
約束の116ページと、途中で息をつくための一枚のしおり。
約束の準備が、ようやく整った。
『スナックゆきで、一杯だけ』の書籍の予約販売を受け付けるWebサイトを開設した。
画面の向こうに並んでいた文章が、いよいよダンボール箱に詰まった「紙の束」になって手元に届くと思うと、どこか不思議な落ち着かなさがある。
先日、フォロワーが1,000人を超えた夜、手元に届く見本誌を確かめるまで予約は取らないと書いた。
昨日、その一冊がポストに届いた。
B6サイズ、背幅は約6ミリ。
恐る恐るページをめくり、文字の並びや余白の感じ、誤字がないかを確かめて、「よし、これならちゃんと読んでもらえる」と思えたので、印刷所へ初回100部の発注を済ませ、サイトの公開ボタンを押した。

会社員として長く他人の予算で仕事をしてきた身としては、自分の懐からお金を出して、見知らぬ誰かに本を買ってもらうというのは、なんだか妙に背筋がむずがゆい。
本が刷り上がるのは、11月中旬の予定だ。
手元に届き次第、予約してくださった方へ向けて11月中旬から順次発送していく。
そして今回の予約販売にあわせて、ひとつだけ挟み込んでお届けするものを用意した。
予約してくれた方への限定プレゼントとして、『スナックゆきで、一杯だけ』金箔押しオリジナルしおりを作った。

特典というほど大層なものではない。
どちらかといえば、この本を途中でパタンと閉じるための「一時停止ボタン」だと思っている。
何度も書いている通り、この本には人生の役に立つようなノウハウも、前向きになれる名言もひとつも入っていない。
あるのは、三十代半ばで起業に失敗して古巣に出戻り、年下の上司にペコペコ頭を下げて、深夜に一人でため息をついてきた四十男の、冴えない日々の記録だけだ。
だから、一気読みなんてしなくていい。
読んでいる途中で、なんだか自分の昔の傷がうずいたり、胃が重たくなって本を置きたくなる夜もあるはずだ。
そんなときは、無理に読み進めずにこの金箔押しの栞を挟んで、さっさと寝てしまってほしい。
明日また満員電車に揺られて、それぞれの日常をやり過ごすために。
途中で本を閉じることで、この本はちょうどいい役割を果たせる気がしている。
初回オーダーの100部すべてにこの特製しおりを挟んで、一冊ずつ自分で梱包して発送する。
気の利いた正解は何ひとつ持っていないけれど、同じように格好をつけ損ねた夜を抱えている人へ向けて、116ページの紙の束を用意した。
カウンターの端の席に、そっと置いておく。
[『スナックゆきで、一杯だけ』初回100部(予約限定・金箔押しオリジナルしおり付き)予約受付ページ]
※予約販売となります。商品は11月中旬に完成後、1冊ずつ手作業で梱包し、11月中旬より順次発送いたします。
気が向いた夜にでも、ふらりと覗いてみてほしい。
夜想書房公式Web Shop
型落ちの40代が泥をすする姿を、もう少し見てみたいと思ってくれたなら、スキやフォローで「カウンターの席」を確保してもらえると嬉しいです。

はじめてスナックゆきに 来てくれた方へ。
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