
酵母の世界|ヒトの体・医療から読む酵母の多様性
この記事は、ヒトの体や医療に関わる酵母をまとめた「酵母の世界」の案内記事です。
酵母は食品や発酵だけでなく、私たちの体にも関わっています。
体の一部として共存するもの、薬として利用されるもの、条件によって感染症を起こすものまで、その関係はさまざまです。
このページでは、「共存・利用」「病原性」「医療・環境」という視点から、ヒトと酵母の関係を紹介します!
ヒトと共存し、利用される酵母
すべての酵母が、人にとって害をもたらすわけではありません。
私たちの体に暮らす酵母もいれば、その性質を利用して整腸薬として使われている酵母もいます。
1-1-2:Saccharomyces boulardii
パンや酒をつくる酵母の仲間が、なぜ腸でも働けるのでしょうか?
整腸薬として利用される、プロバイオティクス酵母を紹介します
16-1:Malassezia restricta
なぜ、皮脂の多い頭皮には特定の酵母が集まりやすいのでしょうか?
皮膚に暮らしながら、フケや炎症とも関わる酵母を紹介します。
共存から病原性へ
普段はヒトの体に存在していても、免疫状態や周囲の環境が変わることで感染症につながる酵母があります。
10-1: Candida albicans
健康な体にも暮らしているのに、条件が変わると感染を起こす。
「共存」と「病原性」の境界を考える酵母です。
10-1: Candida tropicalis
同じ酵母が、ある場面では役立ち、別の場面では感染症に関わることがあります。
Candida tropicalis は代謝やバイオ利用の可能性を持つ一方で、ヒトでは日和見感染を起こすことがある酵母です。
38-1: Nakaseomyces glabratus
パン酵母に近い親戚が、ヒトでは病原酵母になることがあります。
Nakaseomyces glabratus は Saccharomyces cerevisiae に近縁で、ヒトの体内で日和見感染を起こすことがある酵母です。
40-1: Trichosporon asahii
酵母は、感染症だけでなくアレルギーにも関わることがあります。
Trichosporon asahii は日和見感染を起こす一方で、夏型過敏性肺炎の原因抗原としても知られる酵母です。
現場や自然環境からヒトへ
ヒトに感染する酵母のすべてが、もともと体の中に暮らしているわけでもありません。
自然環境から体内へ入り込むものや、病院という特殊な環境に適応して広がるものもいます。
10-2:Candida auris
なぜ、一部の酵母は医療現場で警戒される存在になるのでしょうか?
薬が効きにくく、皮膚や病院環境に残りやすい酵母です。
11-1:Cryptococcus neoforma
土壌や鳥に関わる環境酵母が、なぜ人の体内でも生きられるのでしょうか?
感染能力を、自然環境への適応から見ていきます。
39-1: Lodderomyces parapsilosis(旧 Candida parapsilosis)
病原酵母の中には、病院という環境で広がりやすいものもいます。
Lodderomyces parapsilosis は医療現場で院内感染やアウトブレイクに関わることがある酵母です。
ヒトと酵母の関係は一つではない
発酵食品では、酵母は人間に利用される微生物として登場します。
しかしヒトの体に目を向けると、その関係はもっと複雑です。
腸で利用される酵母もいれば、皮膚で暮らす酵母、普段は共存しながら条件によって感染を起こす酵母、自然環境からヒトへ入ってくる酵母もいます。
酵母は「役に立つ微生物」と「病原菌」にきれいに分けられるわけではありません。
どこで暮らし、どんな環境に置かれ、ヒトとどのような関係を結ぶのか。
ヒトの体から酵母を見ると、生物同士の関係は環境によって変わることが見えてきます。
「酵母の世界」では、これからもヒトや医療に関わるさまざまな酵母を追加していきます!
酵母の世界では、パン・ビール・ワイン・発酵食品を支える酵母たちを、研究者の視点から少しずつ紹介しています。
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