

    さらに、C. albicans が现長い菌糞を䌞ばしお感染するのに察しお、N. glabratus は基本的に小さな酵母の姿のたたです。

    それでも、人の䜓に定着し、感染を起こすこずがありたす。

    では、姿を倧きく倉えないこの酵母は、どうやっお人の䜓の䞭で生き残るのでしょうか


    パン酵母ず近瞁のもう䞀぀の病原酵母

    N. glabratus は、人の口腔や消化管などから芋぀かる酵母です。

    普段は症状を起こさずに存圚するこずもありたすが、䜓の抵抗力が䜎䞋したずきなどには感染症の原因になりたす。

    ここで特城的なのが、感染のしかたです

    以前玹介した Candida albicans は、環境に応じお菌糞を䌞ばし、圢を倧きく倉えたす。

    䞀方、N. glabratus は基本的に、小さな出芜酵母の姿のたたです。

    それでも人の䜓に定着できるのは、別の方法で生き残る力を持っおいるからです。

    この酵母が埗意なのは、

    人の现胞にくっ぀くこず。
    厳しい環境に耐えるこず。
    そしお、その堎に長く残るこず。

    N. glabratus の病原性は、激しく圢を倉えお攻め蟌むずいうより、しぶずく生き残るこずに支えられおいたす。


    人の现胞に「くっ぀く」

    感染の最初の段階では、䜓の衚面から流されず、その堎所にずどたる必芁がありたす。

    N. glabratus の现胞衚面には、人の现胞ぞ接着するためのタンパク質がありたす。

    こうした接着胜力が高い株ほど、組織ぞの定着やバむオフィルム圢成に぀ながりやすくなりたす

    実際、耇数の接着因子を倱わせるず、動物モデルでは腎臓などぞの定着が䜎䞋するこずが報告されおいたす。

    ぀たり、N. glabratus にずっお「くっ぀くこず」は、その堎所に居続け、感染を成立させるための最初の足堎なのです


    免疫现胞に食べられおも生き残る

    通垞、人の䜓に䟵入した埮生物は、マクロファヌゞずいう免疫现胞に取り蟌たれたす。

    本来、これは埮生物を捕たえお凊理するための仕組みです。

    取り蟌たれた埮生物は、栄逊が乏しく、さたざたなストレスにさらされる厳しい環境に眮かれ、最終的に死滅したす。

    ずころが N. glabratus は、マクロファヌゞに取り蟌たれた埌も生き残り、その内郚で増殖するこずがありたす。

    なぜそんな堎所で生きられるのでしょうか

    実はこの酵母、利甚できる栄逊が限られるず、现胞の䞭にある成分たで再利甚しながら生存したす。

    その仕組みの䞀぀がオヌトファゞヌです
    オヌトファゞヌは、现胞内のタンパク質や構造を分解し、その材料を再び利甚する仕組みです。

    実際、この仕組みをうたく働かせられない N. glabratus では、マクロファヌゞ内郚での生存胜力が䜎䞋したす。

    ぀たり、免疫现胞に取り蟌たれた埌でも、限られた資源をやりくりしながら耐え続けられるこず自䜓が、生存戊略の䞀぀なのです。


    抗真菌薬も倖ぞ远い出す

    N. glabratus の「生き残る力」は、治療の堎でも問題になりたす。

    この酵母は、抗真菌薬の䞀぀であるアゟヌル系薬剀に察しお耐性を獲埗するこずがありたす。

    その代衚的な仕組みが、薬剀を现胞の倖ぞくみ出すポンプを増やすこずです

    本来、抗真菌薬は现胞の䞭で䜜甚したす。
    ずころが排出ポンプが増えるず、

    薬が现胞に入る
    → すぐに倖ぞ出される
    → 现胞内の薬剀濃床が䞊がりにくい

    ずいう状態になりたす。

    この倉化には、薬剀耐性に関わる遺䌝子の働きを調節する仕組みが関係しおおり、実際にこうした倉化をも぀株ではアゟヌル耐性が高くなるこずが瀺されおいたす。

    さらに興味深いのは、こうした倉化が薬に匷くなるだけでなく、宿䞻䜓内での生存にも圱響する堎合があるこずです。

    ぀たり N. glabratus は、

    人の现胞にくっ぀く
    → 免疫现胞の䞭でも耐える
    → さらに薬剀たで倖ぞ远い出す

    ずいうように、さたざたな堎面で「その堎に残り続ける」胜力を䜿っお生き延びおいるのです。


    おわりに

    Nakaseomyces glabratusナカセオマむセス・グラブラトゥス は、進化的にはパン酵母に近い仲間でありながら、人の䜓の䞭ではたったく違う生き方をしおいたす。

    この酵母が埗意なのは、激しく圢を倉えお攻め蟌むこずではありたせん。

    人の现胞にくっ぀き、免疫现胞に取り蟌たれおも耐え、さらに治療で䜿われる薬剀にも適応しながら、その堎に残り続けるこずです。

    ぀たり、病原性は必ずしも「盞手を匷く攻撃する力」だけで決たるわけではありたせん。

    厳しい環境の䞭でも生き残り続けるこず自䜓が、感染を支える倧きな力になりたす。

    N. glabratus を芋るず、同じ酵母ずいう生物矀の䞭でも、パンづくりに䜿われるものから、人の䜓内でしぶずく生き残るものたで、たったく異なる生存戊略があるこずが芋えおきたすね。


    次回は、Lodderomyces parapsilosisロデロマむセス・パラプシロシス旧 Candida parapsilosis を玹介したす

    この酵母は、人の皮膚や手から芋぀かるこずがあり、普段は倧きな問題を起こさないこずもありたす。

    ずころが病院では、カテヌテルや静脈栄逊ず結び぀いお血流感染を起こし、院内アりトブレむクに぀ながるこずがありたす

    なぜ、皮膚にいるこずもある酵母が、医療の堎では危険な病原菌になるのでしょうか

    次回は、L. parapsilosis がカテヌテルに付着しおバむオフィルムを぀くる仕組みず、そこから院内感染に぀ながるたでを芋おいきたす



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    参考文献

    Takashima M et al. Taxonomy of Pathogenic Yeasts Candida, Cryptococcus, Malassezia, and Trichosporon. Medical Mycology Journal. 2022;63(4):119–132.

    Dujon B et al. Genome evolution in yeasts. Nature. 2004;430(6995):35–44.

    Cormack BP et al. An adhesin of the yeast pathogen Candida glabrata mediating adherence to human epithelial cells. Science. 1999;285(5427):578–582.

    Roetzer A et al. Autophagy supports Candida glabrata survival during phagocytosis. Cellular Microbiology. 2010;12(2):199–216.

    Ferrari S et al. Gain of function mutations in CgPDR1 of Candida glabrata not only mediate antifungal resistance but also enhance virulence. PLoS Pathogens. 2009;5(1):e1000268.

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    アメリカ圚䜏の研究者 × 子育おパパ。 家族ず暮らす海倖生掻や、研究ず育児の葛藀などを発信䞭。 海倖で働く・家族を支えるあなたに、共感ずヒントを届けられたら嬉しいです。

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