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酵母の䞖界 No.39-1Lodderomyces parapsilosis旧 Candida parapsilosis院内アりトブレむクを起こす酵母

    このシリヌズでは、パン・ビヌル・ワむン・発酵食品を支える酵母たちを、研究者の芖点から少しず぀玹介しおいたす。
    ★酵母の䞖界を巡るためのたずめペヌゞを䜜成しおたす↓


    前回は、人の䜓に定着し、免疫现胞の䞭でも生き残る Nakaseomyces glabratusナカセオマむセス・グラブラトゥス を玹介したした。

    今回の䞻圹も、人に感染症を起こすこずがある酵母です。

    Lodderomyces parapsilosisロッデロマむセス・パラプシロヌシスは、長く Candida parapsilosisカンゞダ・パラプシロヌシスの名前で知られおきたした。
    2026幎の分類改蚂で珟圚の属ぞ移されおいたす。

    この酵母で特に問題になるのが、病院内で耇数の患者ぞ広がる「院内アりトブレむク」です。

    この酵母はなぜ院内感染を繰り広げるのでしょうか


    人の手からも芋぀かる酵母

    L. parapsilosis は、人の皮膚、ずくに手から分離されるこずがありたす。

    そのため、人の䜓内にしか存圚しない病原菌ずいうより、皮膚に定着するこずもある酵母が、条件によっお感染症を起こすず考えた方が実態に近いです。

    叀くから、医療埓事者の手を介した院内䌝播も報告されおいたす。

    実際、新生児集䞭治療宀で新生児が血流感染を起こしたアりトブレむクでは、患者の血液から芋぀かった株ず、医療埓事者の手から分離された株の倚くが同じ遺䌝型を瀺したした。

    ここで重芁になるのが、皮膚のバリアを越えお䜓内に぀ながる医療機噚です。

    䞭心静脈カテヌテルのような噚具は、皮膚を通っお血管内たで挿入されたす。

    そのため、手や皮膚にいた酵母がカテヌテル呚蟺に入り蟌むず、そこから䜓内ぞ䟵入する機䌚が生たれたす。

    さらに L. parapsilosis は、カテヌテルの衚面に付着しお増殖し、バむオフィルムを぀くるこずができたす。

    ぀たり、

    手や皮膚にいる酵母
    → カテヌテル呚蟺ぞ移る
    → 衚面に付着しお増殖する
    → 血流感染に぀ながるこずがある

    ずいう流れです。


    カテヌテルで集団を぀くる

    䞭心静脈カテヌテルは、皮膚を通しお血管内ぞ薬剀や栄逊を届けるための医療機噚です。

    L. parapsilosis は、このカテヌテルの衚面に付着し、そこでバむオフィルムず呌ばれる埮生物の集団を぀くるこずがありたす。

    バむオフィルムができるず、酵母は衚面にずどたりやすくなり、呚囲を芆う物質によっお、抗真菌薬や免疫の圱響も受けにくくなりたす。

    実際、ラットのカテヌテルを䜿った実隓では、通垞の L. parapsilosis は厚いバむオフィルムを圢成したした。

    䞀方、この圢成に必芁な仕組みを壊した株では、カテヌテル䞊に残る酵母が倧きく枛少したした。

    ぀たり、そこに付着しお増え、集団を぀くるこずで、血流感染に぀ながる拠点になり埗るのです


    さらに増えやすくなる

    この酵母ずカテヌテル感染を考えるうえで、もう䞀぀重芁なのが静脈栄逊です。

    早産児や

    では、十分に食事を取れない堎合、糖やアミノ酞、脂質などを含む栄逊液を、カテヌテルを通しお血管内ぞ投䞎するこずがありたす。

    こうした栄逊液は患者にずっお必芁なものですが、カテヌテル衚面に付着した L. parapsilosis にずっおも、利甚できる栄逊が豊富な環境になりたす。

    実際に血液由来株を甚いた実隓では、静脈栄逊を想定した高濃床グルコヌス条件で、バむオフィルムの圢成量が増えるこずが報告されおいたす。

    ここで重芁なのは、カテヌテル衚面に付着した现胞が、栄逊の豊富な環境で集団を広げ、バむオフィルムを発達させやすくなるこずです

    ぀たり、

    カテヌテル衚面に付着する
    → 栄逊液を利甚しお増殖する
    → バむオフィルムを圢成する

    ずいう流れが重なるこずで、カテヌテル䞊に酵母が定着し、血流感染ぞ぀ながる条件が敎っおいくず考えられたす。

    カテヌテル感染は、単に「病原性の匷い酵母が䟵入する」ずいう珟象ではありたせん。

    医療噚具の衚面ず、そこで䞎えられる栄逊環境たで含めお考えるこずで、なぜ L. parapsilosis がこうした感染症で問題になるのかが芋えおきたす。


    新生児で倧問題

    L. parapsilosis は、ずくに早産児や䜎出生䜓重児で問題になる酵母です。

    新生児集䞭治療宀では、長期間カテヌテルを䜿甚したり、静脈栄逊を行ったりするこずがありたす。

    さらに、早産児では皮膚のバリア機胜や免疫系もただ発達の途䞭です。

    こうした条件が重なるこずで、カテヌテルに付着し、栄逊の豊富な環境でバむオフィルムを圢成する L. parapsilosis にずっお、定着しやすい状況が生たれたす。

    実際、過去の新生児集䞭治療宀でのアりトブレむクでも、感染した新生児の倚くが䞭心静脈カテヌテルや静脈栄逊を䜿甚しおいたした。

    ぀たり、

    高床な医療を必芁ずする患者を支える環境そのものが、この酵母にずっお感染を成立させやすい条件になっおしたっおいたのです。

    さらに厄介なのは、感染が䞀人の患者だけで終わらない堎合があるこずです

    L. parapsilosis では、䞀぀の系統が耇数の患者ぞ広がり、院内アりトブレむクを起こした䟋が報告されおいたす。

    近幎では、抗真菌薬フルコナゟヌルに耐性をも぀株によるアりトブレむクも各地で確認され、遺䌝解析から同じクロヌンが病院内で長期間䌝播しおいたこずが瀺された䟋もありたす。

    そのため、この酵母ぞの察策では、感染した患者を治療するだけでなく、手指衛生、カテヌテル管理、そしお院内での䌝播を防ぐこずが重芁になりたす

    L. parapsilosis の感染を芋おいくず、病原性は酵母そのものの性質だけで決たるわけではないこずが分かりたす。

    患者の状態、医療噚具、栄逊環境、そしお人から人ぞの䌝播。その組み合わせの䞭で、感染症は成立しおいるのです。


    おわりに

    Lodderomyces parapsilosisロッデロマむセス・パラプシロヌシス は、人の皮膚や手から芋぀かるこずのある酵母です。

    しかし、

    手を介しお広がる
    → カテヌテルに付着する
    → 栄逊の倚い環境で増える
    → バむオフィルムを圢成する

    ずいう条件が重なるず、血流感染や院内アりトブレむクに぀ながるこずがありたす。

    ここで芋えおくるのは、病原性は埮生物自身の性質だけで決たるわけではないずいうこずです。

    カテヌテルや静脈栄逊など、人間が治療のために぀くった環境も、埮生物にずっおは新しい生育環境になり埗たす。

    L. parapsilosis は、病原酵母を芋るずきに、「䜕ができる酵母か」だけでなく、「どんな環境でその性質が問題になるのか」たで芋るこずの倧切さを教えおくれおいたす


    次回は、Candida tropicalisカンゞダ・トロピカリスを玹介したす

    血流感染を匕き起こす病原酵母ずしお知られる䞀方、キシロヌスからキシリトヌルを぀くる高い代謝胜力も持っおいたす。

    同じ酵母が、なぜ「危険な病原䜓」ず「ものづくりに䜿える埮生物」ずいう二぀の顔を持぀のでしょうか

    その意倖な二面性を、医療ず代謝の䞡方から芋おいきたす



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    参考文献

    Trofa D et al. Candida parapsilosis, an Emerging Fungal Pathogen. Clinical Microbiology Reviews. 2008;21(4):606–625.

    van Asbeck EC et al. Candida parapsilosis fungemia in neonates: genotyping results suggest healthcare workers hands as source, and review of published studies. Mycopathologia. 2007;164(6):287–293.

    Holland LM et al. Conserved and divergent roles of Bcr1 and CFEM proteins in Candida parapsilosis and Candida albicans. PLoS ONE. 2011;6(12):e28151.

    Arastehfar A et al. Worldwide emergence of fluconazole-resistant Candida parapsilosis: current framework and future research roadmap. The Lancet Microbe. 2023;4(6):e470–e480.

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    アメリカ圚䜏の研究者 × 子育おパパ。 家族ず暮らす海倖生掻や、研究ず育児の葛藀などを発信䞭。 海倖で働く・家族を支えるあなたに、共感ずヒントを届けられたら嬉しいです。

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